木村昴と宇多丸『ヒプノシスマイク』を語る

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0

声優の木村昴さんがTBSラジオ『アフター6ジャンクション』にゲスト出演。自身も出演している声優ラッププロジェクト『ヒプノシスマイク』について宇多丸さんと話していました。

(宇多丸)ということで木村昴さん、プロフィール紹介を宇垣さんからお願いします。

(宇垣美里)はい。1990年6月、ドイツ生まれの木村昴さん。2002年にミュージカル『アニー』に出演し、2005年4月より『ドラえもん』にてジャイアンこと剛田武の声を担当されています。アニメ『輪るピングドラム』『ハイキュー!!』をはじめとした数々の役の他、NHK教育テレビドイツ語講座、そしてNHK『探検バクモン』のナレーションも務めています。2009年より天才劇団バカバッカを旗揚げし座長も務めてらっしゃるということです。

(木村昴)ありがとうございます。

(宇多丸)そして、メッセージも来ておりまして。今日扱う『ヒプノシスマイク』のちょうど説明をいたしますが……ラジオネーム「カヤ」さん。「『ヒプマイ(ヒプノシスマイク)』を聞いた時から宇多丸さんのラジオに出てほしいなとずっと思っていたので、今回の木村昴さんの出演が決まったと聞いた時には思わず『やったー!』と叫んでしまいました。宇多丸さんが『ヒプマイ』に関わってくだされば、さらに『やったー!』となります。お願いします」というね。

(木村昴)おおっ、うれしいですね!

(宇多丸)じゃあ、まだ『ヒプノシスマイク』をご存じない方もいらっしゃると思うんですが。木村さん、とにかくラップがお好きってなんか僕ね、風の噂でそれをうかがっていて。僕らのライブとかも?

(木村昴)僕はもう、数多く行かせていただいております。

(宇多丸)ああ、マジですか?

(木村昴)そんな最近はあまり行けてなかったんですけども。『STYLE WARS』をはじめて歌われた『人間交差点』が僕、最後なんですけども。

(宇多丸)ああ、そうですか! いやいや、でも十分でございます。ありがとうございます。そうですか。恐縮でございます。ということで今夜はそんなラップ好き俳優・木村昴さんにいま、非常に話題になっている『ヒプノシスマイク』についていろいろとうかがっていきたいと思います。先に曲を聞く前に、やっぱり僕も最初に『ヒプノシスマイク』って風の噂で伝わってきた時、飲み込むのに若干時間がかかったんですよ。

(木村昴)なるほど。

(宇多丸)「えっ、それはええと、アニメなの? なんなの?」みたいになったんですけど。改めて木村さんの方から『ヒプノシスマイク』とはなにか? 最初にご説明をお願いできますか?

(木村昴)わかりました。2017年の秋に指導したプロジェクトでして、声優史上初のラップ音楽CD企画なんですよ。おっしゃる通り、最初はゲームなのか、アニメなのかとか、いろいろとみなさん、お考えになられていたかと思うんですけど、あくまでも音楽CD企画としてスタートしたものです。で、男性声優さん12人がキャラクターに扮してラップを歌う、まあラップバトルプロジェクト。通称『ヒプマイ』ということでやらせていただいております。

(宇多丸)ということで参加をされている方々、そうそうたる面々が参加しているという。

(木村昴)本当に要は声優さん方が本気で1回、ラップをやってみようっていうようなことで始まったものです。

(宇多丸)これ、どなたが言い出しっぺとしてあるんですか?

(木村昴)これはキングレコードさんというところが最初に企画されて始まったんですけど、そこにいた方々が。で、いちばん最初に僕、木村昴にお話をくださって。

(宇多丸)やっぱりラップ好きとして知られていたからですかね?

(木村昴)そうなんですよ。で、僕としても大変に光栄なことでしたし、これまで要はキャラクターソングとかアニメソングの中にラップっぽいものというんですかね? そういったものはたくさんあったんですけど、僕としてもちゃんとラップミュージックとして成立しているものってやっぱりあまりなかったなという印象もあったので、本気でラップをやってみようというお話とか情熱に僕は「絶対にやらせていただきたい!」っていうことで参加させていただいたんですよ。

(宇垣美里)へー!

