安住紳一郎 フランス・パリ出張を語る

安住紳一郎 フランス・パリ出張を語る 安住紳一郎の日曜天国

安住紳一郎さんが2020年2月2日放送のTBSラジオ『日曜天国』の中でテレビ番組の仕事で行ったフランス、パリ出張の模様を話していました。

(安住紳一郎)さて、私は先週、フランス・パリに行ってきました。ちょうど一昨日戻ってきたんですけれども。テレビの番組の仕事で行ってきました。皆さんはパリ、行かれたことありますでしょうか? パリは寒くてですね、着いた日は雹が降ってましたね。ヨーロッパの冬っていうのはやっぱり寒いんですね。ちょうどね、先週は東京が春みたいな陽気だったということがありましたので余計、寒く感じたということなんですけれども。花の都、パリ。

(中澤有美子)ああ、うらやましい!

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(安住紳一郎)「人生で一度は行ってみたい場所」と言われたりしますけれども、皆さんは行かれたことありますでしょうか? やっぱりアジア人である自分を卑下するつもりはありませんが、ヨーロッパの中心都市、パリ。なんとなく仕事で行くとはいえ、興奮しますね。「自分はパリに行くんだ!」っていうその興奮がありました。やはり中世から近世にかけてのフランス王国の隆盛っていうのは恐ろしいものがありますね。驚かされますね。

(中澤有美子)そうですよね。

(安住紳一郎)中澤さん、行かれたことありますでしょう?

(中澤有美子)そうですね。こんなにも富が集中してすごいことになるんだなって思いましたね。

(安住紳一郎)はっきり言いますとね、アジア、アフリカから相当搾取したんだろうなとは思いますけどね(笑)。それにしてもすごい文化を築き上げたものだなとは思いますね。ルーヴル美術館ですか。街の真ん中にありますけども、元々あそこは王宮だったようですね。私も知りませんでしたけども。最初から美術館だったのかなと思ってましたけどもね。元々王宮だったそうですけども。ものすごい大きいんですよね。巨大。もう東京駅から秋葉原の駅ぐらいまで建物が広がってますよね?

(中澤有美子)ああ、そんなにありますか?

(安住紳一郎)ええ。6丁目ぶち通しぐらいな感じですよ。

(中澤有美子)えっ、ああ、銀座のね?

(安住紳一郎)本当、恐ろしいぐらいの長さがありましたよ。

(中澤有美子)そうですよね。増築に増築を重ねたと聞きました。

(安住紳一郎)なかなかね、成人してから大きな建物で驚くことってないですけども。ルーヴル美術館は大きいですね(笑)。あれを石で作った建物で……40ヘクタールって言ったかな? 私がこれまで一番大きな建物と認識してたのはららぽーとTOKYO-BAY船橋なんですけども。

(中澤有美子)フハハハハハハハハッ! 大きい! あそこは大きい!(笑)。

(安住紳一郎)あそこは尋常じゃなく大きいですよね? ひとつの国家かと思うぐらい大きいでしょう? 皆さんも行かれたこと、ありますでしょう? 恐ろしいよね!

(中澤有美子)フフフ、すごい大きい(笑)。ららぽーとの中でも群を抜いている(笑)。

(安住紳一郎)ららぽーとの中でも群を抜いて大きいでしょう? 私の感覚ではららぽーとTOKYO-BAY船橋を抜きましたね。ルーヴルは。

(中澤有美子)ルーヴルが(笑)。

ルーブル美術館はららぽーとTOKYO-BAY船橋よりも大きい

(安住紳一郎)いやー、ららぽーとTOKYO-BAY船橋はほら、いろんなお店が入ってるけども。ルーヴルはお店じゃないんだからね。美術品が入ってるんだから、恐ろしい。驚いてしまった! いや、だってららぽーとTOKYO-BAY船橋に世界中からの美術品が詰め込まれているって考えたら、それはすごいよね?

