(松尾潔)まあ、こんな感じで話は尽きませんけれども、林さんの注目の動き。ちょっと僕の視点とかとはまた違う、林さんならではのお話を伺いしたいと思って。
(林剛)はい。
(松尾潔)なんか年末に林さんが来日ステージをご覧になって大層インパクトがあったというネイオの話を聞きたいんですけども。
(林剛)ネイオ。イギリスの女性シンガー。イーストロンドン出身の女性シンガーですけども。出身としてはエラ・メイにもちょっと近いっていうところはありますけども。まあ、UKをペースに活動してる女性なんですよ。
(松尾潔)エラ・メイはね、実質的に……。
(林剛)もうアメリカのシンガーですよね。2016年からアメリカに住んでいますから。
(松尾潔)ティーンエージャーの時はそうですけどね。ネイオの場合はもうUK産っていう感じですか?
(林剛)そうですね。で、Mura Masaとかね、エレクトロニックミュージックのMura Masaとか、あとはそのMura Masaつながりなのか、ナイル・ロジャース&ザ・シックの新作とかにも参加してたりしましたけども。あとは去年、シックもそうだったんですけど、『アンクル・ドリュー』っていう映画のサントラがありましたけども。あそこでティーナ・マリーの『I Need Your Lovin’』をカバーしていましたね。
(松尾潔)はい。うちの番組でかけましたよ。
(林剛)非常にキュートな声で歌う人で。
(松尾潔)僕なんかはドクター・ドレーの昔のパートナーだったミシェレイなんかを思い出しちゃいますけどもね(笑)。これは変わった音の鳴る楽器というか。
(林剛)それでまあ、アルバムを1枚出していたんですけども、2枚目のアルバムがさっき、ベスト5に選んだ『Saturn』っていう。これが本当に素晴らしい作品だなと思っていて。そのアルバムにはね、H.E.R.の『Lights On』っていう曲がありましたけども、あれを手がけているUKのグレイズっていう人がプロデュースをしていたりとか。
(松尾潔)なるほどね。H.E.R.とも地下水脈でつながると言うか。
(林剛)それで去年の12月に来日公演が……初来日かな?
(松尾潔)いかがでした? 足を運ばれたんですよね。
(林剛)行ったんですよ。で、なんか前日にMura Masaのライブになんか前座として出たみたいな話もあったんですけど、僕が見たのは単独の方で。これがね、本当に素晴らしくて。結構踊るんですよね、彼女ね。
(松尾潔)ふーん。意外! イメージ的には。
(林剛)僕は見てちょっと思ったのは、ずーっと思ったのはティーンの頃のブランディのようなかわいらしさと、あとはファンクネス。ファンク感。それがすごいあるアーティストで。
(松尾潔)まあ、たしかにティーナ・マリーのカバーとかで歌う時のあの歌いまわしとかはね、相当なファンク指数の高さですよね(笑)。
(林剛)だからあのシックの曲もね。シックにもフィーチャーされていて。なんか本当にネイオの声が出ると、何かこうミラーボールが回り出すようなね、そういう感じの……。
(松尾潔)はー! きれいな表現ですね。
(林剛)そんな感じなんですけども。その中で、すごい気に入った曲があって。ケンドリック・ラマーとかあとはSZAが所属するTDE、トップ・ドーグ・エンターテイメントに所属するLAのシンガーソングライターのSiRっていう、その彼をフィーチャーした曲がすごい、特に去年よく聞いていたものですから。
(松尾潔)じゃあ、聞いてみましょう。曲紹介は林さんにやっていただきたいと思います。
(林剛)NAO feat. SiRで『Make It Out Alive』。
Nao『Make It Out Alive ft. SiR』
(松尾潔)林剛さんのリコメンド、NAO feat. SiRで『Make It Out Alive』をお聞きいただきました。これはネイオにとって2枚目となる『Saturn』というアルバムに入っていました。ネイオはもう30代?
