安住紳一郎 首都圏ラジオ各局の電波塔事情を語る

安住紳一郎 首都圏ラジオ各局の電波塔事情を語る 安住紳一郎の日曜天国

安住紳一郎さんがTBSラジオ『日曜天国』の中で台風の影響でニッポン放送の木更津電波塔が被害を受けた件についてトーク。さらに首都圏のラジオ各局の電波塔事情について話していました。

(安住紳一郎)2週間前なので少しもう遅いということなのかもしれませんが、こうやってみなさんの(台風被害の)体験談を聞くと、よりよく千葉のことがわかり、またそして私たちも災害に備えようという気持ちになりますね。まだまだ停電、断水など続いてるところもあるようです。それから、ラジオの状況についてもお話をします。先ほどの芝山町の方のお便りにもありましたが。Radiko、最近便利なんですけどね。スマホの電池をたくさん使っちゃうので、あんまりそういう時に使えなくなりますもんね。そうするとやっぱり昔ながらのラジオがよかったりするということになる側面はやっぱりありますね。

(中澤有美子)そうなんですね。

(安住紳一郎)普段はね、やっぱりねスマホに入っているRadikoとかの方が便利だろうけれど。ラジオは停電の時は本当に、ねえ。電池だけで動いて、しかもその電池を1年くらい前に入れた電池でしばらく動いてますからね。結構大きな音が出ますしね。私たちがラジオ局で働いているからという理由だけではなくて、本当にああいう時に結構な音量で、電池の電力だけで動くってのがむしろ少しやっぱり頼もしいというかね。

人の声や音楽などが聞こえてきますので……というところ、あると思いますが。今回はラジオはそれぞれ関東地区にもラジオ局、たくさんありますけれども。千葉のみなさんがよく利用されているラジオ局、AM放送局はやっぱりニッポン放送になるんですよね。なんて言ったって、木更津に電波塔がありますので。千葉県のみなさんはニッポン放送の入りがものすごくいいんですよね。

(中澤有美子)うんうんうん。

(安住紳一郎)TBSラジオは埼玉県の戸田にありますし、文化放送は川口に送信塔がありますので。どうしてもやっぱり千葉の方は遠いので、電波の入りはやっぱりニッポン放送が良くなるんですよね。そのニッポン放送、実は木更津に電波塔があるんですが、木更津に送信塔……電波を出すところがあるんで、木更津が停電になっちゃいましたんで当然、ニッポン放送の電波塔が停電になりますよね。で、予備の非常用電源を自分のところで持ってる発電機に切り替えるわけですけれども。

ニッポン放送も予備の非常用電源に切り替わったんですが、9日の午前3時すぎだそうですけども。しばらくその予備電源でうまく動いてたんですが。火曜日の朝8時半くらいに、垣花正さんの番組の放送中にその発電機の調子が悪くなって止まっちゃったんですね。それで、これは大変珍しいことなんですけれども。いわゆる「停波」っていう……みなさんがよくね、放送内容に対して「放送事故だ、放送事故だ」って言ったりするという側面がありますけども。本当の放送事故っていうのはこっちのことで。35秒、停波をして。

私、働き始めて20年以上経ちますけども、停波したのを本当に全国で見たことありませんもんね。35秒の停波をして。たぶんニッポン放送の方はとてもショックだったと思うんですけれども。それで、放送局っていうのは正規の電波塔の他に予備の電波塔を持っているんですよね。それで、ニッポン放送は足立区に予備送信所がありますので、その35秒の間にそっちに切り替えて急遽放送を出したんですね。

ところが、正規の電波塔から出している電波の出力って100kWぐらいあるんですよ。ところが予備の場合は1kWぐらいしかないので1/100の力で出してるんで当然、千葉のみなさんはなかなかそれを……まあギリギリ入るんだけども、音も小さいし、よく入らないみたいな状況だったようですね。

