宇多丸『アフター6ジャンクション』初回オープニングトーク

宇多丸『アフター6ジャンクション』初回オープニングトーク アフター6ジャンクション

宇多丸さんの新番組、TBSラジオ『アフター6ジャンクション』の記念すべき第1回放送のオープニングトーク。熊崎風斗さんと番組に対する意気込みなどを話していました。

(宇多丸)いったん落ち着こう!

(熊崎風斗)フフフ(笑)。「落ち着く」?

(宇多丸)とにかくいったん落ち着こう。ねえ。

(熊崎風斗)番組の産声、大丈夫でした?

(宇多丸)ちょっとほら、とにかくちょっと尋常じゃない状態じゃないですか。

(熊崎風斗)ちょっと異様な雰囲気になっています。

(宇多丸)とにかくサブからものすごい数のカメラがこうやってこっちを見ていて。

(熊崎風斗)人がこんなにいるなんて……。

(宇多丸)いるじゃないですか。めちゃめちゃ注目の瞬間じゃない? このまま始めていいのか……だから、ここなんですよ。迂闊に始めるっていうのが本当に日本人の悪いところでさ。一度動き出したメカニズムを止められないみたいなさ、あるじゃん。

(熊崎風斗)そうですね。動き出しちゃいました。

(宇多丸)あるじゃん? その空気に流されて……俺たち、いま飲まれているだけかもしれないからさ。

(熊崎風斗)完全に僕は飲み込まれています。いま。

(宇多丸)俺もそうなんだよ。だからちょっといったん落ち着こう。本当に。一応このくだりは天気の話をして。俺が毎日毎日その日の天気を文句言うっていう天気ディスのコーナーなんですよ。「ふざけんじゃねえ!」みたいな。で、今日天気をディスろうと思ったらね、すっごいいい天気でね、文句のつけようもないいい天気(笑)。だからあえて言えば、いい天気になればほら、虫ちゃんとかがさ。新しい命がいっぱいわいてくるじゃん? この季節。

(熊崎風斗)いいことですね。

(宇多丸)嫌でしょう? だってこんなさ、空気をよく見てごらん? こんなちっちゃな虫がブンブンブンブン飛んでたりしてさ。道を歩いているだけで食べたりしているわけよ。食べてるでしょう? みんな、確実にさ。そんな新しい息吹……虫たち、そしてフレッシュマン、そして新番組。わいて出てくる新番組。その一部が俺たちだ!っていうことなんだよ。だから、その65年ぶりに始まるこの枠ということでその……。

(熊崎風斗)歴史ですよ。歴史の1ページ。

(宇多丸)俺、「歴史」とか聞いてないもん。オファー受ける時。「歴史だ」なんて聞いてないから、これはもう絶対にこんな話はない! だから俺はちょっと「騙された」っていう気分なのね。

(熊崎風斗)もう遅い!

(宇多丸)だから……いやいや、いまなら引き返せるじゃん。だってまだ番組のコールとかもしていないし。

(熊崎風斗)いまなら引き返せません!

(宇多丸)いやいや、まだコールとかもしていないし。名乗ってもいないし。

(熊崎風斗)たしかに名前名乗っていない。誰だかわからない。

(宇多丸)そう。わからないままじゃん? で、番組名にも入っていないから、俺がいま立ち去ってもあなた、局アナとして責任もってやってくれれば別にそれでいいわけだから。

(熊崎風斗)いやいや、僕は本当に能力がないんでダメですよ。持って30秒です。3時間の番組なのに持って30秒。1人だと。

(宇多丸)本当? ここでやらない勇気っていうのもあるよ。一歩引くのも一種のやる気っていういい歌がありますけども。本当ですか? やりますか?

