町山智浩 加藤浩次の吉本興業告発と韓国映画『共犯者たち』を語る

加藤浩次と近藤春菜 宮迫博之・田村亮記者会見と吉本興業を語る たまむすび

町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で吉本興業の社内の問題を告発した加藤浩次さんと韓国映画『共犯者たち』について話していました。

(町山智浩)山ちゃん、今日は落ち着かないでしょう?

(山里亮太)いや、本当そうですよ。町山さん、俺、どうしたらいいですかね?

(町山智浩)いま加藤さんがこれから吉本の上の方と話す準備に入っているんですよね?

(山里亮太)今日の夕方6時に会うっていう話を朝、言っていましたね。

(町山智浩)僕、こっちでも見たんですけども。スッキリで加藤浩次さんがぶっちゃけているところを。まあ、すごいですよね。

(赤江珠緒)そうですよね。相変わらずスパッとされた方ですよね。

(町山智浩)他のテレビ局、報道とかも含めて隠していたり曖昧にしていたところを全部自分でやりましたからね。その前の日なども含めて。

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(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)詐欺グループのダミー会社「CARISERA(カリセラ)」っていうところがスポンサーになった仕事を吉本がやっていたということも言っちゃったし。あとは東京と大阪の民放各社のほとんど全部が吉本興業ホールディングスの株を保有しているということも言っちゃいましたよね。だから、そのことがすごく証明されたのはその後の吉本興業の岡本社長の記者会見で、記者たちがまともな質問がちゃんとできないっていうことですよね。もう彼ら、芸能の方で来ているレポーターだからっていうのもあるんですけども。

要するに民放は吉本興業ホールディングスと利益共同体ですから。株を持っていて、儲けから配当金ももらいますし。だから「吉本興業のことはちゃんと追求できないよ」っていう風に言った通りのことが起きてしまっているので。ああいう風に先にバラされてしまっているんだから、会見には社会部とか政治部、報道部の人とかを入れてガチガチの質問をすればよかったのに、芸能レポーターみたいなのを入れてズルズルの質問で終わっていたり。これはもうまさに……。

(赤江珠緒)うんうん。

(山里亮太)これから、そういう質問も……こういう話が上がっているんだから、そういう質問をする人が出てきてその質問に対して答えるという場が設けられたりするんですかね?

(町山智浩)しないとマズいなと思うのは、そこで加藤さんのことをすごいなと思ったのは、要するにテレビ局、民放と吉本が完全に株でつながってひとつになってしまっているから。たとえば吉本に逆らった芸人さんをテレビに出れなくさせるっていうことも可能なわけですよね。もうひとつは報道もちゃんと追求をすることができない。だって、お金でつながっているわけですからね。

(山里亮太)最初の会見で田村亮さんが言って取り上げられたやつですね。

吉本興業の株主・民放各社の責任

(町山智浩)いや、加藤さんが言っていたのは、「株主たち……50%以上の株を保有している人たちならば、取締役を解任することができるんです」っていう風に言ったんです。今朝、言っていたでしょう? あれがすごいことなんですよ。「それなのに株主であるテレビ局はなぜ、吉本興業の株主総会を開いて、いまのこのブラックな状況をクリアにするために吉本興業の取締役たちを追求しないのか?」っていうことを言っているわけなんですよ。

(赤江珠緒)うーん! 結構大きいところに物申す感じになっていますね。

(町山智浩)これはすごいことですよ。彼が見ているのはもう吉本ではないですよ。全民放ですよ。

(赤江珠緒)でもテレビではそれを「加藤の乱」みたいな感じで報道していますけども。

(町山智浩)そんなレベルじゃないんじゃない? それこそ、TBSも含めた全部に対して言っているんでしょう。民放が持っている吉本興業の株は全部で47%なんですけども、株主総会を開くために必要な残りの3%っていうのは他にもヤフーとかソフトバンクなどが持っているわけですから。彼らもこういう風に吉本が非常に法的に曖昧なところにあるということに関して、自分たち自身もコンプライアンスの問題をちゃんとしたいというのであればそこに参加するから、株主総会を開くことはできるんですよ。だから、「それをやらないのか?」って言っているんですよ。彼がやっていることっていうのは大変なことですよ。

