プチ鹿島さんがTBSラジオ『荻上チキ Session22』に出演。鹿島さん自身が実際に体験したオヤジジャーナルの正体や、最新のゲンダイ師匠のヒット作について語っていました。
(プチ鹿島)で、もうひとつがね、僕は普段オヤジジャーナル、オヤジジャーナルって言って。改めてご説明しますと、まあ週刊誌とか新聞、タブロイド紙、スポーツ紙。そういうオヤジが発信してオヤジが受信してるんじゃないか?っていうのを否定するんじゃなくて、それを見守っていくっていう。読み比べしていくっていう風になったら、そのオヤジジャーナルの大仰さというか、それも含めてちょっと楽しくなっちゃって。それをこの2・3年言ってるんですけど。最近このオヤジジャーナルをね、僕体験したんですよ。
(荻上チキ)ほう!体験?
(プチ鹿島)はい。それが荒川強啓さんの『デイ・キャッチ!』という番組で。8月の末なんですけど、石破茂さんがおいでになったんですね。ちょうどあれですよ。だから内閣改造前で。石破さんが幹事長からなんだったら格下げになって、地方創世大臣ですよね。に、なるんじゃないか?っていう。それも安倍さん側から圧倒的に情報が流れて、既成事実みたいになって。石破さんはそれに対してなにも言ってなかったじゃないですか。
(荻上チキ)はい。他の担当大臣とかありました。
(プチ鹿島)その時にデイ・キャッチ!に来たんですよ。で、僕がたまたま、僕も出てたんで。僕が担当した役割っていうのが、石破さんに視聴者からの質問をぶつけるという、そういう役をやらせていただいたんですね。
(荻上チキ)メールやTwitterで。はい。
(プチ鹿島)で、まあ柔らかい質問として『好きな歴史上の人物はいらっしゃいますか?』って言ったんですよ。質問が来て、僕が聞いたんです。そしたら、『小村寿太郎』っておっしゃったんですね。で、僕がそこはチャチャを入れて。たとえばああいう時期で、要は『明智光秀とはどうですか?思わず天下とっちゃったみたいな』と。要は、それを受ける・受けないで、来年の総裁選に石破さんが安倍さんと対決するんじゃないか?と言われた時だから・・・
(荻上チキ)やや謀反の・・・
(プチ鹿島)そうなんです。そうなんです。で、チャチャを入れたら、意外と乗ってくださって。『そうですね。光秀も好きですよ。石田三成も好きですよ』って。まあ、それで和やかに終わったんですよ。で、あの後1週間後ぐらいに、週刊現代。日刊ゲンダイじゃないですよ。週刊誌に、こういう記事が出たんです。『内閣改造 報じられない内幕 安倍対石破 死ぬのはお前の方だ!』っていうね。これ、オヤジジャーナルらしいじゃないですか。この大仰で・・・
(荻上チキ)デカい!
(プチ鹿島)で、『永田町インサイドレポート』って書いてあってね。これを読み始めたら・・・
(南部広美)インサイドレポート?
(プチ鹿島)デイ・キャッチ!のそのやり取りの部分が冒頭に使われてるんです。『明智光秀、石田三成、嫌いじゃないですよ。8月25日、TBSラジオでの石破氏の発言より』。で、この週刊現代の巻頭記事。この後、解説を続けるんですね。『光秀、三成はそれぞれ時の最高権力者である織田信長、徳川家康に反旗を翻し、戦いを挑んだ戦国武将だ。敗れはしたが、両者とも近年になって再評価され人気が高まりつつある。このタイミングで石破氏が自らを光秀や三成になぞらえたことは明確にその意思を物語っている。安倍晋三を討つ。彼は天下にそう宣言したのだ』って、ぜんぜん違うんですよ、これ。
(荻上・南部)(笑)
(プチ鹿島)ぜんぜんこれ、大げさなんですよ(笑)。
(南部広美)なんかのナレーションですか?(笑)。
(プチ鹿島)ぜんぜん違いますよ(笑)。これがね、オヤジジャーナルの正体なんですね。
(南部広美)正体(笑)。
(プチ鹿島)これ、いま説明したように、僕がリスナーからの質問を、ねえ。『明智光秀はどうですか?』って言ったら、『ああ、いいですね』って言ったらそれで終わったものが、もうオヤジジャーナルにかかると、『安倍晋三を討つ。彼は天下にそう宣言したのだ』っていう、大仰な記事になるんですね。これ、だから僕も一枚かんじゃったんで。オヤジジャーナルに登場できた、もう記事を作れた!って興奮したんですよね。
(荻上チキ)その回、武田さんが一緒に出てて。で、そん時に重要な発言を引き出した日ですよね?
