渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でブラックパワーを感じさせるおすすめ本として『地下鉄道』『私のように黒い夜』を紹介していました。
(渡辺志保)先週ですね、TBSラジオのRHYMESTER宇多丸さんがやってらっしゃる『アフター6ジャンクション』、通称『アトロク』の方に出させていただきまして。いま、後ろでかかっているチャイルディッシュ・ガンビーノの『This Is America』の話とか。で、早稲田大学の教授の都甲幸治先生と一緒にいま、ブラックパワーを感じさせる作品が映画や音楽、そして書籍の文芸の世界でもすごくそういうパワーを感じる作品が出ているというところで、都甲幸治先生のお話をうかがいつつ、私も一緒にお話をさせていただきつつ……というところがありまして。
で、やっぱり普段、あんまりこういうテーマで大学の先生とお話をすることもないので。私、すごく刺激をもらった1時間になりまして。そこでも都甲先生がおすすめしていた『地下鉄道』という本があるんですよ。これ、つい最近……日本で発売されたのは2017年12月なんですけども。コルソン・ホワイトヘッドさんっていう方が書いた『地下鉄道』という本がありまして。
コルソン・ホワイトヘッド『地下鉄道』
で、これがもともと南部の農園で奴隷として働かされていた女の子が主人公になっているんですけども。すごく面白い小説で。本当に生々しいけど、奴隷として売買されていたというところで。どういう風に値がついているのか、とか。どういう心理状況であったのか、とか。そういったところも興味深いし、なんせすごいスピーディーな感じの文体で非常に面白く読めたので、ぜひぜひ機会があれば読んでほしいです。
ちなみに、私がすごくブラックパワーを感じる一冊をもし挙げるとすれば、『私のように黒い夜』というルポタージュ形式のエッセイのようなご本がありまして。J・グリフィンという方が書いた本なんですけども。これは白人のジャーナリストが薬物投与などして自分の肌を黒くするんですよ。で、黒人に扮して当時……1950年代後半から1960年代前半のニューオリンズの街に潜入して、いったいどんな扱いを受けるのか?っていう、すごく深く切り込んだルポタージュ作品がありまして。
J・グリフィン『私のように黒い夜』
これは2006年にブルースインターアクションズから新訳版も出ていまして。すごく興味深く読める内容だと思いますので。ぜひぜひこちらも機会があればみなさんに読んでほしいと思うし。普段、こうやってヒップホップの曲の紹介とか社会状況がどうだとかっていう話をここでさせてもらっていますけども、音楽、映画ももちろんそうなんですけども、文芸作品というところにもみなさんにも触れてほしいと思ったし。
私もひさしぶりに大学時代に読んでいたそういった本……ジェイムズ・ボールドウィンとかね、そういった本をこの機会に読み直したところもありまして。非常にちょっとアカデミックな気持ちになったここ1、2週間っていう感じがしました。
<書き起こしおわり>