(中澤有美子)そうですよね、古今東西のお宝が(笑)。

(安住紳一郎)ららぽーとTOKYO-BAY船橋にミロのヴィーナスとかがあるんですよ? 恐ろしいと思うわ。ねえ。石の文化っていうんですか? 1700年くらいのものがごくごく普通に街でそのまま使われて残ってますよね。日本はやっぱり木の文化なので、なかなか建物はね、寺社仏閣以外は残らないのかなと思いますけれど。でも日本の金沢の駅……109の北側か。武家屋敷群とか残ってますよね? それとか、白川郷の五箇山集落とかは昔の建物をそのまま使って残ってますものね。ああいうのが、まあ江戸時代の建物が東京中に残ってて、東京という街がそのまま……っていう感じがパリなんでしょうね。

やっぱりね。武家、商家、民家の建物が東京中、全部残っていて。それをいまだに東京1200万都市で使っているみたいなことなのかなと思いましたけれども。街がやっぱり美しいですね。それから、まあ当然こんなことを皆さん、言われたくないと思いますけども。美術、音楽、踊り、バレエ、料理。そういう文化というもののクオリティーが高いので。当然、現代につながる服飾とかデザインとか、そういうものに対して意識の高い人が多いので。簡単な言葉で言うと「かっこいい、クール、おしゃれ」っていうことですよね。

(中澤有美子)そうですね。めちゃめちゃかっこよくて悔しいぐらい。本当に。うん。

(安住紳一郎)そして、フランス人たちは自分たちが世界で一番イケているという国の自負があるんですよね? これはね、私も薄々聞いてはいたんですけど、行ってみたらやっぱり本当でした。うん。自分たちが一番イケてるっていおう。それはあの、嫌な意味じゃなくてね。実際にそういう自信があるんですよね。で、フランス語も大変その音楽のようで、言語的にも美しいと言われてますでしょう? フランスは本当ね、言語の中でも難しいとされてますけども。難しいし、なんかちょっとささやいているようで。シャンソンみたいでかっこいいっていう。(いい発音で)「ボンジュール」ってね。「Bonjour à tous」「Comment allez-vous」「Comment ça va」「Merci beaucoup」……(発音を強調して)カッ!って……もう全然、しゃべれない私が言っていたってちょっとかっこいいっていうか。

(中澤有美子)フフフ、かっこいい。かっこよかったな、今。

(安住紳一郎)「Bonjour tout le monde」「Bonjour à tous」「Comment allez-vous」「Comment ça va」「Merci beaucoup」……(発音を強調して)カッ!

(中澤有美子)アハハハハハハハハッ! そこ、大事です(笑)。

(安住紳一郎)大事でしょう? いいよね?

(中澤有美子)そうなのよ。あれがいいのよね。

(安住紳一郎)「シチクロクジュウサン、シチハゴジュウロク……カケザン、クク?」。これ、清水ミチコさんのネタですけども(笑)。ちょっとやって見てくださいよ。かけ算をフランス語風にやると楽しいから。「ハックシチジュウニ……」って。

(中澤有美子)アハハハハハハハハッ!

口に出していて気持ちいいフランス語

(安住紳一郎)フランス人も口に出していて気持ちいいっていうのは変わらないんですって。で、現地で通訳の人に入ってもらって私、仕事中に話をしなくちゃいけないからしてたんだけども。そのフランスの人がまだ話してるのに通訳の人が途中で訳を止めるんですよ。で、私は「いや、まだ話してるんですけど、なんて言ってるんですか? そこも訳してください」って通訳の方に言ったら、通訳の人が「いやいや、いいんです。もう結論はさっき訳した内容で十分なんですけど、彼は同じことを別の言い回しで言いたいだけですので、ニコニコ聞いていればいいんです」って言って。「ああ、そうなんだ!」と思って。だから、あまりにもこう自分で発音をしてて気持ちいいし、楽しいし。私、フランス人でフランス語を話してるっていう感じがやっぱりいいんでしょね。そういう時ってなんか人間、ありますもんね?

(中澤有美子)うんうん(笑)。

(安住紳一郎)何かあまりにも上手に歌えたんで、カラオケで同じ曲を2曲歌うみたいな。なので、だからフランス人もやっぱりきれいなフランス語をしゃべって。で、きれいなそのポエム、詩的な言い回しで上手に言えたみたいな時にすごく興奮するみたいで。だから何回も同じ言い回しでちょっと同じことを説明しているんだよっていう。「ふーん!」って思って。まあ、たしかにこれだけかっこいい言葉なら、そうやって話したくなる気持ちもあるなと思いましたね。日本でもね、低い声の結構いい男が延々と同じことしゃべっちゃうっていうパターン、見聞きしたことありますでしょう?

(中澤有美子)アハハハハハハハハッ!

