宇多丸とジェーン・スー『私がオバさんになったよ』を語る

爆笑問題・太田光とジェーン・スー『私がオバさんになったよ』を語る アフター6ジャンクション

(ジェーン・スー)あと、宇多丸さんそれはその場にはいらっしゃらなかったみたいなんですけども。私は合宿に行った時に『Joy to the love』っていうのをやらされて。

(宇多丸)それは知らないんだけど(笑)。

(ジェーン・スー)みんなで車座、輪になって。「ジョーイ、トゥーザ、ラーブ♪」って歌うんですけど、その後を自分で歌詞を作って歌わなきゃいけないんですよ。globeの曲を。「ジョーイ、トゥーザ、ラーブ♪」って歌った後に「かーけめーぐるー♪」とか言ったら、その次に「未来のゆーめをー♪」「ひーとりーきりー♪」とかどんどん続けていかなくちゃいけないんですよ。で、また「ジョーイ、トゥーザ、ラーブ♪」って次に考えて……っていうのをどんどんとやっていって。

(宇多丸)歌詞を勝手に考えるっていうやつね。

(ジェーン・スー)で、つまんなかったら徹底的に言われたりとか。

(宇多丸)フハハハハハハッ! ひでえな(笑)。

(ジェーン・スー)そんなの無理だろ?っていう(笑)。

(熊崎風斗)でも難易度高くないですか?

(宇多丸)ひでえな(笑)。

(ジェーン・スー)で、もうヒヤヒヤしながら。スキー合宿です。

(宇多丸)我々の代の「フリースタイルカラオケ」から来たやつでしょうね。カラオケで当てずっぽうの数字を入れて出てきた曲に合わせて即興で歌詞を乗せていくっていうやつで。まあ、演歌とかだとコード進行が決まっていたりして、だいたいいけるわけですよ。なので『早稲田貧乏節』っていうのとか。で、画面に鳴門の渦潮が映っているから「鳴門 渦潮 グルグルとぉ~♪」みたいなことをやっていくっていう(笑)。

(熊崎風斗)アハハハハハハッ!

(ジェーン・スー)もうみんなお金がないからさ、工夫するしかないんですよ。

(宇多丸)そういうね。まあでも結論としては、俺も大学時代はくすぶっていて、周りの華やかなテニスサークルだのなんだのを横目に見ながら俺たちは片隅でレコードを聞きながらウヒウヒ言っていたって思っていたんだけど、冷静に話してみるとただのリア充じゃね?っていう。海とか山とかガンガン行って、めっちゃ遊んで。それでウヒャウヒャやっていて。全然よくね?っていう結論ですね。

GALAXYとの出会い

(ジェーン・スー)ただ、私はその早稲田の新歓にフェリス女学院大学として行ったわけですよ。私はもう大学でフェリスに入った時点で人生全部ひっくり返してやる!って思っていて。いままでとは違うイケイケの私になってやる!って思っていて。

(宇多丸)ああ、そうなんだ。ちゃんとそういうのがあったんだ。

(ジェーン・スー)で、格好もちゃんとその時に流行っていたJJみたいな……。

(宇多丸)その前はどうだったの?

(ジェーン・スー)その前はまあ埼玉の女子校で「ウヒヒ……」ってやっていたんですけど(笑)。

(宇多丸)いまと同じじゃねえか(笑)。

(ジェーン・スー)そうそう(笑)。だから「ウヒヒ……」ってしないでやってやろうって思って、私は絶対に慶応のインカレサークルに入ると思っていたんですよ。

(宇多丸)ああ、なるほど。フェリス、慶応、インカレ。

(ジェーン・スー)「フェリス、慶応、インカレ」。もう三題噺みたいじゃないですか。

(宇多丸)フハハハハハハッ! そうね。

(ジェーン・スー)で、もう「フェリス、慶応、インカレ、幸せ」以外の何者でもないと思って。

(宇多丸)フハハハハハハッ! なんちゅう言い方……(笑)。まあでもこれ、冗談抜きで一応そういうのはあったかもしれない。

(ジェーン・スー)それで慶応のキャンパスにもたしか行ったんですよ。行ったんだけど、なんか「フゥー……」って呼吸が浅くなってきて、すぐに帰ってきちゃって。

(宇多丸)馴染めずに? なんだろう。それは感覚?

