秋元康 乃木坂・欅坂・日向坂の色分けを語る

秋元康と佐久間宣行 ラジオと作詞を語る 佐久間宣行の東京ドリームエンターテインメント

秋元康さんが2020年2月19日放送のニッポン放送『佐久間宣行の東京ドリームエンターテイメント』にゲスト出演。佐久間宣行さんと乃木坂46・欅坂46・日向坂46の色分けができていった過程について話していました。

(佐久間宣行)あとは僕、こういう機会でしか聞けなくて、聞いてみかったなって思うのは坂道なんですけど。坂道で乃木坂が先にあったじゃないですか。それで上品。欅坂はいきなりロック調じゃないですか。あれってコンセプトが先だったのか、それとも集まったメンバーを見てこういう……秋元さんって人を見て企画を思いつくパターンもあるじゃないすか。それはどういう風に?

(秋元康)全部さ、佐久間とも仕事しててもわかるじゃない? ほとんど何も考えてないのよ。

(佐久間宣行)はい。それはわかってます(笑)。

(秋元康)だってさ、青春高校もさ、枠だけもう決まって。「何をやろうか?」って言ってもう始まる2、3週間前ぐらいだよね。「学校を作るか」っていうのが突然決まったわけじゃない。あれと同じで、別にもともとはAKBがあったじゃん。で、AKBって元々はソニーミュージックだったの。で、ソニーミュージックに切られたの。ソニーミュージックが「こいつら、売れないな」っていうことで。

(佐久間宣行)それでキングレコードに行ったんですよね?

(秋元康)そしたら売れたじゃん。で、ソニーミュージックは本当に悔しがって。「すいませんでした!」っつって。「うちでも何か、作ってください」って言われたわけ。それでひとつだけ条件があって。「その前、ソニーミュージック時代のAKBの曲を集めてアルバムを出したい」っていう。

(佐久間宣行)僕、それ持っています。『逃した魚たち』っていう(笑)。

(秋元康)そうそう(笑)。「『逃した魚たち』っていうタイトルにするんだったらいいですよ」っていう(笑)。

(佐久間宣行)フハハハハハハハハッ! すげえタイトルだなっておもいましたよ(笑)。

(秋元康)だってそれは面白いじゃん。それから、ソニーミュージックも頑張ってくれたし。申し訳ないなと思って、それじゃあソニーミュージックでも女の子のアイドルグループをやろうと。で、その時に何か面白いことをやらなきゃいけないと思ったんで「AKB48公式ライバル」っていうキャプション、肩書にして。で、その時に、だから何も決めてなかったの。

(佐久間宣行)ああ、そこまでしか決めてなかったんですか?

(秋元康)そう。だから別にそこにたとえばAKBが公立の高校で、乃木坂が私立の高校とかも何も決めてないの。ただなんとなく、その時に集まったのが……。

(佐久間宣行)白石(麻衣)さんとか。

(秋元康)そう。生田(絵梨花)とか。で、たぶんファンの人がそういう風に決めていったの。

(佐久間宣行)なるほど。集まった人とファンの流れでどんどん、あの乃木坂の上品というか私学っぽいものが出てきたんですか。じゃあ、欅坂は募集した中で人を見て、ロック超の『サイレントマジョリティー』とか……僕はてっきり『サイレントマジョリティー』っていう曲が先にあったのかと思っていたんですけども。

(秋元康)ううん。つまり、欅坂のオーディションをやった時、本当に何だろうな。あの、明るくないのよ。

(佐久間宣行)フフフ、なるほど。

(秋元康)なんかみんな、大人たちをにらみつけてるわけ。だから「大人たちが嫌いな人たちなんだな」と思って。で、だから「大人たちに支配されない」みたいなのはなんとなく、言葉としては思っていたんだけど。それが本当にあれは『メチャカリ』っていうファッションのサブスクの会社のコマーシャルソングだから。「明るい曲でお願いします」っていう。「明るくてパーッと華やかなので……」っていう時にできちゃった曲が『サイレントマジョリティー』で(笑)。

(佐久間宣行)フハハハハハハハハッ!

