宇多丸さんが2020年3月16日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の中で岡村靖幸さらにライムスターでミュージックステーションに出演した際の模様を話していました。
(宇多丸)ということでね、とにかく先週の金曜は普段からね、8時台に抜けてMXテレビに行ってね。『バラいろダンディ』という番組がレギュラーがあって。毎週金曜は途中抜けというのが本当に申しわけないと思いながらやっているわけなんですが。さらにね、ちょっともう30分のみぐらいの出演になってしまいましたね。なぜかと言いますと、私の本業と言いましょうか……まあ、こっちも本業なんですけどね。ライムスターというラップグループを31年、やっておりまして。こちらが岡村靖幸さらにライムスターという、岡村靖幸さんとのコラボ曲でミュージックステーション……まあね、日本のテレビ番組、音楽番組の今や、なかなか多くない中でずっと残ってる。ゴールデンタイムでは唯一に近いんじゃないですか? そんな番組、我々も出演したことがなかったんで。
(熊崎風斗)それがまず意外でしたけどね。
(宇多丸)そうなんです。なので1回ぐらい……別にそのテレビ至上主義的な活動をしてきたわけではないですが。「まあ1回ぐらいは出てみたいもんだよね」なんて話を……まあちなみに私ども、ライムスターの特徴として面倒を見てきた後輩たち、知人、友人たち。こういうのはガンガン売れていき、ミュージックステーションはおろか紅白に出る。なんですけど、まあ我々はようやくというか、お話がこのタイミングであったので。
もちろん岡村さんのニューアルバム『操』というののリリースを前にした出演というのがあったんで。まあ、これはいろんな要素をかんがみて、やっぱり私もじゃあ、お休をみさせていただいて。ということで、ちょっと途中抜けしてうかがったというようなことでした。
(熊崎風斗)お疲れさまでした。
(宇多丸)もうどうしても時間がないということで放送中に衣装に着替えるという。で、着替えた結果、今私がしているこのヘッドホンを社会の窓に通したまま着替えてしまうという。「すわ! 股間からヘッドホンを垂らした男がゴールデンタイムのテレビ番組に!」っていう、こういう危機があったりしました。
時間がないのでラジオ生放送中に着替える
ズボンを履く時に仮留めしているところをバキッとやっちゃって。右裾がビローンとなったままのズボンで出ることに……これはあわやということになりましたが、無事スタイリストチームその他の機転により、これは回避いたしまして。それで出てきたんですよね。まあ、だいぶ話には聞いてましたけど、ミュージックステーションもろんな形式が変わっていて。VTRが多いという。
(熊崎風斗)僕も見ましたけども、「ああ、今はこんな感じになってるんだな」ってちょっとびっくりしました。
(宇多丸)それでは、ご覧になった皆さんからメールをたくさん、ドサッといただいているので。代表的なあたりをご紹介していきましょうか。
(熊崎風斗)はい。こちらです。「先週の生放送の音楽番組、リアルタイムで視聴いたしました。いつものキング・オブ・ステージっぷりが番組の中でもいかんなく発揮されており、圧巻のステージでした。他のアーティストの皆さんも素晴らしかったですが、全く番組のテーマ『卒業』に沿っていない楽曲にも関わらず、最後のトリで岡村さんとライムスターさんが全てを持っていったように感じられました。その証拠もあります。
普段、ヒップホップをライムスターのことを全く知らなかったうちの嫁と一緒に番組を視聴していたのですが放送日翌日にうちの嫁がぼそっと『最後のおじさんたちが一番かっこよかった』と言っていました。詳しく聞いてみますと、皆さんのパフォーマンスが一番印象に残っているとのことでした。GACKTさんも出ていましたが、それを楽しみに視聴していた嫁が発した一言に私もびっくりしました。普段、皆さんの音楽に接したことのない人でもその良さを一発で感じ取れる皆さんのステージングで改めて感服いたしました。このエピソードを伝えたくてメールしました。番組、これからも楽しく拝聴させていただきます」という。
(宇多丸)嬉しいですね。ありがとうございます。だったら、こういうご意見がちょっとでもあるんだったら出た甲斐もあったかなという感じですよね。とにかく、やっぱりさ、思った以上にしゃべり代が全くない……僕もその事前の山本匠晃さん。金曜日のしゃべりのところで言いましたよね? 「とにかくそのタモさんと絡んだりするパートはないから。さっき、台本を見たいけどもないんだよ。ないの、マジで!」っていう。
(熊崎風斗)トークセッションみたいなところがあるのかと思いましたけども。
