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吉田豪と宇多丸 歌手・矢野有美を語る

吉田豪と宇多丸 歌手・矢野有美を語る アフター6ジャンクション
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吉田豪さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。歌手・矢野有美さんについてコンプリート盤の音源を聞きながら話していました。

「ガラスの国境」+「MAKIN' IT(+5)」 [EGDS-88/89]

(宇多丸)ということで今夜は、先ほどね、矢野有美さんとおっしゃっていましたけども。あらためて吉田さんから矢野有美さん、どんな方だったのか……それこそ熊崎くんなんかは生まれる前?

(熊崎風斗)そうなんですよね。1989年生まれですから。その前にご活躍をされたという。

(宇多丸)さあ、ということで矢野有美さん……。

(吉田豪)はいはい。簡単にご説明します。矢野有美さんは1966年生まれで資生堂のシャワーコロンのCM用に集められた7人組アイドルグループ「シャワー」のメンバー。村上里佳子さんも所属していて、シナロケの鮎川誠さんの曲とかも歌っていた結構いいグループではあったんですけども。これがアルバム1枚で消滅をして。

(宇多丸)あんまり売れなかった?

(吉田豪)そうですね。これも復刻をされていないんですけども。その後、結構活躍としては『宇宙刑事シャリバン』に出たりとか『金曜日の妻たちへ』に出たりとかぐらいの感じで。その時期に出演した映画も実は完成してしばらく公開されなかったりして結構不遇だったんですが、そうやって公開されない間にその主役が有名になり……っていうのが菊池桃子主演、鈴木則文監督の1984年3月公開の『パンツの穴』という。

(宇多丸)ああ、『パンツの穴』は撮られてから時間がたってから公開された?

(吉田豪)1983年の夏には完成していたのに、84年3月まで公開されなかったっていう。

(宇多丸)へー! 1年以上寝かされていたんだ。

(吉田豪)ただ、これが公開されていきなり菊池桃子さんもドーンと売れたんで。じゃあ、準主役の矢野有美さんもレコードデビューみたいな。

(宇多丸)『パンツの穴』で誰がかわいいって矢野有美さんですよ、だって!

(吉田豪)おお、食いついた(笑)。

(宇多丸)ムキンポこと山本陽一さん……。

(熊崎風斗)フハハハハハハッ!

(宇多丸)そういう役なんだから!(笑)。

(吉田豪)しょうがない(笑)。

(熊崎風斗)ああ、そういう役なんですね(笑)。

(宇多丸)ムキンポはすごい菊池桃子さんのことが好きなんだけど、どっちかっていうといい感じになっているのは矢野有美さんの方じゃないですか。だから「お前、こっちとくっつけよ!」みたいにずっと思いながらね。

(吉田豪)素晴らしい映画ですよね。これね。

(宇多丸)最高の映画ですよ。これ、アトロク映画祭をやるんだったら『パンツの穴』をやりたいですけどね。

(吉田豪)こんなに画期的にウンコばっかり出る映画、ないですよ。

(宇多丸)クライマックスね、ウンコのかけあいで。それを武田鉄矢の宇宙人がUFOに乗って説教しにくるっていうクライマックスですよね。これ、本当ですから! 僕、嘘を言ってません!

(熊崎風斗)なんという……(笑)。

(吉田豪)頭、おかしな人ですよね(笑)。

(宇多丸)本当ですから! まあ、そんな『パンツの穴』。たぶん矢野有美っていうと『パンツの穴』で記憶している人が多い?

(吉田豪)そうですね。

(宇多丸)ただ僕、音楽活動は全然チェックをしていなかったです。

(吉田豪)なぜか?っていうと、やっぱりCD化をされなかったんですよね。テクノ歌謡とかのコンピとか出た時も彼女の曲だけは全然入れられないっていう状況だったんですよ。

(宇多丸)なるほど。手に入れづらすぎて?

(吉田豪)それが今回、ついに2枚組でコンプリートで出たという。

(宇多丸)それもね、すごい。こんなことがあったんだ。なぜ、このタイミングで?

(吉田豪)ようやくなんかね、盤起こしでできたみたいですよ。

(宇多丸)なるほどね。ということで、矢野さんの音楽活動……じゃあ、結構曲は出されている?

(吉田豪)それほどでもないんですよ、実は。まあ、だから2枚組で全部入ったんですけども。でも、これが紆余曲折ぶりも含めて面白いのでちょっと簡単に説明をしますけどね。まず、だから歌手としてデビューシングル……85年の1月デビューなんですけども、最初のデビューシングル『経験・美少女』、セカンドシングル『キュートにeyeして!』ってどっちもカップリング曲も含めて松田聖子の『青い珊瑚礁』と同じ三浦徳子さんと小田裕一郎のタッグ。

(宇多丸)おお、黄金コンビ!