で、14時間くらい予備送信所から1kWで電波を出したみたいで。ようやく、その日の夜10時半ぐらいに木更津の100kWの正規の電波塔から放送が出るようになったそうですけども。たぶん千葉のみなさん、結構この火曜日の1日がキツかったんじゃないかなと個人的には思ってるんですけれども。非常用電源の故障の原因、まだ調査中ということですけれども。なかなかAMラジオ、最近はね、もう電波塔をなくそうっていう、そういうような話にもなってますけれども。

こういう状況もあるんだなということでした。ちょっとね、マニアックついでに……なかなかね、ラジオの電波塔がどこにあるか?っていう話をする番組も珍しいんですけども。さらに進んで予備の電波塔がどこにあるのか?っていう話もしておきましょうね。なにかのために役に立つ時があるかもしれませんからね。ニッポン放送はいま言ったように木更津に電波塔があるんで、千葉のみなさんと東京湾を挟んで神奈川のみなさんが比較的ニッポン放送の電波を受けやすい状態になっていて。

TBSラジオ、文化放送は埼玉にあるんで、どちらかというと群馬のみなさんとか埼玉のみなさん、東京のみなさんに比較的入りやすい状況があったりして。NHKは埼玉の久喜っていうところから出してるんですけども。民放とは違ってさらに強い出力で出してますんで比較的おしなべてがっつり聞こえるっていうのがNHKの状況ですね。

で、予備電波塔なんですけども、ニッポン放送はさっき言ったように足立区の東六月町っていうところにありまして。もともとニッポン放送は昭和29年の開局から昭和46年まで、そこの足立送信場を使用していたんですね。で、50kWで放送していたんですが、1971年。昭和46年に100kWで放送できる認可が出されて、足立区では近隣に影響が大きいっていうので木更津に送信所を移転したので。昔の送信所が残ってて、そこを予備として、何かあった時のエマージェンシーだとそっちから出すっていうことになっているんですね。

足立区のニッポン放送予備電波塔

(中澤有美子)へー!

(安住紳一郎)現在、その敷地には分譲住宅地になってるんですけども。もともとはニッポン放送足立野球場とか、あとはグループ企業のポニーキャニオンの営業所なんかがあって。「ああ、いかにもニッポン放送の電波塔があった場所だな」なんていう風に感じられるところだったということなんですけどもね。

TBSラジオは埼玉県戸田。ちょうどね、戸田ボートの北側に送信所があるんですけれども。そこから100kWで出しているんですが、そこがダメになったらじゃあどこか?っていうと、どこだと思いますか?

(中澤有美子)ああー、知らないです。

(安住紳一郎)そこがダメってなったら、実はここ。赤坂の建物に非常用電波塔があるんで、そこから細々とピヨーン!って出しますんで。もし戸田の電波がバチコンと切れちゃったってなったら、ギリギリ赤坂の方向にアンテナを向けていただくと、うっすら入るかなっていう感じですか? 「うっすら」っていうことはないか? まあ、入れようと思ったらしっかり入りますけども。一応なんか予備知識として持っていてください。

(中澤有美子)そうなんですね。へー!

(安住紳一郎)で、文化放送は川口に送信所があって、川口に何かトラブルがあると文化放送の予備塔はどこにあるかというと、どこでしょうか?

(中澤有美子)ええっ? みんな意外と都心にある……。

(安住紳一郎)そうですね。まあ、なんとなく「土地を持ってるところ」って考えるとわかるかな? 文化放送は……?

(中澤有美子)浜松町?

(安住紳一郎)惜しい! 浜松町の前。四谷に局舎があったんで、四谷から文化放送は予備電波を出します。ねえ。で、NHKは久喜がダメになると西浦和の荒川の土手にあるんですけども。そこから出していきますんで、覚えておくと何かの役に立つやもしれませんね。

(中澤有美子)へー! 予備の電波塔……。

(安住紳一郎)ねえ。マニアックな話ですね(笑)。そういうことがね、いろいろとあったりしますね。ちょうどね、電波を出しやすいところっていうのがだいたい決まってるんでね。木更津のあたり、千葉にマザー牧場っていう有名な場所がありますよね。あそこは、いまはたしかbayfmかなんかが電波を出してるんですけど。マザー牧場ってみなさん、どんなイメージあります? 千葉の観光地って感じですよね。

(中澤有美子)そうですね。菜の花と羊と。

(安住紳一郎)そうです。あそこってもともと、何であそこにマザー牧場できたかはご存知ですか?