(ジェーン・スー)たぶんやっぱり劣等感があったりとか。あとはかわいい子がいっぱいいたりとか、そういうのだと思うんですけど。で、ちょっと呼吸が浅くなって帰ってきちゃったんですよ。で、早稲田にも行こうっていうことになって。

(宇多丸)それはお友達と一緒ですよね?

(ジェーン・スー)そうです、そうです。で、「早稲田だったら大丈夫」って、そこでもうナメてるんですけど(笑)。

(熊崎風斗)慶応はダメだったけど、早稲田は大丈夫(笑)。

(宇多丸)でも、そうなの。そうなの。そこはそうなの。

(ジェーン・スー)で、早稲田のインカレサークルにも行ったんですけど、これが恐ろしいことにいまはこんなことやっているのかどうかわからないですけど。一応、スキーとテニスとを一緒にやっているみたいなサークルが中の方にあったんですよ。で、中の方にあって、それでやろうって話していたら、「住所、書いて」とかなって、それで連絡が来なかったからね。

(宇多丸)マジで!?

(ジェーン・スー)いや、そういうの全然あるから。普通に。ありますよね?

(宇多丸)失礼こいちゃうわー!

(熊崎風斗)でも、そういうサークルもね。

(宇多丸)熊崎くん、サークルは?

(熊崎風斗)僕は全然、一応陸上関係で。そんなチャラサーとかでは全然ないんですけど。でもテニスサークルとかそういう系のサークルにはあるかもしれないですね。

(ジェーン・スー)そう。インカレだとかわいい子しか入れないから……みたいなので連絡が来ないとか。で、ちょっと、でもとりあえず名前を書いて、これでなんとか私、大学生でイケイケになるぞ!って思ったら、キャンパスの入り口のところでものすごい重低音で音楽をかけて。

(宇多丸)DJブースを出してね。

(ジェーン・スー)そう。DJブースを出して踊っている人たちがいて。それに掃除機みたいにスーッて引き寄せられちゃって。

(宇多丸)でもみなさん、これを聞くと「そこで踊っている連中だってパリピじゃねえか」って思うかもしれないけど、めっちゃ地味な先輩たちが踊り狂っているっていう。音楽好きなだけだから。

(ジェーン・スー)ずーっと下を向いてみんな踊っていて。本当に。

(宇多丸)フフフ(笑)。ありがとうございます。でね、GALAXYに腰を落ち着けた途端にもう軍パンにアフロっていう(笑)。どこがフェリスやねん?っていう感じですよね(笑)。

(ジェーン・スー)軍パンにアフロですよ。本当に。

(宇多丸)でも僕は全然、GALAXYは軍パン、アフロの女の子がいても……。

(ジェーン・スー)別に普通でしたね。私だけじゃなかった。

(宇多丸)全然普通なんだけど。なんかその時にジェーン・スーさんが言っていたのは「フェリスにはこんなのはいない。みんなヒールをカツーン、カツーンと。ヒールをクロスさせながらカツーン、カツーンと歩いている」っていう話が俺、すごい好きで。「その『カツーン、カツーン』っていうの、もう1回やって!」とかって(笑)。そんな感じでしたよね。「もう1回やって!」って言っている俺、6年生です(笑)。

(ジェーン・スー)フフフ(笑)。

(宇多丸)でも、さっきの「かわいい後輩ってなんですか?」ってそこっていうこと?