(赤江珠緒)そうですよね。でもそれにどれだけ応えたり、どういう風に変わっていくのか……。

(山里亮太)さらにそのことを聞くと、いまのこのような中で加藤さんのことがすごい心配になっちゃいますよね。

(町山智浩)それはもう完全に腹を括っているんだと思います。あとはスッキリも腹を括ったんだと思いますよ。

(山里亮太)そうですよね。言ったら、途中でCMに行くとか、そういう風にして「やめよう! 止めてください!」ってすることも……。

(町山智浩)そう。でも彼らはちゃんと放送をしたからすごいなって思っていて。ただ、やっぱりこうなるとひとつ大きいのは、契約に関して書類を交わしていないから、芸人さんはどのぐらい会社にピンハネをされているのかわからないという問題があるんですけども。でも、それはテレビ局側は知っているんですよね、実は。

(赤江珠緒)テレビ局側はギャラを支払っている方ですからね。

芸人のギャラと下請法の問題

(町山智浩)そう。だからテレビ局側の倫理というものも問われると思いますよ。要するに、この問題(親会社が下請け業者に支払いの明細を書面で交付する義務)というのは下請法っていう法律の範囲内のものなんですけども、下請法は資本金1000万1円以上の会社にしか適応をされないんですね。それで吉本興業は資本金が1000万円だからギリギリセーフになってしまうんですよ。(注:吉本興業は資本金1000万円。持株会社の吉本興業ホールディングスは資本金1億円)

(赤江珠緒)ああ、吉本興業さんは?

(町山智浩)年商が500億円なのに資本金が1000万円ってどうもおかしいんですけども。だからこの場合は公正取引委員会が動くべき事案なんですけども。このへんのグレーなところはどうなっているのか?って。

(町山智浩)ただ、公正取引委員会は内閣の下にあるんですよ。でもいまの内閣は法務省のPRの仕事を吉本に出したりとか、あとは首相が吉本新喜劇に出たりね。それから100億円を吉本とNTTの教育事業に出したり。それから2025年の大阪万博にも吉本がかかわっていたりして。

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(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)じゃあ、内閣の下にある公正取引委員会は全然動かないだろうなっていう気もするんですけども。

(赤江珠緒)ええーっ?

(山里亮太)あの……町山さん。俺、所属しているんですけど、どうなっちゃうんですか?

(町山智浩)いやいや、だからいま、大変なことになっているなって。加藤さん、すごいものを背負っていると僕は思うんですよ。

(山里亮太)いまって、じゃあひょっとしてこの世界、結構ガラッと動くことになるのか、それとも……。

(町山智浩)だから民放の上の方もコンプライアンスの問題になるから、全部上の方で協議をしていると思いますよ。株主総会を開くかどうか。

(山里亮太)僕らが芸能界で思っていた不思議な「あれっ?」っていうところとかが、変わってくるという、そういう時でもあるんですかね?

(町山智浩)まあ、少なくとも芸人さんとの契約に関しては書類を交わさなければならなくなるという方向に行かないとマズいだろうなと思いますけどね。

(赤江珠緒)じゃあ、もう社内だけの話では済まない事態だと?

(町山智浩)済まないでしょう。だって、ねえ。ただそれをスッキリがやったということで、本当に現場は戦っているなと思ったんですけども。最近、現場で戦っている人が多くて。NHKも戦っていますよね?

(赤江珠緒)うん?

NHKの現場の戦い

(町山智浩)この間、7月19日(金)にね、NHKのあさイチに久米宏さんが出て。元TBSアナウンサーの。で、彼が「いまNHKは人事を国家(総理大臣)に握られているから全然政府の批判ができないじゃないか」って言ったんですよ。NHKって経営委員会というものがあって、それが会長を選ぶんですよ。でもその経営委員会の委員は内閣総理大臣が任命するんですよ。

(赤江珠緒)もういま、人事権をいっぱい持っていますもんね。

(町山智浩)そうなんですよ。だから「その前のNHKの会長がダメだ」っていう風に久米さんが言ったんですけども、それはその前の籾井会長っていうのは「政府が右と言ったら左とは言えない」って言ってしまっていたんですよね。

(赤江珠緒)そうでした。

(町山智浩)でも、その体制がいまもNHKって続いているんですよ。で、それを久米さんが批判したんだけど、それって司会の博多大吉さんが「メディアのこれからってどうなんでしょう、久米さん?」って振ったから答えているんですよ。これ、最初から言わせる気でしょう? 現場は戦ったんですよ。

