星野源『アイデア』『湯気』『Present』のイントロを語る

星野源『アイデア』『湯気』『Present』のイントロを語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんが2020年7月7日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中でリスナーから送られてきた自身のイントロが印象的な楽曲のうち、人気の3曲を紹介。その楽曲制作時のエピソードなどを交えながら振り返っていました。

(寺坂直毅)「イントロクソやべえ」のコーナーは曲のつかみとなるイントロ、そのイントロが良いと思う曲をリスナーの皆さんから送っていただくコーナーなんですね。で、前回の10周年スペシャルではリスナーの皆さんから星野さんの歌のイントロクソやべえを募集したんですが、時間の都合というかちょっと星野ブロードウェイが延びまして。その時は橋本直さんのイントロクソやべえ『Family Song』のみをご紹介しました。今夜はその時、ご紹介できなかったリスナーの皆さんからのイントロ曲クソやべえを3曲、ご紹介します。

(星野源)ありがとうございます。ちょっと手前味噌なんでね、司会をしていただけるとありがたいです。

(寺坂直毅)私が3通、メール紹介しますので。星野さんにその時のイントロの思い出とかをお話していただければと思います。今回、3通なんですが人気があった上位の3曲を選びました。本当にたくさんいただきました。

(星野源)なるほど。皆さん、本当にメール、ありがとうございます。

(寺坂直毅)じゃあ、1曲目です。「私のイントロクソやべえは『アイデア』です。僕はNHKの朝ドラ『半分、青い。』を見ていました。何年も前から朝ドラを見たいと思っており、大学に入学するタイミングで4年間、朝ドラをかならず見ると目標を立てて初めて見たのが『半分、青い。』でした。そのオープニングに流れているのが『アイデア』でした。朝から元気をもらい、1日がすがすがしく始まるイントロが大好きです」。ということで『アイデア』のイントロが好きだという方、かなりいらっしゃったんですが。

(星野源)嬉しいです。

(寺坂直毅)これは2018年8月リリースの曲ですね。この曲のイントロの……。

(星野源)イントロのあのメロディーはですね、僕はピアノで作ったんです。ピアノっていうか、自分の家のエレピで指1本ずつで作って。で、もっと悲しい曲のつもりで作っていたんですよ。で、自分のストックっていうか、なんかどっかで使おうと思って取っておいていて。で、『アイデア』を作っている時に、なんかイントロをちゃんと付けたいなと思っていてた時に「ああ、これはすごくはまりそうだな」と思ってくっつけたっていう感じでしたね。うん。

(寺坂直毅)じゃあ、そのイントロを聞いてみお魔性か。イントロクソやべえ、『アイデア』をどうぞ。

星野源『アイデア』

(寺坂直毅)もう2018年、毎朝聞いていましたからね(笑)。朝のイメージですね。

(星野源)これが毎朝流れていたってすごいことだよね。

(寺坂直毅)結構この『アイデア』を選ばれた方、たくさんいらっしゃいましたね。

(星野源)ありがとうございます。

(寺坂直毅)続いて、まいりましょう。「私の好きなイントロは『湯気』です。重めの同じ音が繰り返しのイントロは最初に聞いた時は次にどんな展開になるのか、想像ができませんでした。そしてアウトロも同じ展開で、最後のピアノの演奏にもやられました。歌詞も大好きな曲です」という。

(星野源)ありがとうございます。

(寺坂直毅)これは2011年のアルバム『エピソード』の曲ですね。じゃあ、聞いていただきましょう。『湯気』です。

星野源『湯気』

(寺坂直毅)ライブでもおなじみの曲ですね。

(星野源)そうですね。最近、やったっけ? ワールドツアーでやっていたのかな? しばらくやってなかったんですけども。

(寺坂直毅)このイントロについてもちょっと思い出をうかがえれば。

(星野源)これ、僕がこのリズム……なんかこう、頭が動いちゃうような、「うううっ!」っていうリズムをやりたくて。でも当時、ドラムを(伊藤)大地くんがやっていたんですけども。大地くんがハットを8つで「チッチッタンッ!」っていう風にやっちゃうんですよ。「そうじゃなくて我慢してくれ。全部『ダッ、ダンッ!』って。『タンッ』まで我慢してくれ」って言って。

