宇多丸と黒沢薫 ゴスペラーズ『VOXers』を語る

宇多丸と黒沢薫 ゴスペラーズ『VOXers』を語る アフター6ジャンクション

ゴスペラーズの黒沢薫さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。宇多丸さんとゴスペラーズの25周年シングル『VOXers』について話していました。

(宇多丸)でね、本題なんですね。黒沢さん。ゴスペラーズ25周年シングル『VOXers』本日発売、おめでとうございます!

(黒沢薫)はい。今回はアカペラです。

(宇多丸)そうなの、そうなの。で、まああちこちで聞かれていると思いますが、なぜこのタイミングでアカペラソングに来たのか。しかも一連のバラード的なのじゃなくて、ちょっと攻撃的なと言いましょうか……。

(黒沢薫)「世界にはハーモニーが足りない」っていうのをずっと我々、意見広告を出して。1年間かけてやっていたんですけども。

(宇多丸)ええ、ええ。

(黒沢薫)それの集大成として、ハーモニーを自分たちでやらなきゃダメだろっていう時、いわゆるバラード方向の世に問うたものがある程度、それは認知をされただろうと。でも、やっぱりこういうタイプのアカペラ、ちょっと迫力のあるタイプのアカペラって我々、デビュー時からやっているんだけども、まだあんまりピンと来ている人がいないということで。最初はリズミックなアカペラだけを作っていたわけじゃないんですけど、結果的には「やっぱりこれで行こうよ!」っていう形で。酒井が非常に考えて考えて作ってくれて。これに対して僕らが「おっ、かっこいいじゃん。これで行こうぜ!」っていうような形でシングルになりました。

(宇多丸)いや、これね、僭越ながらと言いましょうか。我々RHYMESTER、MCとしては2MCじゃないですか。で、MCですごい掛け合いをする『Back & Forth』っていう曲があって。それでマイクロフォン使いとしてのスキルを、そして芸を……アートの前の芸を見せて客を完全にロックするっていうことをやっているわけですよ。で、やっぱりゴスも俺は思うにいろんなフェスとかに出てさ。『ROCK IN JAPAN』とか出ていたり。いろんな外様フェス……『人間交差点』とかにも出ていただいて。そういうところでやっぱり、客席を完全ロックするスキルっていうのかな? そういうのをアピールすれば全然違う層もロックできるっていうか。

(黒沢薫)それは本当にアマチュア時代からそうですからね。

(宇多丸)だからこのタイミングでこれを出してきたっていうのはすごい僕、RHYMESTERにおける『Back & Forth』かなっていうことで。すごいわかるんですよね。

(黒沢薫)だからこのサビってみんな違うことを言っているんですよ。全員が言葉をハモっているだけじゃなくて、みんな割と入れ代わり立ち代わり……ポリリズムでサビのスキャットの口の形すら違う形でやるっていう。そういう、「なんかやっている。みんながなんか違うことをやっている」っていうのをやっとできたっていう感じですね。

(宇多丸)でもめちゃめちゃ複雑なわけでしょう、これ?

(黒沢薫)そうですね。やってみると結構大変でしたね。

(宇多丸)生で再現するのはなかなかじゃない?

(黒沢薫)でもやっぱり、ルーパーでビートは出すから。そうすると、そのビートの部分というのが担保されていると、割とむしろ突き詰められて。自分たちのスキルもちょっと上がったかなという感じはしますね。

(宇多丸)ああ、そうですか。ということでじゃあ、さっそくでございますが。本日発売のゴスペラーズ25周年記念シングル。では、曲紹介をお願いいたします。

(黒沢薫)はい。聞いてください。ゴスペラーズで『VOXers』。

ゴスペラーズ『VOXers』

(宇多丸)はい。ゴスペラーズ25周年記念シングル『VOXers』を聞いていただきました。密度ばっちりでね。その間もずっと『スター・ウォーズ』の話をしていましたけどね。

(黒沢薫)そうですね(笑)。

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(宇多丸)でもこれ、生で見たいな!

(日比麻音子)見たい!

(黒沢薫)これは本当にすごくサビの進行は実はリード以外はものすごい冷静にやらないと絶対にハモらないんですよ。ただその代わり、リードは好きにやれっていう。そういうようなディレクションでやっているので。そのリードボーカルの躍動感とコーラスに回った時のいきなり冷静になる感じっていうのが結構……。

(宇多丸)ギアチェンジがパートによってバッバッと変えなきゃいけないっていう。

(黒沢薫)そこが聞きどころと言えば聞きどころかもしれないですね。

(宇多丸)だから俺はすごく限りなく……やっぱりドゥワップとラップは同じ同根のものだと思っているけども。すごいラップにおけるマイクロフォンスキルに近いような印象も受けましたね。

(黒沢薫)そうですね。そういう感じですね。

(宇多丸)だから、『VOXers』にはヒップホップを感じました。

(黒沢薫)ヒップホップ的なもの、韻の踏み方とかも酒井、すごい好きなんで。結構考えてましたね。

(宇多丸)いやー、すごい。素晴らしいと思います。そしてボクシングメタファーもばっちり決まっていて。

(黒沢薫)そうですね。ボクシングは「BOX」なんですけども、声を意味するラテン語の「VOX」。声で殴り合うっていう。

(宇多丸)『VOXers』でございました。この時間にわざわざこの曲をオンエアーしたということで。8時台はみっちりと黒沢さん、よろしくお願いします。

(黒沢薫)がんばらないといけないな。いやいや、大丈夫かな?

(宇多丸)いや、これはでも、『ウィークエンド・シャッフル』時代の西寺郷太さんのあの歴史的特集「マイケル・ジャクソン小沢一郎ほぼ同一人物説」を若干思わせる……あの感じを彷彿とさせる特集ですので。楽しみでございます。

(黒沢薫)はい。よろしくお願いします。

(宇多丸)黒沢さん、後ほどよろしくお願いします!

<書き起こしおわり>

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