(秋元康)「どうしようかな?」って思ったら、そこの石川さんという社長は「ああ、いいですね!」って言ってくれて。だからそれが決まらなかったらたぶんあそこまでヒットしなかった。

欅坂46『不協和音』

(佐久間宣行)要はタイアップ……そうですね。先に決まってたけど違う曲が生まれちゃったのをOKしてくれたから、大々的に出せたっていうことですもんね。

(秋元康)で、だいたいそういう……自分がね、ほら。「プロデュースっていうのはゼロのところから1を生み出す」みたいな風に思われているけど、絶対にそんなことはありえないんだよね。「0.1のところから1にする」っていうことなんだよ。だからなにか兆しみたいなものがないと。なんか種みたいなものがないと作れないじゃん。だから、たとえば欅坂を見ていると、結構いろいろね、普通はグループがひとつにまとまるんだけど、この子たちはまとまらない面白さがあるなっていう。「ああ、なんかこのまとまらないのは……これは不協和音みたいで面白いな」っていう。それが『不協和音』っていう曲になったりするんだよ。

欅坂46『不協和音』

(佐久間宣行)へー! だから目の前の本人たちにある0.1みたいなのを見つけて曲にするっていうことなんですね。

(秋元康)そうそう。だから欅坂がすごい勢いになったんだけども。「でも、ここからが大変だよ」っていう。つまり、すごくいい環境でデビューしてすぐに紅白とかになったじゃない? だから 『ガラスを割れ!』に行くとか。

欅坂46『ガラスを割れ!』

(佐久間宣行)ああ、なるほど。だからそれは逆に言うと、その子たちに対するメッセージっていう。

(秋元康)それはAKB48でも『RIVER』みたいな曲は「ここから大変だぞ」っていうので「川を渡れ」っていうのはありますね。

AKB48『RIVER』

(佐久間宣行)なるほど。それでひらがなけやきだった子たちが日向坂になったじゃないですか。で、日向坂になったらひらがなけやきの時にはちょっと苦労してる雰囲気があったんですけど、日向坂になってた途端になんかめちゃくちゃ明るい曲調になっていったじゃないですか。あれもじゃあ、本人たちを見て?

(秋元康)うん。本人たちと、やっぱりファンだよね。だいたいやっぱりファンが導いてくれるのよ。だからうファンの皆さんはその「おひさま」であって、その人たちが「やっぱり彼女たちの最大の魅力がハッピーオーラだ」っていう風に……。

(佐久間宣行)そう言っていたのをキャッチアップしたっていうことですか? へー!

(秋元康)ああ、やっぱりそうなんだなって。たしかにライブとかを見に行くと、この子たちの明るさ。だから、この明るさをなんとかしなきゃいけないとかって思って。

(佐久間宣行)じゃあその「明るさ」っていう「1」を何百倍かにして届ければ、みんなが喜ぶなっていうところから『キュン』みたいな曲とかが生まれたわけですね。あれ、めちゃくちゃ明るいですもんね。へー!

(秋元康)明るいよね。

日向坂46 『キュン』

(佐久間宣行)へー! だから、別件とこで秋元さんと話してる時にたまたま僕がたとえば「あのマネージャーがすごくてあのタレントさんを売った」みたいな話をポロッと1回、したことあったんですけども。その時に「佐久間、違うよ。それはね、マネージャーはめちゃくちゃ優秀でも、たぶんその子が何かあったから売れたんで。やっぱりマネージャーが優秀だから売れたっていう風に俺はあんまり思わないな」って言っていて。「うわっ、そうだな」って思ったんですよ。

(秋元康)もちろんね、マネジャーが優秀じゃなきゃ売れないんだよ。だけど、一番は……たとえばラジオをやってるとすごく分かると思うんだけども。一番、その近くにいる人から倒していかなきゃいけないな。

(佐久間宣行)なるほど。はいはいはい。ファンにしていかなくちゃいけない。

(秋元康)そうそう。そこから伝播していかなきゃいけない。だから、たとえばいろんな売り込みのマネージャーの人が来るじゃん? そのマネージャーの人が本当に「うちの子はねお笑いとしていいんですよ!」とか「女優としていいんですよ!っていうことを心から思ってる人っていうのは、やっぱりそれが今度はディレクターに伝わり、プロデューサーに伝わり。最終的にはオーディエンスに伝割るんだよ。だから佐久間で言えば、たとえば(構成作家の)福田くんが大笑いしてくれたり。ねえ。そういうことがやっぱり伝わっていって、最終的にはリスナーが「面白い!」ってなるのよ。

(佐久間宣行)そうか。だからそのマネージャーが優秀かもしれないけど、そのマネージャーに本気を出させる本人の、そのマネージャーをファンにする力がないと本当には売れないっていうことですね?

(秋元康)そうそうそう。だから、つまりもう優秀なマネージャーがいたとしても、そんなに「このアーティストがいいな」とか「このタレントがいいな」と思ってないのにテクニックで……たとえば自分が知り合いのプロデューサーに言えば番組のブッキングができるからってやるのは絶対に売れない。

(佐久間宣行)そうですね。ああ、なるほど。そういう意味か。

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