(宇垣美里)あとは特に浅草氏は非常にセリフが長いと思うんですけども。その際の苦労とかは?
(伊藤沙莉)いや、とにかくボードっていうのが出るんですけど。名前のテロップみたいなのが出てる最中にセリフを入れ込まなきゃいけないんですね。
(宇垣美里)ああ、秒数が決まってるみたいな?
(伊藤沙莉)決まっているんです。まあ口合わせとかオフとかもあるんですけど。そこで入れるから、その浅草氏だからって早口でやってるとめちゃくちゃ余ったりとかして。
(宇垣美里)ああ、ちょうどよくないとダメなんだ。
(伊藤沙莉)そうなんです。で、私自身がもともと結構早口なので。ガーッて早口は得意なんですけど、ブワーッと行き過ぎてちょっと全然余っちゃっているみたいな。それのやり直しは結構あります。
(宇多丸)へー! でもその尺を取っているのは湯浅監督とかはその尺なりの理由があるんですもんね。単に尺を伸ばしているというよりは。「ここはこのテンポで言え」みたいなことだったりするっていうことですよね・
(伊藤沙莉)ありますね。あとニュアンスとかがやっぱり「ここの言葉はしっかりと聞かせたい」とか「ここはこういう気持ちで言ってほしい」とかがひとつひとつに詰まってるからこそ、ただの早口で終わらないようにしてくださっているといいますか。なんかそこで熱弁に変わるというか。その長尻が熱弁っていうことが変わるというのはもう演出あっての、ですかね。
(宇多丸)なるほどね。単に覚えたものを出しているというよりは、ちゃんと気持ちが入ったものになるように。
(伊藤沙莉)そうですね。
(宇多丸)湯浅さんのこの指導というのは、どういうディレクションなんですか?
湯浅政明監督のディレクション
(伊藤沙莉)そうですね。でもすごくシャイな方で。基本的にはあんまり何も言ってこないんですけど。すごく自由にやらせてくださっていて。ただ、ひとつひとつこだわりのある部分だったりとかは音響監督さんを通して「ここはこういう感じで」とか。まあ音響監督さんが結構常に「寅さんっぽく」とか。しゃべり方に関してアドバイスをくださるので。そこに加えて……まあでもやっぱり湯浅さんから一番言われたのはSE。浅草氏が妄想の世界の効果音を出すところで……。
(宇多丸)たしかに、たしかに!
(宇垣美里)ああ、あれ、すごい好き!
(伊藤沙莉)あそこは妄想の世界だから浅草の妄想の時は浅草がやる。水崎の妄想の時は水崎がやるっていう風に考えたのは完全に湯浅監督なので。もうその見せ方からして、天才でしかないんですけども。そこで妄想の世界を表現するっていうのはまさか思いつかなかったので。そこは結構みんな、こだわってやってましたね。
(宇多丸)あのアニメパートのそのSEのつけ方ひとつとってみても、やっぱり浅草さんとかのこだわり。「ああ、ここにこだわってるんだ!」みたいなのがそれでも伝わってくるじゃないですか。だから、ここが実はすごい気を使ってるところですよね。やっぱりね。
(伊藤沙莉)そうですね。で、結構文字になってると、どういう音なのか正直わかんなかったりとかして。一応、こういう文字を見て、原作を読んで、「ああ、こういうことなんだけど……」みたいなことをやるんですけど。思い浮かばなかったりとかする時は結構湯浅さんが実演をしてくださったりとかして。
(宇多丸)フフフ、それもそれで見てみたいですね(笑)。いずれ、パッケージになったりしたらメイキングなんかも見れるかもしれないですけども。あ、見ていない方のために言うと、『映像研』はその彼らが作ってるアニメの設定とかを浅草さんとかがワーッと考え出すと、そこのところを夢中で話しだして。そうすると、水彩画のようなタッチで画が動き出して。それで今、おっしゃっていたように口で言っている効果音とかで……「手がチェーンソーになっていて、それでグワーンと回って……!」なんて。あそこがまた楽しいですよね。
(伊藤沙莉)ロボットですね(笑)。そう。よく見てくださっていてありがとうございます。
(宇多丸)最高です。伊藤さん、お気に入りのシーンとかってありますか?
(伊藤沙莉)うわー、本当に全部なんですけども……。
(宇多丸)まだね、全話終わっていないのであれですけどもね。
お気に入りのシーン
(伊藤沙莉)そうなんです。まあでも、大変だったというのもあって。お気に入りというか、感慨深いというか、印象深かったんですけど。一番最近のこの第9話の浅草覚醒のシーン。
(宇多丸)これは宇垣さんがもう……?