「かわいい後輩ってなんですか?」

(ジェーン・スー)で、そこはすごい気になるんですよ。この間、Twitterでも私、ツイートをしたんですけど。4月に入ると新入生や新社会人とか転職とか。いろいろと新参者がいっぱいいるじゃないですか。でも、やっぱりかわいがられるキャラとそうでもないキャラっていると思うんですよ。それで、4月からかわいがられないキャラの人はしばらくうんざりするようなことが連続して起こると思うんだけど、気にせずに粛々と与えられたことをやっていった方がいいよみたいなことをツイートしたんですけども。

(宇多丸)うんうん。

(ジェーン・スー)やっぱりただ、自分が先輩の立ち位置になってみると、たしかにかわいがりやすい、接点を持ちやすい人とそうじゃない人がいたりして。この差ってなんなんですか、先輩?

(宇多丸)そうだよねえ。これ、なんだろう? しかもこれ、従順なタイプならそうかっていうと、そうでもなくて。割と生意気タイプでもかわいがられる。それゆえにかわいがられるタイプもいるし。なんならすごい突っかかってくるタイプだからこそ。それは接点だから……っていうタイプもいるし。そうねー。

(ジェーン・スー)自分はどっちでした? 後輩だった時。

(宇多丸)僕はやっぱりはっきり生意気型だったんじゃないですかね? 先輩の言うことも全然嫌だって言ってやるタイプで。でも、そうだな。僕はそれまで、巣鴨ではサッカー部とかにはいたけど。そのサッカー部には全然なじんでいなかったから。いわゆるそういうタテ関係みたいなのをあんまり経験したことがなくって。だからGALAXYがはじめてだったのね。で、それは単純に俺のキャラクターは関係なく、GALAXYの俺の代には人が全然いなかったから。「こいつを逃してはダメだ!」っていうのがあって。

(ジェーン・スー)アハハハハハハッ!

(宇多丸)そういうのがあって、もうかわいがるしかなかったっていう。でも、まあだからずっと先輩の部屋に入り浸ってたりしましたけど。えっ、ジェーン・スーさん的にはどう思う?

(ジェーン・スー)私はどっちかっていうとかわいがられないタイプなんですよ。新入社員とかで入っても。

(宇多丸)自分が? そうかな?

(ジェーン・スー)やっぱりちょっととっつきづらかったりとか。「ああ、そうっすか」みたいなところもあるからなんでしょうけど。だから自分でもよくわかんないんだけど。かわいがられる方ではないし、こういうことをするのは絶対に自分が先輩になったらやめようって思っていたのに、先輩になったらなったで「おや? とっつきやすい子ととっつきづらい子がいるぞ?」って。

(宇多丸)でも、その自己認識の話で言うと、僕はだってあなたの誕生会に1年目でいきなり行っているんですよ。6年生の先輩が。

(ジェーン・スー)それはね、「家が近い」っていうアドバンテージがあったからですよ。

(宇多丸)っていう風におっしゃるけど、いや、やっぱりそれなりに親しかったんでしょう。やっぱり。

(ジェーン・スー)まあまあ、それはね。

(宇多丸)だから僕的にはあなた、別にそういうこともないし。たとえば、このアトロクのパートナーが5人いて、全員違うパーソナリティーで。それこそ「なじめなかったらどうしよう?」っていうのがこの番組を始める時の実は最大の懸念点だったんだけど……なんだろうね? 誰ならかわいがりづらいって思うんだろう?

(ジェーン・スー)ハタチぐらいの時とかっていちばん、そういう自己認識とかもまだ危ういし。

(宇多丸)そうだよな。いまだったらできるもんな。

(ジェーン・スー)なんなんでしょうね?

(宇多丸)でもやっぱり、突っかかってくるにしろ、愛想がいいにしろ、向こうから来る人は……。

(ジェーン・スー)ああ、そうね。そうかもしれない。

(宇多丸)で、やっぱり先輩側もどうしていいのか……要するに、先輩になるのがはじめての立場だったりすると、そういうメソッドもないから。で、若くてこっちはこっちで突っ張り精神がそこそこあったりすると、「そんなこっちからへりくだれるか。ナメられてもあれだし……」みたいなのがあったりするから。そこでお互い、「やりづらい」って思いながらいるみたいな、お見合いをしちゃうみたいなのはあるかもしれないですね。