(宇多丸)ということで、その声優の方々が架空のキャラクターと架空の世界観に扮して、わかりやすく言うと『HiGH&LOW』とか『TOKYO TRIBE』とかみたいな……まあ、たとえばね。

(宇垣美里)それで戦うというか。

(宇多丸)地区ごとにチームがあって、それぞれにキャラクターの立った人たちがいて。それで声優のみなさんはそれに扮して、お互いにバトルを繰り広げるっていう。基本的にはそういう世界観ですよね?

(木村昴)まさにその通りです。

(宇多丸)といったあたりで1曲目。これはそれぞれのメンバーがマイクリレーというね、パートを回していくタイプのやつで。だから言っている内容はそれぞれの地区をレペゼンして誇り、他の地区をディスったりとか。そういうような内容が続く。

(木村昴)その通りです。この『ヒプノシスマイク』としていちばん最初に発表された曲なので、まあ僕らの代表曲のようなものです。

(宇多丸)これがでも一気に話題になったわけですもんね。ということで、木村さんの方から曲紹介をお願います。

(木村昴)はい。お願います。Division All Starsで『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』。

スポンサーリンク

Division All Stars『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』

(宇多丸)はい。ということで『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』。最初に出したこれが話題になって一気に人気が広がって。で、もう本当にすごいいま、実際にバトル形式で投票して……みたいなのがめちゃめちゃ盛り上がっていたりするっていうね。

(木村昴)その通りでございます。

(宇多丸)これ、ちょっと私、ラップ界の端くれとしてどう聞いたのか、お話させていただいてもよろしいでしょうか?

(木村昴)ぜひ聞かせてください。

(宇多丸)端的に言って、最初は全然前情報とか入れずに「こういうのが話題になっているらしい」って聞いた時に、最初に思ったのは「ものすげーちゃんとしてんじゃん!」っていうことで。すごくちゃんとしたヒップホップ、ラップ作品になっているということ。だから真摯に作ってもらっているというか、それはすごくよくわかりました。で、聞いているうちにラップのバースで「あれ? これってひょっとして○○が書いているな?」みたいな。僕の知人のラッパーたちの顔がどんどんと浮かんできて。まあ、チェックしたら実際にそういう人たちが関わっていたという。だからちゃんとしているのはむしろ当たり前だったというところもあると思うんですけども。

(木村昴)ええ。

(宇多丸)で、その上で僕がすごく思ったのは、まず日本語ラップっていろんな進化を遂げていますけど、いま『ヒプノシスマイク』は日本語ラップの純日本語ラップ的な部分というか、すごくわかりやすくキャッチーな部分っていうのかな? 日本語ラップっていう手法が持つ、たとえば言葉が直で伝わる部分とか、ライムを踏んでいるからこそすごくキャッチーで覚えやすいとか。日本語ラップが持つキャッチーな可能性みたいな。で、それって僕はまさにラップを始める時に日本語ラップにはそういう可能性があると思って始めていたので。

むしろいまの現行の流行りの、ヒップホップシーンで流行っているトレンドのラップよりもすごく日本語ラップらしい日本語ラップが聞けるという風に思ったんですね。で、それはたぶん木村さんとかがもう日本語ラップの歴史をよくご存知でという。これも大きいと思うんですが。ずっと聞かれてきたんですよね?

(木村昴)僕は、そうなんです。7つの頃から。

(宇垣美里)7つの頃から!

(木村昴)ラップが好きで。

(宇多丸)でも木村さんなんかはたぶん7つの頃から聞いているから、もうラップも入っているし、日本語ラップのイズムも入っているから。もう普通にあなた、全然クオリティーはラッパーですよ。

(木村昴)本当ですか!?

(宇多丸)普通に。

(木村昴)めちゃくちゃうれしいっ!

(宇垣美里)フフフ(笑)。

(宇多丸)っていうか、あなたよりも下手なラッパー、もっといくらでもいますよ。全然いけると思う。

(木村昴)うわっ、めちゃくちゃ光栄です!

