奥田翔と渡辺志保 熱さ・寒さ・水を表すヒップホップスラングを語る

奥田翔と渡辺志保 熱さ・寒さ・水を表すヒップホップスラングを語る MUSIC GARAGE:ROOM 101

奥田翔さんがbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』に出演しヒップホップのスラングを解説。渡辺志保さん、YOU-KIDさんと「Hot」「Cold」「Ice」「Water」なと熱さや寒さ、水、転じてイケてる具合を表す表現について話していました。

(渡辺志保)今週のこの時間は奥田翔さん、二回目のご登場となります。以前にもこのお時間にお招きして、ヒップホップの気になるスラングとかフレーズとか、そういったものを紹介していただきましたけれども。今回も奥田翔さんをお招きしております。よろしくお願いします。

(奥田翔)よろしくお願いします。

(渡辺志保)そして今日は奥田さんのお友達、MCのYOU-KIDさんもいらしてくださいっております。

(YOU-KID)Yes, Yes, I’m YOU-KID, Baby! よろしくお願いします!

(渡辺志保)聞きました? いまのこのプロっぽい。ラッパーみたいな。さすが。YOU-KIDさんは普段、マイクを使うお仕事をしていらっしゃるんですよね?

(YOU-KID)そうですね。自分自身ラッパーとして活動しているのと、あとパーティーのMCとしてクラブハーレムだったり、あとはAbema TVのAbema MIXという番組でもMCしたりしてます。

(渡辺志保)おお、素晴らしい。もうなめらかなね。

(YOU-KID)おっ、よかった!

(渡辺志保)お届けしておりますが。奥田翔さん、以前にご登場いただいた時にも簡単にお話したんですけれども。普段はヒップホップライター。そして歌詞の対訳なども手がけていらっしゃるということで。なにより奥田さんご自身が開催している「ヒップホップで学ぶ英語講座」が大大大好評ということで、この『MUSIC GARAGE:ROOM 101』にも出張して来ていただきまして。今日は出張版「ヒップホップで学ぶ英語講座」という形でお届けしていきたいなと思います。ちなみに前回は「ナムセーン?(Do you know what I’m saying ?)」っていう。「私の言うこと、わかる?」「だよね?」みたいな感じで使うっていうことを教えていただきました。ちなみにYOU-KIDさんも奥田さんがやっているヒップホップで学ぶ英語講座、実際にレッスンには?

(YOU-KID)はい。過去2回、僕も受講させていただきまして。

(奥田翔)最前列で(笑)。

(渡辺志保)どういう雰囲気でしたか?

(YOU-KID)まあ奥田先生が非常になめらかに授業して。ビデオも交えながら解説してくれて、本当に視覚的にも、バイブス的にも満タンでやってくれて。受講する生徒もすごいヒップホップだったり、英語が詳しくないのかな?っていう方ももちろんいるし。ヒップホップをすごいチェックしているような若い子から、結構僕より年上の方までいらっしゃって。いい雰囲気でやってます。

(渡辺志保)なるほど。でもYOU-KIDさんも普段、その渋谷のクラブとかで最新のヒップホップ、もしくはもちろんクラシックチューンも同じくだと思いますけど。ヒップホップミュージックにどっぷり浸かった生活を普段していらっしゃるわけじゃないですか。そこで、たとえばその奥田先生による、その改めて英文法とか英語のスラングとかを座学形式で学ぶっていうのは結構、刺激的な?

(YOU-KID)刺激的ですね。やっぱりフロアでノリで「イエーッ!」みたいなことで聞いてる部分もあるんですけど。「ああ、この曲はここでこう言ってるんだ」っていうのが改めて分かると、それに合わせて自分も振りをやったり。そういうちょっと雑学とか、そういうのが入るとやっぱりお客さんも「ああ、そうなんだ」とかあるんで。

(渡辺志保)自分の知識として知ってるのとそうでないのでは絶対違いますよね。

(YOU-KID)もうその授業で受けたことを勝手に使わせてもらって(笑)。

(渡辺志保)すごい実践的、実用的ということですね。というわけで、じゃあここからはもう奥田さんに全て私は丸投げしたい感じなんですけども。今日はいったいどんなお題で教えていただけるんでしょうか?

(奥田翔)今日のテーマは熱いと冷たいの、どっちがお好き? ということで行きたいと思いますけども。

(奥田翔)この夏に、アナハイムでヒップホップのフェスがありまして。リアル・ストリート・フェスティバルっていうのがありました。

(渡辺志保)アナハイムって勝手にディズニーランドのイメージが強いんですけど。

(奥田翔)フフフ、アナハイム。まあLAのダウンタウンとかからウーバーで1時間くらいのところでやってまして。そこですごい度々、MC陣とかが言ってた言葉が「Hot Girl Summer」だったんですね。「この夏はHot Girl Summerだ!」みたいなことを言ってました。なので、そういう「Hot」っていうのが……これ、『Hot Girl Summer』っていうのはもともとはミーガン・ジー・スタリオンっていう女性のラッパーが提唱しているムーブメントの名前ですけれども。

