松尾潔 映画『デトロイト』とThe Dramaticsを語る

町山智浩 映画『デトロイト』を語る 松尾潔のメロウな夜

松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中で映画『デトロイト』についてトーク。映画の中で事件の被害者として登場するグループ、ザ・ドラマティックスの話をしていました。

Boyega. Mackie. Poulter. Smith. #DETROITmovie is in theaters August 4.

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(松尾潔)テンプテーションズ、そしてモータウンレコードを生み出したデトロイトという場所。この荒廃ぶりが伝えられて久しいのですが、それでも60年代にここがアメリカのと言うか、世界中のソウルミュージックファンの憧れの場所であったことは揺るぎない事実ですね。まあ後に、エミネムのような人を生み出したりもする、そんなデトロイトなんですが、ちょっと旧聞に属しますけどもデトロイトの60年代の暴動のある1日を描いた『デトロイト』という映画が先頃公開されました。いま、全国巡回中のようですけど。

僕も東京で見たんだすけどね。まあ、あまりネタバレになることをここでお話しするつもりはないんですが、その暴動のいろんな理由があってね、そういう暴動……もちろん人種差別という大変シリアスな話題を扱った映画なんですが。そこにね、ドラマティックスという、モータウンではないが、ある意味テンプテーションズ以上にデトロイトの土地柄を感じさせてきたドラマティックスのメンバーたちが、暴動のあるところに犠牲者として関わりがあったということを描いた映画なんですね。

町山智浩 映画『デトロイト』を語る
町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で1967年のデトロイト暴動の際に起きた警官による黒人青年たちの虐殺事件を描いたキャサリン・ビグロー監督の映画『デトロイト』を紹介していました。 Boyega. Mackie. Poulter. ...

ご覧になった方、どれくらいいらっしゃるでしょうか? まあ、その映画をご覧になった方はお分かりでしょうし、そうじゃなくてもドラマティックスってそういう歴史の一断面と接点があるんだと、はじめて気づいた方もおられるかと思うんですが。やっぱりね、そのエンターテイメント志向が強いR&B、ソウルミュージックの世界でも、当たり前のことなんですけれども、その日常においては苦悩であるとか、葛藤であるとか、そういうものともう日々ね、直面してるんだなということを改めて感じましたし。やはりこのポップミュージックを楽しむことができるのは、穏やかな日々あってこそという気がいたしますね。

山下達郎さんがよくステージでそういうお話しをなさいますけどもね、本当にそういうことを感じましたね。生活と言うかその日常が落ち着いてないと、国の治安というところでもそうですし、個人レベルでもそこが落ち着いてないと、ポップミュージックを……少なくともいま、作る立場にいるので、送り出す立場としては皆さんに十全に味わっていただくにはやっぱり、穏やかな生活をすごしていただきたいと思いますね。もちろん、そうじゃない人たちにとっての憩いの時間になるという効用もあるかと思いますけどね。

まあ、改めてこの世界というものと音楽というものの関わり方、その在り様を考えさせてくれる映画『デトロイト』でした。そんな『デトロイト』の中でフィーチャーされていたドラマティックス、1曲ここでご紹介したいと思います。これは時代的にも70年代の曲なので、映画の中で使われたわけではないのですが、僕が最も好きなドラマティックスの1曲です『Ocean Of Thoughts And Dreams』。

The Dramatics『Ocean Of Thoughts And Dreams』

お届けしたのはザ・ドラマティックス『Ocean Of Thoughts And Dreams』。1977年にリリースされたアルバム『Shake It Well』に収録されていました。

Shake It Well
Posted at 2018.4.13
Dramatics
Carol

この曲が有名になったのは、まあ元からファンの多い曲ではあるんですけど、いま特別な意味合いを持っているのはデスティニーズ・チャイルドが『Girl』という曲でこの曲を下敷きにしてヒットを飛ばしたということじゃないかと思います。

2013年、いまから5年前にもこの『メロウな夜』で一度オンエアーした曲。まあ、9年目にして二度目のオンエアーとなりました。ザ・ドラマティックス『Ocean Of Thoughts And Dreams』でした。

<書き起こしおわり>

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