プチ鹿島 官民ファンド・産業革新投資機構 役員大量辞任問題を語る

プチ鹿島 官民ファンド・産業革新投資機構 役員大量辞任問題を語る YBSキックス

プチ鹿島さんがYBS『キックス』の中で官民ファンド・産業革新投資機構の役員大量辞任問題について、新聞各紙を読み比べながら見立てを話していました。

(プチ鹿島)今週1週間もたくさんニュースがあるんですけども。全部が全部、すべてを追いかけている人って、たとえばこういう午前中から午後にかけて把握している人ってなかなかいないと思うんですよ。

(塩澤未佳子)いや、できないです。

(プチ鹿島)だから僕もよく言うんですけど、新聞紙、パーッと見出しを読んでいって。あとで気になったのをさらにじっくり読むっていう。で、この案件についてはもうちょっと寝かせてから、あとでじっくり読もうっていう、そういう読み方っていうのも楽しいんですよ。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)それが最近で言うと、官民ファンドの話題のやつ。あれ、なんとなくここ1週間、2週間、チラチラと気になっていたんですけども。ちょっとまとめてじっくりと読もうかなって思って。田原総一朗さんじゃないですけどね。「あとでやります」って、そういう状況だったんですよ。で、それを昨日、あらためてちゃんと読んでみて。今日ね、また大きな、トップが辞めたとか。これがなかなか面白い。

(塩澤未佳子)ほう。

(プチ鹿島)で、あともうひとつ、新聞の読み方で言うと、特に経済とかね、わかんないんですよ。普通は。

(塩澤未佳子)はい、わかんないです(笑)。

(プチ鹿島)だけど、なんかモメてるな、面白そうだなっていう野次馬的なね、心の非常ベルが鳴った場合。そういう時、難しい時は、あえてタブロイド紙とかスポーツ紙から読むっていうのもひとつ、僕のやり方なんですよ。そうすると、まだ一般紙では書いていないような、ちょっと大仰な感じの見出しとかが来て。でも、それが後から考えると、あながち……「あ、あれは当たってるんじゃね?」っていうのが結構あるんですよ。

(塩澤未佳子)はー!

(プチ鹿島)まあ、カルロス・ゴーンさんの時もそうですよね。スポーツ新聞とかタブロイド紙から読むと「これはクーデターだ!」っていうのが初日から出ていたじゃないですか。クーデター説とか。それを頭に入れて読んでいくと、やっぱりいろんなせめぎあい、構図が見えてくるということで。この官民ファンドに関しては、昨日僕はタブロイド紙から読んだんですよ。たとえば日刊ゲンダイ。一面ですね。「経産省支配の大罪と無残」ってあるわけです。

(塩澤未佳子)ふーん!

(プチ鹿島)経産省? はー。で、「やがて日産も同じ運命」っていう。で、1枚ページをめくると、いろいろとあるんですよ。で、読んでみると……「まったく無残もいいところだ。経産省内閣と揶揄されるほど我が世の春を謳歌している経産省が失態を重ねている」って言うんですよ。あれ、どういうことかな?って読んでみると、まずキーワードが「成長戦略」。これがどうやら怪しいと、ゲンダイ師匠は書いているわけですね。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)最初に「またも原発輸出が失敗に終わった」という。これね。「経済戦略としてトルコなどへの原発輸出を進めていたが断念する方向で調整に入った。いったい経産省はどう責任を取るつもりなのか? 原発のコストを偽り、死の商人のごとく世界中に原発を売り込んでは『成長戦略だ』などとほざいていたが……」って、これ、ゲンダイ師匠が言っているんですよ。「……ほざいていたが、ことごとく失敗している。唯一残ったイギリスも難航している」という。で、あともうひとつ、その「大罪と無残」ね、なにかと思ったら……それが出てきた! 「つい最近は身内の官民ファンド、産業革新投資機構と1億円の報酬をめぐって醜い内紛まで起こしている」という。

(塩澤未佳子)ああーっ!

