佐久間宣行さんがニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』の中で『ウレロ☆未開拓少女』の最終回生放送の舞台裏について話していました。
(佐久間宣行)あとですね、今週あった出来事としては月曜日に『ウレロ☆未開拓少女』っていう、『ウレロ』っていうシリーズがあるんですけど。その生放送をやったんだけど……それ、ちょっと前ぐらいから過去シリーズをやるたびに出演者ね。バカリズムさんとか劇団ひとりが「生放送、やってみたいっすね」ってよく言ってたんだよね。でも俺、その時は毎回濁していたの。「いやいや、無理ですよ」みたいに言ってたんだけど、今回は4回のミニシリーズだから最後はもうみんなの夢をかなえようと思って。各所調整して。
で、「多少お金はかかるけど、生放送ができる」ってなって。それで出演者の皆さんに最初の顔合わせ時に言いに行ったのよ。「最終回、生放送です!」って言ったら、「えっ、本当にやるの? いやいや、あれはあの時のテンションだから……」みたいないな。「いやいや、あれはほら、あの時のノリじゃん?」みたいなことになって。俺がやりたいみたいなことになっているのよ(笑)。全然喜ばねえの。
でも、「もうこれは決まったからやりましょうよ」って話になって始まったんだけど。その準備が3ヶ月前ぐらいから始まったんだけどこれ、めちゃくちゃ大変だったの。脚本が全然上がらなくて。何でかって言うと、今回の放送の尺が40分なんだけども。生コントでストーリーを作って40分にきっちり収めるってめちゃくちゃ難しいっていうことが脚本を作ってわかったのよ。で、『ウレロ』って実は客前一発本番だから毎回撮ってみるまで尺がわかんないの。同じ30ページでも完全オンタイムの時もあるし、この間なんて同じ30ページなのに第二話は1分オーバー。第三話は同じページなのに11分オーバーだったのよ。
だからもう、そのぐらい違うのよ。動きとかアドリブによって。だから、本を作ってもこれがオンタイムかどうか全く分からないわけ。でも、生放送だから。事故っちゃうから。だから最初、みんなで話し合って「少しストーリーを少なめにして、アドリブで膨らましてもらおう。だからちょっとバラエティチックに作ろうか」と言っていたんだけども。
それを作ってるうちぐらいに脚本家のオークラさんが「いや、これは逃げている。やっぱり無理してもちゃんとギミックと伏線回収とかがある通常回と同じぐらいのことをやらないとダメなんだ!って。オークラさん、やっぱ飯塚さんに感化されているから。「俺たち、ちょっとずつ無理をしてここまで来ただろう?」っていう飯塚さんの言葉に感化されてるからオークラさんがそうなって。「やりましょう」ってなったの。
東京03・飯塚と佐久間宣行 お笑い第七世代を語る https://t.co/xthBuaPm17
(佐久間宣行)「オークラ。俺たちみんなが『できない』『無理だ』っていうことをさ、ちょっとずつやってきたからいまの俺たちがあるのよ。だから俺たち、これからもやってこうぜ」って飯塚さんが言って……— みやーんZZ (@miyearnzz) December 26, 2019
その中でキャスティングを進めてたら、ゲストで大東駿介さんとCreepy Nutsが出てくれることになったのよ。で、Creepy Nutsを仕込めたんだから、これは聖徳太子ラップをやってもらわないとダメだって。生放送で。で、それを全部詰め込んだ初稿を作ったのよ。15分オーバーだったの。フハハハハハハハハッ! 全部詰め込んだら15分オーバーだったのよ(笑)。アドリブなしで(笑)。で、これはもう無理だろうと思いながら、まず削りに削って。ボケ減らさないようにして脚本を作り直すのを週に2回ぐらいやってて。なんとか、まあまあ30ページ前後のやつができたのよ。
いきなり15分オーバーの台本
まあ、だから通常の長さぐらいのやつかなと思って。で、出演者に送って。それで当日を迎えたんですよね。各所打ち合わせをして。まあ結構難しいことをやるけどな……と思いながら当日、集まったらまず予想外のことの1個が、芸人の12月をナメてたわけ。俺たちは「1週間前に渡したから全員セリフを入れてこられるだろう」と思ったら、みんなほぼ寝ないぐらいのスケジュールで番組を撮ってたから、誰1人ちゃんとセリフが入ってないっていう(笑)。生放送なのに。
あと、福原遥っていう女優さんがいるんだけど、福原遥さんもすごい真面目な子なんだけど、その子が1月から『ゆるキャン』っていうキャンプのドラマをうちの局でやるのね。だから、1月ずっと山にいて。携帯も入ってなくて。で、この日のためだけに山から下りてきてるんだよ。フハハハハハハハハッ! だからもうフラフラなの。「寒いんですよ、山は……」って言いながら戻ってきて。だからもうみんな、満身創意の状態で集まって。で、1回目のリハーサルをやったの。そうしたら、大変なことが発覚したのよ。
