プチ鹿島 JOC竹田会長・フランス当局捜査のタブロイド紙報道を語る

プチ鹿島 JOC竹田会長・フランス当局捜査のタブロイド紙報道を語る 水曜日のニュース・ロバートソン

プチ鹿島さんがBSスカパー!『水曜日のニュース・ロバートソン』の中でフランス当局が東京五輪招致の不正疑惑でJOC竹田会長を本格捜査することを決めた件を報じる日刊ゲンダイと夕刊フジの報道の違いを読み比べていました。

(プチ鹿島)ということで、いまネットからの発信……たとえばアイドルだって今回の件、ひとつ救いがあるとしたら自分で発信できるメディアがあったということだと思うんですね。新しいメディア。やしろさんだってそうじゃないですか。どれだけフットワーク軽くできるかっていうことだと思うんですが。私がここで取り上げるのは、紙のタブロイド紙。主におじさんたちが読んでいるもの。だけどちょっとそれを眺めてみようっていう、そういうコーナーなんですね。今週、ご紹介する記事はこちらです。日刊ゲンダイ。出ましたね。「裏金五輪返上」ということで。

(モーリー)フハハハハハハハッ!

(プチ鹿島)これ、いつの見出しかというと、JOC竹田会長……フランスの当局がまた動いたよっていう一報を受けた次の日の見出しなんですね。「裏金で汚れた東京五輪の今後」ということで。もう返上まで行くのか、行かないのか?っていうような、そういう切り口がゲンダイなんですよね。

(モーリー)もともと「オリンピックやめちまえ!」だもんね。

(プチ鹿島)そうです。だから論調の比較をしたいと思います。一方、じゃあゲンダイのライバルである夕刊フジを見てみましょうか。論調の比較。夕刊フジは面白いんですよ。やっぱり最初、問題が出た時、たとえば一部からは「これはゴーンさんを逮捕したことによっての報復じゃないのか?」っていう、そういう反応をする人もいましたよね。

(モーリー)あのね、今日の番組の冒頭にも出たんですけども、いつしか個人のがんばりである稀勢の里がナショナル、日本の国の国益になっちゃうっていうのと、いつしか国の問題にすることで竹田会長を「より精査しよう」っていうことではなく、「フランスけしからん!」に話がズレていくのよね。

(プチ鹿島)だからそういう一部の……夕刊フジはそこに乗っかっている感じなんですよね。で、面白かったのが「ゴーンの報復なのか?」っていうのが最初に出た時、夕刊フジと同じ系列の産経新聞が社説で「ゴーンの報復を唱えることは陰謀論である」ってビシッと否定したんですよ。なぜなら、もう3年前からこの話は動いていたからという。ただ、夕刊フジは「ゴーンの報復なのか?」っていう風に言っている。

(プチ鹿島)で、日刊ゲンダイ。「これはゴーン逮捕の意趣返しかという当然の疑問……」って。ここに関しては夕刊フジと同じ論調なのかな?って思ってよく読んでいくと、ゲンダイは切り口が違うんですね。ゲンダイが実は「ゴーン逮捕の意趣返し、当てつけなんじゃないか?」って解釈したのが、実はここなんですね。「長期勾留する日本の人質司法は世界中で問題視されるようになった」という。で、それに対してフランスは今回、竹田氏の身柄拘束などはしていない。しかしフランスの検察は地道な証拠集めを続け、その結果嫌疑ありという風に判断をしたわけで。ここからです。「フランス政府にすれば、これが近代国家の主義であり、日本の刑事司法は中世の魔女狩りだと皮肉っている様子が伺われる」という。

(モーリー)もうとにかく「日本、恥ずかしいぞ!」っていうのを持ってくるんだよね。ゲンダイは。

「日本の人質司法に対する意趣返し」(日刊ゲンダイ)

(プチ鹿島)そう。だから「意趣返し。これはゴーンに対する報復じゃないか?」っていうのが夕刊フジのひとつの論調で、ゲンダイは「いやいや、人質司法なんかやっているから。フランスはほら、全然身柄拘束なんてしないでもちゃんと捜査しているよ」って。

(モーリー)でも、あれですよね。もうゲンダイの言う通りにするなら、もうオリンピックなんかやめちまえ。しかも日本は自分たちの民度の低さを恥じて、フランスにならえという(笑)。

