(渡辺志保)アシュニッコね。パッと見、ジャケット、アルバムカバーが初音ミクかな? みたいな感じのデザインなんですけども。白人の女の子で髪も青くてちょっと二次元キャラみたいな感じの女の子なんだけど。彼女が7月にリリースした『Hi, It’s Me』っていう、これはアルバムじゃなくてEP扱いなのかな? その中から『STUPID』っていう曲がありまして。で、プロデュースと客演を担当しているのがYung Baby Tateっていう、彼女もいまアメリカでじわじわと人気が出ている女性。若い女の子のラッパーだけど。
このYung Baby Tateと一緒に作った『STUPID』っていう曲がこれまた人気ティックトッカーがTikTokで使って。そこからめっちゃバイラルになった。で、私がこの曲を知ったのはSpotifyのグローバルバイラルチャートで知りました。で、そこでずっと上位に入ったんだけど、たしかこの間ついに1位になって。「ああ、こんなにSNSで流行ってるんだ。ってことはたぶん、TikTokからなんだろうな」っていう風に思いまして。
(DJ YANATAKE)これはRap Geniusで1位になっていましたよね。
(渡辺志保)ああ、Rap Geniusでも閲覧回数が1位になっていた。で、最近のRap Geniusのこういうなんかバイラルヒット来ました記事みたいなのを丁寧に毎回、上げてくれているんだけども。「リリースされてから○月○日まではページのビュー数が1日1000回以下だったんだけど、この日を境に1日に5000回に伸びました」みたいな。そういう風に丁寧にグラフも一緒につけてくれていて。
UK Rapper Ashnikko Earns Viral Success With Her TikTok-Driven Breakout 'STUPID' https://t.co/j3b2DJ9plB https://t.co/j3b2DJ9plB pic.twitter.com/TUTyjDttt9
— みやーんZZ (@miyearnzz) October 19, 2019
(DJ YANATAKE)なんかきっかけの瞬間がわかるんだね。
(渡辺志保)そうそう。そこがすごい顕著なのが面白いなっていう風に思います。
(DJ YANATAKE)そういうところもチェックしている子も多いんだろうしな。なんかそういうところで一瞬火が……本当のきっかけをもうちょっと知りたいけども。火が着いた瞬間をね。
(渡辺志保)そうそう。それでいまはニューアルバムをリリースしたばっかりのダニー・ブラウンのツアーに10月から帯同をすることがもう決まっているという。
(DJ YANATAKE)この一発屋時代、すごいですよ。
(渡辺志保)いや、すごい。だからもうなにをもって一発屋なのかもわからないし。
(DJ YANATAKE)もう一夜にして人生が変わる子が続出しているっていう(笑)。
(渡辺志保)それでたとえばリル・テッカとかリル・ティージェーとかもすごいなと思ったんだけど。みんな、1曲ヒットしたらすぐアルバム出すんだよね。
(DJ YANATAKE)だからもう周りもそういうのをわかっているんだよね。
(渡辺志保)ダベイビーもそうじゃないですか。いちばんホットな時にアルバム出すっていうのが。それがみんな……。
(DJ YANATAKE)だから本当に1年ぐらいで一生分稼ごうと思っているんじゃない?
(渡辺志保)そうかもしれない。だからそのバイタリティーがすごいなと思うわけですよ。というわけで、どんな曲なのかここでお届けしたいと思います。アシュニッコで『STUPID Feat. Yung Baby Tate』。
Ashnikko『STUPID Feat. Yung Baby Tate』
(渡辺志保)はい。いまお届けしておりますのはアシュニッコで『STUPID Feat. Yung Baby Tate』でした。そして、このバイラルヒット特集の最後の1曲になるんですけども。最後にもう1曲かけたい曲がありまして・スエコ・ザ・チャイルドっていう名前のラッパーなんですよね。で、彼も西海岸を拠点にしているラッパーなんですけど、本当メガネをかけて白人にで髪の色がカラフルで……っていう感じ。
それで『Fast』っていう曲なんですけども。これもフックの部分が非常にTikTokでウケて。私もこれも同じくSpotifyのグローバルバイラルチャートで初登場2位とか。そのぐらいの結構いい数字になっていて。それで曲の存在を知って聞いたんだよね。それがちょい昔の話で。今年の4月とか5月とか、それぐらいの話なんだけど。このオリジナルがリリースされた後に、いきなりオフセットとA Boogie Wit Da Hoodieが参加したリミックスも発表されてね。
(DJ YANATAKE)だからこれなんだよな。この動きなんだよ。
(渡辺志保)そうそう。だからこの2人が担ぎ出されたっていうことは、なかなか注目されてる逸材なんだろうなって思ったんだけど、9月にこのスエコ・ザ・チャイルドがアルバムを出したんだけども、あんまり全然騒がれてなくて。そんな再生回数もグイグイきてるわけでもなさそうで。やっぱりこの賞味期限って言ったら非常に失礼ですけども。この一発パッとヒットしたのをどうやってより、雪だるまのようにデカくしていくか。だから『Old Town Road』とかブルーフェイスとかがすごいのは……。
(DJ YANATAKE)その何個かある壁を超えてくるんだろうな。でも、このスエコ・ザ・チャイルドも結構ずっとチャートを上がっていたもんね。
(渡辺志保)そうなのよ。だからスエコ・ザ・チャイルドとかこのアシュニッコとかね、そういう彼、彼女らの今後もどういう作戦でよりフェイム、パワーを増していくのか気になるなって。
(DJ YANATAKE)でも本当のヒットはその先にあるんだろうね。でも、その予備軍みたいな子がいま、こうやって紹介したようにうじゃうじゃいるっていうことだよね。