まずね、アドリブなしの状態ね。台本5分オーバーだったんだよ(笑)。で、さらにCreepy Nutsに聖徳太子ラップをやってもらうんだけど、その時初めて――俺たち、バカだなと思ったんだけど――聖徳太子ラップって毎回、長さが違うのよ。フリースタイルだから。R-指定の調子次第なのよ(笑)。だから、生放送に一番向いてないのよ。それでRくんに「だいたい何分ぐらい?」「いや正直、もらうキーワードによります」って言って。だから生放送のキーワードでやるから、最後までその尺がわかんないわけ。
で、もう速攻で青ざめてみんなが集まって。生放送のスタッフ全員を集めて控え室で「頭のやり取りをまず2ページカットして、せめて3分から4分切らないとダメだ」っていうことで。最初のオープニング、放送したものと全然違っていたの。結構ボケ祭りだったんだけど。「これをボケつつ、やり取りも減らそう。どうしよう? でも笑いはほしいな」「そうだな……無視だ! 角ちゃんを無視する笑いだったら、みんなしゃべんなくて済むから。でもウケるから無視にしよう!」っつって頭の2ページぐらいをカットして。
で、更にオークラさんがアイデアを出してくれて。エンディングのパーティーシーンみたいなのが残り2分、あって。これを30秒、1分、15秒……10秒以下だと事故になるから。「その全部のバージョンを書きますよ。それでその時の尺でそれを差し込みましょう」って。「そんなこと、できるのかな?」と思いながらも(笑)。で、もともとは2分だったんだけど、押してきた場合に1分半バージョン、1分バージョン、30秒バージョンって作っておいて、それをCM中に差し込んでなんとかしましょうってなって。で、それをオークラさんとか土屋くんが作ってくれて、それで臨んだわけ。
まず、オープニングをカットして。これでまあ、オンタイムに近くなるかなと思ったら、やっぱりね、これは恐ろしいですよ。芸人。リハやるたびにアドリブを足すのよ。フハハハハハハハハッ! で。また増えていくのよ。一向にオンタイムになんないの。「じゃあ、これをカットします」っつったらまたバカリズムがボケを足したり。飯塚さんがツッコミを足したりしていって、1回も……だから朝、角ちゃんがノンストップ終わりの12時からやり始めて、夕方の5時の時点で1回もオンタイムで終わったリハがないの(笑)。
もうどんどん怖くなっていって。で、生放送の中で角ちゃんの悪口をバカリズムが言うシーンがあったんだけど。それ毎回、その時のニュースで悪口を言うんだけど、毎回バカリズム先生はやっぱり全部リハで違うボケを言うから。それを受けてR-指定がラップするから、R-指定はリハなのに全部毎回フリースタイルやんなきゃいけないのよ。フハハハハハハハハッ! リハだよ? 放送しないんだから。リハで7回、全部フリースタイルやらされて、ヘトヘトになってんのよ(笑)。
で、そんなことやってるからリハがどんどん押して。更に、またトラブルが起きたの。どんどん尺を巻いていこうと思ったんだけど、ラストに近いくだりでみんながしゃべった言葉を角ちゃんが急に歌詞にするという。で、それをホワイトボードに書いていくっていうシーンがあったの。で、悪口を言わせてそれを書いて、それが歌詞になり、それがいい歌になったっていう流なんだけど……尺を詰めていったら角ちゃん1人だともうどうやっても演技して書いていったら間に合わないの。そうすると倍の尺かかるから、ここのシーンを半分にしないとどうやってもハマらない。でも1人じゃ書けない。
それでどうする?って。ADが書くわけにいかない。みんな舞台上にいるわけだから。それでみんなね、ゆっくりとCreepy Nutsを見たの。フハハハハハハハハッ! 聖徳太子ラップだけでも大変なのに。急に、あと本番まで5、6時間のところで「ホワイトボードにキーになるセリフを生放送で全部書いていく」っていう役目をCreepy Nutsがその場で押し付けられて。しかも、1文字も間違えられないのよ。フハハハハハハハハッ! 松永、下向いてたけど(笑)。
Creepy Nutsに無茶振り
で、R-指定くんも「まあまあ、僕らがやらなきゃいけないですよね」って言って。で、最初のリハでやったら1文字も合ってなかったのよ(笑)。でも、これ本番まで5時間切ってるのにこの状態で。もうマジで『ラジオの時間』だよ(笑)。そんなめちゃくちゃな状態で今度、カメラマンが……1回目のリハーサルを見てカット割りを直していたわけ。カット割りっていうのはどのカメラで撮るかみたいな。で、それがそろそろ夕方の6時ぐらいに下りてくるわけ。それでおりてきて「カメラ割り直したぞ! 生放送だから」って。
