ライターでだし愛好家の梅津有希子さんがTBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』に出演。ジェーン・スーさんに簡単なだしの取り方と活用方法を伝授していました。
(小倉弘子)ここからは、生活の知恵を授かる『スーさん、これイイよ』のコーナーです。今日、生活の知恵を授けてくださるゲストはライターでだし愛好家の梅津有希子さん。よろしくお願いいたします。
(梅津有希子)よろしくお願いします。
(ジェーン・スー)よろしくお願いします。
(小倉弘子)「だし愛好家」。
(梅津有希子)はい。
(ジェーン・スー)なぜ、この名前を?
(梅津有希子)だしを愛好しているからです(笑)。
(ジェーン・スー)そりゃそうだ(笑)。
(梅津有希子)「研究家」って言ったら、またいろいろうるさいじゃないですか(笑)。愛好しているなら、文句は言われないかなと。
(小倉弘子)アモーレ・だし?
(梅津有希子)はい。アモーレです。
(小倉弘子)ということで梅津さんなんですけども、雑誌の編集者を経て、2005年に独立。現在、女性向けのWEBや雑誌、書籍を中心に食・ペット・暮らしなどのテーマで執筆や講演会などを行っていると。で、去年の11月に祥伝社から出版した『だし生活、はじめました。』、これがAmazonの簡単レシピ部門で一位となるなど、話題となっているんですって。
(ジェーン・スー)かなり興味深いので、今日はさっさと話を聞いていきたいと思います。今日は梅津さんに簡単なだしの取り方についてうかがっていくんですが、まあちょっとだしって、沸騰させたところにかつお(節)をうわっ!って入れて、すぐ上げて……とか。なんか苦くなるとか、二番、三番とか。「うわーっ、もう……イーッ!」ってなっちゃう時、あるじゃないですか。
(小倉弘子)面倒くさいなっていうね(笑)。
(ジェーン・スー)さあ、だしを取ると、どんないいことがまずあるか、教えてください。
(梅津有希子)だしは、料理の時間を短くしてくれる。
(ジェーン・スー)あれ? 噂と違うよ。
(小倉弘子)手間暇かかる。時間が長いっていうイメージだったんですけど。違うんですね。
(梅津有希子)違いますね。かつお節のだしなんか、本当1分で取れたりするので。全然面倒くさくない。すぐ取れます。で、まあおだしが効いていると、余計な調味料を入れなくても十分うま味が効いて美味しいので。本当にもう、塩と醤油ぐらいしか使わなくなりましたね。ケチャップとかマヨネーズとか、ほとんど使わなくなりました。
(ジェーン・スー)なるほど。
(小倉弘子)じゃあちょっとその、簡単に取れるだしの取り方っていうのを教えていただきたいんですが。まず、昆布だしですか、これ?
(梅津有希子)はい。昆布だしは、麦茶用ポットに水を入れて冷蔵庫に入れておくだけ。
麦茶用ポットで昆布だし
(ジェーン・スー)これはつまり、百均とかである麦茶のポット。あれに、どうやって作るんですか?
(梅津有希子)あれに、私は本当に昆布をそのまま1枚入れて。だいたい20グラムぐらいの昆布に水を1リットル、ジャーッと注ぎ、フタをして冷蔵庫に入れておくだけ。
(ジェーン・スー)それでどれぐらいの時間がたったら、だしになるんですか?
(梅津有希子)ええとですね、ちょっとこれ水の違いもあるので。関西だったら1日で出ます。関東の場合は2日置いた方が私はしっかりしただしが出ると思いますね。
(ジェーン・スー)あ、硬質か軟質か、みたいなのがあるんですか?
(梅津有希子)そうなんですよ。
(ジェーン・スー)関西と関東でそんなに違うんだ。
(梅津有希子)違いますね。なので、東京の場合はできれば2日置いた方が……まあ、1日でも出ますけども、2日置いた方が、よりしっかりした昆布だしが出ますね。
(ジェーン・スー)すぐ冷蔵しちゃっても大丈夫?
(梅津有希子)大丈夫です。
(ジェーン・スー)なんか、ポイントありますか? こういうところに気をつけたらもっと美味しいのが出るよ、みたいな。
(梅津有希子)やっぱり昆布の選び方ですね。私も最初、昆布の種類の差とか全然わからなかったので。スーパーでいちばん安い昆布をいつも買っていたんですけども。初心者ほどおすすめしたいのが、真昆布か羅臼昆布。
(ジェーン・スー)あれ? 羅臼昆布って高いやつじゃない?