(渡辺志保)そうなのよ。で、私とかさ、TikTokのアプリをダウンロードしてIDだけ作ってるけど、何も投稿してない氏。見方がよくわかんないんだけど。Trillerもそうなんだけども。何が流行ってるのかもよくわからないみたいな感じだから。私とかはそういう流行りが如実にパッと出てくるのがSpotifyのグローバルバイラルチャート。もしくは、それとほぼ連動しているのがさっきヤナタケさんも言っていたRap Geniusのチャート。やっぱりみんな、リリックを見たいと思うんだね。そこがちょっと意外と思ったんだけど。だからRap Geniusのチャートを見ながら、たとえばJ・コールとかトラヴィス・スコットが上位にいるのは全然わかるじゃないですか。
(DJ YANATAKE)だけど、知らない名前を見たらチェックをしておけ!っていう……。
(渡辺志保)そうそう。あとは英語じゃない曲とかが上がってるとちょっと気になってチェックして。で、後から「ああ、こういうことだったのか」っていう感じで。2、3ヶ月遅れで若者のみなさんのヒットを知るという。で、それを知ったかぶってしゃべるみたいなね、そういう感じになっております。
(DJ YANATAKE)はいはい。わかりました。じゃあ、行ってみましょうか。
(渡辺志保)じゃあ、スエコ・ザ・チャイルドのリミックスの方を聞いてもらいましょう。
Sueco the Child『fast (Remix) feat. Offset & A Boogie Wit Da Hoodie』
(渡辺志保)はい。いまお届けしましたのはスエコ・ザ・チャイルドで『fast (Remix) feat. Offset & A Boogie Wit Da Hoodie』でした。(ツイートを読む)「おじさんにはTikTokとももはや沼です」。同じくです! (ツイートを読む)「3億総一発屋時代」とかね。でもみんながみんな、そういうチャンスを平等に持ってるってことだから。本当にすごいなって思うし。
(DJ YANATAKE)なんかね、すごい思うことがあって。たとえばさ、アメリカはやっぱりさ、もうこのへんのスピード感がわかってきているっていうか。SoundCloudでもYouTubeでもさ、TikTokでもなんでもいいけど。1個パッと流行ってきたら……たとえばメジャーが捕まえたとしたらさ、その曲をそのまますごいスピードで生かして大きいところにバーン!って放つことをやるわけじゃん? でも、日本の市場を見るとそこが遅いなって思って。
(渡辺志保)ああー。
(DJ YANATAKE)話題になっていたら、それを1回囲ってさ、「メシ行こうか」みたいな。わからないけどさ。それで1年とか2年とか、「他と契約しちゃダメだよ」とかなんとかさ、囲って囲って……。
(渡辺志保)「せっかくこのリミックスがあるのに……」みたいなさ。
(DJ YANATAKE)いますぐ出さなきゃいけないのに。なんでこんなに時間をかけて……いま、流行っている曲を買い取っちゃって、そのままバン!ってやればいいじゃんみたいなさ。なんかそのへんのスピード感はもう本当にアメリカを見習ってくれよって。だから、もう囲うのも時代に合ってないし。囲ってしばらく様子を見るとかも。
(渡辺志保)そうね。だからNLEチョッパとかもあえて個人でメジャーと契約するんじゃなくて、自分が設立したインディーレーベルとメジャーが契約をするっていう感じで。みんなそのへんは考えてやっているんだよね。
(DJ YANATAKE)アーティスト側も、まあヒップホップをやっている子たちもやっている側の方が賢くなっている気がするから、あんまりあれだけども。なんかそういうのをすごい感じるなって思って。でもあと、もう1個ちょっと怖いのは日本語ラップもそうなんだけども。みんな誰よりも早く新しいスターを探したい願望みたいなのだけが先行しちゃってさ。なんかそれに対するクオリティーも下がってる気もするっていうか。誰よりも先に言いたいみたいな……俺らもそうなんですけど。でもなんかそれがちょっと加熱しすぎていて。まあ、でもそれも時代なのかなとも思うんですけどね。
(渡辺志保)だからこそ、さっきヤナさんもおっしゃっていたみたいに、このヒットの先に何を彼らが残せるのか?っていうところがね。だから本当にリル・ナズ・Xとかは稀有な……『Old Town Road』がクソバズって、その後にちゃんと『Panini』とかもいまヒットしていますし。それでまた新たなロールモデルというか、成功モデルができるような気もする。
(DJ YANATAKE)でも、本当に時代的には、志保さん的にはなかなかあれですけども。やっぱりアルバム全部を作って評価されるっていうのはなかなか……アルバムを聞いてもらうだけでも大変な時代になっちゃったからね。
(渡辺志保)そうなんですよ。そのスエコちゃんのアルバムもこの『fast』だけがめっちゃ再生回数が多くて。後は軒並み寂しいな……みたいな感じにもなっているから。
(DJ YANATAKE)とか、もう1曲どころかさっき言った15秒ばっちりなところを作れちゃえばOKとか。
(渡辺志保)だから『Old Town Road』も1分55秒とかだし。ダベイビーのアルバムも13曲で35分っていうすごいコンパクトな作りになっているっていう。
(DJ YANATAKE)曲が短いっていうのはね、そんだけストリーミングの再生回数が上がったりとか。そういう聞くスタイルがストリーミングになったっていうこともね、背景には関係しているわけですけどもね。
(渡辺志保)だからこんな状況下でね、めちゃめちゃアルバムに固執してるカニエ・ウェストとかがね、どういう……(笑)。
(DJ YANATAKE)まあ、それはそれでね、そこの位置まで行っていますからあれなんですけども。まあ、音楽の聞き方とかヒットの背景が変わってきたなという特集でございました。
(渡辺志保)ありがとうございました。
<書き起こしおわり>