渡辺志保さんとDJ YANATAKEさんがblock.fm『INSIDE OUT』の中で歴史的なリリースラッシュとなった2017年秋の日本語ラップシーンを総括。『タマフル』の特集の補習として、若手を中心に注目すべきアーティスト・楽曲を紹介していました。
(渡辺志保)というわけで冒頭でもお伝えしましたけども、我々は先週、TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』に出させていただきまして。なかなかないですけど、60分まるっと日本語ラップの特集をさせていただいて。秋の収穫祭ということでお邪魔したんですけども。
(DJ YANATAKE)やっぱりうれしいね。1年に1回ぐらい『タマフル』に出張『INSIDE OUT』的に出させていただいて。なんかヒップホップの企画をああいう大きいメディアで取り扱ってもらう時に我々を呼んでいただけるのは本当にうれしいことです。
(渡辺志保)ですよ。はい。
(DJ YANATAKE)いまでもRadikoのタイムシフトでアーカイブを聞けると思うんで、聞いてない人は聞いてほしいんですけど。ぶっちゃけ、『INSIDE OUT』を聞いているような人にはまあまあ、普通の内容だったかもしれないよね。
(渡辺志保)(笑)
(DJ YANATAKE)まあ、今年こういうことがありましたみたいな。チャートの動きも含めて、いろいろと日本語ラップのいまの面白いところを紹介してきたというわけなんですけど。
(渡辺志保)で、その9月6日に日本語ラップ、一気にいろんなアルバム、EP、シングルなど含めて出ましたということで。で、宇多丸さんと、同じ日にメジャーデビューEP『大海賊』をリリースしたサイプレス上野さんと、そしてデビューアルバム『Mobb Life』をリリースしたBAD HOPのYZERRくんの3人、3世代が揃ってTBSラジオでしゃべるっていうのはなかなかないですから。それは私も一緒におじゃましましたけども、個人的にも隣で見ていてすごくエキサイティングだったなという風に思いますね。
タマフル 日本語ラップ秋の収穫祭
(DJ YANATAKE)でさ、それぞれ方向性は違えどっていうか、あれだけどやっぱり昨日、(渋谷)ハーレムでライムスターのライブが……なんとライムスター、ハーレムでやるの15年ぶりなんだって。
(渡辺志保)素晴らしい!
(DJ YANATAKE)で、パーティーもあって朝終わって。もうベロベロになりながら、宇多丸さんがぐちゃぐちゃでもう話していたんだけど。でも、すごいいい話もいっぱいしてくれて。「でも結局、俺たちやり続けられているのが本当にいちばんうれしいよね」みたいな。
(渡辺志保)本当ね。特にライムスターさん、コンスタントに約1年ペースでずっとアルバムをリリースされていて、ツアーも回っていてっていうね。もう、感服。
(DJ YANATAKE)そうそう。で、そんなのもありながら、やっぱりすっごいクラブでさ、実際にいまトラップっぽいヒップホップがめちゃくちゃ流行っているのを実際に生で見たんだろうね。その後、やっぱりトラップについていろいろと思うことがあるみたいなことを言っていましたけどもね。
(渡辺志保)あらららら、じゃあぜひ、『タマフル』でもトラップ特集を。
(DJ YANATAKE)やっぱりラップの仕方を分析したくなるんだろうね。
(渡辺志保)まあね。宇多丸さんなら特にね。
(DJ YANATAKE)そうそう。「でも、ライムスターのアルバムではやれないからさ……」とか言っていたんだけど。「いやいや、次のアルバムは全曲トラップでやったらいいじゃないですか」とか言いながら。「じゃあ、変名でやるか!」とか(笑)。
(渡辺志保)そうですね。MC士郎・ザ・ハスラーとかどうですかね?(笑)。
(DJ YANATAKE)(笑)。「全部(声に)オートチューンかけたらわかんないっすよ!」とか言って。まあ、なんかそんな話もしながら。でもやっぱり、すごいラップを研究するみたいなのはどうしてもしちゃうんだろうし、本当に好きなんだろうね。
(渡辺志保)ねえ。素晴らしいですね。
(DJ YANATAKE)なんて、そういう話もできてすごいうれしかったんですけども。今日はまあでも、『タマフル』を聞いてくれた人はなおさらなんですけども。その補習といいますか、続き。続編的な感じで、ちょっと突っ込んだことをね、やっぱり『INSIDE OUT』ではやろうかなと思いまして。ここから志保と交互に、いろいろと新しい日本語ラップについて紹介していけたらいいんじゃないかなという感じでやっていきたいと思います。
(渡辺志保)お願いします。
(DJ YANATAKE)じゃあ、ヤナタケから1曲紹介させていただきたいと思います。プロデューサーのJOE IRONさん。
(渡辺志保)もうベテラン級?
