町山智浩『バービー』グラミー賞最優秀映像作品サウンドトラック賞受賞を語る

町山智浩『バービー』グラミー賞最優秀映像作品サウンドトラック賞受賞を語る こねくと

町山智浩さんが2024年2月6日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で2024年のグラミー賞で『バービー』のサントラが最優秀映像作品サウンドトラック賞を受賞したことについて話していました。

(石山蓮華)昨日は世界最高峰の音楽賞と言われるグラミー賞の授賞式がありまして。そこで最優秀映像作品サウンドトラックアルバムは『バービー』のサントラが受賞しましたね。

(町山智浩)まあ『バービー』は本当に社会現象だったんですよ。アメリカではね。日本と韓国だけなんですよ。『バービー』が世界中でこけたのって。

(でか美ちゃん)らしいですね。もっと見られてもいいような……とは思いましたけどね。

(町山智浩)日本と韓国に大きな問題があるんだと僕は思うんですよね。

日本と韓国ではこけた『バービー』

(石山蓮華)でもなんか、二つの国はどちらとも儒教的な考え方というか。まあ、家父長制が今もしっかりと残っている国ですよね。

(町山智浩)まあ家父長制が当たり前のところだからね。男尊女卑のね。だからね、日本ってネットとかでフェミニストとかに対する攻撃って、すごいじゃないですか。韓国の方がもっとひどいんですよ。

(石山蓮華)なんか本とかを読むと、フェミニスト側のミラーリングのところもそのすごい、かなり苛烈でニュースになったりしてるらしいというのを読んだことがありますね。

(町山智浩)韓国は大変で。本当に自殺者がバンバン出るからね。ネットのいじめで。まあ日本はまだマシとはいえ、似たようなもんなんでね。

(でか美ちゃん)韓国の方が結構、その女性アーティストとかアイドルがフェミニズム的な歌もリリースしていたりとか……反発はもちろん食らうだろうけど、発信もしやすいのかな、とか思いますけどね。曲しか聞いてないからわからないけども。

(町山智浩)そうですね。日本は歌わないもんね。フェミニズム的な歌を歌っている歌手って、僕はちょっと日本では知らないんすけど。いますか?

(でか美ちゃん)ちらほらいたりとか。

(石山蓮華)インディーズのシーンとか、女性のフィメールラッパーとかだと……。

(町山智浩)ああ、ラッパーとか。アイドルにはいないですよね?

(でか美ちゃん)でも私、ハロープロジェクトが好きなんですけども。そんなにバシッと言い切るような歌詞ではなくとも、そういうようなことを歌っているなとか。シスターフッドの話をしてるなっていう歌は近年、増えてきてはいますけどね。

(石山蓮華)過渡期っていうことなんでしょうね。

(町山智浩)このグラミー賞で思ったのはとにかくシンガーソングライター、自分で歌詞を作ってる女性たちばっかりなのね。で、男性がほとんどいなくなってしまったのね。

(でか美ちゃん)そうなんですね。男性も頑張ってほしいって思いますけどね。

(町山智浩)男はもう本当に数が減っちゃって。あれだけ男性優位って言われていたアメリカの音楽界がもう本当に、もう女性の作詞・作曲してる人ばっかりになっちゃったというね。すごい大きい転換がね、あったと思いますよ。だから逆にあの『バービー』のね、『I’m just Ken』っていうのが侘しく響いてきていいんですけどね。「俺にはなんにもねえよ」っていう曲ですけどね。

『I’m Just Ken』

(でか美ちゃん)でも改めて思い出しても私はやっぱり『バービー』、好きな映画ですね。

(石山蓮華)私もすごく好きな映画です。

(町山智浩)あれもね、あまりにも当たったんでね。「続編を作れ、作れ」って言われていて。すごい困ってるみたいですけどね。

(石山蓮華)どうなるんだろう?

(でか美ちゃん)見てみたい気もするし。ねえ。あれが完成されたものだという感じもするから。

(町山智浩)ねえ。だって主人公はバービーじゃなくて、人間になってしまったわけだから。それから人間の世界で冒険を始めるわけで続編も面白くなりそうな気がしますけど。あと『ゴジラ-1.0』がすごく当たってるでしょう? アメリカで。もう大ヒットなんですけど。あれもだから、ものすごくお金が入ってきてるし。アメリカのその興行側も「あんなに当たったんだから続編、作れ!」って東宝にプレッシャーをかけてると思うんですよ。でも、あれもすげえ続編が作りにくい映画で。ご覧になりました?

(でか美ちゃん)いや、ちょっと見れてなくて。

(石山蓮華)私もまだ見ていないんですよ。

(町山智浩)ああ、本当に? 見るとね、続編ってある一定方向にしか行かない終わり方になってるんですよ。でも、そこから想像する続編ってのはとんでもない内容なんですよ。『ゴジラ-1.0』って。ある、非常にお美しい方がゴジラになる可能性があるんですよ!

(石山蓮華)なんですと?

(町山智浩)「俺、この終わり方にしちゃってどうするんだ? 監督、続編を作れって言われたら?」って思いながら見てましたけどね。

(でか美ちゃん)「見なきゃ」と思いつつ。でも、売れたら「続編作りましょう」っていうのもなんかね……とかも思っちゃいますけどね。

『ミッション:インポッシブル』は続編を作れない?

(町山智浩)まあね。逆に『ミッション:インポッシブル』ってあったでしょう? あれ、めちゃくちゃ面白かったんですけど、こけちゃったんですよ。製作費がかかりすぎちゃって。『デッドレコニング』っていう。あれ、前編・後編という形で前編として公開したんですけれども。その前編がこけちゃったから、後編の製作費がなくなっちゃったんですよ。

(でか美ちゃん)ええっ! それこそ続き、見たいよ! あんな命がけで。

(石山蓮華)あんな続く感じでね。

(町山智浩)でしょう? でもね、だから「前編」っていう風に言うのをやめちゃったんですよ(笑)。映画公開時は『デッドレコニング PART ONE』っていう風に言っていたんですけども。お金がないから後編は作らないっていう(笑)。

(石山蓮華)興行って、シビアですね。

(町山智浩)厳しいけど。ただ、『ミッション:インポッシブル』についてはシナリオを書かないで、どうなるか考えないで前編だけ適当に作ってますから。いきなり「後編なしよ」って言われても、また何とかするでしょう。トム・クルーズは。まあ、どういう世界なんだ?って思いますけどね(笑)。

(でか美ちゃん)そういうのを聞くとね、やっぱりいい作品は「いいぞ!」って自分でも言っていかないとって思いますね。

(石山蓮華)そうですね。

<書き起こしおわり>

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