星野源 文庫版『よみがえる変態』と文筆家の仕事を語る

星野源『よみがえる変態』文庫化とタイトル表記変更を語る 星野源のオールナイトニッポン

星野源さんがニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で自身の著書『よみがえる変態』の文庫版の発売についてトーク。文庫化に当たって付け加えた部分や「文筆家」という仕事について話していました。

(星野源)さあ、じゃあその話をしちゃいましょう。私、星野源の著書『よみがえる変態』の文庫版が9月16日付けオリコン週間文庫ランキングにて栄えある第一位を獲得しました! やった! みなさん、手にとっていただきありがとうございます。読んでいただけたでしょうか? 大阪の方。「『よみがえる変態』、ランキング1位おめでとうございます。私は単行本の『よみがえる変態』をなんだが読むのに覚悟がいる気がして本棚で温めていましたが、文庫化をきっかけに覚悟を決めて読み始めました。

1ページ目からおっぱいの話。『私の覚悟は何だったんだ?』と思いながらも源さんの文章が面白くて、するすると読んでいきました。後半はグッチョングッチョンになりながら当時の源さんに感謝の気持ちでいっぱいになりました。生きてくれてありがとう。そして生きていたら飛び上がるほどに嬉しい出来事があるかもしれないなと希望も湧いてきました。自宅用と外出用、2冊の変態をこれからも大切に読んでいきます」。ありがとうございます。

嬉しいですね。あの、いちばん最初がおっぱいの話であるんですけど、基本的にその『GINZA』っていう雑誌で連載をしていて、女性誌だったのでなんて言えばいいんだろう? 「変態」とは言いつつも……さっきも言ったような、「人間みな変態ですよ」っていうところも含めて。特にそういう女性誌だからといって下ネタとかは書かないよみたいなことよりかは、特に制限なく人間とか自分のこととか、仕事のこととかを深夜のノリで書いていくみたいな、なんかそういう連載だったんですけど。

なんかそういうとこも含めて、そういうタイトルの本になりました。続いて。「『よみがえる変態』、読みました。隙間時間に読んでいるので、電車やカフェ、居酒屋、いろんなところで面白すぎてにやけています。私自身は看護師です。救急の現場で働いており、源さんと同じ病気の方とたくさん関わります。術前・術後、瘤の場所によってはご自分の状況を伝えられない方に多々遭遇します。

源さんが病気の時の苦しみを文字にしてくれたことで患者さんの苦しみがわかった気がします。もちろん当事者しかわからないことがあると思うので『わかった』とは言えませんが。今後の患者さんとの関わり、看護を改めて考えるきっかけになりました。そして大病をした後に復帰している源さんを見ると、私たちの励みになります。これからもエロ満載、同い年なのに童貞顔の源さんを応援しています」。ありがとうございます。

うるせっ! まあ、そうだよね。それはしょうがない。僕は童貞顔です(笑)。っていうか、なんだよ、「童貞顔」って?(笑)。あるか。でも童貞顔は。昔っから僕、童貞顔って言われてましたね。松尾スズキさんにつけられたあだ名も「童貞」だったしね。終身名誉童貞、フハハハハハハハッ! しょうがないっす。変えられませんからね。ありがとうございます。読んでいただいて。

そう、なんかね、結構入院した人とかから「愛読書です」って言われたりとか。「入院している時に持ち込んで読んですごく励まされました」とか言ってもらえる時もありまして。寺ちゃんからもね、この間ちょっと入院した時に言ってもらったりして。あれですね。僕が倒れた時の話が後半、結構書いてあって。なのであのいわゆる普通に連載をしている間に僕が倒れてしまって。なので、倒れた後のこととかを書き下ろしでその当時、単行本に書いたりとかしました。

闘病していた時期のエピソード

なので僕の闘病っていうのかな? そういう頃の時期の話も書いてありまして。なんで、「ああ、星野源ってそういうことがあったんだ」って思う人はぜひ読んでみてください。まあちょっと、痛いっていうとあれだけども。「うーん……」っていう表現がもしかしたらあるかもしれませんが。まあ、痛いよね、そりゃあ。くも膜下出血はそりゃあ痛いっていう。

なんでまあ、でもその中でやっぱりエッセイにしようとかって思うとですね、いいことって結構あって。その中から面白さを見出そうとするんですよね。それってきっと芸人さんとかがつらかったことを面白おかしくテレビでしゃべるのと似てるかもしれないですけども。エッセイで書くことによって、めちゃくちゃ思い出そうとするじゃない? その当時のことを。それで詳細を思い出して、なるべくおもしろく書きたいけど嘘は書きたくないみたいなところでやった時に、当時は余裕がなくて気づいてなかったけど、実はここは面白かったなとか。

っていうか俺、ここは楽しんでたなとか。人間って負の感情っていうか、つらいとか苦しいとか悲しいとか、そういう感情ってもちろん嫌なものだし、できればない方がいいってみんな思っているのに、その感情に酔ってしまうっていう不思議なクセがありまして。つらいっていうことを、もう抜けだせるのに、自分でずっと持ってそれに酔っているという悲しい習慣を持つ人がいて。だから、そういう負の感情っていうものに支配されやすいんだと思うんですよね。でも、あの文章っていうものを「よし、書くぞ!」って思って。あと、まあこんなことを言うの変ですけど、文章でお金を取るからさ(笑)。

文章を書くというお仕事

「仕事をする」っていうことはお金を取るっていうことで、お金を取る時には届けるべきプロとしての仕事とは何か?っていうのと照らし合わせた時に、やっぱり何か面白いものとか、何が自分の人生の糧になったり、生活の糧になったりとか、そういうものを届けるということを思った時に、そういうナルシズムっていうか負の感情に酔うみたいなのがめちゃくちゃ邪魔というか、いらねえやってなるんですよ。

だからそこが邪魔で「いらねえ、いらねえ」ってやっている間に「ああ、ここは面白かったな」とか「ここがすごくこの人、暖かかったな」とか。その時は余裕がなくて気づいてなかったことを結構、改めて感じられたり感謝できたりするんですよね。で、そういうちょっとこう、半分瞑想じゃないけど。モヤを取り除くみたいな作業が結構文章の仕事は僕はすごくあると思っていて。

だからエッセイというものを「文筆家」っていう風に僕の職業にも入っていますけども。なんかそういうことを繰り返していくのが精神的にもいいのだっていうのをすごく思うので。特にその『よみがえる変態』っていう著書に関しては自分がすんごい切羽詰まってる頃のエッセイが多いんですよ。それでどんどんどんどんおかしくなっていって最終的に倒れるっていう。そのドキュメント性があって。

なんかそういうのもね、ぜひ楽しんでいただければと。で、あとがきも今回、新しく書いたので。ぜひあとがきも見てください。いまの自分とその当時の自分が違いみたいなのを書いてますので。なので『よみがえる変態』……とにかく表紙が超かっこいいんで。ぜひみなさん、手に取っていただければと思っております!

よみがえる変態 (文春文庫)
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<書き起こしおわり>

星野源『よみがえる変態』文庫化とタイトル表記変更を語る
星野源さんがニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』の中で著書『よみがえる変態』の文庫化とタイトル表記変更について話していました。 (星野源)まず1個目。ちょっと宣伝ではございますが、星野源エッセイ集『よみがえる変態』の文庫版が9月3日...
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