(赤江珠緒)うーん、どうでしょう? そのあたり、明日うかがってみないとわからないですけども……。

(町山智浩)わからない。「町山さん、そんなことないよ!」って言うかもしれないですけどもね。俺はあの振り方は戦ったなって思ったんですよ。で、NHKって実際にこの前、すごく大問題になったのは森友学園の国有財産の土地を実際にはゴミもなかったのに割引価格で払い下げしたということを暴いたNHKの報道の相澤冬樹さんという人が社内で報道じゃない部門に回されたという事件がありましたよね。それで彼も内部告発をしたんですよ。彼もすごく、加藤さんと同じでそれを全部暴露して告発をしていった人なんですよね。

(赤江珠緒)うんうんうん。

(町山智浩)そういうことが起こっていて。で、今日は実はすごくいいタイミングである映画が再公開をされるんで。その話をしたいんですけども。それは韓国のドキュメンタリー映画で『共犯者たち』という映画なんですよ。それは2017年に韓国で公開されて、日本では2018年の12月にすでに公開をされているんですけども。それが今度、ポレポレ東中野という映画館で8月7日、12日、18日と計3回、再上映をされるんですね。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)で、これはDVDが出ていないんで、ここで見ないと見れないんですけども。で、これは韓国の公共放送と公営放送……まあNHKみたいなところが韓国には2つ、あるんですよ。それが2008年から韓国の大統領になったイ・ミョンバク(李明博)大統領とその後を継いだパク・クネ(朴槿恵)大統領に人事を握られて完全にコントロールされたという事態を描いているんですよ。

(赤江珠緒)NHKと一緒じゃないですか。へー!

大統領にコントロールされた韓国の放送局

(町山智浩)同じなんですよ。で、この映画『共犯者たち』の監督はそこで報道部の人だったんですけども、不当解雇をされてしまったプロデューサーのチェ・スンホさんです。で、MBCというテレビ局なんですけども、彼が内部でいったいなにがあったのか? 現場でずっとカメラを回して撮っていて、クビになってもその後もずっとカメラを持ってそのテレビ局の中に突っ込んでいったり、テレビ局の関係者が歩いているところに突撃して話を聞いていったのがまとまったのがこの『共犯者たち』というドキュメンタリーなんですね。

で、これがNHKと非常によく似た会社KBSという放送局とMBCという放送局の2つがあって。KBSの方はNHKとそっくりなんですけども、MBCの方はもうちょっと民放寄りの放送局なんですね。株式会社なんですけども、人事は韓国の大統領府が関与しているんですよ。ただ、すごくイ・ミョンバク大統領が……この人は保守系の党の大統領なんですけども。非常にコントロールをしようとして両方の局長に自分の身内のものをつけたんですね。で、社員とか報道部が怒って。「これだと報道の中立性が保てない」ということでストライキとかをしたんですけども、それを200人とか300人、一斉にクビ切りをしてしまったんですよ。すごいことになって。その中に巻き込まれてこの監督のチェ・スンホさんもクビになっちゃったんですね。

(赤江珠緒)うんうん。

(町山智浩)で、この映画の中ですごいのは、録音をしているんです。要するに大統領の補佐官から直接電話が放送局のトップのところにかかってくるんですよ。で、「あれはいったいどういうことなんだ!」って。でも、それをちゃんと録っているんですよ。

(赤江珠緒)完全に圧力をかけているのを。

(町山智浩)そう。だからテープは回しておけっていうことですよ。でね、テープを回したり、あらゆる方法を使って録音をした方がいい。こういう場合の隠し録音はちゃんと裁判で証拠として採用されます。で、いまはテープじゃなくてもいろんなものがありますから。すっごい小さいのもありますからね。かならず録音をしておいた方がいい。本当に。で、これはそういうのが出てきますよ。ズバズバといろんな証拠が出てくるんですよ。で、いろんなことがあります。特にパク・クネ大統領の時、大変なことが起こりましたよね。セウォル号事件という、船が転覆してしまった事件。