(熊崎風斗)もう、行っちゃいましょう。

(宇多丸)やりましょうか。覚悟を決めて。じゃあ、番組コールをしたいと思います。僕ね、ラップグループをやっていて3人組なんですよ。で、掛け合いのラップ調みたいなことをやるんだけど、それでタイトルを言おうと思います。まあちょっと、大きな声じゃ言えないけど『アフター6ジャンクション』。僕が「アフター」っつったら、「シックス」「ジャンクション」! バシッと合わせよう。ちょっと1回練習ね。「アフター」……。

(熊崎風斗)「シックス」……。

(宇多丸・熊崎)「ジャンクション」!

(宇多丸)フフフ(笑)。もう言っちゃったけどね(笑)。こんな感じで行ってみようか! アフター!

(熊崎風斗)シックス!

(宇多丸・熊崎)ジャンクション!

ライムスターテーマソング

<ライムスター テーマソングスタート>

(宇多丸&D)さよならサンシャイン
こっからが僕らのFun Time
It’s 6, 6, After 6, After 6, Yeah
憂鬱にバイバイ
騒ごうぜ とっておきのPrime Time
It’s 6, 6, After 6, After 6

(宇多丸)Yo, 18時、19時、20時

(Mummy-D)チューニング合わせな 全自由人

(宇多丸)赤坂にてパーティー中

(Mummy-D)新たな価値が交わりあい中

(宇多丸)そんな超・濃厚な

(Mummy-D)トークを続行

(宇多丸)今宵も落とそう

(Mummy-D)目からウロコ

(宇多丸)3時間

(Mummy-D)君の

(宇多丸)耳を

(Mummy-D)ロックオン!

(宇多丸&D)アフター6ジャンクション

(宇多丸)レッツゴー!

<ライムスター テーマソングおわり>

(宇多丸)ということで4月2日月曜日、6時になりました。本日から始まる新番組。TBSラジオをキーステーションにお送りする『アフター6ジャンクション』、パーソナリティーの、ただいま流れております曲を歌っておりますライムスターというラップグループのラッパー、宇多丸と申します。よろしくお願いいたします。よいしょ~!

(熊崎風斗)よろしくお願いいたします!

(宇多丸)ねえ。いま流れておりますのはライムスターの書き下ろし曲でございます。そして先ほどからずっとお話しております月曜日のパートナーは……自己紹介、お願いします。

(熊崎風斗)熊崎風斗と申します。よろしくお願いいたします!

(宇多丸)よいしょ~!

(熊崎風斗)もう戻れませんね。

(宇多丸)熊崎くん、始まっちゃったー。

(熊崎風斗)もう戻ることはできません。片道切符です。

(宇多丸)じゃあこれから3時間……というか、3時間じゃないですよ。これからずーっと。

(熊崎風斗)宇多丸さんは毎日ですからね。月-金で。

(宇多丸)はい。だから毎日だし、これから10年、20年と続く番組になっていくかと思うと本当に気が重いというね……。

(熊崎風斗)「気が重い」(笑)。

(宇多丸)気が重いでしょう。そんな10年、20年やることになったらさ。ということで、改めましてこの番組、どんな内容なのか? 要はTBSラジオ、ずーっとこの時間帯は野球シーズン。球春ですよ。球春到来、65年間ずーっと野球中継をやっておりましたが、なんとその歴史に幕を下ろし、ラジオ新時代を告げる番組ということで。働き方改革の波で帰宅時間が早まる人も増える中、余暇の過ごし方や趣味の提案、文化の発信をしていくという。それによってみなさんの生活を豊かにしていこうということでございます。

(熊崎風斗)はい。

(宇多丸)僕はもともとラップグループなんだけども、TBSラジオで一昨日の土曜日まで……一昨日ですよ。エンディングは熊崎さんも来てもらいましたけども。『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』という番組を11年間やっていたんですよね。そこでまあ、恥ずかしながら様々な評価もいただきました。2009年、ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞受賞などをして。すいませんね。こんなね、自分の話はいいんですよ。