(梅津有希子)結構いい昆布ですね。ただやっぱり、安い昆布っていうのはだしが出ないんですよ。
(ジェーン・スー)ああー。安いには理由があるんですね。
(梅津有希子)そうなんです。そうなんです。安いには理由があって。だからちょっとお高いんですけど、やっぱりいい昆布を選ぶと、しっかりしたいいおだしが出るので。本当に昆布だしって美味しいんだなっていうのがよくわかると思うんですよね。
(ジェーン・スー)これって冷蔵庫に入れておいたら、どれぐらい持ちます?
(梅津有希子)日持ちは、私の場合はだいたい1週間は余裕で持ちますね。1週間からまあ10日ぐらいは大丈夫かな?
(ジェーン・スー)じゃあ、結構それでお味噌汁を朝作ったりとかいろいろ……
(梅津有希子)はい。できますし、あと、もし平日お仕事で忙しくて昆布だしを使えなかったっていう場合も、たとえば土日に鍋で全部1リットル使っちゃうとか。そういうこともできますので。全然、捨てちゃうってことはないと思いますね。
(ジェーン・スー)そうかそうか。
(小倉弘子)その保存期間は、昆布は入れっぱなしなんですか?
(梅津有希子)私は入れっぱなしにしちゃってますけども。気になる方は、2日ぐらいたっておだしが出たら、昆布を出して保存しておくといいと思います。
(小倉弘子)刻んでご飯に入れちゃったりとかね。
(梅津有希子)そうですね。刻んでも使えますね。
(ジェーン・スー)そうか。昆布だしっていうと、大きなお鍋に水からやって沸騰させて、いつのタイミングで出すの? みたいなね。
(梅津有希子)そう。わからないですよね。
(小倉弘子)20グラムか。
(ジェーン・スー)結構とにかくケチんないってことですね?
(梅津有希子)ケチらないってことですね。はい。
(小倉弘子)そして、これの活用の仕方。
(ジェーン・スー)どんな方法がありますかね?
(梅津有希子)まあ、私よくやるのは本当に昆布だしを温めて、そこにちょこっと薄口醤油。またはお塩でもいいんですけども。それだけで、いいお吸い物ができるんですね。で、そこに溶き卵を流し入れて、かきたまスープっていうのはしょっちゅう作ります。すごい美味しいですよ。
(ジェーン・スー)40すぎてから、これ、ラジオでも以前言ったことがあるんですけど。「甘くない、でもなんとなく味のある温かい飲み物が飲みたい。だしスタンド、作ってくれ」っていうことを言っていたぐらいなんですけど。自分でできるわけですね。
(梅津有希子)できます。できます。すごく美味しいです。簡単で。あと、何にでも使えますね。ミネストローネとかにも使えますし。
(小倉弘子)ミネストローネ!?
(梅津有希子)使えます、使えます。もう何でも、スープのベースとして使えるので。市販のコーンスープを溶く時も昆布だしで溶いたりとか。美味しいですよ。
(ジェーン・スー)味に深みが出ます?
(梅津有希子)深みが出ます。うま味が出るので。
(ジェーン・スー)そうなんだ。グルタミン酸だ。
(梅津有希子)何でも使える。だから、材料が「お水」っていうところを全部「昆布だし」に変えると、どんな料理でも美味しくなりますね。
(ジェーン・スー)なかなか乱暴でいいですね(笑)。
(梅津有希子)(笑)
(ジェーン・スー)なんか例として、私たちがすぐ試せるようなものがいま、横に出てきて。びっくりしてるんですけど。あなた、もしやこれを昆布だしでやっているんですか?
(梅津有希子)そうです。
(小倉弘子)チキンラーメンのカップラーメンが来ました。
(ジェーン・スー)チキンラーメンをお湯じゃなくて、昆布だしで作る?
(梅津有希子)もう全然、美味しくなりますよ。
チキンラーメンを昆布だしで作る
(ジェーン・スー)これね、普通のチキンラーメン。
(梅津有希子)普通でも、美味しいじゃないですか。
(ジェーン・スー)じゃあちょっと。おおー、久しぶりに見たよ。チキンラーメン。すぐおいしい~♪ すごくおいしい~♪
(梅津有希子)そう。普通でも美味しいけど……
(ジェーン・スー)入れよう。紙コップに入れて食べよう。
(梅津有希子)もっと美味しくなります。
(小倉弘子)やだー、これ、ちょっと美味しかったらなんか、私毎日やっちゃいそう。チキンラーメン、大好きなんです(笑)。マズいな、夏を前に……
(ジェーン・スー)お先に失礼します。ちょっとお汁も入れておきましょうか……
(梅津有希子)そう。普通に食べてもね、十分に美味しいので。
(小倉弘子)これ、普通バージョン。
(ジェーン・スー)(ズルッ)あ、普通。普通。
(小倉弘子)(ズルズルッ)あ、美味しい。
(ジェーン・スー)普通のチキンラーメン。美味しいね。こういう味だった。久しぶりに食べて思い出した。
(小倉弘子)(モグモグ……)しゃべれなくなっちゃうね。うん。
(ジェーン・スー)さあ、こちらが昆布だし入りのチキンラーメンでございます。いただきます。(ズルッ)あ、全然違う。全然違う! ああ、そう!