(吉田豪)そうなんですよ。黄金コンビ。要は初期の松田聖子のスタッフを使って初期の中森明菜風な不良っぽい曲をやるという。

(宇多丸)あの、ルックスもちょっとね。

(吉田豪)明菜感があったんですよね。ただ、そのちょっと歪んだ感じも含め、そしてちょっと地味な感じだったせいか、セールスも地味に終わって。実はシングルは3枚しか出していないんですけど、シングル3枚目で急激に方向転換をするんですよ。

(宇多丸)ほうほう。

(吉田豪)85年7月発売のサードシングル『夏への手紙』っていうのが、要はテクノ歌謡路線に一気に行くんですね。PSY・Sの松浦雅也さんの作曲でムーンライダーズの岡田徹さんの編曲により、これがとんでもない曲なんでちょっと聞いてほしいという感じで。

(宇多丸)なるほど。では、ぜひ曲紹介をお願いします。

(吉田豪)はい。矢野有美さんで『夏への手紙』。

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矢野有美『夏への手紙』

(宇多丸)ずっとサブで聞いているスカート澤部渡さんも「いい曲!」っていってね、澤部さんも太鼓判を……。

(熊崎風斗)いま、両手を上げていますよ。

(吉田豪)このアルバム、素晴らしいです。

(宇多丸)やっぱり知る人ぞ知るというか、知っている方はみなさんご存知なんですね。まあ、たしかにコード進行から音色から、もうテクノ歌謡の王道でありつつ、85年ならではのこの時代感もありつつ。素晴らしい!

(吉田豪)最高なんですよ。で、この後の85年9月にデビューアルバム『ガラスの国境』が出まして。これもやっぱりムーンライダーズの岡田徹さんが全曲プロデュース、全曲編曲で。ムーンライダーズ勢とか元シュガー・ベイブの村松邦男さんとかも参加しているという。

(宇多丸)じゃあ、音楽的には絶対にいいやつですね。

(吉田豪)ポータブル・ロックのカバーとか。ECDさんがレゲエ歌謡ミックスCDに入れた曲とか、結構幅広くいろんな曲をやっていて。じゃあ、もう1曲このアルバムから聞いてください。矢野有美さんで『Marine Blue』。

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矢野有美『Marine Blue』

(宇多丸)はい。矢野有美さん『Marine Blue』という曲を聞いていただいております。ちょっと不思議な感じの曲のバランスですね。

(吉田豪)ちょっとフレンチ・ポップっぽくあるけど……。

(宇多丸)曲調はフレンチ・ポップなんだけど、音色がテクノ歌謡感なのかな?

(吉田豪)さすが岡田徹さん!っていう感じの。で、こんな感じの素晴らしいアルバムなんですけども、85年1月にデビューして7月に方向転換をして。大変なんですよ。85年12月にまた方向転換をします。

(宇多丸)えっ、また? 1年たたずに?

(吉田豪)今回の復刻で当時のプレスシートとかもついているんですけども。「矢野有美、ロックします」っていうね。ロック宣言をして……。

(宇多丸)まあちょっとね、我々歴史を見てみた側からすると「危ないな!」っていう感じがする……。

(吉田豪)本田美奈子ロック宣言とかいろいろありましたね。菊池桃子ロック宣言とか、不安になるやつなんですけども。で、ロック宣言で12インチを出すんですが。

(宇多丸)当時、12インチシングル、流行りましたからね。

(吉田豪)そうです。これが12インチなんですけど、ロック宣言って言いながらディスコ歌謡路線の洋楽カバー集です。

(宇多丸)全然ロックじゃないわ!

(吉田豪)全然違うんですよ。

(宇多丸)でも、どっちかというと我々はこれ、好みかもしれませんね。

(吉田豪)そういうことです。で、ちなみにいま聞くと新たな発見があるのが、要は荻野目洋子の『ダンシング・ヒーロー』の原曲であるアンジー・ゴールド『Eat You Up』の日本語カバー。つまり、荻野目バージョンとは全く別の日本語詞の……。

(宇多丸)『ダンシング・ヒーロー』のまた別の形っていう?