(ジェーン・スー)そうですね。

(宇多丸)映画なんかだとさ、後輩が入ってきて。先輩が、もうクリント・イーストウッドですよ。イーストウッドの映画はだいたいそうですから。後輩が入ってきて、嫌々……でも、イーストウッドでさえ最初は嫌々やっている。そして戸惑っているみたいな。でもまあ、最終的にはお互いに乗り越えたりして……っていうのがあるから。なんかこう、最初にタスクがあるといいんでしょうね。お互いに乗り越えるべき。

(ジェーン・スー)そうか。一緒になにかハードルを持つっていうことなんですかね。

(宇多丸)僕もやっぱり最初のパーティーみたいなのがいきなりあって。そこで「お前、士郎。なんかやれ!」で。「お前、コントやれ」「嫌ですよ。じゃあ……ラップやりますよ」って。これですもん。

(ジェーン・スー)へー! それが一生。コントやっていたらいまごろ、「○-1グランプリ」とか出ていたかもしれない(笑)。

(宇多丸)いやいや、コントの道に進んでいたかどうかわからないけど。だからやっぱりそこで「じゃあ、士郎のやることを見てみよう」みたいなのでコミュニケーションを深めたところはあるかもしれないですね。みなさんはどうされているんですかね?

(ジェーン・スー)気になるところです。

(宇多丸)という薄らぼんやりした話で着地してしまいましたが。よろしいんでしょうか?

(ジェーン・スー)もう全然です。

(宇多丸)ということでジェーン・スーさん、出版記念イベントがあちこちであるようで。

(ジェーン・スー)ちょっと数が多いので詳しくは私のTwitterかFacebookページを見ていただければ……。

(宇多丸)えっ、結構全国……ツアーじゃん!

(ジェーン・スー)ツアーですよ、完全に。

(宇多丸)マジやべえ! えっ、これ、泊まり?

(ジェーン・スー)一泊だったり日帰りだったりです。

(宇多丸)いいねえ。これ、終わった後にご飯とか。いいねえ!

(ジェーン・スー)4月5日、6日、大阪。4月13日、14日、広島。4月20日、札幌。4月27日、28日、博多。5月11日が名古屋です。お近くの方はぜひ、応募方法など違いますので。私のTwitterからリンク先に飛んでいただければ幸いです。そして『私がオバさんになったよ』、ぜひぜひただいま発売中ですので。

私がオバさんになったよ
私がオバさんになったよ

posted with amazlet at 19.04.04
ジェーン・スー 光浦 靖子 山内 マリコ 中野 信子 田中 俊之 海野 つなみ 宇多丸 酒井 順子 能町 みね子
幻冬舎 (2019-03-14)
売り上げランキング: 152

(宇多丸)本当に素晴らしいです。金言の数々です。最後にちょっとサクッと短めに。毎日やる番組の2年目パーソナリティーへのアドバイスは?

(ジェーン・スー)ええっ?

(宇多丸)2年目の罠みたいな。

(ジェーン・スー)2年目の罠は、交通のところとか、ああいうところが間違いがちになったり。あ、違うな。2年目の罠。これは体制批判じゃないですけども。台本が間違い始める!

(宇多丸)ああーっ!

(ジェーン・スー)この罠が危険ですよ! スタッフのミスが出始める!

(宇多丸)俺、さっきの打ち合わせ時に「もう、こういうのは絶対にダメだからね!」みたいな。オイッ、お前ら! オラーッ!(笑)。

(ジェーン・スー)その穴にはまらないことが大事です(笑)。

(宇多丸)こっちも気を張るという(笑)。

(熊崎風斗)ニコニコしながら頭を抱えているスタッフもいましたよ。

(宇多丸)でもこっちもある意味ルーティン化しがちだからそのまま読んじゃうみたいなね。

(ジェーン・スー)そうそう。昨日のゲストがそのまま入っていたりするから。読まないように!

(宇多丸)あるあるある!

(ジェーン・スー)イエーイ!

(宇多丸)ありがとうございました!

(ジェーン・スー)ありがとうございました!

<書き起こしおわり>

タイトルとURLをコピーしました