(プチ鹿島)そうなんですよ。だからさっきの夕刊フジっていくと、その「民度の低さ」っていうのは実はある方も発言してらして。それが竹田会長のご子息。作家の竹田恒泰さんという方。

(モーリー)保守論客でもある。

(プチ鹿島)そうですね。「うちの父親をゴーンと一緒にするな。フランスは民度が低い」みたいなことを言っていたんですが。じゃあちょっとそれ、見ていただきましょうか。夕刊フジです。息子の竹田恒泰さんは櫻井よしこさんが主催するインターネットテレビで父親を擁護したという。

(モーリー)「櫻井よしこさんが主催」ね。

(プチ鹿島)そうです、そうです。ここ、大事ですね(笑)。

(モーリー)はい(笑)。

(プチ鹿島)「報復のようなことは民度が低い国がやることだと思っていた。父をゴーン氏と同じように見られるのはたまったようなもんじゃない」ということで、「やはりこれはゴーンに対する報復なのか?」っていう、こっちの論調があるわけですよ。

(プチ鹿島)だから、どっちの論調もきれいに分かれていて面白いとは思いますよ。

(モーリー)でもどっちも自分の固定ファンの殻の中でやっているんですよね。あんまりここに対話とかディベートがない。

(プチ鹿島)ないです、ないです。

(モーリー)ないからこそ、親父ジャーナルなんだよね(笑)。

(プチ鹿島)だからそれが同じ「フランスの報復」ということに対しても、これだけ解釈が違うんだっていうのが僕、両紙を読んでいて面白かったんですよね。

(モーリー)当事者が著名人で影響力がある人、Twitterでも影響力があるその当事者が出ていてウワーッ!って言うっていうのは、なんなの? こういうのって、身を引いたりしないの? 「ここは自分は当事者だから黙っていよう」って……まあ、トランプさんがその権化で。当事者でありながら、下手すると容疑者・被疑者になりながらもブワーッて。「フェイクニュースだ!」って戦っているわけで。

(プチ鹿島)だから竹田恒泰さんですよね。この方もSNSをやられて発信をしているので。こういうことを言うと、ご自身の支持者の方は「そうだ!」って言うから。それはだから発信するということなんですかね。

(モーリー)それはロビー活動としてありなんですかね?

(プチ鹿島)だからそう。今回、その報復説っていうのはとりあえず置いておいて、今回のJOCの竹田会長、2億円を振り込んだっていうんですよ。で、それがコンサルタント会社からIOCにつながっている親子、そこに渡ったんじゃないか?って言われているんですが、これはどう見ます? 東京五輪とか。そもそも2億円、コンサルタント料を払って……そんなに金がかかるのか?っていう話ですけども。

(モーリー)つまり、これはもしかしたらフランス側の視点っていうか欧米視点なのかもしれないけど、会長がなんでそのお金を振り込んだのか?っていうのをなるべく詳らかに、透明度を上げていって答えなきゃいけないですよね。

(プチ鹿島)そう。それが昨日、7分で記者会見終わっちゃったから。質問になにも答えずに。

(モーリー)フハッ!(笑)。そうすると、当事者はともかく、当事者以外は「やっぱりフランスの主張が正しいんじゃないか?」っていう風になびくんだけどな。

(プチ鹿島)そう。コンサルタントに2億円は振り込んだものの、ああいう危機管理のコンサルタントは雇ってなかったっていうのが図らずも昨日、記者会見でわかったんですよね。そこにはお金をかけていないっていう。

(モーリー)そうなんだ。いやー、なんなんだろうな? あの、やしろあずきさんに漫画を書いてもらったらいいんじゃないですか?(笑)。

(プチ鹿島)そうですね。東京五輪ね(笑)。

(やしろあずき)ええーっ?(笑)。

(モーリー)あんまり巻き込まれたくないですよね(笑)。

(やしろあずき)いや、面白く描けるんだったらいいですけどね。

(モーリー)でもね、かならず笑う人と笑わない人が出てきちゃうんですよね。

(やしろあずき)まあ、政治問題って結構漫画では……やっぱり僕は自由に発言ができた方がいいと思うんですけど、気にする人は多いですよね。「めんどくさい人が寄ってくる」っていうイメージがあるんで。

(モーリー)めんどくさいですよ。どっちみち2億にはいかないから。2億いくんだったら、政治はもういい! うん(笑)。

(プチ鹿島)というわけで、JOC竹田会長の初日の報道をタブロイド紙、読み比べてみました。

<書き起こしおわり>

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