(宇多丸)そのレベル。だから日本語ラップのすごく日本語ラップらしい良さみたいなのがすごく詰まっているなという部分と、あとは僕は前から、たとえば『サイタマノラッパー』っていう映画とかに関して、たぶんいろんなものに関して言っているんですけど、日本語のミュージカルっていう時に日本語ラップっていうのは向いているんじゃないかと。劇を語るのに実は向いているんじゃないかと。日本語で歌を歌って物語を語る以上に、ラップは向いているのではないか?っていう仮説を。

(宇垣美里)よりパワーが伝わるという部分もあるのかもしれないですね。

(宇多丸)そう。日本語の……これね、話がややこしいのは日本語の歌詞表現っていうのが口語表現とちょっと離れたところにあるから、スムーズに物語を語るには向いていないんだけど、ラップはそのまま行けるからっていうので。だからこれで行けばコンセプトアルバムとかストーリーアルバムみたいなのって、割と簡単にできるのか?って思ったりして。

(木村昴)またこの、要は僕ら、全員声優なんですけども。声優の最大の武器として、やっぱりキャラクターを1枚挟むことによって表現力が2倍にも3倍にもなるというところが見どころ、聞きどころなんじゃないかな?っていう風には思っていて。

(宇多丸)声優さんがやるラップ作品としての武器というかね。

(木村昴)そうなんですよ。やっぱり言葉を伝えるっていうところでは自信があるので。そういったところも上手いこと、ラップミュージックと声優さんの持つ言葉のエネルギーみたいなものが重なって、今後もやっていけたらなっていう風には思っているんですよね。

(宇多丸)そもそもラッパーって、木村さんもご存知だと思うんですけど、どこか架空のキャラクターを演じている。架空じゃないんだけど演じているっていうところはありますよね。ストーリーものをやるにしたって、ある種そのストーリーを語る、演じているっていう部分があるから。そういう意味ではやられたっていうか。声優さんにここまで上手くやられると困ったなっていう、そういう感じがあるぐらいですね。

(木村昴)光栄です。

(宇多丸)ということで、実は僕、今日リクエストしたんですけども。ぜひ木村さんがいらっしゃるなら、これでしょうっていうことで。木村さんが演じてらっしゃるイケブクロ・ディビジョンというチームの3兄弟のご長男の一郎さんという男気あふれる、下に慕われる男がいて。その一郎さんのテーマ曲で、事実上木村さんのソロナンバーですよね。木村さんご自身が歌詞も書いて。

(木村昴)そうなんです。

(宇多丸)もうだから、それができるならラッパーでしょ?っていう。

(宇垣美里)曲を作ってるんですからね。

(宇多丸)で、なおかつ……めっちゃ上手いっすよ。

(木村昴)本当ですか!? いやー、うれしい! 木村昴がいま、めちゃめちゃ喜んでいます! まあ、あくまでもこれは山田一郎というキャラクターでやっているということですので。

(宇多丸)歌っている内容はね(笑)。だから木村さんがこう思っているっていうわけじゃないよっていうね。

(木村昴)よかったらぜひ、聞いていただきたいと思います。

(宇多丸)ではぜひ、曲紹介をお願いします。

(木村昴)かしこまりました。山田一郎で『俺が一郎』。

山田一郎『俺が一郎』

(宇多丸)はい。ということで山田一郎がラップする『俺が一郎』を聞いていただきました。

(木村昴)ありがとうございました。

(宇多丸)ということでこの『ヒプノシスマイク』を通じて木村さんとしてはどういうエフェクトを与えていきたいですか?

(木村昴)そうですね。僕個人としてはラップミュージックに人生を変えられて。本当にいろんな影響を受けて、自分の考え方のベースにあるものっていろんなラッパーさんたちから教わったものだったりするっていう風に思っているんですよ。で、今回この『ヒプノシスマイク』を聞いてくださるお客様方っていままでアニソンだったりキャラクターソングとか声優さんの音楽を聞いてきた人ばかりだと思うんですよ。

そういう人たちにはじめて聞いていただくラップミュージックとして、もちろんこの『ヒプノシスマイク』を知ってほしい。『ヒプノシスマイク』がかっこいいだろっていうことを見せたいというのももちろんあるんですけど、僕個人としてはやっぱりいままで日本にいたラッパーさんたちが積み上げてきたラップの歴史というのがあって。「その中でこういうラッパーさんがいて、こういうことを言っていたんだよ、こんな曲もあるんだよ」っていうので、これから『ヒプノシスマイク』だけじゃなくてもっと日本語ラップを聞いていってほしいなっていう風な思いがやっぱりあるので。