タモさんと絡むようなパートはない
(宇多丸)ないんです。だいたいもうVが決まっていて。もうワンテーマ「卒業」っていう。で、特に卒業式、できなくなっちゃったりするのもあるから、テレビを通じて……っていう、非常に意義深い特集だったとは想うんですよ。で、皆さんので代表的な卒業ソングみたいなねあったりなんかしてさ。だから金曜日に言った通り、俺がもうやれることと言えば、いわゆるワイプ……「ワイプで芸能人が作り笑いをしてるじゃないか。
あそこで作り笑いをする以外のに俺の仕事はない」っていうね。それでもじゃあ、頑張って作り笑いしようと思って。もううなずいたりするしかないじゃん。「卒業式の皆様へ」みたいに言ってるのもさ、「うんうん」なんつってさ、やるしかないじゃん? そこで態度が悪いの、嫌じゃん? だからこうやって「うんうん」ってやってたんだけど、別にワイプも抜かれねえし。
(熊崎風斗)ただ、宇多丸さんが結構後ろに映ってる姿っていうのがやっぱり……。
(宇多丸)位置がね。あと、どの位置にいても頭の一部が映るだけでもう目立つとか、そういう問題もあるとは思うんだよね。
(熊崎風斗)集中して宇多丸さんを見てたからなのか、結構宇多丸さんが後ろに抜かれてる絵面っていうのは多かったですよ。
(宇多丸)これね、皆さんね、「宇多丸、爪痕残せなかったな(笑)」とかおっしゃるかもしれませんけど、ああいうところで出しゃばってギャーギャー騒ぐことほどね、見苦しいことはない。そのベテランアーティスト、そこまでして目立ちたいわけじゃない。そこまで音楽活動、困ってねえんだっていうのがあるから。別にいいんですけど。ただ、たとえば最初にコブクロさんが歌っていて、こっちコブクロさんが来る。後ろにAKB48の皆さんとあとはHiHi Jets。HiHi Jets、すごかったね!
(熊崎風斗)ジャニーズのローラースケートの。
HiHi Jetsのすごさ
(宇多丸)あれ、生で見るとあのパフォーマンスの勢いっていうか……プラス、それを追いかけるミュージックステーションのカメラワークのすごさ。5台ぐらいカメラがあって、クレーンと手元と……みたいな感じで、それが縦横無尽に絡み合って、彼らのそのローラースケートとか使ったパフォーマンスを……あれ、すごかった。普通に拍手しちゃったし、終わった後にHiHi Jetsの皆さんが来て「感動した!」って。小泉純一郎みたいになって。「感動した!」なんて言っちゃいましたね。
(熊崎風斗)フフフ、次にデビューする可能性も結構あるぐらいの有力ジャニーズグループですから。ジュニアで。
(宇多丸)普通に話しかけちゃいましたよ。「ローラースケートが上手い人が選ばれたのかい?」なんて(笑)。
(熊崎風斗)でも、そうですよ。猪狩くんっていうメンバーの子はラップをやっていたりして。
(宇多丸)はいはい。だからね、これは出世するな。優しくしておくに限るなと思って。
(熊崎風斗)フフフ、出世するからなんですか?(笑)。
(宇多丸)出世するかもしれないから。いや、本当にパフォーマンスに感動して。リハーサルの時点ですごく「うわあ!」なんて感動して。それはいいんだけど。だからそこでさ、後ろに若手がいるじゃん? で、前にGACKTさん。GACKTさんもデカいよね。岡村さんもデカい。俺らも割とデカい。180センチぐらい。で、コブクロのお二人、黒田さんはデカい。ということで、しかもGACKTさん、サングラス。タモさん、サングラス。俺もサングラス。黒田さんもサングラスじゃないですか。
だからその目の前に黒いサングラスのおじさんたちが並んでいるわけですよ。で、もうこの絵面そのものが本来ならいじりどころのはずなんだけど……まあそんなことをね、そこでいじられる。もしくはボケる。そういう間も別になく、スルーされて。とにかくどんな異様な絵面があろうと、そこは流れていく。で、とにかくずーっとね、ワイプ。抜かれるかな?って思って一生懸命こうやって「うーん」ってやっていたんですけど、抜かれねえから。だんだんもう気がゆるんできて。おちんちんをかいたりとか、いろいろとしていたんですよ。
(熊崎風斗)フフフ(笑)。
(宇多丸)テレビに映らないからおちんちんをかいたり、いろいろとしていたんですよ。
(熊崎風斗)やめてくださいよ!(笑)。
(宇多丸)しょうがない。かゆくなる時もありますから。それは人間、おじさんですから。かゆくなる時もあります。もちろん見えないところでですよ。いやがらせがしたいわけではないので。で、そうこうするうちに振られて……振りもVTRだし。それで曲もやって。で、終わって受けの時間も別にないから。本当に曲をやるだけだったんですよ。だから、まあこういうものだなと思って。勉強をさせていただきましたよ。