渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でコダック・ブラックの最新アルバム『Painting Pictures』についてトーク。その中から『Conscience (feat Future) 』を紹介していました。
(渡辺志保)というわけで、ここでまた私から押し曲を1曲、お届けしたいんですけども。まあ、先週の金曜日にいろいろとリリース物もあったんだけど、もうひとつ私もすごい血が騒いだのはコダック・ブラックのアルバムでございます。『Painting Pictures』というアルバムがリリースになりまして。これがね、めっちゃいい! で、今日うちの旦那さんとちょっと家で聞いていて、コダック・ブラックの話を夫婦でしていたんですけども。私と旦那さんの結論は「コダック・ブラックはサウスのジョーイ・バッドアスだ」っていう結論に至りまして。
彼さ、97年生まれでフロリダ州のポンパオ・ビーチっていうところの団地に生まれた貧しい家の子なんですけども。まだ、今年で20才だからいまはまだ未成年なんだけどさ。まあ、何回も何回ももう逮捕されているんですよ。で、いま後ろでかかっている『Tunnel Vision』っていう曲がありますけども。これも、ヤナタケさんも前に『INSIDE OUT』で触れていたけど、めっちゃビルボードをグングングングンとチャートを急上昇していて。
DJ YANATAKE『Tunnel Vision』を語る
でも、その急上昇をしている間、コダック・ブラックはムショにいたからさ、あんまり自分が動いてプロモーションとかしたわけじゃないんだけど。まあ、めっちゃ売れていますと。で、かつ先週、『Painting Pictures』というアルバムをリリースしたんだけど。なにが言いたいか? といいますと、まあ「牢屋に出たり入ったりしてバカな子だね。まだ19才なのにね」って言うのはすごい簡単なんだけど、なにが彼をそうさせているか?っていうことの方が私は重要だなと思っているんですね。で、マイアミとかフロリダのポンパオ・ビーチってすっごい貧しいエリアなんですけども。
まあ、フロリダ州といえばマイアミがあって、ディズニーランドとかもあって、すっごい観光都市なわけなんだよ。でもその観光でめちゃめちゃバズッているところをちょっと離れると、こういうプロジェクトがあって。本当にみんな麻薬を売りながら、銃を隠し持ちながら生活しているというような現状があるということだと思うんですけど。この『Tunnel Vision』っていう曲においても、お母さんに「あなた、もうそろそろ人生において正しい選択をしなさいよ」って言われるんだけど、「俺はまだトンネル・ヴィジョン。周りがよく見えなくて、いまの自分にフォーカスをしたいんだ」っていうことを歌っていて。
で、ミュージックビデオもあるんですけど、これがまた結構すっごいコンシャスな内容で。で、ライフルを持った白人の男の人が黒人の男の人と取っ組み合いのケンカをするんですけど。で、その白人の人のかぶっているキャップに「Make America Hate Again.」って書いてあるんですよ。これって、トランプ大統領がスローガンにしていた「Make America Great Again.」をもじっているんだけど。まあ、「再びアメリカにヘイト(憎しみ)を」っていう意味になります。で、彼がデニムのチョッキっていうかベストを着ているんですけど、そこにもアメリカの南部の連合軍の旗(Confederate Flag)っていのがあるんですけど。その旗が縫い付けられているベストなんですね。
これって何か?っていうと、南北戦争ぐらいまでさかのぼっちゃうんですけど。言ったら南部のある偏った思想。右翼の方々の思想をレペゼンする時に使うような旗だったりするんですけど。それが縫い付けられている。なので、まあめっちゃ右翼の愛国心が高い白人のおっさんが黒人の男性をライフルで撃とうとする。でも、ライフルが撃たれずに、取っ組み合いのケンカになって。最後はちっちゃい女の子が出てきて「No!」って言って終わるビデオなんだけどさ。で、その間にも白い装束を着たKKKのメンバーが十字架につるされて燃やされているシーンとかも入るんですけど。これをね、まだ18、19の若いラッパーがこういうのを映像化して……もちろん、映像監督はいますけども。それってやっぱりなかなかね、いままでのサウスのいわゆるトラップ・ラップみたいなところにはなかった逸材だなという風に思っていまして。なので、『Tunnel Vision』のビデオをぜひぜひ見ていただきたいですけど。
Kodak Black『Tunnel Vision』
で、これからかけるのがフューチャーをフィーチャーした1曲『Conscience』っていう曲があるんですけど。「Conscience」って「良心」っていう意味なんですよね。なので、「このストリートにいるとどんどん俺の良心が奪われていく」っていうことをラップしていて。だから、コダック・ブラックは自分自身もハチャメチャな人生を送っているけど、それがどういう意味があるのかっていうのはちゃんとわかってラップをしているんですね。「こういう現状がある。で、こういう風にしなきゃいけないけど、俺はいまできないんだ」みたいなのを全部わかってラップしている。で、たとえばミーゴスなんかは結構今回の『Culture』なんか顕著ですけど、享楽的なこと。「ヤクをさばいてどんどん稼いで女を抱く」みたいなことしか歌っていないんだけども。それはそれでいいの。彼らのカルチャーだから。
なんだけど、コダック・ブラックはちゃんと自分の環境をちゃんと少年の彼なりにちゃんと見据えてラップをしているという。そこがすごくいいなという風に思いまして。で、今回のアルバムももう、あのバン・Bまで引っ張り出して作っていますから。なかなか名盤の匂いがします。ということで、ここで聞いてください。コダック・ブラックで『Conscience』。
Kodak Black『Conscience (feat Future) 』
はい。いまお聞きいただいておりますのはコダック・ブラック feat. フューチャーで『Conscience』。彼の最新アルバム『Painting Pictures』からお送りしております。まあ、サウスのジョーイ・バッドアスみたいに言いましたけど、ジョーイ・バッドアスもケンドリックのアルバムと同じ4月7日に『ALL-AMERIKKKAN BADA$$』を出すということで。こっちもかなり主張あふれるコンシャスな内容になっていることは間違いないと思いますので、めっちゃ楽しみなところでございます。
<書き起こしおわり>