この『俺が一郎』っていう曲のリリックの中にも本当に僕がこれまでたくさん聞いてきて影響を受けたラッパーさんの方々のフレーズだったり代表的な言葉をオマージュして入れているものもたくさんあって。そこからもし、どこかでたとえば他のラッパーの方の曲を聞くようになって「あれっ、これはもしかして『俺が一郎』で出てきたあのフレーズ? この人から来ているんだ!」みたいなところにつながっていったらいいなっていう。

(宇多丸)うんうん。

(木村昴)ラップってなんか教科書のようで、自分で見つけて探してどんどん調べていくところに面白さがあるという風にも思うんですよ。

(宇多丸)ディグっていくとね。

(木村昴)そうです。おっしゃる通り、「ディグる」っていうのが魅力だとも思うので。聞いてくださるみなさんにもヒップホップ、ラップミュージック、もっと言えば日本語ラップっていうのをもっとディグっていってもらって、その根本にあるような先人たちが積み上げてきたような歴史やメッセージをもっともっと聞いてほしいなという風に思っています。

(宇多丸)いやー、ありがたい限りで。でも本当にすごい時代が来たなと思うのは、日本語ラップってとかく、それこそオタク界隈とはいちばん相性が悪いとされていて。僕なんかはその狭間でなかなか辛い思いを……まあ、辛くはないんだけど。独自のスタンスで来たんだけど。でも、それがいま自然にそのギャップが両サイドから埋まってきて。ヒップホップ側でも全然、たとえばアニメ好きがいたりなんてのも普通だし。両サイドからちゃんと繋がるルートを作る世代が出てきたなと思って、とても頼もしく嬉しく思っております。

(木村昴)これからもがんばります!

(宇多丸)ということで、『ヒプノシスマイク』。今後さまざまな、いまもだいぶシーズンが重なって。第二シーズン的な感じなんですか?

(木村昴)そうですね。ラップバトルをするバトルシーズンっていうところに入っているんですけども、ファーストバトルが終わってセカンドバトルも終わって。決勝戦といいますか、ファイナルバトルがこれからございます。

(宇多丸)これ、CDを買うと投票できるみたいな?

(木村昴)その通りでございます。よかったら聞いていただきたいですし、よかったら聞いていただいてかっこいいチームの方に投票していただいて。そのみなさんからの投票によってファイナルバトルの結果が決まって。

(宇多丸)これ、面白いのは声優さんの人気投票に必ずしもならなかったというか、ちゃんとみなさんバトルに沿っているっぽいのが。

(木村昴)そのとおりです。やっぱり声優さん、「あの人が好きだから、あのキャラクターがいいから」っていうところだけじゃなくて、「こっちの曲の方が私は好きだから……」みたいな人とかも大勢いらして。そういうところでフェアにジャッジしていただけているのはすごく嬉しいです。

(宇多丸)あと、さらに物語世界が発展して行ったりして。今度はまた別のメディアに入ったりとかね。

(木村昴)そうなんですよ。そこで来年、『ヒプノシスマイク』のゲームがリリースされます。それもぜひ、楽しみにしていただけたらと思います。新曲だったり、新しいストーリーとかエピソードもあると思いますので。よかったらぜひ聞いてみてください。

(宇多丸)すごい、本当にいまっぽい新しい試みだと思います。世界観とか設定が先にあって、まずラップの曲という場面のパーツがあって。そこから世界観がだんだん。

(宇垣美里)構築されるというか。

(宇多丸)ある意味ファンも一緒に作っていくような感じみたいなのがすごいいまっぽいなって。

(木村昴)ある種、フリースタイルっぽいっていうか、結果も僕らが決めるんじゃなくて、みんなに決めていただくみたいな。そういうところを大事にしています。

(宇多丸)ちょっと短い時間ではありましたが。『ヒプノシスマイク』は改めて木村さんにお越しいただいてお話もうかがいたいと思います。あと、木村さん個人でも?

(木村昴)はい。劇団をやっています。で、映画『スモールフット』というのがいま、劇場で公開されております。そちらの吹き替えもやっておりますので、もしご興味がございましたら見に行ってください!

(宇多丸)声優としての木村さんのこともね、ぜひぜひ。ということで短い時間ではございましたが、木村さん、ありがとうございました。またお待ちしております。

(木村昴)ありがとうございました!

(宇垣美里)ありがとうございました。

<書き起こしおわり>

スポンサーリンク



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする