ジェーン・スーと加美幸伸 漫画『未中年』『今夜もカネで解決だ』を語る

ジェーン・スーと久米宏 『今夜もカネで解決だ!』とケチを語る FM COCORO

ジェーン・スーさんがFM COCORO『SATURDAY MAGNIFICENT CAMP』にゲスト出演。原作を担当した漫画『未中年』と著書『今夜もカネで解決だ』について加美幸伸さんと話していました。

(加美幸伸)まあいろんなね、そういったとにかく活動。また、こういう言葉でいうとあれかな? 多趣味っていうか、いろんなことに目を向けてらっしゃる……。

(ジェーン・スー)まあ、落ち着きがない感じですね。43になったんですけど、もうちょっと落ち着いていると思ったんですが。安定の期待はずれですね。

(加美幸伸)あのね、そういうことをね、ちょっと先に言っちゃっていいかな? 『未中年』っていう漫画が出ていて。これ、原作。4月8日に発売されたんですけど。これ、僕読んだんですけど、すっごい面白くて。

『未中年~四十路から先、思い描いたことがなかったもので。~』


未中年~四十路から先、思い描いたことがなかったもので。~

(ジェーン・スー)ありがとうございます!

(加美幸伸)これがテーマが、まさにいまおっしゃったみたいに、「40ってこんなもんなんだ」っていう。僕も子供の頃に40才っていうのはイメージなかったんですよ。

(ジェーン・スー)40から先って全然未知の世界でしたよね。

(加美幸伸)で、僕はいま50を超えちゃったんで。僕の中ではもうなかった世界なんです。いま。ここは。子供の時に。

(ジェーン・スー)はい(笑)。

(加美幸伸)そういうことですよね。で、意外にそこに立った時に、「ああ、こんなもんか」っていう感じ。

(ジェーン・スー)でもいろいろ、自分自身でもっと大人になっているはずだったのに、本当は人に大切にされたりとか、「よかったね」とか「大丈夫だよ」って声をかけてほしいっていうその子供みたいな気持ちっていうのが実は自分の中にまだくすぶっていて。それをでも、なかったことにするとどうしても心が壊れてくるというか。仕事もそうですよね。バリバリやってどんどん出世していく人は一部だけど、あとはだいたい40代、はまりがちなのが、「ネクストレベルの雑用係」っていう。

(加美幸伸)ああー。

(ジェーン・スー)新人のフォローをして、かならずミスも見つけられるし、仕事も早いんだけど、大きいプロジェクトとかは回ってこないっていう。この中でどう自分を騙し騙しやっていくか?っていう時に彼女が会ったのは……っていう話なんですけども。「40代の、特に取り柄がない女性が主人公になる漫画があってもいいじゃないか!」って、原作をやりました。

(加美幸伸)そう。というこの『未中年』という……また、この”未中年”っていうワードが非常にピピッときますね。

(ジェーン・スー)ありがとうございます。

(加美幸伸)ぜひこの漫画、読んでいただきたいと思います。いま絶賛発売中でございます。これ、よろしくお願いします。男性も全然いいと思います。

(ジェーン・スー)そうですね。

(加美幸伸)男性も読んでいただきたい。また、いろんな使い方ね。もしかして、この年齢の世代の上司の方は、そういうことを考えているんだ。また下の方は、こういうことを考えてらっしゃるんだ。こういう人、いらっしゃるんだっていうことを知るっていうこともあるし。男性も、このまま普通に受け止めてもいいんじゃないかな? というような、素晴らしい漫画になっています。ぜひともみなさん、『未中年』読んでいただきたいんですが。

(ジェーン・スー)ありがとうございます。

(加美幸伸)それともうひとつ、『今夜もカネで解決だ』という本が出ました。

『今夜もカネで解決だ』


今夜もカネで解決だ

(ジェーン・スー)ふざけましたね。失礼しました。

(加美幸伸)これはだけど僕、びっくりこきました。僕たちって、いわゆる「肩がこったから、疲れたからちょっとマッサージに行って体を癒やしてもらおうかな?」っていうのは、「いやいや、俺は男だし、違うな」というなんか変な、そういうような頑固な気持ちに負けてしまって、僕なんか行かないんです。体ガタガタなんですけど。

(ジェーン・スー)ああ、そうなんですか?

(加美幸伸)ガタガタ、ガチガチですが、行きません。

(ジェーン・スー)大至急行ってください。そこに「骨盤剥がし」っていうのにいま私、入ろうかなと思って……。

(加美幸伸)っていうことなんですよ。

(ジェーン・スー)肩の肩甲骨剥がしっていうのがあって、やりたいなと思って見ていたんですけど。

(加美幸伸)そうなんです。だからつまり、この本の中にはご自身がいろいろそういったところに行って、言うたらレポートですね。

(ジェーン・スー)そうですね。ただ、レビューにはしないようにしようと思って。レビューにするとやっぱりプロの人の本に勝てないんで。どっちかって言うと、「なぜ人はマッサージに行くのか?」とか、「疑似科学とどう付き合っていくのか?」とか。聞いたこともない、物理ジェナティック施法とか、あるじゃないですか。「それ、なんだ?」っていう。

(加美幸伸)(笑)

(ジェーン・スー)「そういうものとどう付き合っていくか?」とか。あと、たとえば「男性の風俗とどういう共通点があるのか?」とか。

(加美幸伸)うん。そういう風に言われちゃったりするわけですよ。女性の方もね。

(ジェーン・スー)そうですね。ただまあ、一致はしないけど、共通点がないとも言えない。時間でかならずこの人は自分のことを大切にしてくれて、絶対に拒絶されないっていう空間がお金で買えるのはマッサージでもあって。やっぱり私、マッサージ好きが高じて、マッサージチェアを買っちゃったんですよ。すごいのを。

(加美幸伸)家に?