(安住紳一郎)「ああ、この人は自分の低い声に今、酔っているんだな?」っていう。ないかな?(笑)。あります?

(中澤有美子)フフフ、なんかわかる(笑)。

(安住紳一郎)ねえ。特にお酒の席とかでね。(低いいい声で)「君のさ、感じてるやり甲斐とか楽しさっていうのは……普遍性があるものなのかな?」。

(中澤有美子)「普遍性」(笑)。

(安住紳一郎)(低いいい声で)「君が楽しいと感じていることは、みんなが楽しいと感じてるのかな? 『楽しさ』っていうワードに縛られたり、していない? 楽しいからってさ……」って。「この人、同じこと言ってない? 同じこと言ってない、この人! ずーっと同じこと、言ってない?」っていう。そういう時、たまにあるよね(笑)。

(中澤有美子)アハハハハハハハハッ!

(安住紳一郎)ねえ。なんか気持ちのいいカタカナとか何回も言っちゃう時、あるもんね。「それ、言いたいだけだよね? 言いたいだけじゃん?」っていう。

(中澤有美子)そうですね(笑)。

(安住紳一郎)そういうの、ありますよね。うん。(低いいい声で)「いや、そういうんじゃなくてさ……」っていう。それからフランスと言えば先週、嬉しいニュースもありましたね。有名なホテル、レストランガイドで日本人シェフが初めて最高評価を受けたというニュースですけれども。皆さんもワイドショーなどで見たんじゃないかなと思いますが。ちょうど発表のあった日に私もパリにいたので、私の通訳をしてくれたフランス在住の日本人の女性もですね、本当にそのニュースを聞いて涙を流さんばかりに喜んでいました。

(中澤有美子)へー!

日本人シェフが初めて最高評価を受けた

(安住紳一郎)「なかなかよそ者を認めないフランス人が自分たちの最も誇りとするところのフレンチ料理の世界で日本人に三ツ星を与えるっていうのは安住さん、これは本当に大快挙なんです!」っていう風に説明してくださいました。「パリにいる日本人にとっても今日は本当に特別な1日なんです」と興奮していました。

(中澤有美子)そうですか。

(安住紳一郎)やっぱり嬉しいですよね。特にフランス、パリに長く住んでいる日本人たちには胸に来る思いがあったみたいです。当然やっぱり30年前、40年前くらいから住んでいらっしゃる方は差別も受けてきただろうし……ということで。薬局でね、なんか薬を売ってくれないとか、そういう経験された方もいたらしいですしね。やっぱり、うん。すごいなということですよね。フランス人も細かい仕事が好きで、盆栽とか生け花とか大好きですしね。職人仕事が本当に好きで、日本人と似たところがあるんですよね。

そして古いものが好きですもんね。骨董市とかね。さらに精神世界も好きで、ちょっとした所作に意味があったりするとすごく興奮するという、そういう国民性があって。だから下準備とか下ごしらえとか、そういう本格的な日本料理なんかはフランス人はもう一発でノックアウトされるみたいですね。その魅力に。なのでこれからますます日本とフランスは料理の世界中心にお互いに引かれ合うだろなと個人的には感じました。そのホテル・レストランガイドなんですけど三ツ星を取っているところが30。二ツ星が80。一ツ星が500ぐらいフランス国内にはあるんですけども。

なんとなくね、あのガイドは最近ちょっとね、いろんなところで出してるんで、なんとなく権威が薄れてきたというような、そんな私の個人的な感想はありますけれども。まだまだフランス、特にパリ市内では随分と尊重されているようで。その星付きのレストランに今、日本人シェフは20人ぐらいがレストランをやってるっていうことなんですよね。だから随分とやっぱり日本人の料理人たちがフランスで活躍しているということですね。で、これはたぶんもっとこれから増えていくんじゃないかなと思いました。

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)私も、ちょっと生意気にも一ツ星レストランで食事をさせていただきましたけれども。フランス料理、なんとなくね、やっぱり違う国の食べ物なので、ちょっと甘過ぎるとか、ちょっとバターがきつすぎるとか、ちょっと重たいんだな、みたいに思うところがやっぱり日本人シェフが作るとそこの部分がきれいにそぎ落とされてて。ちょうど自分にとってはいい頃合いの味になっていて。「ああ、やっぱり日本人が作るとこうなるんだ」と思って。ちょっとね、自分と同じ感覚で嬉しいなと思って。しかもその作った料理がフランス人や世界中の人たちから喜ばれているっていうことは、やっぱり新しい時代なんだっていうね。またちょっとそこに自分の舌も参加できたってことが嬉しいじゃない? だから何となく気持ちのいい体験でした。

(中澤有美子)いいなあ!