あれに関しては政府は最初「死傷者なし」っていう政府発表をして、それをそのままKBSが垂れ流してしまった。だから政府の言いなりになっていたので誤報確認ができなかったんですよ。これが完全に政府のプロパガンダ機関となった政府がやってしまういちばん恐ろしい失敗ですよね。それと、あの有名なロウソク革命と呼ばれる、ロウソクを灯したパク・クネ大統領の退陣を求める人たちのデモも放送されなかったんですよ。

(赤江珠緒)そうか。あれだけの人がいたのに、放送をしなかった。

(町山智浩)これも今回、参議院選挙で山本太郎さんが街頭でいくらなにをやっても全く放送がされなかったというのとそっくりですけどもね。そういうことを韓国はやってしまったんですよ。で、もうどんどんとみんなクビになっていって、田舎に帰ってスケート場かなんかで働いたりしている人とかいるわけですよ。その中でがんばってこの監督のチェ・スンホさんが戦っていくんですけども。で、この映画のもうひとつ、すごいところはこのチェ・スンホさん自身が大統領にも直接、カメラを持って突っ込んでいくんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)すごいですよ、これ。すごい。で、やっぱり現場はみんな戦っているんですよ。上の方はやっぱりね、経営ですからね。違うんですよね。日本もNHKにしてもなんにしてもそうなんですけど、現場はみんな戦っているんですよ。僕はテレビ朝日の報道の方で番組をやっているんでね。現場は戦っていることが本当によくわかるんですよ。でも、上の方はみんな違って、政治家の人とお食事会とかをしちゃうんですよ。

(赤江珠緒)そうか。そうですね。

(町山智浩)で、この映画の中でもお食事会に連れて行かれるっていう話が出てくるんですよ。昼食会に。で、昼食会に行ってなんかやんわり言われちゃったら、やっぱりなにもできないんですよ。そのへんの昼食会の怖さ……お食事をしちゃダメですよ。

(赤江珠緒)そうか。なあなあになっちゃいますもんね。

「お食事会」の怖さ

(町山智浩)そうなんですよ。最近、この間まで日本も総理大臣が誰と食事をしたのか?ってどんどんと発表をしていましたけども。あれはちゃんと見ておいた方がいいですよ。お食事会っていうのにはものすごい力があるんですね。

(赤江珠緒)しかし人事権を持つっていうのはおかしいですね。

(町山智浩)そう。人事権を政府が握っていたらやっぱり公平な放送とか報道はできないですよ。それは。結局公共放送っていうのは国営放送ではないので。韓国にしても日本にしても。だから受信料を取っているんですね。韓国の方でも受信料を取っているんですよ。つまり政府からのお金だけで運営をするということにすると、完全に国営放送になってしまって、政府のプロパガンダ機関になってしまうので。独立を守るためにっていうことで受信料を取っているにもかかわらず、人事で独立していないからどうしようもないんですよ。

(赤江珠緒)そうですね。

(町山智浩)だからもう、この問題というのは久米宏さんが言った通りで。「それじゃダメなんだ。意味がないんだよ」っていう。これは本当にそうなんだなって思いました。ただね、本当に警察まで介入していって。すごいのはKBSの社長を退陣させるためにどうするのか?っていうと、イ・ミョンバク大統領は検察に手を回して……つまりこれは完全に三権分立違反なんですけども。検察に手を回して「KBSの経営があまり上手く行っていないから背任罪」ということで逮捕をしてしまうんですよ。社長を逮捕して退陣させるんですよ。

(赤江珠緒)はー!

(町山智浩)これ、恐ろしいなと思いましたね。そこまで、日本はなっていないですよね?

(赤江珠緒)なっていないと信じたいですよね。

(町山智浩)なっていない。自分たちからペコペコってしちゃう。つまり、戦う人がいないから。ただね、その中で会社を辞める人もいれば、辞めさせられる人もいて。で、どんどんどんどんと番組の中で報道番組を減らしていくんですよ。テレビ局、ラジオ局の中で報道番組がどんどんと減っていくんですよ。それでそこで働いている人たちをあまり関係のない軽い部署にどんどんと回していったりしてね。それは「視聴率が悪いから、利益が上がらないから」みたいな話をするんですね。特にMBCの方は利益を上げることが目的になっている……受信料制度ではないので。だから「番組、人気ないよ」って言われるんですけども、そういう「報道は利益を生まないんだ」っていう圧力はどこにでもあるんですよね。

(赤江珠緒)ああーっ!