(DJ YANATAKE)まあまあ、そうね。実はね、会ったことがなかったんだけど、3週間ぐらい前にはじめて会う機会があって。その時にちょうど新しいのを聞かせてもらったのね。そしたら、それがすげーかっこよくて、おおっ!って思って。お互いにSNSはフォローしていたから、「これ、ちょっと俺の番組でもかけたいんだけど……」みたいな話をしたら、「全然もう、かけて、かけて!」みたいな感じになって、今日かけさせてもらうことになったんですけども。
(渡辺志保)うんうん。
(DJ YANATAKE)彼のプロデュースの最新作ということになります。まず、西東京のヒップホップグループにA-Dawgzっていうのがいて、そのメンバーのDIRECKYという人のソロがこれから出るみたいです。『Sim Made EP』っていうのが出るみたいで。そのDIRECKYくんのEPもすごいいいんですけど、さらにこの曲。いま早耳の人には注目されているPablo Blastaというラッパーもすげーかっこよくて。この間、DJ CHARI & DJ TATSUKIが出した『ビッチと会う』っていう歌も流行ってますけども。それとかにもフィーチャリングされていたり。
(DJ YANATAKE)『Tokyo Young OG』というね、曲が結構YouTubeとかでバズッてましたけども。そのPablo Blastaくんもフィーチャリングしていて。JOE IRONのトラックもバッチリだったんで。2017年これから出る注目曲ということで、ヤナタケの1曲目はこれを紹介させていただきたいと思います。DIRECKYの『死ぬまで feat. Pablo Blasta』。プロデュースはJOE IRONです。
DIRECKY『死ぬまで feat. Pablo Blasta』
(曲おわり)
(DJ YANATAKE)YES! 聞いていただいておりますのはJOE IRONがプロデュースするDIRECKYの10月に出るEPからエクスクルーシブで音源をいただきました。『死ぬまで feat. Pablo Blasta』。1バース目がPablo Blastaで2バース目がDIRECKYですね。かっこいいなと思って。
(渡辺志保)ねえ。いい意味でフロウが固いというか、ちゃんとコンストラクティブなフロウで、みなさんスキルがすごいですね。
(DJ YANATAKE)そう。結構一目惚れじゃないけどさ、一聴して「ああ、超かっけー!」って思って。
(渡辺志保)ライブとかも見てみたくなりますけども。
(DJ YANATAKE)じゃあ、次は志保さんのターン。
(渡辺志保)私からは、みなさんおなじみかもしれないですけど、kiLLa Crewがずっと気になる存在でして。kiLLa Crewとしてもこの夏、いろいろとリリースが相次いでいるし、この番組にもYDIZZYに来てもらったことがありましたけども。彼ら、ライブがすごい迫力があるなっていうのを見るたびに思っていて。で、その中でもkiLLa Crew、次にソロの作品をドロップするのがメンバーのArjunaくん。9月27日にデビューアルバムになるんですかね。『Lord Shaka』をリリースすると。
で、DJ KMくんとかが参加しているようなんですけども。で、YDIZZYくんとか他のkiLLaのメンバーもそうなんですけど、何がいいって、セルフボースティングってラッパーのいちばん……最近は特に重要な要素だと思うんですけど。結構日本人のラッパーとか日本語でラップしている子で、そのセルフボーストが本来の自分に追いついてないんだろうな、みたいな。いますごい失礼なことを言ってますけども(笑)。
(DJ YANATAKE)(笑)
(渡辺志保)あの、追いついてないんだろうなって子がいるんだけど、最近のこのkiLLa CrewとかBAD HOPの子っていうのは、そこの精神性が全部追いついているっていうのが、うまく言い表せないけど、それがすごいイマっぽいなと思うんですね。だから、「俺はどんなにモテモテでいい生活をしていて……」っていうのを、ちょっと昔だったら素の本人のことを知っていると、「うーん、なんかそんな感じでもないんだけどな」って思っちゃうけど。最近のクールな若いラッパーの子はそれがちゃんと実生活とリンクしてトレースされているっていうところが私はすごいエキサイティングだなと思うんですけど。
