磯部涼と宇多丸 SATORU『MAKA』を語る

磯部涼と宇多丸 SATORU『MAKA』を語る アフター6ジャンクション

音楽ライターの磯部涼さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。宇多丸さん、宇内梨沙さんに栃木県足利のラッパー、SATORUの『MAKA』を紹介していました。

(宇多丸)ということで、続いては?

(磯部涼)次の曲も移民とラップの最新版みたいなところもあるかもしれません。聞いていただきましょう。SATORUで『MAKA』。

SATORU『MAKA』

(宇多丸)はい。SATORUで『MAKA』をお聞きいただいております。ストレートなハードコアラップ。

(磯部涼)前回の移民とラップ特集でも静岡県磐田市のGREEN KIDSだったりとか、群馬県大泉町のFUJI TAITOっていう……彼らはそのブラジルにルーツを持つラッパーなんですけども。

このSATORUさんもブラジルから栃木の足利にやってきたということで。「MAKA」って繰り返しているのは地元のラッパーで、フリースタイルとかでも結構名を上げているラッパーなんですけども。その先輩に影響を受けてラップ始めたっていうことで。ただ、そのMAKAはフリースタイルで有名なんですけども、SATORUはまた全然違うスタイルっていうかね。

(宇多丸)でも圧倒的に聞き取りやすいし、引き込まれる。

(磯部涼)ほかの曲も……この曲がいま結構バズってるんですけど。他の曲もいいんですけど。ちょっとかけられるのがギリギリこれだったかなっていうところもあって。

(宇多丸)ああ、これでもか……(笑)。

(磯部涼)この曲のタイトルはちなみに『まざふぁきびち』とか『丸まったポンプぶっさしたlady』とか。それで最近、『アナル舐めろmotherfucker』っていう曲だったりがかっこよかったですけども。

(宇多丸)ストレートだな。

(磯部涼)でも、そのストレートさ。激しい……もう本当に生い立ちとかももう全部、説明なっている。スタイルも歌詞もそうだし。それなんだけど妙なユーモアもあったりとか。その自分がいかに金を儲けているかっていう説明で「パンパン叩く電卓 パンパンなくなる電池」とか。すげえ儲けてるんだな!っていうね。電池が追いつかなくなるぐらい。

(宇多丸)いい表現だね。

(磯部涼)その一方で、なんか妙なリリシズムっていうか。

(宇多丸)あと途中でね、フッと泣かせるようなこととかが入ったりね。

(磯部涼)「傘でかち割る頭 生で中出しが3万 マリファナを彫った体 顔も忘れたよパパ」っていう。急に視点が変わって。カメラのショットが変わるようなね、そういう感じもあったりして。とにかくラップで全部説明になってるっていうのがかっこいいなって。ビデオも最高なんで見てほしいんですけど。ちなみにSATORUさんにインタビューしたYOSHIさんっていう方がいて。『足利のラッパー・SATORUインタビュー』っていう風に検索するとその方のnoteが出てくるんですけど。そこで結構生い立ちとかが話されているんですが。

(宇多丸)うんうん。

(磯部涼)そこでは、アメリカのラッパーで6ix9ineっていうのがいて。彼もいろいろとあって、いま収監されて一生出てこれないかも? みたいな話なんですが。

6ix9ineの影響

(磯部涼)そのラッパーがすごい好きというか、影響を受けたというところもあって。こういう風にがなっていくタイプのラップなんですけど。それをちゃんと日本語の響きに置き換えてるようなところもあって。だからすごい知的に組み立てられたラップなんだなっていう風に思ったところもあったし。めちゃくちゃローカルなことを言ってるんだけど、それがグローバルなスタイルんでもって届けられてるっていうのも、まさに日本のラップミュージックだなっていうところも感じますね。

(宇多丸)いやいや、すごいかっこいいし。ずっと聞かせるというか。あと、ボーカルとしてのラップとしてもすごくいいっていうか。

(磯部涼)そう。聞いていっちゃうんですよね。ライムをたどっていっちゃって。

(宇多丸)単純にラッパーとしての自力もすごくあると思います。

(磯部涼)いまの移民とラップの関係みたいのもすごく透けて見えてるような曲だと思います。

<書き起こしおわり>

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