(梅津有希子)(笑)
(小倉弘子)嘘?
(梅津有希子)もっと美味しくなりますよね?
(ジェーン・スー)あのですね、チキンラーメン美味しいんですけど、美味しさの理由のひとつでもありますこの平坦な味。図形で示すんであれば長方形がズラッて1枚みたいな。そんなものがですね、これを入れることによって、「あっ、この長方形、実は立体だったんだ。奥行きを感じるよ」っていう……
(小倉弘子)香りから違うね! 何だ、これは? 私の馴染んだチキンスープと違うぞ?
(梅津有希子)やっぱりその、チキンラーメンなんかは鶏ガラじゃないですか。鶏ガラのイノシン酸と昆布のグルタミン酸さんが合わさって、うま味の相乗効果なんですよね。
(ジェーン・スー)これ、角が取れますね。
(梅津有希子)取れますね。深みが出て。
(ジェーン・スー)どうよ、弘子?
(小倉弘子)すごいね。えっ、鶏と昆布って合うんだ。
(梅津有希子)合いますよ!
(ジェーン・スー)結構びっくりするぐらい、味が違うね。
(梅津有希子)ああ、よかった。
(小倉弘子)チキンコンソメ昆布? なんだ、これは?
(ジェーン・スー)ちょっと、まだ食べたいからしゃべっててもらっていい?
(梅津有希子)(笑)
(小倉弘子)やだなー、もう。
(梅津有希子)そう。だからこうやってチキンラーメンとか、本当にサッポロ一番塩ラーメンとか、そういうのが何でも美味しくなるので。カップラーメンが。だから、余った時にこういうものに使っちゃっても。だからすぐに1リットルなんかなくなりますよ。
(ジェーン・スー)なるほど。
(小倉弘子)目からウロコ!
(ジェーン・スー)私、カップラーメンを昆布だしっていうのは、考えたこともなかった!
(小倉弘子)じゃあちょっと、私が気になることを聞いてもいいですか? スーさんが食べるっていうから。あの、さっきコマーシャル前に言っていたの、なんですか? 「職場で急にだしを取りたくなったら、コーヒードリッパーがいいよ」とかおっしゃっていたんですけど。それ、どういうことなんですか?
(梅津有希子)はい。かつお節はコーヒードリッパーでだしを取る。
(ジェーン・スー)ん?
(小倉弘子)かつお節ってだし、取れるんですか?
(梅津有希子)取れますよ。
コーヒードリッパーでかつお節のだしを取る
(ジェーン・スー)なんかもっと、かつお節はグツグツやってる時にパッと入れて、1分でサッと上げて……とか、面倒くさいなっていう感じじゃないですか。あ、もう動いてる。もう動いてる。ええとですね、いま、ガラスのジャーみたいなものに、百均で売っているコーヒードリッパー。そしてその上に、普通の茶色いコーヒーのフィルターを入れて。かつお節を入れて。
(小倉弘子)これ、普通のパックのかつお節だよ。
(梅津有希子)そうです、そうです。
(小倉弘子)だし用じゃないですよ。
(梅津有希子)これ、普通の小分けの、おひたしとかにかける……
(ジェーン・スー)あ、どんどんどんどんだしが。面白いようにだしが(笑)。
(小倉弘子)すごいリアルな音が。チョロチョロチョロ……って。
(コーヒードリッパー)(チョロチョロチョロ……)
(ジェーン・スー)これはだしが出る音です。間違えないように……
(小倉弘子)ああ、でもたしかに色が。
(ジェーン・スー)いい色のだしが取れてますね。はー。
(小倉弘子)この音といい、色といい……
(梅津有希子)香りも。
(ジェーン・スー)本当だ。言われてみればっていうことですけど。なるほど。
(小倉弘子)えっ、これは色はたしかに薄黄色なんですけど。
(ジェーン・スー)味だよね。問題はね。うん。
(小倉弘子)ちょっともう1回、チキンラーメン食べようかな。美味しいよ。
(ジェーン・スー)そっちは普通のチキンラーメンだよ。食べ比べてみ? 全然違うよ。
(小倉弘子)あのね、普通のチキンラーメンの方が醤油っぽいの。
(ジェーン・スー)っていうかね、味が単調だから、逆にキツく感じるんだよね。味が。
(小倉弘子)これ、いいわ!