(DJ YANATAKE)うん。
(渡辺志保)で、そんなArjunaくんが来週、自分のデビューアルバムを出すということで。ここからシングルとしてカットされている曲を私、一発目にかけさせていただきたいと思います。さっそく聞いてください。Arjunaで『Badass』。
Arjuna『Badass』
(渡辺志保)はい。いま聞いていただいておりますのはArjuna、9月27日発売のアルバム『Lord Shaka』から『Badass』。同じ日、9月27日はkiLLa Crewとしても新しいEPが出るそうなので、ちょっとワクワクしているところです。
(DJ YANATAKE)ねえ。この人はChaki( Zulu)くんがプロデュースしたちょっとロックっぽい曲のビデオとかも話題になっていましたね。
(渡辺志保)そうですね。本当にkiLLaはワールドワイドに活動してますしね。この間、YDIZZYくんにちょっとお話をしたんですけども。この間、中国でのフェス――ANARCHYさんとかZEEBRAさんとかも行っていた――その時の動画を見せてもらって。
(DJ YANATAKE)すごかったよね、あれ。
(渡辺志保)すごかった! で、笑っちゃったんですけど、YDIZZYくんがTシャツを脱ぐと、「キャーッ!」みたいなのがあって。もう自分でもね、「ジャニーズみたいだった」っておっしゃってましたけどもね。いや、本当。そういうの、なかなかいままでそういうことをできる日本のラッパーとかクルーっていうのはいなかったので、kiLLa Crewさんにはそういうところを期待してますね。
(DJ YANATAKE)あと、さっき志保も言っていたけどさ、そういうボースティングの感じとかもやりすぎっていうか、ちょっと嘘っぽいのが面白くなくなってきたよね。
(渡辺志保)そうなんですよ。嘘っぽいのが多かったっていうか。
(DJ YANATAKE)そういうのが最初、面白い時も正直あったけど。
(渡辺志保)ちょっと聞いている方が恥ずかしくなっちゃうみたいなのが多かったんですけど、最近の……だからJP THE WAVYくんとか本当にああいう感じでサラッと。「なすがまま」みたいな感じで。
(DJ YANATAKE)アメリカも結局さ、この間、誰か言っていたけど「文春っぽい」っていうかさ。
(渡辺志保)ゴシップとかですか?
(DJ YANATAKE)そうそう。スキャンダルの事実が歌詞として歌われるのが面白いっていうかさ。
(渡辺志保)そうなんですよ。だから、どんどん話が逸れちゃって申し訳ないですけど、ミーク・ミルの新しいアルバムとかも、ミーク・ミルは去年、ニッキー・ミナージュと別れたからそういうリリックもバンバン差し込んでいて。「俺と会ってもニッキーの話は絶対にするな!」とか。そういうところが面白いんですけどね。
(DJ YANATAKE)ヒップホップの歌詞を見ることが、本当に文春を見るような感じっていうかさ。そういう楽しみ方なんだろうなっていうのが……だからリアルなことを歌っていて。ちょっとトゥーマッチボースティングが逆に面白くなくなってきたみたいなところはありますよね。
(渡辺志保)そう。それはめっちゃある。だからそういうのをスマートにやってらっしゃるラッパーの方は聞いていておもろいなっていう風に思いますね。
(DJ YANATAKE)はい。そんな感じで次はヤナタケの2ターン目に行くんですけど。さっきのDIRECKYくんも西東京だったんですけど、2曲目も西東京。なぜか続いたんですけど。でもね、ちょっと今日は若いメンバーを紹介するのが多いんですけど、実は大ベテラン。37才なんだけど、SHINOっていうラッパーがいまして。
(渡辺志保)知ってる、知ってる!