(ジェーン・スー)「ファーストクラスってたぶんこんな感じだろう」っていうような。

(加美幸伸)それぐらいすごいのを?

(ジェーン・スー)すごいのを買ったんですけど、それでもやっぱり、「人の手に癒してもらう」っていうこととは違う。だからコリが取れるだけじゃなくて、施術者さんの指と私の体で会話をするようなところがあって。人に「大変だったね。お疲れ様。わかるよ」ってやってもらうのが好きなんだなって思ったりして。

(加美幸伸)ああー。だからこの中にもありましたけど、女性の方がお店に行って「ここ、いいな」と思ったお店が閉店になる。「ええっ!」って驚いてらっしゃる時に、隣で声がした。男性のお客さんと女性の施術師の方の会話があって。「私、指がもう疲れちゃって大変なんです」みたいなお話をしていたら、その男性がガッと笑っていた。それはちょっと違うんじゃないか?っていうお話があるんですよ。本当にそう。たとえば、「僕が声が出なくなった。出にくくなったからこのお仕事を辞めようと思うんです」って言ったら、「お気の毒に」ですもんね。

(ジェーン・スー)はい。

(加美幸伸)そういった気持ちがおかしいん違うか?っていうことが書かれていたり。だから、人との関わりっていうか接し方っていうか。そういうことも入っているのね。ここには。

(ジェーン・スー)人とどうコミュニケーションを取るのか? とか。あと、雑な対応。なんか雑なんだけど、でも慇懃無礼なことが人を気持ちよくするんじゃないなっていうのがしっかりわかる中国系のマッサージだったりとか。

(加美幸伸)そうそう。そういうことも書いていた。

(ジェーン・スー)「終電だけど大丈夫?」みたいなことを気にしてくれるとか。コミュニケーションってこっちでいいんじゃないのかな? とか思ったりしましたね。

(加美幸伸)だから、なんだろうな。僕たちってついついきっちりしたシステムの中でそれが執り行われていくと、なんか安心感。「ああ、ここはいいお店なんだ」って思っちゃうけど、実はそうじゃない。適当に「ああ、はいはいはい」みたいな感じなんだけど。そして、意外にちょっとよだれの跡とかが下にあったりするんだけど……なんかものすごくよかったっていう。

(ジェーン・スー)そうですね。これだけバリエーションがあるところってないと思いますよ。他の国でも。こんなにマッサージのバリエーションがあるのって。あと、流行りもどんどん変わっていくじゃないですか。「ストレッチ」って言ったかと思ったら、さっきの「肩甲骨はがし」ってなったり、「タイ式」とか。みんな好きなんですね。触られるのが。

(加美幸伸)これ、本当にあれなんでしょう? そういう風にパッと見つけて「いいな」と思ったら入ってるんでしょう?

(ジェーン・スー)そうです。入って。自腹で全部行って。本を売って回収している最中なんで、よかったらご協力ください。

(加美幸伸)そうなんです。本当に自腹で行かれていて。だから安いものばかりじゃないんですよ。後半に行けば行くほど、すっごいお値段のところもあったりとかして。

(ジェーン・スー)はい。

(加美幸伸)ですからいろんなところ……だけど、僕びっくりしたのは「こんなに安いんだ!」っていうのも。

(ジェーン・スー)そう! それでちょっと傷ついちゃうんですよ。傷ついちゃうっていうか、昔……たぶんわかると思うんだけど「1000円・10分」だったと思うんですよ。マッサージって。それがだんだん、「40分・1980円」っていうのが出てきちゃったんですよ。で、そういうところに行くと、狭いとかサービスがそんなに悪いとかじゃなくて、研修がすでに終わった、技術は持っているがいまやっている職場ではそんなに稼げていないおじさんとかがいたりして。「この人たちは果たしてこれで食べていけるのか?」っていう。とか、若い女の子も。「この子、手取り15万もらえているのかな?」とか。

(加美幸伸)ああ、心配や。

(ジェーン・スー)心配になっちゃうんですよ。安けりゃいいってもんじゃないんです。これ、2年バーッと行っていちばん思ったのは、「やってもらった対価はやっぱりしっかり払おう」っていうことでしたね。

(加美幸伸)うんうん。まあ、だから「悔しいな」って思うこともあるわけでしょう。当然ね。

(ジェーン・スー)そうですね。

(加美幸伸)「こんなん、ちゃうで!」って思う時もあるわけでしょう?