(プチ鹿島)ここに出てきたじゃないですか。官民ファンド。で、なんでこれが経産省の大罪と無残なのか?っていうと、経済評論家の方のコメントとして「官民ファンドの内輪もめも原発輸出の失敗も根っこにあるのは経産省官僚のおごりだ」って書いてあるんです。というのは、安倍首相との近さ……たとえば総理秘書官の今井さんという方は経産省出身なので、やっぱり経産省出身の人たちがすごく我が世の春を謳歌しているんじゃないか?っていう、まあこれはちょいちょいよく聞かれることなんですよ。

(塩澤未佳子)ああ、そうなんですか。

(プチ鹿島)で、これを頭に入れて官民ファンドの記事を調べてみたんですよね。昨日、『荒川強啓デイ・キャッチ!』っていうところで担当しましたので。そうすると、いろいろなるほどと。経済オンチの私でも見えてくるわけです。まず、官民ファンド。これ、アルファベットでJIC(産業革新投資機構)。今回、モメている。まず、官民ファンドってなにか?っていう。

(塩澤未佳子)そうですね。そういうところから。

(プチ鹿島)これは11月11日の毎日新聞に載っているんですけども。政府と民間がお金を出し合って今年9月に誕生した投資ファンド。どういうことをやるのかというと、将来有望でお金を必要としている国内外の企業の株式を買い、その企業が成長したところで株式を売って稼ぐのが基本的な仕事。もっと言うと、民間では手が出しにくいリスクの高い案件に投資するという。で、その結果官民ファンドが呼び水となって民間の投資を促す。だから、ある意味国がかかわっていますので、民間だとちょっと手を出しづらいなっていうところに手を出して、その企業を育てていくみたいな、そういう役割もあるということなんでしょうね。

(塩澤未佳子)はー。

出資金の95%は国が出す

(プチ鹿島)出資金の95%は国が出しているという。だから「官民ファンド」って言いますが、官と民が五分五分みたいなイメージがありますが、95%ですから。まあ、詳しく細かく言うと、「官民ファンド」というよりは「官官官官官官……民ファンド」っていうことですかね?

(塩澤未佳子)フフフ(笑)。

(プチ鹿島)こんなことも書いてありますよ。11月11日の時点で。「官民ファンドは民間ファンドよりも報酬の水準が低いことから、投資先を見極める目利き力のある人材を集めにくい」という。そりゃあそうですよね。だって、目利き力があって自分の力でグイグイ行く人は、わざわざ官民ファンドには行かないですよね。民間で自分の力でゴキゲンにやりますよね。というのが解説として毎日新聞に載っていたんです。

(塩澤未佳子)はい。

(プチ鹿島)で、官民ファンド。高額報酬、これが是か非かっていうのが事の発端になったと。これはみなさん、ニュースとかで耳にされたかと思うんですが、調べてみると発端がわかりました、これ。11月3日の朝日新聞なんですね。土曜日、一面です。「官民ファンド 高額報酬案」ということで。ここのトップの人たちに……「固定給に加えて業績連動報酬を取り入れるので、年によっては報酬が1億円を超す可能性があるというんですね。公的資金(税金)を原資とする官民ファンドが高額な報酬体系を設けることは論議を呼びそうだ」という。

(塩澤未佳子)うん。

(プチ鹿島)これ、新聞の読み方のひとつ、面白いところとして「論議を呼びそうだ」って書くのがこれ、上手いところなんですね。上手いところだし、絶妙だし巧妙。「論議を呼ぶ。これはマズい」って言っているわけじゃないんです。自分で書いておいて「論議を呼びそうだ」って最後に書いてある。「問題にしてね、話題にしてね」っていうことなんですよ。

(塩澤未佳子)ああ、そういうこと!

(プチ鹿島)だから、よくあるじゃないですか。いろいろと人のネガティブなことを書いておいて、「問題になりそうだ、波紋を呼びそうだ」っていう。

(塩澤未佳子)ありますね!