(中澤有美子)なぜ? わからないな。子供の頃からあったな(笑)。

(安住紳一郎)そうですよね。マザー牧場って実は、ちょっとラジオとか放送と関係があって。

(中澤有美子)ええっ?

実は放送と関係があるマザー牧場

(安住紳一郎)そうなんですよ。不思議ですよね。いまだに、よくロケに行くのは実はその理由なんじゃないか?って言われてる節もあるんですけども。私なんかマザー牧場のロケ、通算だと160回ぐらいやっていますけども(笑)。

(中澤有美子)フフフ、さすがに多めにおっしゃいましたね(笑)。

(安住紳一郎)さすがに多めですけどもね。東京タワーってできたの、昭和33年ですよね。東京タワーって関東にテレビの電波を出すために作ったんですよね。東京電波塔株式会社っていったかな? で、電波を出す会社として東京電波塔っていう、そういう会社を作ったんですね。それでどこから電波を出したら関東のみなさんにテレビの電波が届くかな?っていう風にいろいろと考えたらしいんです。そしたら、東京都の港区のあそこの真ん中。芝公園のところに作ってもいいだろうし……っていう感じで、候補地がいくつかあったらしいんです。

その候補地のひとつがマザー牧場があるところで。あそこに建てると関東に電波をビャーン!ってきれいに出るんじゃないかって考えて、土地を取得してたんです。でも結局、芝公園の方に東京タワーを作って、ここから出しますっていうことにしたんで、そこのマザー牧場のところに電波塔を建てようとしていた計画がなくなったんです。それで、観光牧場を作ったんですよ。なのでもともとマザー牧場って……いまはたぶん違うんですけど。もともとは東京タワーの会社が持っていたんですよね。

(中澤有美子)へーっ!

(安住紳一郎)そうなんですよ。マニアックでしょう?(笑)。

(中澤有美子)ああ、そうですか!

(安住紳一郎)だから、東京タワーとマザー牧場、経営がしばらく一緒だったんですよ。そう考えるとマザー牧場からbayfmが電波出してる理由、なんとなくわかりますよね? 届きやすいから出しているんだろうなっていう感じですね。

(中澤有美子)いい場所なんですね。あららら……。

(安住紳一郎)ちょっとラジオとかテレビの電波の出し方、興味ありましたら……(笑)。もういいか? もういいよね? 25分も説明されちゃったら……。

(中澤有美子)アハハハハハハッ! でもRadiko、Radikoが主流になってきましたけども。あらためて電波の大事さですね。

(安住紳一郎)電波の違いね。AMの電波とFMの電波の違いとか、やってみる? やらないね。面倒くさいね。やらないね。それもあるんだ。で、AMラジオはもうなくなるって……ものすごいお金がかかるからさ、なくなっちゃうのかな?っていう流れなんだけども、でもたしかにAMの電波ってこういう時には便利だからねっていう気持ちはありますね。

(中澤有美子)ふーん!

(安住紳一郎)乾電池を1回入れたら半年近く、結構なボリュームで音が出るってなかなかすごいシステムなんですけどね。というお話でした。

(中澤有美子)フフフ、はい(笑)。

(中略)

(安住紳一郎)さて、今日は番組の冒頭で関東のラジオの電波塔の話をしましたが、私がすこし間違っていたようです。bayfmは現在、船橋から電波が出ているそうです。マザー牧場に東京タワーを誘致できず、そこに電波塔を建てて広域FM局を作る計画をするも断念したのですが、その計画がbayfmの設立にかかわっていたということのようです。失礼いたしました。

<書き起こしおわり>

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