(プチ鹿島)そうです。その回です。ところが、週刊現代さんが引いてくれたのは僕の質問だったんですよ。『安倍晋三を討つ。彼は天下にそう宣言したのだ』。
(荻上チキ)(笑)。もっと大きい発言、あったけどなあ。
(プチ鹿島)そうなんですよ。だからあれですよね?『100%、安保大臣は意見が一致する人がいい』っていう、武田さんが引き出した発言。で、これがバーッとひろがりましたけど。
(荻上チキ)暗黙のうちに『一致しないから入閣しない』っていう宣言として。
(プチ鹿島)はい。だけど週刊誌にかかると、こういうもう・・・やっぱり歴史物ってオヤジ、好きですからね。だからあの、あれですよ。石原慎太郎さんの息子の伸晃さんのことを、谷垣さんを制してね、自分が幹事長に出た時、『永田町の明智光秀』って言って興奮してましたけど。誰もそれ、響いてないですからね。永田町と新橋以外は。
(荻上チキ)(笑)
(南部広美)新橋ね(笑)。永田町と新橋。
(プチ鹿島)だからオヤジジャーナルを受信するのは僕、新橋だと思ってますんで。
(南部広美)SL側の方だけ?
(プチ鹿島)そうです。そうです。誰も『永田町の明智光秀』なんて伸晃さんのことを言ってないでしょ?それが踊ってるんですよ。オヤジジャーナルの記事では。だからそれを『バカらしいな』って言うんじゃなくて、『面白いなー。あ、そうか。こういう歴史になぞらえて興奮してるんだ』と思ったら、ついにこういう記事がね。僕も一枚かまさせていただくことができて。うれしかったですね。で、次。まあその時の、石破が盛り上がっている時の、お待たせしました。日刊ゲンダイ。僕の大好きなゲンダイ師匠ですね。
(荻上チキ)おお、いよいよ。
(プチ鹿島)まあ、毎日怒ってらっしゃるんですよ。僕は本当にこういう半笑いのニヒリズムの時代に毎日真剣に怒っているゲンダイ師匠って僕、本当に愛すべき存在。貴重な存在で。僕、買うべきだと思うんですよ。みなさん。で、これが9月8日付の新聞で。要はみんな、ね。これもなんだったら、安倍さん・石破さんって結局自民党の話で盛り上がっているわけじゃないですか。
(荻上チキ)そうですね。
(プチ鹿島)で、その報道にゲンダイ師匠は意義を唱えているわけですね。こう書いてあります。『タカ派同士の愚劣な権力闘争を安倍・石破とプロレス興行のような構図で伝えたりする。政権に与するだけのメディアがでっかい顔し、それに流される世相が恐ろしい』って、ズバッと。まあまあ、そうだなと。
(荻上チキ)結局踊らされているじゃないかと。
(プチ鹿島)そうです。そうです。『安倍・石破、結局自民党に利用されているじゃないか。それだけを報道して。もっと違うことも報道しろよ!』って。ゲンダイ師匠は1面で斬ってるんですよ。本当、そう思う!と思って中をこう見たら、見開きでですね、『安倍晋三対石破茂大特集』っていうのをやってまして。
(荻上チキ)(爆笑)
(南部広美)すごい写真ですね!しかも!
(プチ鹿島)これ、見開きでやってるんですよ。これ。
(荻上チキ)同じ回の?
(プチ鹿島)これ、誰か気付かなかったのかな?って。これ、ファッションから人相学から、奥さんの比較から麻雀の腕前から全部、これ。2ページ見開きで安倍晋三対石破茂っていう大特集をやってるんですよ、これ。これ、さっき1面でね、『安倍・石破だけを構図で伝えたりする。そんな愚劣なメディア』って・・・
(南部広美)麻雀、ゴルフ、お友達、家族が・・・
(プチ鹿島)これ、ファッションなんかすごいですよ。これ、安倍さんのことを『ストライプのこだわりを捨てた安倍』って考察してて。石破さんのファッションは『バブル期ひきずる石破』って。ものすごい丁寧にね、考察してるんです。で、人相学。『顔の相性は最悪』。
(南部広美)そこまで占う?
(プチ鹿島)だからどの新聞よりも丁寧に安倍対石破をね、こんなカラー2ページ・・・これ、気付かなかったのかな?と思って。これ、1日ずらせばね、これ面白い。ああ、こういう記事、おもしれーなと思うんですけど。1面で『安倍対石破に釣られるバカメディア』みたいなことをおっしゃってるから。これ、面白かったですね。もうさっそく、『ゲンダイブーメラン』って僕は呼んでるんですけど。これが面白かったです。
(荻上チキ)まあ、でも言論の多様さをね、実践してますわね。
(プチ鹿島)そうなんです。そうなんです。これがだから僕の中での最近のゲンダイ師匠のヒットですね。
<書き起こしおわり>