(町山智浩)「なんで食っていると思うんだ? 報道で食っているわけじゃないじゃないか」っていう圧力って、どこでもあることですよ。で、そういうところに回されてしまった人たちは辞めていったりするんですけども。その中で1人のプロデューサーがもう我慢ができなくなって。Facebookで中継をしながら会社の中でいろいろと、ロビーとかで1人で「社長、やめろ!」って叫び始めるんですよ。とうとう。その人が。

すると奥さんがそこで心配をして、メールを打ってくるんですね。「あなた、そんなことをしたらクビになっちゃうし、警察に逮捕されるかもしれないわ!」とか言うんですよ。でも「もう俺は我慢ができない!」ってその会社のMBCのロビーで「社長、やめろ!」って言い続けるんですよ。すると、そこに人が集まってくるんですよ。で、みんなでそういう合唱をするんですよ。「社長、やめろ!」って。そこはね、非常に感動的でしたね。

(赤江珠緒)ああ、そうでしたか。そういう権力を健全なものにするとか、健全な権力としてキープをさせるには、やっぱり大多数の目がいりますね。

(町山智浩)そうなんですよ。だからどんどんどんどん内部で起こっている粛清であるとか抑圧みたいなことを社員がSNSとかで出していくということをするんですね。Facebookとかで。それで戦っていくんですけども。それで、この映画自体は2017年で終わっているんで。結局、その政府に握られた経営陣というものは変えられないまま、最後にプロデューサーたちが全面ストライキに入るところで終わるんですよ。2回目のストライキですね。すでにクビになったんで、残っている社員たちがまたストライキをするというところがこの映画の中であるんですけども。

経営陣がストライキに屈する

それで「どうなっちゃうんだろう?」って映画だけ見ると思ってしまうんですが、その後に結局経営陣はストライキに屈しました。この2つのテレビ局はストライキに屈して、政府によって任命された会長を解任しました。そして今度は政府が全くかかわらない形で社長を選ぶということになって、一般の人たち……視聴者とか。政府が決めた委員会ではなく、市民による委員会と一般視聴者による投票・評価を合わせて社長を選ぶという新しいやり方になったんですよ。それで、誰が社長になったのか?っていうと、このテレビ局MBCを解雇されていた映画の監督のチェ・スンホさんなんですよ。

(赤江珠緒)ええーっ! すごいですね。

(町山智浩)はい。革命が起こったんですよ。だから映画の中にはそれは映っていないんですけども。

(赤江珠緒)すごい! これ、映画以上にドラマチックですけども。実際にあったことなんですもんね。

(町山智浩)だから映画の外に感動はあるんですが。この映画のタイトルの『共犯者たち』っていうのは非常に大事なことですよ。つまり、政治家であるとか権力者であるとか企業であるとか、そういったものに対してちゃんとした質問をしない人は「共犯者」なんですよ。そういうことなんですよ。だから今回の吉本の件にしてもそうで、やっぱりちゃんとした質問をしないで、民放がちゃんと動かないようならば、その民放も共犯者になってしまうわけですよね。だからそういうことを加藤さんは突きつけたんだと思いますよ。

(山里亮太)それに対して、どんな答えが出てくるんだろう?

(赤江珠緒)そこをちゃんと見守らないとダメですね。

(町山智浩)これ、問われているのは民放ですよ。

(赤江珠緒)だからこそ、いま見ていただきたいと。町山さんも。

(町山智浩)そうですよ。NHKも参院選の後に自民党がね、「今回の選挙は私たちの勝利だから消費増税と憲法改正の発議についての国民の承認を得た」っていうコメントを出して、それをそのまま垂れ流したんですけども。だけど自民党は今回の選挙、議席を10も失っているわけだから勝ってないですよね?

(赤江珠緒)そうでしたね。

(町山智浩)そういうことをやっているのはみんな共犯者ですよ。ということで『共犯者たち』、もうすぐ再公開なんで。ぜひご覧ください。

(赤江珠緒)『共犯者たち』はポレポレ東中野で8月7日、12日、18日に上映されます。

(山里亮太)町山さんも上映会、自分でも開きたいぐらいですね、これ?

(町山智浩)フフフ、はい(笑)。まあ、ぜひご覧ください。

(赤江珠緒)町山さん、ありがとうございました

(山里亮太)ありがとうございました!

(町山智浩)どもでした!

<書き起こしおわり>

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