(安住紳一郎)それからもうひとつ、ニュースは先ほどもありましたけれども、新型コロナウイルスですね。帰りの飛行機、私は日本の航空会社の飛行機を使わせていただきましたけども。キャビンアテンダントさん、客室乗務員の皆さんがずっとマスクをされてましたね。機内でね。機内でずっとマスクされてるのも大変だろうなと思いましたし。さらに手袋ですね。薄いブルーのポリ手袋をしてずっとサービスなさってましたね。なんとなくまあ、そういうことなんだろうなと思いまして。最初ちょっとね、異様に感じましたけども。

新型コロナウイルスの影響

でもたしかに、そういう対応になるだなと思いましたが。ちょっとね、こんなに状況が逼迫している中で軽々しくこんなこと言うとちょっといけないのかもしれませんが。あくまでもね、こういう時でもユーモアを忘れない気持ちっていうのは大事なので、皆さんにもその状況をお伝えしますけども。飛行機はやっぱり10時間以上乗ってますからね、シートを倒して寝たり、映画を見たりしますもんね。で、ちょっと寝返りを打ったりなんかして。毛布が下がったら毛布を上げたりして。なんかモゴモゴモゴモゴやっていますよね?

(中澤有美子)ええ、ええ。

(安住紳一郎)そうすると、お揃いの制服を着て見目麗しいキャビンアテンダントさん。目しか出てないから余計になんかアイメイクの完璧さに「はあっ! このアイメイクの人がまた来た!」なんてね、ちょっとね。それでマスクをしているから客室乗務員の方も自分たちの声がお客さんによく聞こえないんじゃないかと思って、いつも以上に顔を近づけてお話してくださるんです。それで、こっちはほら、映画を見てヘッドホンをしてたりとかするし。寝起きだったりして寝ぼけたりしてますでしょう? そうするとあの美人さんたちがやってきてさ、それで自分の顔の真横でさ、「おやすみのようでしたので、お声掛けしませんでした」なんて言われたりしてさ、「はあ!」って思ったりしてさ(笑)。

(中澤有美子)恥ずかしい(笑)。

(安住紳一郎)ちょっと恥ずかしいよね? マスクをされていてさ、手袋をしていてさ。「あたたかい日本茶をお持ちします」「安住様、和食の用意がございます」なんて言われたりして。で、そんなことをずっと言われていたらなんか、自分が高齢者でお金持ちの病院に入院してるんじゃないかな?っていう気持ちになってきて。「ああ~、お金持ちになりたいわ!」みたいな。

(中澤有美子)「こんな感じかな?」って(笑)。

(安住紳一郎)「こんな感じか? こんな感じでお世話されるのかな、将来?」って。

(中澤有美子)「悪くない」って(笑)。

(安住紳一郎)「悪くねえな!」みたいな(笑)。「おやすみのようでしたので、お声がけいたしませんでした。お目覚めでございますか?」って。「お目覚めです……お茶、もらおうかしら?」って。ねえ。あ、冗談ですよ。抜粋してネット記事なんかに書かれますとちょっと都合の悪いことになりますので。全体を理解していただきたいと思いますけれどもね。新型コロナウイルスのことについては真剣に考えています。年間の観光客数で行くとやっぱりフランスが30年1位って言いましたかね。

年間外国人観光客が9000万人。日本は3000万ぐらいでもうヒーヒー言ってますけれども、やっぱり観光立国はすごいですね。年間9000万人ですって。やっぱりちょっと飛行場などは中国人の観光客が少ないとは現地の人は言っていましたね。皆さんも簡単には行けないと思いますけども、飛行機で12時間。お金もかかりますのでね、なかなかすぐにとはいかないかもしれませんが。私ももう一度行ってみたいなと思いました。皆さんも旅行先のひとつの候補として、お考えになってみたらいかがでしょうか? 少し、話が長くなったザンス!

(中澤有美子)フフフ、フランス帰りなのでね。いいなあ。

(安住紳一郎)そうなんですよね。いいですねえ。

(中澤有美子)フフフ、ザンス……カッ!(笑)。

<書き起こしおわり>

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