(プチ鹿島)もう書いている時点で波紋を呼んでいるし、問題になっているんですけど。そこはもう投げているんです。そこが新聞の巧妙なところでね。で、こういうスクープが出たので、「年収が最大で1億? ダメだよ!」っていうことでひっくり返ったっていうことなんです。

(塩澤未佳子)ほう。

(プチ鹿島)ところがこれ、実はもともとこのJIC、官民ファンドの人たちが「これぐらいの高額な報酬をください」って言っているんじゃなくて、最初に提示したのはそもそも経済産業省なんですって。ねえ。で、12月6日の朝日新聞の社説に今度は書いてあります。「朝日新聞がこの案を報道した後、『高額すぎる』との異論が政府内から相次ぎ、経産省は撤回した」と。読売新聞、7日の社説。「政府が当初の約束を反故にすることによって、自ら混乱の種をまいた以上、責任を持って自体の収拾にあたる必要がある」と。だからこう、JICの田中正明社長らが反発したのも無理はない。だって最初、「この金額、お給料でどうですか?」って経産省から言われたんですよ。「ああ、じゃあやりましょう。がんばります」って。民間から来ているわけだからね。

(塩澤未佳子)ええ、ええ。

(プチ鹿島)そしたら、さっきの朝日新聞のスクープで。「やっぱり高額すぎると世間に言われるから、やめましょう」って。

(塩澤未佳子)って、言われた(笑)。

(プチ鹿島)そりゃあ反発するわなっていう。じゃあ、具体的に誰が「高すぎる」って言い始めたのか? 昨日の夕刊フジ。「首相官邸などから『高すぎる』との批判を受けたのをきっかけに関係がこじれた」と。だから経産省が最初、田中さんとかに「じゃあ官民ファンドでがんばってください」ってお給料を提示したんだけど、それがバン!って11月3日に朝日新聞に出て。首相官邸が「高すぎるよ」って言って。それで慌てて、「その給料、なしにしてください。考えましょう」っていうので田中さんたちは激怒したわけでしょう?

(塩澤未佳子)うんうん。

(プチ鹿島)で、実はこれ、給料の話だけじゃなくて、結局こういうことになるんですよね。「官民ファンドの報酬騒動。相反する使命が招いた」っていうのは毎日新聞なんですけども。そもそも矛盾があるんだっていう。だって、官の側には民間があえて手を出さない、つまりリスクの高い事業を支援する役目が期待されている。でも、民間というのはそもそも効率や成果を求められる。これはそもそも矛盾しているじゃないか?っていう。

(塩澤未佳子)ああーっ!

アベノミクスの成長戦略を支える官民ファンド

(プチ鹿島)じゃあ、この官民ファンドってなにか?って言いますと、実はアベノミクスの成長戦略を支えている大事な柱なんですよね。「現在14ある官民ファンドのうち12は安倍政権下で誕生した」という。毎日新聞は書いています。「アベノミクスの成長戦略を担う有力部隊と位置づけられた。ところが、そのうち6つが昨年度末の段階で損失を抱え、会計検査院の報告でも問題視された」ということで。だから、今回のこの官民ファンドJIC、ちょっと気合を入れてやりましょうかということで今年の9月から仕切り直したということなんですよ。ところが、またモメているという。

(塩澤未佳子)そうかー!

(プチ鹿島)ねえ。毎日新聞。「官民ファンド、矛盾噴出」ということで。だから優秀な人材を集めるからには、ゴーンさんもそうですけど、お高いんですよね。

(塩澤未佳子)まあ、そうでしょうね。

(プチ鹿島)お高いんですよね。だから、当然これぐらいだろっていうんですけど、「そもそもでも、原資。元となるお金が税金で動かしているものですから。これ、そんなに……世間のみなさまに怒られますわね」っていうことで慌てて。「ちょっとそれ、考え直してください」って。それで怒っているわけですよ。JICの社長の田中さんはおっしゃっていましたよね。「1億がどうたらっていうんじゃなくて、それがひっくり返された。紙で示されて。そもそもこれは法治国家のすることなんですか?」って怒っているわけです。「最初に(報酬が)1円って言われたら、私はこの官民ファンドでがんばろうっていうことだったのだから、1円でもやった」って言っているわけです。「ひっくり返されたこと、こんなこと、法治国家でありなの?」っていうことで昨日、記者会見でも怒っていましたよね?

(塩澤未佳子)はいはい。

(プチ鹿島)そこなんですよ。で、この喧嘩の様子が面白くてね(笑)。

(塩澤未佳子)どういうこと?(笑)。

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