(宇垣美里)超好き! 「泣いちゃう!」って思いながら見てます。もうなんか……「よかった! よかった!」って(笑)。
(宇多丸)これね、うちのディスクに録画をしてあって。これから見るんで……(笑)。
(宇垣美里)ごめんなさい(笑)。
(宇多丸)じゃあその場面、楽しみにしています(笑)。
(宇垣美里)彼女が覚醒するんです!
(宇多丸)そうなんです。覚醒するんですよ。
(宇多丸)ねえ。学園祭での作品の上映が終わって……というところからですからね。これまた楽しみだな。
(伊藤沙莉)じゃあ、あんまりわからないように言ってもいいですか?
(宇多丸)はい。ぜひ。
(宇垣美里)お願いします! 私、わかってるんで(笑)。
第9話・浅草氏覚醒
9話ご視聴ありがとうございました!
チビ森氏のエピソードは刺さったなあ。フルーツたんたんめん、食べたくなる。そして浅草氏の覚醒。演出への目覚めが次回以降のキーになってくる!?さあ「芝浜UFO大戦」の制作が始まりましたよ、来週もお見逃しなく!#映像研 つるP pic.twitter.com/ajH9CWGZsq
— TVアニメ「映像研には手を出すな!」 (@Eizouken_anime) March 1, 2020
(伊藤沙莉)ありがとうございます。効果音を初めて自分の想像の世界上じゃなくて浅草氏が浅草氏として効果音を口で言うシーンがあって。なんかそこが私、この作品に入ってすぐに「声をちょっとどういう感じか確認したい」って言われて。一番最初にやったシーンがあそこだったんですよ。
(宇多丸)なるほど、なるほど。
(伊藤沙莉)声録り。試し録りみたいな時にやらせていただいたのがそのシーンで。だからそこがちゃんと形になってああやって放送されたのがもうとにかく感慨深くて。ちょっと泣きました、はい(笑)。
(宇垣美里)最初にやったところだからこその思い入れ。
(伊藤沙莉)はい。ありますね。
(宇多丸)楽しみに9話を見たいと思います。ということで、あっという間にお時間が来てしまいました。お知らせといたしましてはぜひ皆さん、『映像研には手を出すな!』をお楽しみいただきたい。情報を宇垣さんからお願いします。
(宇垣美里)はい。テレビアニメ『映像研には手を出すな!』はNHK総合テレビにて毎週日曜日、24時10分から放送中です。FODでも配信中です。
(宇多丸)伊藤さんからお知らせごとなどありますか?
(伊藤沙莉)はい。テレビアニメ『映像研には手を出すな!』、6月24日にブルーレイコンプリートBOXが発売されます!
(宇垣美里)買わねば!
(伊藤沙莉)原作の大童澄瞳先生の書き下ろし漫画、湯浅政明監督による話題のオープニング&1話の絵コンテブック。オオルタイチさんの劇伴サウンドトラックCD、設定ブックレットなどなど豪華10大初回生産特典が付いてきます。アニメ制作会社サイエンスSARUのオリジナル特典の最新情報も近日中に発表されますのでぜひお楽しみにという。
(宇多丸)うわあ! 予約、予約!
『映像研には手を出すな! COMPLETE BOX』
(伊藤沙莉)あともう1個、いいですか? ちょっと違うんですけども。4月4日(土)の夜11時30分から『いいね!光源氏くん』というドラマが……これに関しては実写で伊藤が頑張ってますので。
(宇垣美里)元漫画のやつですよね?
(伊藤沙莉)漫画原作ですね。
(宇垣美里)ああ、楽しみ!
(伊藤沙莉)それもよろしくお願いします。
(宇多丸)ありがとうございます。今後ともなにかこの番組、お知らせごとなどあればいつでもお待ちしていますので。
(伊藤沙莉)もうぜひぜひ、お願いします。
(宇多丸)「おじさん」ですから(※伊藤沙莉さんはドラマ『トランジットガールズ』でMummy-Dさんと父娘役で共演していた)。
(伊藤沙莉)血がつながっていますから(笑)。
(宇多丸)そういうことです(笑)。ということで今夜のゲストは女優、伊藤沙莉さんでした。ありがとうございました!
(伊藤沙莉)ありがとうございました!
(宇垣美里)ありがとうございました。
<書き起こしおわり>
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