だからその、我慢をして、みんなで低音を合わせいくっていう。そういうのを一生懸命やってましたね。で、この頃、まだディアンジェロを知らないままにですね、いわゆるネオソウルというものをちゃんと意識しないままにこういうのをやりたいと思ってやってですね。で、「ディアンジェロみたい」って言われて「なるほど。俺はこういうのをやりたいんだな」っていう風にして。

なのでいわゆるブラックミュージックとかソウルとかR&Bっていうのを自分のその実験の場っていうか。でも自分は日本人だから。その日本人であるという部分と、そのソウルミュージックっていうものをちゃんとくっつけて、それで今までにないものにしていこうっていう実験の一番最初の曲ですね。そこから僕の音楽性ってのはどんどんどんどんそっちに進化していったようなところがあるので。「始まりの曲」っていう感じですね。

(寺坂直毅)たしかにライブでこの曲、皆さんはイントロで体が動いてるイメージがあって。頭が動き出すという感じがしますね。それでは、続いてのイントロ。これが最後なんですけれども。「ソロデビュー10周年、おめでとうございます。私のイントロクソやべえは『Present』です」。

(星野源)おおおーっ!

(寺坂直毅)「……はじめて『POP VIRUS』のCDを買って、この曲を聞いた時、ピアノとチェロの幻想的な音に心を揺さぶられ、重なっていく弦楽器がすごく心地良くて、何度もリピートして聞いていました。ぜひお願いします」という。

(星野源)嬉しいですね。

(寺坂直毅)実は『Present』もすごく多くいただいたんです。

(星野源)へー、嬉しい!

(寺坂直毅)じゃあ早速、『Present』のイントロを聞いてください。

星野源『Present』

(寺坂直毅)2018年12月リリース『POP VIRUS』の6曲目でございます。

(星野源)ありがとうございます。そうね。この曲は、なんて言えばいいんだろうな? この「ドーン」ってダークなピアノとビート……このアルバムは全体的にそうなんですけども。いわゆるビートの音がここまでデカいのって日本の音楽ではあんまりないんですよ。なので、そういうのをちゃんとやりたいと思ったし。で、その中でピアノを生で弾いていて、ドラムも生で叩いてるんですけど。こういう音づくりってすごい難しくて。

なのでもうすごいヴィンテージの機材を使って試行錯誤しながら作りました。で、その中で美央さんという、いつもストリングスのアレンジをしてくれる方がこのチェロのフレーズを入れてくれて「ああ、なんか完成したな!」って感じがしましたね。本当に自分も好きだし、なんかその当時、作ってた時、すごいしんどい気持ちだったんですよね。だから今、みんなしんどいでしょう? なんて言えばいいの? まあ、いろんなことが表面化してきてるじゃない? このコロナ禍でさ。

なんていうか、その前にもずっとそういう気持ちだったわけ。で、これをなぜみんな、こういう風に思ってくれないだろう? このしんどさは……みたいな。なので、それの思いみたいなのがグッと入ってる曲なんですよね。だからなんか今は……今はもう表面化して、本当にもう嫌なことばっかりだし。もう「なんなんだよ!」みたいなことばっかりなんだけど。まだ、みんなが声を上げてるからいいかっていうような感じというか。あの時はまだ「なんでみんな、なんか楽しそうにしてるんだ? こんなにしんどいのに……」みたいな。

なんかでも、それをこの曲でですね、最後のエンディングも含めて楽しい音楽として昇華できたような感じがして。なのでこの入口のダークな感じはですね、すごくやりたかったんですよね。なので、そういう思い出がありますよ。だからこれを選んでくれたのがすごい嬉しい。

(寺坂直毅)本当に『Present』が一番多かったと思います。あと、もう本当にたくさんあったんですが。またいつか、こういう機会がありましたらぜひ星野さんのイントロを。

(星野源)ぜひぜひ。ありがたいです。

(寺坂直毅)ぜひよろしくお願いしますということで。以上でございました。失礼しました。

(星野源)ありがとうございました。司会の寺坂さんでした。

<書き起こしおわり>

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