Megan Thee Stallion『Hot Girl Summer』

まあ、その「Hot Girl Summer」だったりとか、そういう「Hot」っていう言葉が何かすごいイケてるものを表わす形容詞として使われているというのはあります。で、その一方でたとえば、これも本当スラングとかじゃないんですけれども。何かいいことに対して「That’s Cool!」とか「You’re Cool!」とかって「Cool」っていう風に言いますよね。で、「Cool」ってもともとは「涼しい」みたいな、そういう風なイメージもありますので。やっぱりそういう温度に関することを……何でもいいんですよ。何かしら言えば、それでなんかイケてるんだなっていう(笑)。

(渡辺志保)ああ、なるほどね! たしかに。でも「Hot」ってちょっとセクシーな意味も含めての褒め言葉で。「He is really Hot.」で「彼って超セクシーでイケてるよね」みたいな感じ。

(奥田翔)「性的魅力がある」みたいな感じで使いますよね。

(渡辺志保)そういう形でも使うし。なので、一方で「Hot Girl Summer」。「今年の夏はイケてる女が制するわよ!」っていう、そういうミーガン・ジー・スタリオンの提唱してるものあれば、その「Cool」っていう、真反対ですよね。熱いのと、おっしゃる通り冷たい……だからその冷たいのも「かっこいい」っていう意味になるうるという。

(奥田翔)そうですね。なので、ちょっとそのへんのスラングをいろいろと並べていきたいなと思うんですけれども。まずは「熱い」系で言いますと、さっきの「Hot」に加えまして、たとえば「Fire」なんていうのがありまして。「Spit Fire」みたいな感じで使うと「火のようなライムを吐く」みたいな感じで。それも「すごいホットなバースを吐いている」みたいな感じになりますし。あと冷たい方で行きますと、最近やっぱりすごい流行ってるのが水系ですね。

(渡辺志保)水系。超流行ってますね。

(奥田翔)たとえば、ジュエリー(宝石、貴金属)のことを元々は「Ice」みたいな感じで言ったりしていますけども。そこから転じて、「氷が溶けて滴る水」みたいなのでまたジュエリーを表したりとかするという。たとえばマスタードの曲で『Pure Water』っていうのがありますけども。あれは「Ice Chain, Pure Water」って言っていて。要は「自分のジュエリーがもうピュアな水のようだ」という風な感じで言ってるとういのがあります。なんかそういう感じのをMCに挟んだりすること、ある? YOU-KIDは?

Mustard, Migos『Pure Water』

(YOU-KID)そうですね。MCに挟む……でも「Icy」っていうのもそういうの?

(奥田翔)ああ、「Icy」もね。

(YOU-KID)サウィーティーとかね。

(渡辺志保)ああ、そうね。『ICY GRL』ってね。ミーガン・ジー・スタリオンは自分のことを「Hot Girl Meg」とかって言っているんだけども。サウィーティーっていう女性ラッパーは自分のことを「ICY GRL」っていう風に言っているんですよね。だから「ICY」……「ジュエリーをたくさん付けてるようなイケてる女の子だよ」っていうことだよね。

SAWEETIE『ICY GRL』

(奥田翔)そうですね。なので、やっぱり温度系のやつはすごい面白いなと思っていて。あとはこれ、温度とはまたちょっと変わってくるのかもしれないけれども。たとえば「風邪を引いている」っていう「I have a cold.」みたいなのも、それが「イケてる」みたいな感じで使われたり。

(YOU-KID)それも「イケてる」なんだ(笑)。

(渡辺志保)「Cold」も「イケてる」なんだね。でもたしかに「Cold」もそうだし。水系、冷たい系は本当に私も流行っているなって思っていて。ガンナのアルバムの名前も『Drip or Drown』っていう。「Drip」っていうのは「水が滴る」っていう意味。「Drown」は「沈む」っていうことだよね。だから「自分がDripを持っていないと沈んでしまうぞ。俺の水の中で沈んじゃうぞ」みたいなイメージなんですけども。「魅力が滴りすぎて、お前を溺れさせてしまう」みたいな、そんな感じ? あと、最近すごい多いのは「Tsunami」っていう。日本語の津波がそのまま「Tsunami」っていうスラングみたいにもなっているし。あとは「Flooding」。「洪水」みたいな。そういう水系スラングって本当にヒップホップの曲でよく聞きますよね。

Young Thug『Tsunami』

(奥田翔)そうですね。

(YOU-KID)やっぱり日本だと「冷たい」とか「寒い」っていうのは「イケてない」方面じゃないですか。

(渡辺志保)ああ、たしかに。「お前、ちょっとそれ寒いよ」みたいな。

(YOU-KID)それが「イケてる」っていう風に表現されているのが面白いですね。

(奥田翔)手首がすごいオーデマ・ピゲとかの高級な時計をしていて。そこにダイヤが散りばめられたりしてると「手首が凍ってる」みたいな感じで(笑)。「お前の手首、凍っているよ」みたいなね。

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