(林剛)87年生まれでしたっけ。
(松尾潔)ちょっと年齢の判別が難しいような歌声なんですけども、ちゃんとキャリアはあるんですね。
(林剛)ちなみに彼女のレーベルとスタジオが「Little Tokyo」っていうんですね。
I have my own record label. It's called Little Tokyo Recordings | @LTRecordings | https://t.co/xAl0vNixph x pic.twitter.com/Ham0bsu0tp
— NAO (@thisNAO) 2016年1月16日
(松尾潔)フフフ(笑)。
(林剛)すごい日本が好きで、一度昔の彼氏と一緒に日本に遊びに来た時に、下北沢の某ソウルバーに行って、そこから名前を取ったらしいですよ(笑)。
(松尾潔)ああ、なんとなくそのお店のレイアウトが頭に浮かんでおりますけれども。今日もね、大きな視点から小ネタまで、本当に林さん、ありがとうございましたっていう感じなんですけども。「林さん、またゲストに来てください」っていうお便りをたくさんいただいているんですけどもね。その中からひとつ、ご紹介させてください。
福岡県にお住まいの54歳の男性リスナーの方。この方は「林剛さんの2018年の私的ベストテンにピックアップされていたキャロル・ウィリアムスをリクエストでよろしくお願いします」ということで。キャロル・ウィリアムスの『He’s My Man』を。キャロル・ウィリアムスってサルソウルで『More』を歌っていた人ですよね?
(林剛)そうですね。まあ、ディスコシンガーですよね。
(松尾潔)林さん、去年の?
(林剛)とある雑誌の発掘盤・再発盤のベストテンっていうのがありまして。そこで選んだんですよね。
(松尾潔)細かいところをチェックされてますね。
(林剛)そうですね。ありがたいですね。
(松尾潔)そんな、新譜だけじゃなくて復刻版にも細かく目配りされている林さんからすると、2018年というのは一言で言うとどんな年でしたか?
(林剛)エラ・メイです(笑)。
(松尾潔)そして2019年は?
(林剛)はい。それこそね、いろんな僕が注目してるアーティストは結構いまして。エラ・メイの北米ツアーを一緒に回るラッキー・デイっていうニューオリンズ出身のシンガーがいまして。
(松尾潔)はい。この番組でも何度かご紹介しましたけども。ラッキー・デイ、いいですよね。
(林剛)素晴らしいですよね。これがですね、バンジスっていう女性デュオがいましたよね。
(松尾潔)うんうん。2人のね、動画でたくさんカバーを上げていたあの姉妹ですよね。
(林剛)彼女たちは『Keep Cool』っていうレーベル・プロダクションに所属しているんですけど、それをやっているのがトゥンジ・バログン(Tunji Balogun)っていう、ちょっと名前を読みにくい……。
(松尾潔)ああ、僕はいま、はじめて聞きました。もう一度、言ってください。
(林剛)トゥンジ・バログン。この人はRCAのA&Rなんですよね。
(松尾潔)なるほど。というと、かつてのケヴィン・エヴァンスのついていたポジションですね。
(林剛)しかも、H.E.R.にも関わっているという。
(松尾潔)ああ、キーパーソンが見えてきましたね。
(林剛)この人のクレジットされている作品を見れば、結構当たりが多いんじゃないかと。
(松尾潔)なるほど。もう一度聞かせてください。
(林剛)トゥンジ・バログン。
(松尾潔)なるほど。今日はみなさん、これを覚えてくださいね。
(林剛)これ、読み方が正しいかはわからないですけどね(笑)。
(松尾潔)フフフ(笑)。
(林剛)あとは、クイーン・ナイジャとかね、僕が好きな女性アーティストがいまして。松尾さんも選ばれていましたけども。
(松尾潔)わかりました。
(中略)
(松尾潔)さて楽しい時間ほど早く過ぎてしまうもの。今週もそろそろお別れの時が迫ってきました。ということで今週のザ・ナイトキャップ(寝酒ソング)。今夜は年明けにいきなり大きな大きな曲をドロップしてくれましたクリス・ブラウンの、懐かしのシャニースネタの曲『Undecided』。こちらを聞きながらのお別れです。これからお休みなるあなた。どうかメロウな夢を見てくださいね。まだまだお仕事が続くという方。この番組が応援しているのはあなたです。次回は来週、1月21日(月)。夜11時にお会いしましょう。お相手は僕、松尾潔と……。
(林剛)林剛でした。
(松尾潔)それでは、おやすみなさい。
Chris Brown『Undecided』
<書き起こしおわり>