(ジェーン・スー)あります、あります。そういう時はもう、顔にクリームが残ったまま、「終わりました」って。顔を見たら、「なんでここに模様が入ってるんだろう?」って思ったらクリームつけっぱなしだったとか。そういうところもありますし。あと、心ここにあらずだとね、それが指からわかるんですよね。

(加美幸伸)ああ、しかもこれだけ行ったら特にね。

(ジェーン・スー)そうですね。ちょっと。まあ、厄介な客だと思うんですけど。私は。

(加美幸伸)うんうん。まさかだけど、こうやって書かれていると思わないしね(笑)。

(ジェーン・スー)そうですね(笑)。全部お店の名前は伏せているんで。

(加美幸伸)そうなんです。だからどこにあるかわからないんです。だけど、そういった、本当に心の通い合いみたいなのがすごくこの中で見れて。僕はすごく素敵な本だと思いました。最初は男性としたら、あまりわからなかったんですけど。だんだん読んでいるうちにもうどんどん面白くなっちゃって。「女性ってこんなことしているんだ」っていうことも思ったり。あと、不思議だったのは「ちょっと行ってみようかな?」って思いましたよ。もう本当に行かないんで。

(ジェーン・スー)行った方がいいです。行かれたら、ぜひ。

(加美幸伸)なんか男性が行くってちょっと恥ずかしくないですか?

(ジェーン・スー)そんなことないですよ。ハマっちゃうともうこんなに癒される場所、ないですから。

(加美幸伸)いいんですか? もう堂々と行って。

(ジェーン・スー)もちろんです。もちろんです。もうヘッドスパから足裏から何から。本当に気持ちいいですよ。

(加美幸伸)じゃあちょっと、本当だから僕はひとつ……本がきっかけになるってすごいね、僕たちは生きている上で幸せだなと思うんですけど。僕はこの本がきっかけでちょっと行ってみようかなと思っております。

女性版『孤独のグルメ』マッサージ編

(ジェーン・スー)ありがとうございます。そう。「どんな本なんですか?」って聞かれて、いつも説明に困っていたんですけど、野宮真貴さんがコメントをくださって。「女性版『孤独のグルメ』マッサージ編」っていう。「ああ、それそれそれ!」っていう。『孤独のグルメ』ってグルメ本じゃないじゃないですか。ただ単に主人公がいろんな街に行ってご飯を食べるっていう。あれデスよね。あれのマッサージ編です。

(加美幸伸)ですから、まず女性の方はぜひ一度読んでいただきたいと思います。『今夜もカネで解決だ』。お値段も1300円。お安くなっております。

(ジェーン・スー)ありがとうございます。

(加美幸伸)これ、全然いいんじゃないですか。これ、ご購入されて読んでください。で、これを読んだら男性にお貸しするのもいいと思います。ですが男性、勇気出して買ってください。そして読んでください。ワクワクします。たぶんあなた、行っていると思います。僕、来週あたり行くと思います。

(ジェーン・スー)結構みなさん、そういう声が多くてうれしいんですよ。「読んだらマッサージに行きたくなった」っていう人がすごく多くて。ちょっとしたリラクゼーション業界から、バックマージンとかほしいなって思っているぐらいなんですけども。

(加美幸伸)だけど、ホンマやね、これね(笑)。

(ジェーン・スー)本当に。

(加美幸伸)どんだけお金使っているんだ?っていう話だもんね。

(ジェーン・スー)そうなんですよ。「コンサルとかで私を雇え!」って思うんですけど。

(加美幸伸)本当、本当。ぜひみなさん、『今夜もカネで解決だ』という非常にショッキングなタイトルですけども。

(ジェーン・スー)そうですね。品のないタイトルで並んでおります。

(加美幸伸)ぜひみなさん、読んでいただきたいと思います。だけど、どうですか? こういった本もリリースされて、もちろんラジオの方もそうですけども。もちろん音楽活動も含め、いろんなことをされていますけども。いま、どうですか? なんかピンと来ているものとか。こういうことをしてみたいなと思うようなこととか?

(ジェーン・スー)やってみてびっくりしたのは、今回の漫画の原作もそうですけど、物語作りっていうことが本当に、センスとかだけじゃなくて技術力なんですよね。物語を構築するのって。だからその勉強をいつかしたいなと思いました。

(加美幸伸)なるほどね。

(ジェーン・スー)本当に面白いんです。物語の作り方っていうのをちょっと垣間見ると。私たちが「わーっ!」って思っていままで感動したものって、ちゃんとどうやって心が動いていくか?っていうのを技術として計算されているんですよね。もちろん、それだけではどうにもならないけども。その勉強ができたらいいなと思っています。

(加美幸伸)だけど、これまでたとえば書かれた本がドラマになったりしておりますけども。そういうのもどんどんどんどん入り込んでいってね。いっぱい作っていってくださったら、大変僕らも楽しいし。

(ジェーン・スー)ねえ。完全に何屋かわからなくなりますよね。何でも屋で行きたいと思います。

(加美幸伸)もうぜひぜひ、楽しみにしています。

<書き起こしおわり>

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