宇多丸・Creepy Nuts・サ上 RHYMESTER『ユニフォーマーズ宣言』を語る

宇多丸・Creepy Nuts・サ上 RHYMESTER『ユニフォーマーズ宣言』を語る AbemaTV

(R-指定)でも、そういうのとかもあって、なんていうか周りに同調圧力とかもあるし。でも、その同調圧力に馴染むっていうことで自分を安心させる。それから外れてしまう恐ろしさみたいなのも描いてるし。この曲を聞いて思ったのは、俺も松永さも今でさえ、こんなナリですけど。10代の頃とかは結構ね、Bボーイファッションをしてたんですよ。

(サイプレス上野)やってたの?

(DJ松永)2人ともニューエラかぶっていたし。

(R-指定)俺なんてボウズでダボダボの服でニューエラをかぶっていたりしてたんですよ。で、それは学校というね、まさしくこの制服天国。「学校で制服というものがある中で、俺はちょっとはみ出したい、自分だけの格好をしたい」と思ってやって。「これで自分だけ違うぞ」と思って、いざクラブに行って、そこでみんなを見てみると「あれ? クラブのやつら、全員同じような格好してる。あれ? これも制服やんけ!」みたいな。で、「じゃあ自分の好きな服を着た方がいいな」っていう風になって。それで今、こういう格好になってるっていう。

(DJ松永)そうなんですよ。

(R-指定)だからこういう風なことも俺らは経験してやっと気づいたんですけど。もう93年、ファーストの時点でこういう風な、「『らしさ』というものに染まるってことはかならずしもヒップポップっではない。ヒップホップというものはいかにしてその『らしさ』というものから自分だけのものを見つけていくかなんだ」っていうことを言っているという。

(DJ松永)この精神は時代を問わないよね。今、聞いてもいろんな人に響くし。

時代を超えるメッセージ

(R-指定)当然、その流行りの格好とかみんなと同じ格好をすることは否定するわけじゃないけども。「俺はみんなと違うぜ!」とか「俺みたいなやつはいないぜ!」って言っているトラップの子らがみんな同じ格好してるとか。みんな同じフロウしてやってるみたいな、そんなやつらにもこれはかなり刺されると思うんですよね。

(宇多丸)まあね。特にその黎明期の方がその「ヒップホップ」という型しか頼るものが無いじゃん。だから割とそのヒップという型が今以上にその比重が……今はむしろ、格好はね、どんな格好しててもよくなった。すごくよくなったんだけど。前はむしろ、その型から入ることでかろうじてそのヒップホップ性というものを自ら証明するしかなかったから。だから俺ら、やっぱりそもそも「大学生で」っていう時点でらしくないし。

(サイプレス上野)ああ、ヒップホップをやっているっていう時点で。

(宇多丸)まあ、俺らとしてはちゃんと俺らなりのヒップホップ観のある格好なんだけど、いわゆるバリバリな感じでもないから。そこに対して、なんな引け目もあるし言いたいこともあるし……みたいなことですよね。だから、あれですよ。これはたぶんアルバム用に改めて作った方の曲だから。でもまあ、あれだね。いいこと言ってるね(笑)。

(R-指定)いや、そうなんですって。でしょう? ウタさん、そうでしょう?

(DJ松永)半端じゃないんですよ!

(R-指定)あなた、いいこと言ってるんですよ、ずっと!

(サイプレス上野)あの、ちょっといい? 長くなったら嫌だけど、ちょっといい? 俺はなんでこの曲とかに励まされたか? 俺らがライムスターにもらったものっていうのは……まず次にやるセカンドアルバムからライムスターに入って、そこからファーストに戻ってこれを聞いて。それですごい元気をもらったっていうのは、俺たちは周りのやつらが普通の格好というか、おしゃれをやっている中で、軍隊みたいな迷彩の服とかを着てる時にまさにこの『ユニフォーマーズ宣言』。

(R-指定)はいはいはいはい!

(サイプレス上野)「俺はお前らとは違うけど、間違ってはいませんよ!」っていう気持ちで。「ああ、この人たちはその年でもうこんなことを言ってたんだ!」っていう。そこなんですよ! 本当に。

(DJ松永)この時、93年って信じられないですよね?

(R-指定)だから「自分の好きな格好で自分の好きな道を行けばいいんだ」というのをホンマに言ってくれてるんですよ。だから別にBボーイのファッションが好きなら好きでそれを貫けばいいし。それが型から入ってやってるんだから、自分の好きな格好をすればいいし。しかも、その型しか頼るところなかったっていうところでこの……「らしくない」っていうことと常に戦い続けていて。でも、「らしくなくて何が悪い?」っていうことをずっと言ってくれていたのがライムスターだったんですよね。だから、俺らみたいなのもめちゃくちゃ励まされたんですよ。

(サイプレス上野)ねえ!

(R-指定)もう全くらしくないんですよ。いわゆるステレオタイプなヒップホップじゃないっていう。

(宇多丸)あとはね、当時のシーンの空気的なところでこれは非常に重要なことなんだけど。よく言うんだけど、やっぱり日本のヒップホップ史上、一番重要なのは僕が思うにマイクロフォン・ペイジャーなんですよ。マイクロフォン・ペイジャーの登場。もちろん、その前からムロくんもTwigyもフロンもいろいろと活動してたけど。やっぱりペイジャーっていう形でドンと出て。日本のハードコアヒップホップっていうか、その正しいリアル・ヒップホップみたいな形をガンと出して。

マイクロフォン・ペイジャーの登場

やっぱりそれ、すげえかっこよかったし。俺らもすごい目を覚まされたところがあって。それでもう、そのペイジャーイズムが大席捲して。そういう中で、俺たちなりにやっぱり「でも、自分たちはこうだから」っていう。要するにペイジャーみたいにはできないし。それも違うっていう感じで。たぶんそういうシーンに対して、何かその自分たちのアイデンティティーを主張しなきゃいけない時代でもあったのかな?っていう感じなんですよね。

(サイプレス上野)すごいな……。

(R-指定)いや、たまらないですね(笑)。

(サイプレス上野)っていうかもう1曲で全部終わるんじゃないか?(笑)。

(宇多丸)っていうか、このやり方でこの時代、いいのかな?っていうね。

(R-指定)でも、そこも聞きたいんですよね。さっきも言っていたペイジャーイズムっていうか。そういうね、いわゆるいかにも正しいというか、ホンマにザ・ヒップホップっていうのが出てくるのは当然かっこいいし、俺らも大好きやけど。じゃあ自分たちはどう戦っていくか、みたいのはホンマにね、ライムスターに勉強させていただきましたよ。

(サイプレス上野)間違いない。

(宇多丸)いやいや、だから皆さんみたいな後続の人のやりやすさというか、生きやすさというかね。その感じの一助になったなら、これは『俺に言わせりゃ』もひとつ、作ってよかったところがあったのかな、なんて。

(DJ松永)いやいや、これがなかったら生まれなかったものはたくさんあると思いますよ。

(R-指定)まさしく『Forever Young』のMVの通りなんですよ。開拓してくれているんですよ。俺たちが歩みやすい道をね。

スチャダラパーからのライムスター『Forever Young』

(宇多丸)いやいやいや、ねえ。

(DJ松永)この時代はライムスターもメンバー構成が今とは違ったじゃないですか。

(宇多丸)はい。まだね、人数が多い頃でしたからね。

(DJ松永)で、Rさんは実は最近、ライムスターの旧メンバーにお会いする機会があったんですよ。

(宇多丸)おっ?

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