(吉田豪)バージョンということです。別の形で日本語カバーをしたのがあるので、ちょっと聞いてみましょう。矢野有美で『Eat You Up』。

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矢野有美『Eat You Up』


※動画4:15からスタートします

(宇多丸)すごい不思議になる……矢野有美さん『Eat You Up』を聞いていただいております。

(吉田豪)よく知っている曲のはずなのに、全然知らない曲っていう(笑)。

(宇多丸)フハハハハハハッ! ねえ! でも、なるほど。こういう時代感も……歌詞が面白いですね(笑)。

(吉田豪)ねえ。「2010年」っていう(笑)。

(宇多丸)「2010年の恋人たち」。

(吉田豪)未来の恋人たちですよ。

(宇多丸)80年代半ばだから『ブレードランナー』とか『AKIRA』とかそういう近未来物みたいなのが流行ったんですよね。そういう世界観かな? いや、いいですね。時代感があって。いや、好物ですよ、これ。

(吉田豪)で、もっと好物だと思われるのがあるんですよ。今回、この非売品のプロモーション盤の7インチのみに収録されていたこの『CUPID GIRL』っていう曲のアレンジバージョン。それを手がけたのが藤原ヒロシ&屋敷豪太という。

(宇多丸)おおーっ!

(吉田豪)この85年のセンスでアレンジをしているので。

(宇多丸)要は85年っていうことは、ヒロシさんも豪太さんもまだ全然若者中の若者だし、無名だし。僕、宝島でヒロシさんの名前とか写真とかを見たことがあるぐらいかな? で、当然まだメジャーフォースとかもやる前だし。クラブ文化そのものもまだ全然盛り上がる前。

(吉田豪)そうです。

(宇多丸)リミックスっていうことね。要はアレンジバージョン。

(吉田豪)じゃあ、聞いてみましょうか。矢野有美で『CUPID GIRL ROLLER COASTER VERSION』。

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矢野有美『CUPID GIRL ROLLER COASTER VERSION』

(宇多丸)はい。ということで矢野有美さんの『CUPID GIRL』の藤原ヒロシさんと屋敷豪太さんによるリミックス、『ROLLER COASTER VERSION』っていうのを。これ、超レアバージョンっていうことですよね。

(吉田豪)どうですか、これ?

(宇多丸)いや、熊崎くんに一応フォローをしておくと85年当時は洋楽の……たとえばデュランデュランとかの12インチもこういう、なんかやりすぎた感じのエディットっていうのをね。

(吉田豪)12インチにはかならずこういうリミックスがついているものっていう。

(宇多丸)入っていて。こういうエディットですごい切り刻んでメガミックス調にしたみたいなのは当時の世界……だから、これ音はすごいですよ。はっきり言って。

(吉田豪)ストリート・スライダーズですら入っていましたからね。当時(笑)。

(宇多丸)いまの耳で聞いてもすごいかっこいいんだけど、それにしてもやりすぎ(笑)。

(一同)フハハハハハハッ!

(宇多丸)いや、でもすげーかっこいい。さすが! このお二人、さすがでございます。これもね、熊崎くんが生まれる前の話ですよね。

(吉田豪)こういう素晴らしいリリースがあって、さっきのこのプレスシートに「今後の矢野有美の発言、行動、楽曲の内容に注目しつつ、応援してください」って書いてあるんですけど、リリースはこれが最後になるんですね。これで彼女は歌手活動を終えて86年にはカリフォルニアに留学し、87年には現地の白人男性と結婚&出産。その後、元アイドル的な活動もメディア露出もほぼないので、僕もだからその後のこともろくに知らないまま……という。

(宇多丸)なんかでも帰国されたっていう情報もありますけどね。

(吉田豪)そうなんですよね。

(宇多丸)モデルさんをされていたなんていうのもありますけども。いやー、でも全然わかっていなかったですね。特にこの後期の『CUPID GIRL』のこれなんか、絶対に聞けないですもんね。プロモの。今回、すごい。本当にコンプリートなんですね。

(吉田豪)そういうことです。全曲、入っています。

(宇多丸)ちょっとこれは絶対に買います。といったあたりで改めて矢野有美さんのコンプリートコレクションというのが先月下旬に2枚組で発売されたということですね。

(吉田豪)そうですね。BRIDGEさんから出ています。

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(宇多丸)これ、絶対に私も買います! ということで、吉田さん、ありがとうございました。大変に勉強になりました。吉田さんのお知らせごとなどは?

(吉田豪)うーん、大丈夫です!

(宇多丸)いろいろとありすぎてね。

(吉田豪)でもたぶん僕も愛媛、行きますよ。

(宇多丸)ああ、僕がちょうどRHYMESTERのライブで愛媛に行く時に杉作さんの番組に出てこようかななんて。その時、吉田さんも?(笑)。

(吉田豪)他局に。同じような時期に僕もあっちに呼ばれたんで。

(宇多丸)本当に? じゃあ、ぜひご一緒しましょう(笑)。楽しみです。ということで吉田豪さんでした。ありがとうございました!

(吉田豪)どもでした!

<書き起こしおわり>

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