(熊崎風斗)いや、ラジオ界きってのパーソナリティーということで。

(宇多丸)申し訳ございません。本当にね。で、まあそれで65年の歴史を受け継いで、新カルチャー番組を……『ウィークエンド・シャッフル』は割と映画評であるとか、様々な切り口のカルチャー紹介とか。あとはまあ、後ほどやりますけども「新概念」ですよね。様々な新概念。新しい概念。まだ日本では知られていないけど……みたいな。

(熊崎風斗)これからどんどん。

(宇多丸)どんどん入ってくるよ、みたいな。KOKOU(孤高)とかですね。マゾ飯みたいな。もうアメリカじゃあ普通ですけども。

(熊崎風斗)フハハハハハッ! 日本だと?

(宇多丸)日本だとまだ知られていない。ア↑コガレみたいな様々な概念を提唱して。要はいろんな形で生活を楽しもうじゃないかっていう、そんな番組をやっていたんですけども……65年の歴史ってやっぱりさ、あんまり意識していなかったのよ。「ああ、空くんですか? 空くんなら、やりまーす」みたいな感じですっごい軽く受けちゃったんですよ。そしたらなんか、ねえ。「野球VS宇多丸だ」なんて話をされちゃって。

(熊崎風斗)結果的に、構図的にはそうなり始めているというか。

(宇多丸)他局のみなさんはまだ全然野球中継をされている時期ということですからね。

(熊崎風斗)そうですね。はい。

(宇多丸)ちなみに熊崎さんも野球中継とか、ねえ。

(熊崎風斗)私はもうバリバリの野球中継やっていましたし。

(宇多丸)先ほど言っていたのが、「だから僕は野球側の人間なんで……」って。いきなりインサイダーにとんだ……。

(熊崎風斗)いやいや、だから僕はなんとも言えない……ここに座っている立場としてはいろんな思いを背負って……。

(宇多丸)なんだよ! いろんな思いを背負ってんじゃねえよ!

(熊崎風斗)この番組にやる気満々で来ているんですけども、いろんな思いは背負ってます。この細い背中にいろんな思いを背負って。

(宇多丸)まあね、もちろん野球を楽しみにされている方は「なんだ!」ってこともあるかもしれませんけども。ただまあこの番組も追い追い、「ああ、これは結構意外といいじゃないか。意外と捨てたもんじゃないよ」ってきっとなると……ラジオはなかなかさ、いったん受け入れていただくとすごくみなさん、長く聞いていただけるけど。受け入れていただけるまでに結構時間がかかるってこと、あるじゃないですか。僕、最初に言われましたよ。『ウィークエンド・シャッフル』を始める時、11年前に「反応は2年かかる」って言われましたよ。

(熊崎風斗)ほう。

(宇多丸)なんで、僕の場合はもう65年に対するこれですから、はっきり言って5年はいいの悪いの言うな! 評価とか、そういうのは受け付けない。あと、数字とかそういうのは……。

(熊崎風斗)フフフ(笑)。

(宇多丸)数字とか……僕、数字も別にまあそんなね、「もともとなかった枠であれなんだから数字とかいいんでしょ?」とか言っていたんですけど。やっぱり如実にね……あとほら、TBSがよせばいいのに、100期連続1位って。

(熊崎風斗)そうですね。最近の話題としては。明るい話題です。

TBSラジオ聴取率V100

(宇多丸)とか言っているじゃないですか?

