町山智浩 株価暴落とアメリカ国内のコロナウィルス問題を語る

町山智浩 株価暴落とアメリカ国内のコロナウィルス問題を語る たまむすび

(町山智浩)そうそう。ロサンゼルスで僕、バイデンさんの勝利宣言を見たんですよ。100人ぐらいしか人が来てなくて……。

(赤江珠緒)ええっ? そうなんですか。スーパーチューズデーの結果。

(町山智浩)サンダースさんのところには2万人ぐらい来てましたけども。

(山里亮太)ええっ! 不思議。それでも負けちゃうんですね。

民主党の大統領候補争い

(町山智浩)それはね、バイデンさんの周りにその民主党の主流派の人たちがみんな集まって。次々と大統領選挙の候補から降りていって。まあ説得もされたんだと思うんですけど。それで「バイデンさんを推薦する」という形で。「バイデンさんに一本化しようよ」っていうことでどんどん固まってきたんですよ。で、億万長者のニューヨーク市長、ブルームバーグさんも降りてバイデンさんを推薦するという形で、民主党がそのサンダースっていう左派の非民主党員ですね。

アウトサイダーに民主党が乗っ取られてしまわないように……っていうことで、みんな力を合わせてバイデンさんを支えていこうという感じになっていってるんですよ。現在。それでバイデンさんっていうのは実際はほとんど選挙活動していなかったんですけど。一番若手のブティジェッジさんとかね、彼もバイデンさんを推薦するっていう形で降りたりして、周りが盛り立てていってるって感じなんですよ。

(赤江珠緒)なんか不思議な状況になってきている。またそれもね。

(町山智浩)すごく不思議な状況。そうしないと、やっぱり共和党がトランプに乗っ取られたような形で民主党もサンダースさんに乗っ取られてしまうっていうことでみんな慌てて、バイデンさんの周りで固まっていってるという。だからバイデンさん自身はね、僕も演説を見たんですけども。まあ、盛り上げようとするけども、全然盛り上がらないんですよ。たとえば医療保健について。「医療保険は……今は結構いいから、もうちょっと改善する」とか言うんですよ。

(山里亮太)ぼんやりしている。

(町山智浩)ぼんやりしてるんですよ。これは盛り上がらないよ!っていう。

(山里亮太)そうか。サンダースさんがあんだけ派手だから。

(町山智浩)で、サンダースさんみたいに「金持ちから税金をガバッと取るぞ!」とかも絶対に言わないし。大口献金者たちが民主党の中心の主流派を支えてるんで、それは言えないんですよね。で、学費なんかにしてもサンダースさんは「学費を全部タダにする! 学費のローンを抱えている人たちのそのローン残高も全部ゼロにする!」って言っているんですけども、バイデンさんは「学費は最初の2年だけ無料にするということを検討してもいい」とかって言うんですよ。

(赤江珠緒)フフフ、まあそれは「おおーっ!」とは言いづらいですよね(笑)。

盛り上がらないバイデン候補の演説

(町山智浩)そう。現実的なんだけども、盛り上がらないんですよ(笑)。これは致命的に盛り上がらないなと思って見ていて。で、このままで行くとバイデンさんが一応、民主党の候補としては指名されて、トランプさんと戦うことになるんですけど。まずそのサンダースさんを支持した人たちはバイデンさんがこのままで行ったら、サンダース支持者は全部抜けちゃいますから。でもサンダースとバイデンが民主党の候補者争いで競い合っているということは、半分半分なんですよ。それで、その半分が抜けちゃうことになっちゃうんですよ。サンダース支持者が。「トランプを倒す」っていうそれだけのために学費とか医療保険改革とかを諦めてバイデンさんを支持するっていう人だけしか残らないですよね。

(赤江珠緒)そうなるとやっぱりトランプさんが強いってことになるね。

(町山智浩)そう。トランプさんが勝っちゃうことになっちゃいますよね。でもまあ、景気があまりにもひどいと、これはやっぱり他の人に乗り換えるしかないから、誰でもいいってことになってトランプさんが負ける可能性もありますけど。まあ、バイデンさんがサンダース系の左派の人を副大統領に指名しない限り、民主党はトランプには勝てないだろうなと思いましたよね。あのね、トランプって人はいじめっ子だから、人にあだ名を付けるのがめちゃくちゃうまいんですよ。で、ひどいことばっかり言う人なんですよ。たとえばサンダースさんについては「クレイジー・バーニー」って呼んでいるんですよ。バーニー・サンダースだから。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)それって、ラジオで放送ができない言葉ですよ。それを、大統領が言うんですよ。「クレイジー・バーニー!」とかって言っているんですよ。「ああ、英語だと何でも言えるんだな」っていうね。もうラジオで言えないことを言う大統領ってすごいんですけども。まあ、この人は「女性のプッシーを掴む」とか言っていた人なんで、元々放送に適さない人なんですが。それでトランプさんがバイデンさんにつけたあだ名が「スリーピー・ジョー」っていうんですよ。演説を聞いていると、眠くなっちゃうんですよ(笑)。演説に全く盛り上がりがないから。これは弱いな……というね。トランプさんの演説は最高に面白いですよ。そういう点では。まあ放送禁止ですけどもね。

(赤江珠緒)ここも放送ですよ、町山さん(笑)。

「コロナも俺のせいじゃない!」(トランプ大統領)

(町山智浩)だから今度のコロナウィルスの件もね、「これは俺のせいじゃない!」とかね、あとは共和党の人たちは「コロナウィルス」とは言わないんですよ。「チャイニーズウィルス(Chinese Virus)とか呼んでいます。

(赤江珠緒)ああー、そういう風になっちゃうんだ。

(町山智浩)チャイニーズコロナとか呼んで。「これは中国のせいだ! 中国のせいだ!」っていうことを強調しているんですよ。だからね、それもすごくコロナウィルスの被害を今の現在の政権のせいにしないっていう形で。そのへんも嫌な感じでね。病気に特定の国の名前をつけて……っていうのはね、嫌らしいやり方なんですよ。まあトランプさんの得意技ですが。

(赤江珠緒)じゃあアメリカもちょっと雰囲気としては良くないという状況ですね。だって映画も公開が延期になったりとかありますもんね。

(町山智浩)映画ね、どんどん公開延期になってるんですよ。もう映画館に行ったんですけど、やっぱり人が入ってないんですよ。もう全然入っていない。で、この間、映画を作れば当たるピクサーの新作映画が公開されたんですけど。で、一応トップなんですけど、やっぱり映画界全体が入ってないから。まあ観客動員数はすごい少ないんでね、あれなんですが。でも映画は良かったですよ。その映画の話をしますね。

(赤江珠緒)はい。

町山智浩『2分の1の魔法』を語る
町山智浩さんが2020年3月10日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中でピクサー映画『2分の1の魔法』について話していました。 (赤江珠緒)じゃあアメリカもちょっと雰囲気としては良くないという状況ですね。だって映画も公開が延期になったりとか...

<書き起こしおわり>

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