(DJ YANATAKE)SHINOね、なんかもともとはトリカブトっていうグループをやっていて。あと、The Grasshopper Setっていうグループもやっていたんですけど、ソロでも出していたりとかして。3年ぶりとなるニューアルバム『BURBS』がリリースされます。ファーストアルバム『COOLIN’』っていうのも俺がここで日本語ラップのラジオをやっていた時にかけたりしたんですけど。新作が3年ぶりに出るということで発売前に送ってもらって。で、聞いていたら、やっぱり彼なりに新しいサウンドにも挑戦しているし。でも、すっごいやっぱり聞き取りやすいラップですんなり入ってきたりするし。
(渡辺志保)うんうん。
(DJ YANATAKE)なんか、トラップっぽいサウンドなんだけど、そういうのも無理がない感じでやっているのもすごく好感が持ててよかったなと思って。こちらは9月20日に発売になります。SHINOのニューアルバムから1曲。シングルカットとかそういう感じじゃないと思うけど、俺はこのアルバムでこれをかけたいということでかけさせてもらうので。アルバムはもっとバラエティーに富んだのがあるんですが、その中からヤナタケのお気に入り曲。SHINOで『BACALACY』。
SHINO『BACALACY』
(DJ YANATAKE)はい。聞いていただいておりますのはSHINOのニューアルバムから『BACALACY』でした。
(渡辺志保)ありがとうございます。じゃあここでまた私から推し曲を紹介されてもらいたいんですけども。今日は『タマフル』でやった日本語ラップ秋の収穫祭の補習ということで。私もあの時、『タマフル』本編で話し足りなかったことをこの『INSIDE OUT』の場を借りてお話したいと思っていて。次に選んだのは、みなさんもご存知だと思いますがAwichさんというフィメールラッパーの方の曲を選んだんですけど。『タマフル』の収穫祭の本編の方でも、「女の子、フィメールラッパーもいま続々活躍し始めています」という話をして。たとえば、Elle Teresaちゃんとか、ちゃんみなちゃんとか、ゆるふわギャングのSophieeちゃんとかそういう子たちの名前を挙げてお話をしたんですけど。
で、本編でもお話をした通り、私はこのAwichさんは日本のラップシーンにおけるフィメールMCのひとつのロールモデルみたいな存在になり得るんじゃないかなと思っていて。彼女もそこそこキャリアは長い方なんですけども。で、この間ね、たまたまK DUB SHINEさんとも話したんですけど、私が結構常々思っていることで。日本語ラップシーンというか、日本のヒップホップシーンでもともとHACさんがいたりとか。RUMIさんがいたり、COMA-CHIちゃんがいたり、SIMI LABのMARIAちゃんがいたりとかってしましたけど。フィメールラッパーがもうちょっと根づいてもいいなと思っていて。プラス、いまバトルでも活躍している女の子のラッパーの方、いっぱいいると思うんですけど。
たまにバトルMCの子のフロウとかを聞いていると、ちょっと……男尊女卑っぽいというか、そこを卑屈になりすぎちゃっているようなフロウをたまに聞くようなこともあったりして。でもそれってなんでなんだろう? もうちょっとワッと、実力とスキルといろいろが合わさった形で盛り上がるようになってないのかな?って思ったんですけど、それってロールモデルがなかなか日本においてはいなかったからじゃないかな?って思っていて。で、アメリカ、USのヒップホップシーンにおいてもフィメールMCっていろいろと難しいところがあったりして。
たとえば最初にクイーン・ラティファが出てきて、MCライトが出てきて。かと思えば、すっごいおっぱい丸出しのリル・キムとかが出てきて。で、その後にローリン・ヒルがいて……とか、いろんな系譜があるんですけど。なかなか日本ではまだ、そのフィメールMCの主張みたいなものが際立っている人が、もちろん時代時代ではいるけども、なかなかそれが継続していないというのが現代のひとつのサブジェクトとしてあるんじゃないのかなって常々思っていて。で、話が戻るけどもAwichさんはそんなシーンにおいてひとつのロールモデルになって。彼女に憧れてラップを始めるとか、音楽を始める女性がこれからどんどん出てくるようになればいいな、なんて思っています。
っていうのと、彼女は本当に生活自体も、彼女が歩んできた道っていうのはなかなかエクストラオーディナリーな道という方でもありますので。この後も、どんなライムが出てくるのがすごい楽しみだったりするんですが。今日、『INSIDE OUT』でかけたいのは、Awichさんの曲をなにげに1回も『INSIDE OUT』でかけたことがないんですよね。で、リリースのタイミングでお招き溶かしたかったんですけど、なかなかチャンスに恵まれず……というところもあって、今回私も『INSIDE OUT』でははじめて紹介させてもらうんですけども。