猛者どもが下りてきてさ。「じゃあ佐久間、カメラリハーサルを始めよう」って。それで始まった瞬間、めちゃくちゃ切ってアドリブを足しているから1個も合ってねえの(笑)。朝と全く違う状態だからカメラマンが撮りながら「おいおい、何でそっちに行くんだ?」とか。「えっ、Creepy Nutsってここにいるの?」とか(笑)。猛者どものカメラマンが「おいおい、どうなってるんだ? 今までの打ち合わせ、何だったんだ?」って言い始めて。その場で「変更を全部教えてくれ!」ってなって。ピリピリとひりつきながら。もうみんな、笑顔よ。笑顔。生放送だから。もう仲良くずっと一緒にやっているる、マジ歌もやっているスタッフだから。
でもね、風間さんだけ「まあ、佐久間。これはあれだな。変更、全部伝えてほしかった」って言われて。フハハハハハハハハッ! もう怒ってるんだよ。で、パニック。それで、カメラマンとも打ち合わせしながらやっと夜9時ぐらいに、ほぼオンタイムぐらいかなっていうリハーサルが1回できたの。カメラ割りも。それで残り3時間。そこで出演者たちは衣装に着替えるわけ。衣装に着替えて本番のメイクとか……今まではリハの衣装だから。だから、いくらオンタイムとは言っても、本行きじゃないわけ。で、着替えから戻ってきて「じゃあ本番1時間前です」っていうことで23時からランスルー。まあ本番と全く同じにやります。着替えから途中のメイクまでガチでって。
で、始めたの。そしたらね、やっぱり12月の芸人がすごい大変だっていうのと、あと1日ピリピリしてリハやってたじゃん? ランスルー、みんな噛み倒し(笑)。疲れ果てていて。で、セリフも飛ぶみたいのもありながら、でも盛り上がったのよ。「これは面白いやつになるな!」と思って。「OKです」って終わったら、TKさん、タイムキーパーさんが上から「ランスルー、2分オーバーです。このままだと放送事故です。どうします?」って言われて。「うーわっ!」と思って。どう、みんな? ワクワクしてきたでしょう? フハハハハハハハハッ!
「うわあ……」と思ったらその時点で23時からのランスルーが終わった状態だから23時50分なわけ。もうあと22分で本番なのよ。で、10分後には客入れなの。「うわっ、どうするんだ、どうするんだ?」ってなって。そしてもう全員にインカムで「全員集合!」っつって。それで前室に行って、そこでみんなで台本をもう1回見直しながら「どこが切れる? どこが切れる? 今から出演者にプレッシャーを与えないで切れるところはどこ? それを5分で考えよう!」って言って。「どう思う? どう思う?」っつったの。そしたらオークラさんとかが「このボケさ、2回よくない? 繰り返す必要、ないじゃん? R-指定と角ちゃんのラップバトル、1回でいいんじゃないか?」って。で、ここは大丈夫。
あとは「きっかけセリフを早めよう。ここの1個前のセリフからもう次の音楽に行けるよね?」とか。みんなでアイデア出しながら手書きのメモを作っていって。で、「もし間に合わなくても、強制的にラストの歌のVTRと音楽を流しちゃおう。あとでR-指定とかが入ってきても、それはCM明けに何とか説明できるから」みたいなこと言って。「じゃあ、強制発射しよう」って。あとは「CM明けのこのシーンは本当は押したらカットしよう」みたいなことを話しながら、手書きのメモを俺が作って。それをADがコピーして技術とかに全部渡して。出演者にも渡して。そしたらもう10分前で、お客さんが入ってきちゃう。
で、お客さんが入ってきちゃって。それで『ウレロ』の前説って芸人さんもやるけども、基本的には俺がやるのね。一番ストーリーとかも全部わかってるから。で、行ってお客さんの前で前説をしたのよ。で、その時に、まあよく言うことがあるんだけど。「『ウレロ』のお客さんはお客さんだけど半分出演者です。笑い声も演出だから、皆さんも出演者のつもりで、出演者を盛り上げるつもりで一緒に笑ってくださいね」とかって言いながら結構しゃべるわけ。で、「今回は特に生放送ですから、編集できないですから。笑いを足すとかも全くできない。基本、『ウレロ』ではやらないけど。でも、そんなこともできないから皆さんがスーン……ってやったらあっという間に終わっちゃいます。一緒に盛り上げましょう!」みたいなこと言って、生放送5秒前まで前説をやって。「じゃあ、5秒前です!」っつってパッとはけたら「3、2、1……」って始まったのよ。
本番スタート
そこから、ド緊張の中で本番が始まって。本番が始まったらまあ結構ウケる感じで。しかもみんな変更点をちゃんと守ってくれたから「ああ、これいい感じだな」と思って。それで1回目のCMにバツンと入ったらTKさんが「オンタイムです!」って言って。「おおーっ!」っつって。それで俺、お客さんに「オンタイムですよ!」っつって。キョトンだよね(笑)。で、オンタイムだったの。それでそのまま「じゃあ、これはその後のボケを切らなくていいな」って思いながら2ローム目っていう、CMの後の2シーン目に入ったら、途中からTKさんの声がどんどんと「あれ?」って言い始めて。