(熊崎風斗)これ、101期が……。

(宇多丸)そう。101期で逃しましたって……そんなの、逃すかもしれないよ? でもそうすると、なんか見え面としてはっきり俺のせいみたいなさ。

(熊崎風斗)数字がどうこう関係なく、たしかになにがじゃあ番組として大きく変わったんだ?ってなったら……「ここだ!」っていうね(笑)。

(宇多丸)そう。「ここだ!」ってなるじゃん? 様相がはっきりしすぎちゃってさ。こんなこと、ある? TBSラジオ全体の責任とかさ。あと、野球VS宇多丸ってさ……相手、人間じゃないの? みたいなさ。番組ですらないんですよ。野球ですよ。1ジャンル。

(熊崎風斗)たしかに。国民的スポーツが相手。

(宇多丸)国民的スポーツVS個人……『300』っていう映画はご存知ですか? スパルタ軍っていうのがね、ペルシア軍の大軍。何万人というペルシア軍とたった300人で戦った。『300』。あれだってまだ人間VS人間だよ! なんだよ、宇多丸VS野球てよ? 無理だろ、そんなもん!

300<スリー ハンドレッド> (字幕版)” style=”border: none”></a></div>
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Posted at 2018.4.2
ザック・スナイダー, カート・ジョンスタッド, マイケル・B・ゴードン, フランク・ミラー, フランク・ミラー, ジャンニ・ヌーナリ, マーク・カントン, バーニー・ゴールドマン, デボラ・スナイダー

(熊崎風斗)ここに打ち勝てば……「打ち勝つ」って、なにをもって「打ち勝った」なのかも相手が人間じゃない分よくわからないっていうのはありますけども。

(宇多丸)まあ、いちばんわかりやすいところでは端的に数字です。数字、カネ。

(熊崎風斗)「数字、カネ」(笑)。

(宇多丸)知ってますか? ラジオで大事なのは数字とカネですよ。どっちかと言えば、カネです。

(熊崎風斗)カネ(笑)。カネを生めば(笑)。

(宇多丸)フハハハハハッ! カネさえ生めば……というね。まあ、熊崎さんはずっと『興味R』っていうね。

(熊崎風斗)まさに先週のこの時間ですよね。

(宇多丸)だからずっと、ある意味この時間帯のパイセンじゃないですか。パイセン。

(熊崎風斗)とはいえ、同じ月曜の6時台でこんなに空気感の差があるのか?っていうぐらい僕は緊張していますよ。いま。

(宇多丸)ああ、そう? じゃあ『興味R』は緊張していなかった?(笑)。

(熊崎風斗)なんかね、スタッフを含めみんなフワッとしたまま本番に入っていくっていう……。

(宇多丸)フハハハハハッ! 怒るわ。『興味R』スタッフもいっぱいいるじゃないですか!

(熊崎風斗)プロデューサーは笑っているんで大丈夫です。

(宇多丸)僕も1回、お邪魔しましたね。

(熊崎風斗)そうですね。(コンビニの蕎麦の)ほぐし水を飲んだりね。

(宇多丸)そうそう。蕎麦のほぐし水。なんでこんな目にあうんだ?っていう話だけどさ。えっ? ああ、そろそろメニュー紹介に行け? でも僕、まだ熊崎さんのこと、あんまり知らないからさ。

(熊崎風斗)まあ、追い追いね。

(宇多丸)追い追い。ただやっぱり、さっきガチャッと最初にスタジオに入ってきた瞬間、「あっ!」って思いましたね。「あっ、こいつは……」っていう。ただ、この「あっ!」が何かがまだ言語化できていないんで、追い追い。

(熊崎風斗)僕はポジティブにとらえていいですか?

(宇多丸)ポジティブです。あのね、なんか一言でいえば、パッと見てもう面白いんですよね。

(熊崎風斗)そんな面白要素はないビジュアルだと自分は認識していますよ。

(宇多丸)まあハンサムなかわいらしいベビーフェイスでね。でも、言われません? なんかパッと見て面白いって。

(熊崎風斗)いやー……言われますね(笑)。

(宇多丸)フハハハハハッ!

(熊崎風斗)でも僕もわからないですよ、それは。

(宇多丸)いい間をお持ちでね。今後ともよろしくお願いいたします。まあ追い追いやっていきましょうってことですかね。

<書き起こしおわり>

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