彼女が8月にリリースした『8』というアルバムの中に『Jah Love』っていう曲があるんですよ。で、これはフィーチャリングアーティストがいて、「Yomi Jah」っていう、すっごい若い声の女の子がフィーチャリングされているんですけど、これって実は彼女の娘さんなんですよね。で、もともとAwichさんは一時期アトランタにいたこともあって、そこで身ごもった娘さんでもあるんですけども。ここで、「すっげー!」って思ったんだけど。まず、ラップが上手いのよ。で、ラップのリリックはたぶんお母さんであるAwichさんが書いていると思うんだけど、上手い。
かつ、すごい大好きな曲のあのラインを拝借しているところがあって。それは後ろでもかかっていますけど、ミーゴスの『T-Shirt』のラインを歌わせているんだよね。
(渡辺志保)で、この『T-Shirt』っていう曲はさ、「アトランタのコカインを売るようなプッシャーはみんな白いおそろいのTシャツを着ているんだ」っていう歌詞なんですけど。
Migos ? T-Shirt @Migos https://t.co/Aje0a9ZK2f
Mama told me not to sell work (mama)
Seventeen five, same color T-shirt (white)— みやーんZZ (@miyearnzz) 2017年9月21日
(渡辺志保)それを自分の娘さんであるYomi Jahちゃんに「あなたのお父さんもこうだったんだからね」っていう意味で歌わせているっていう、すっげー肝っ玉母ちゃんバイブスっていうか。まあ、ご本人ともその話を前にインタビューさせてもらった時にしたんですけども。なかなかね、そういうバイブスを持ったフィメールMC、日本にはこれまでいなかったなと思いますので、ぜひぜひここで改めてみなさんにも聞いていただきたいと思います。Awich『Jah Love feat. Yomi Jah』。
Awich『Jah Love feat. Yomi Jah』
(渡辺志保)はい。いまお届けしているのはAwichで『Jah Love feat. Yomi Jah』ですね。この後もSIMI LABのMARIAちゃんもソロアルバムを準備しているとか。あと、ゆるふわギャングのSophieeちゃんもちょっとソロの曲をいろいろ録っているっていう話も聞きますので。
(DJ YANATAKE)今年もフィメールシンガー、楽しみですね。
(渡辺志保)楽しみですね。またいろんな方にもスタジオに遊びに来ていただきたいなと思っています。
(DJ YANATAKE)それにしてもね、プロデュースのChaki Zulu。
(渡辺志保)この曲もね。はい。
(DJ YANATAKE)Awichは全曲そうだよね?
(渡辺志保)トラックによってはトラックメイカーは違うんですけど。
(DJ YANATAKE)ただ全体のプロデュースっていう意味ではね。Chakiくん、ちょっとすごいな。本当に。『INSIDE OUT』でも上半期全体の……洋楽とかを入れてもベストプロデューサーなんじゃないかということで選ばせてもらいましたけども。
(渡辺志保)そうね。
(DJ YANATAKE)Chakiくん、今度来てくれるっぽいんで。この間、お声がけしたら。
(渡辺志保)おおっ、ぜひぜひいろいろと聞きたいですね。
(DJ YANATAKE)はい。じゃあヤナタケのターンに行く前に、さっきTwitterが1個来ていて。(ツイートを読む)「SHINOさんのニューシット、びっくりするぐらいいかつめのトラップだった」って。まあ確かにそうなんだけど。
(渡辺志保)まあでも昔から……。
(DJ YANATAKE)そうそう。3年前に出した曲でも『YAMASHIT』っていうのがあって。「東村山SHIT」っていう。あれも結構そういうトラップな感じで。
(DJ YANATAKE)前からそういうことはやっているんだけど、今回も俺的にはその続編みたいな感じで。『BACALACY』もよかったかなと思ってかけさせてもらいました。じゃあ、ヤナタケのターンに行きます。これ、いま後ろでかかっているのはXXXテンタシオン。
(渡辺志保)音が割れているなあ(棒読み)。
(DJ YANATAKE)音が割れているな(笑)。ねえ。怒られちゃいそうですよね。みたいな、XXXテンタシオンの……最近は通称「X」ってみんな言っているっぽいですけどね。『Look at Me』という曲ですけども。ついに、こんな感じの日本人ラッパーが出てきたぜって言う。
(渡辺志保)早え! 早えな、みんな。
(DJ YANATAKE)はい。というわけで、今日の隠し玉的なところなんですけど。今日かけるのは、Fuji Taitoくんです。彼、ZEEBRAくんがやっているグランドマスターレーベルの若手コンピみたいなのでUMAっていうグループのメンバーだったんですけど。結構ハーフの子たちでやっていたグループだったと思うんですけど。彼が今度、ソロでも動き始めましたよと。で、先週ね、WREPっていうインターネットラジオ局のDJバーが渋谷にできたんですよ。そこでDJをしていたら、「ヤナタケさん、覚えてますか? UMAの時に会ったものなんですけど」とかって来て。で、レポート用紙みたいなのにCD-Rが折りたたまれてて。「すごい、マジでヤベえのができたんで、持ってきました!」みたいに言って。「おお、そうなんだ」って。その後も話をして。
(渡辺志保)うん。
(DJ YANATAKE)で、なかなかそんな感じで言ってきてくれるのも最近はなかったから。まあ、TwitterのDMでピョーンみたいな。そういうのでも全然いいんですけども。じゃあ、ちゃんと聞いてみようと思って帰って聞いたら、「おおっ!」って思って。まさに、たとえるならXXXテンタシオンのこの曲かな? みたいなのが日本語ラップでできていて。しかも、まだたぶん全然みんなノーチェックなんじゃないかな? YouTubeとかでもアップされているんで、気になったらそっちでもまた何回も聞き直してほしいんですけども。結構、2017年これから注目のラッパーなんじゃないかなと思いますので。
(渡辺志保)へー!
(DJ YANATAKE)なんか『INSIDE OUT』もね、「ヒップホップの日本の媒体でいちばん好きな番組です」とか言ってくれて。
(渡辺志保)よくWREPのバーには来るのかな?
(DJ YANATAKE)いやいや、たぶんそれを渡しに来たんだと思うよ。
(渡辺志保)おお、そうなんだ。すごい熱心!
(DJ YANATAKE)それが先週の金曜日。渡しに来てくれて。なんで、早めにチェックしたやつを早めにかけたいなと思いましたんで。Fuji Taitoで『Bangarang』。
Fuji Taito『Bangarang』
(DJ YANATAKE)聴いていただいておりますのはFuji Taitoの『Bangarang』!
(渡辺志保)すげー! インパクト、すごいっす。
(DJ YANATAKE)結構インパクトあるよね。あと、見た目もいいんだよ、この子。
(渡辺志保)そうなんだ。
(DJ YANATAKE)だから人気出るしかねえんじゃねえかなと持っていて。
(渡辺志保)なるほど。これからPVとかね、ライブとかね、どんな展開になるのか。
(DJ YANATAKE)作品まとまってきたらスタジオにも呼びたいななんて。そんな感じです。
(渡辺志保)じゃあ私、3ターン目をお送りしたいと思うんですが。さっきとはちょっとテイストが異なりまして、いまをときめくというか……みんないまをときめいているんだけど、KANDYTOWNのビートメイカーのMIKIくんがこの間、新譜を出していまして。それがすごいじんわり来るなと思ったので、今日最後にかけさせていただきたいと思うんですけども。この間、『タマフル』にうかがった時にもYZERRくんと待ち時間に話していて。YZERRくんはBAD HOPでしょ。さっき紹介しましたけどkiLLa Crewがいて、いまからかけるKANDYTOWNがいて……って。去年ぐらいから日本でもすっごいクルー単位で活動していくラッパーたちとかプロデューサー、DJの方とかも増えていて。で、いまやっぱりそれぞれがすごいキャラ立ちしているというか。色も異なって、かつそれぞれのファンもついていて、すごくいい状況だなと思っていて。
で、YZERRくんがKANDYTOWNの面々のことを「余裕が違う、余裕が違う。あのおしゃれさ、なんなんすかね? 俺らには絶対に無理っす。あの雰囲気は俺らには無理っす」とかって言っていて。「まあ、彼らは彼らでね、BAD HOPのみんなのような、そういうすげーギラギラというかヤンチャなバイブスはないと思うよ」みたいな、そんな話をしていて。みなさん、本当にそれぞれの活動を経ていて、すごいシーンだなと本当に思いますね。ちょうど、この間もヒップホップクルーについての記事を書かせていただいていて。たとえば、2008年……2010年ぐらいからか。オッド・フューチャーとかエイサップ・モブとかが出てきて、「いま、アメリカのラップってこういう大人数でラップするのが流行ってるんだ、へー」なんて思っていたらね、日本でも全然それが普通になってきているし。で、いわゆるコレクティブとかクルーとかって呼ばれるようなスタイルが日本でも根づいて。かつ、その子たちがそれぞれ活躍しているというのは本当にすごい時代になったと思いますし。
で、KANDYTOWNに関しても、本当に毎週誰かの新譜が出ているみたいな感じで。ちょっと前も『INSIDE OUT』に遊びに来てくれましたけどもMUDくんのが出ていたりとか。ちょっと前もKIKUMARUくんと、あと呂布くんがEPを出していたりというような動きもあって。DIANくんもいまソロの制作を進めているというのも聞きますし、KANDYTOWNとしても新譜がアナウンスされてたりもしましたし。去年、メジャーデビューを果たしましたけどもこれからも忙しくなりそうだなと思っていまして。なんせ、それぞれ新譜を追うのも大変ですけど、振り落とされないようにしがみついていきたいなと思っております。というわけで、聞いていただきましょう。このコーナーで最後にお届けするのはMIKI『End of Summer (feat. MUD & DIAN) 』。
MIKI『End of Summer (feat. MUD & DIAN) 』
(渡辺志保)はい。いまお届けしましたのはMIKI『End of Summer (feat. MUD & DIAN) 』でした。
(DJ YANATAKE)なんか、いろんな種類のヒップホップがあるけど、今日はじめて名前を聞くような人もいっぱいいると思うけど、みんなクオリティー高いなと思って。
(渡辺志保)高いし、ラップを習得する期間がみんな短い人も多いじゃないですか。まだ始めて1年ですとか、2年ですとか。それね、めっちゃすごい。そういう風に適応しているのかな? センスが。わからないですけどね。
(DJ YANATAKE)まあまあ、だからそもそもの見本が、スタートが違うっていうことだよね。もう当たり前に……だってBAD HOPなんかさ、いわゆる俺らがさ、オーセンティックなヒップホップっていうか、90年代っぽいヒップホップを……「どのへんからヒップホップ聞き始めたの?」って聞いたら、スタートがそもそもトラップっぽいものだから。そもそもそういうもんだと思ってヒップホップを聞いて、そういう風にやっているだけだから。逆にそれ意外はわかんないみたいな。
(渡辺志保)そうそう。かつ、その時代にはもう日本語ラップの素晴らしいロールモデルとかお手本になるような作品もたくさんあるだろうしね。本当にそこは感心しちゃうし。それはね、たぶんMCバトルの世界もそうなんだろうけど、習得機関の短さというのにはすごく驚きますね。
(DJ YANATAKE)そうですね。で、いまバックトラックでもかけていますけども、やっぱりJP THE WAVYくんとかみたいな出現の仕方は本当に面白かったし。
(渡辺志保)はい。
(DJ YANATAKE)もちろんこれを聞いている人は知っていると思いますけども。本当に全国どこのクラブに行ってもマジで大合唱しているし。こんなヒットあるかな?っていうのがやっぱり生まれるような環境になってきたっていうことがあるので。JP THE WAVYくんみたいなことだけじゃないですけど、第二弾、第三弾ね、もっといっぱいヒット曲が出てくればいいなと思っております。
(渡辺志保)そうですね。今年も残りあと3ヶ月ぐらいになりましたけどね。この後もどんなボムがドロップされるのか?っていう感じですけども。
(DJ YANATAKE)やっぱりね、いちばんみんなが期待しているのはPUNPEE先生でしょうからね。
(渡辺志保)そうね。
(DJ YANATAKE)たぶん期待していない人はいないんじゃないかな? もはや全音楽ファンが期待しているような感じですけど。『INSIDE OUT』でもかけれるタイミングになったらもちろんかけたいと思いますし。Summitの番組とかでも先にオンエアーされたりするんじゃないかな。あと、今日は時間がなくてかけられなかったけど、PUNPEE関連で言うと、RAU DEFの新譜にまたPさんが結構参加しているのもあったり。今日、かけれなかったのも結構あって、BCDMGのRy-LaxくんのEPとかもすごいよかったし。
kiLLaのEPとか。もう、全然リリースラッシュ止まらないじゃん! みたいな。
(渡辺志保)ねえ。止まらない。素晴らしい。
(DJ YANATAKE)まだまだ日本語ラップ、2017年も注目していきたいですし。『タマフル』でその流れみたいなのはやらせてもらったんですけども、今日はこの先の話。注目の若手なんかを紹介してみました。
<書き起こしおわり>