(ジェーン・スー)全然違う。
(梅津有希子)ぜひ、やってください。
(ジェーン・スー)そうこうしている間に、すでにだしが取れました。なんだ、このハイスピードだし……
(梅津有希子)すぐ出るんですよ。
(小倉弘子)あ、香りがすごい。かつおの香りが。
(梅津有希子)ちょっと飲んでみてください。
(ジェーン・スー)あ、ちゃんと出てますね!
(梅津有希子)出てますよ。
(小倉弘子)いただきまーす。おーいしー!
(ジェーン・スー)これにちょっとお醤油を……
(梅津有希子)そう。お醤油とかお塩を入れるだけでもっと美味しくなるので。
(小倉弘子)これ、いいですね!
(梅津有希子)そう。だから職場で本当にコーヒーを入れるみたいな感覚でかつおだしを入れて、残業のお供にとか、お昼ごはんのスープにしたりとか。
(ジェーン・スー)そう。ちょっとやっぱりスープをコンビニでね、お湯を入れるだけのもあるんだけど。ちょっと気持ちが寂しくなっちゃう時もあるじゃない?
(梅津有希子)そうですよね。毎日続くと。
(ジェーン・スー)それをこうやったりして。
(小倉弘子)このだしを飲んだ時の、内側からほっこりする感じ。冷房で冷たくなった体にすごくいいですよね。
(梅津有希子)ああ、いいと思います。夏に。だからこんなに簡単に取れるので。全然難しくもなんともないんですよね。
(ジェーン・スー)この『だし生活、はじめました。』っていう梅津さんの本を読むと、他にもいろんな方法が書いてるんですか? だしの取り方とか。
(梅津有希子)書いてます。煮干しの取り方とか、干ししいたけとか、ビーフジャーキーのだしとか。
(ジェーン・スー)ビーフジャーキーのだし!?
(梅津有希子)もうなんか、乾物を片っ端から水に浸けたくなってきて(笑)。
(ジェーン・小倉)(爆笑)
(梅津有希子)なんか昆布とか干ししいたけを浸けていると、「乾いているものなら、何でもだしが出るんじゃないかな?」って思ってきて。鮭とばとか、なんかいろいろ浸けるようになったんですよね。で、ビーフジャーキーを浸けてみたら、ちゃんとだし、出ましたね。美味しかったですよ。
(ジェーン・スー)あ、そうなんだ!
ビーフジャーキーのだし
(梅津有希子)それでチャーハンを作ったりとかして。すごいジャンクなチャーハンを、ビーフジャーキーと卵で作ったら美味しかったです。
(ジェーン・スー)あらららら!
(小倉弘子)素敵!
(梅津有希子)そう。乾いている乾物はだいたいだし、出るんじゃないですかね。なんでも水に浸けると(笑)。干しエビとか。
(小倉弘子)やってみる価値、ありますね。
(梅津有希子)うん。あります、あります。
(ジェーン・スー)結構読み応えあるご本だと思うんで。ご興味のある方はぜひ、『だし生活、はじめました。』を。これな、いろいろ……あ、あそこのスパゲッティって……
うめづせんせいのご本がこちらです
だし生活、はじめました。 梅津 有希子 https://t.co/RXKaRUPoSX @amazonJPさんから
— ?ント大ちゃん (@KV_II) 2016年6月8日
(梅津有希子)そうなんですよ。
(ジェーン・スー)ああ、そうなんだ!
(小倉弘子)なに? なに?
(ジェーン・スー)いや、元祖のあそこでしょ? ちょっと見て、ほら。これ、読んじゃダメだよ。
(小倉弘子)おっ、おっ!
(梅津有希子)そう。元祖のあそこです。
(ジェーン・スー)知らなかった。
(梅津有希子)そうなんですよ。昆布が決め手なんですよ。
(ジェーン・スー)あらま。いろんなところで昆布が。まさか、あのレストランで昆布を入れるとはね。
(梅津有希子)いや、そうですね。
(小倉弘子)ちょっとやってみます。いろいろだし、使えそうですね。
(梅津有希子)はい。何にでも使えます。
(ジェーン・スー)今日はライターでだし愛好家の梅津有希子さんに、簡単にだしが取れる方法をうかがいました。まとめます。昆布だしは麦茶のポットに水を入れ、冷蔵庫に入れておくだけ。かつお節はコーヒードリッパーでだしを取る。どちらも、ケチケチしない。これがポイント。
(梅津有希子)はい。ケチらないことがポイントです。
(ジェーン・スー)梅津さん、今日はありがとうございました。
(小倉弘子)ありがとうございました。
(梅津有希子)ありがとうございました。
<書き起こしおわり>