渡辺志保 Tyler, The Creator『IGOR』を語る

小袋成彬 タイラー・ザ・クリエイター『IGOR』を語る MUSIC GARAGE:ROOM 101

渡辺志保さんがbayfm『MUSIC GARAGE:ROOM 101』の中でタイラー・ザ・クリエイターの新作アルバム『IGOR』を紹介していました。

IGOR [Explicit]

(渡辺志保)4時台の後半はタイラー・ザ・クリエイターのニューアルバム『IGOR』について特集します。この作品、タイラー・ザ・クリエイターによる5枚目のソロアルバムですね。5月17日にリリースされました。そして見事、ビルボードチャートの1位を獲得しまして、彼にとってはじめてのナンバーワンアルバムですよね。で、タイラー・ザ・クリエイターの特徴というか才能、彼は本当にトータルプロデュースを全部自分でできちゃう方で。自分でラップもし、当たり前だけどもリリックも書き、そしてサウンドプロデュースもする。そして、どんなアーティストに参加をしてもらうかっていうところも全部自分で決めるという感じの非常に才能あるアーティストです。

で、彼の前作『Flower Boy』というアルバムがあるんですけども。私はすごくその『Flower Boy』が大好きで。そこでまたタイラー・ザ・クリエイターのプロデューサーとしての新しい才能が開花したようなアルバムだなという風に思っていたんですけども。今回の『IGOR』はそこをさらに豊かにしたようなアルバムだなという風に感じました。ただ、タイラーの持ち味であるちょっとトリッキーな部分であるとか、キレイな丸ではなくて非常にいびつな丸なんだけども、それがすごく奇跡的なバランスでめちゃめちゃアーティスティックに仕上がっているというような感じですよね。

で、めちゃめちゃジャンルもごちゃまぜにしたような非常にコラージュっぽい感じのアルバムなんですよね。この『IGOR』という作品は。ただ、タイラー自身もこの番組、非常に自信満々でリリースしたような感じがしまして。で、リリースするタイミングでも自らTwitterで自分のステートメントを発表しておりまして。で、「テレビを見たり携帯をいじりながら聞くな。まずはこのアルバムを1枚通してじっくりと聞いてくれ」ということでリスナーに呼びかけておりました。本当にその価値あり!っていうような感じです。

で、フィーチャリングアーティストの表記っていうのがいま、流行りですよね? 結構トレンドだけど、たとえばトラックリストを見ただけでも「フィーチャリング○○」っていう表記が1個もないんだけど、蓋を開けてみるとたとえばバックコーラスにこの人が参加している、キーボードにはこの人が参加しているとか、聞くまで、蓋を開けてみるまでどんな作品かわからないっていうのが最近の、たとえばトラヴィス・スコットとかソランジュのアルバムもそうでしたし。ひとつのなんかトレンドになっているのかなって思うんですけども。

今回も、別段フィーチャリングアーティストの表記はないんですが、多くの豪華アーティストたちが参加をしています。たとえば、カニエ・ウェスト。そしてチャーリー・ウィルソン。そしてソランジュ、プレイボーイ・カーティ、リル・ウージー・ヴァートとかね、非常にベテランから新人までがもう大集結してこのアルバムを作っているという。で、この『MUSIC GARAGE:ROOM 101』でも先週、『EARFQUAKE』っていう曲。リードシングルの曲をかけさせてもらったんですけども。

あれはもともとはタイラーがリアーナとジャスティン・ビーバーのために書いた曲なんですって。でも両者が「この曲、ちょっといらないわ」って言ったので自分のアルバムに収録したという逸話もあるそうなんですけども。まあ、そんな感じでなんかね、そういったところを切り取ってもいろいろなマインドというか構想がミックスされてできたアルバムなのかなって思いますし、アルバムの大きなコンセプトになっているのは恋愛なんですね。ひとつの出会いと別れを描いているんですが、私はやっぱり後半のね、別れの方ですね。「なんでこんな恋愛をしちゃったんだろう?」とか「君のことを好きだったけど、さよなら」っていうようなことを歌っている後半の方がより、エモーショナルで感情的にグチャグチャな感じが出ていて非常に好きなヴァイブスのアルバムに仕上がっております。

で、ここで1曲、このアルバムから聞いていただきたいんですけども。『GONE, GONE / THANK YOU』という2つの曲が合体して1曲に仕上がっているという曲なんですけども。さっきもね、このアルバムはコラージュ感が強いという風に言いましたが、今回もいろんなサンプリングソースをタイラー・ザ・クリエイターは使っておりまして。この曲ではなんと、山下達郎さんの名曲『Fragile』を引用しているんですよね。

で、『Fragile』のメロディーをそのままタイラーがなぞってこの曲の最後の方で歌っている箇所がありますので。みなさん、どんな感じに仕上がっているのかぜひじっくり聞いていただきたいと思います。それではお届けしましょう。タイラー・ザ・クリエイターで『GONE, GONE / THANK YOU』。

Tyler, The Creator『GONE, GONE / THANK YOU』

(渡辺志保)はい。いまお届けしましたのはタイラー・ザ・クリエイターで『GONE, GONE / THANK YOU』。「もう恋なんてしない」っていうタイラーの悲痛なというか、こっちまで泣きたくなっちゃうような、そういうラインが山下達郎先生の『Fragile』のメロディーをそのままなぞっているというところでした。お気づきでしょうか? このアルバム『IGOR』、本当に聞き応えがあるけども、そんなに長くはないんですよね。コンパクトにキュッとまとまっているアルバムなので、ぜひぜひみなさんも携帯をいじることなく、1本まるっと通してお聞きいただくことをおすすめします。

<書き起こしおわり>

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