吉田豪と愛甲猛 江夏豊・金田正一・落合博満を語る

吉田豪と愛甲猛 江夏豊・金田正一・落合博満を語る AbemaTV

(愛甲猛)あと、たぶん野球ファンはよく知っていると思うんだけど。西武球場で園川っていうピッチャーがボークして。それで金田さんが怒って高木っていう主審を蹴飛ばして退場になったっていう。それで僕らは周りで見ていて、もう完全にボークなんですよ。それでなにを怒こっているのかよくわかんなくて。「どこがボークじゃーっ!」って蹴飛ばして退場になって。で、それから大阪遠征があったんですよ。で、大阪遠征に行く前に「1ヶ月謹慎」っていうことが発表されて。

(スピードワゴン井戸田)1ヶ月?

(愛甲猛)それで一応「監督から、ミーティングがある」ということで大広間に集めさせられて。で、なにを言い出すのか?って思って。みんなに「悪いことした」とか言うのかな?って思ったら……「今回の一件は誰が悪いのか? 園川、お前がいちばん悪い!」って言い出して(笑)。

(吉田豪)フフフ(笑)。

(愛甲猛)開口一番。「この殿堂入りのワシに二度とこんな真似はさすな!」みたいな。それでミーティングが終わっちゃったんですけど。で、まあそんな感じで。それでその後が面白かったんですよ。

(吉田豪)1ヶ月の謹慎で……。

(愛甲猛)謹慎で、川崎球場で試合の時、ベンチに入れないじゃないですか。でね、入っちゃいけないから……要するに、球場にいちゃいけないんですよ。なんだけど、川崎球場のバックスクリーンの中に入って、このぐらいの小窓からタオルをほっかむりにして覗いているんですよ。そしたら主審がキャッチャーに「あれ、監督やろ?」って。見つけて(笑)。

(スピードワゴン小沢)フフフ(笑)。本当の話ですか?

(愛甲猛)マジですよ。

(スピードワゴン小沢)やくみつるさんの描いた4コマ漫画じゃないんだから(笑)。

(吉田豪)フハハハハハッ!

(愛甲猛)それで、ブルペンとベンチに黒電話がつながっているんですよ。もうずーっとベンチ、電話が鳴りっぱなし。

(スピードワゴン井戸田)指示を出しているっていうことですか?

(愛甲猛)そうそう。

(スピードワゴン小沢)じゃあ野球が本当に好きで好きでしょうがない人なんですね?

(愛甲猛)いや、好きなんだろうけど……長嶋さんも一緒なんですけど、本当に選手の名前を覚えない人なんで。だから審判に「ピッチャーあいつ。キャッチャーこいつ」って。で、審判が「いや、『あいつ』と『こいつ』じゃあわかりません」とかって言って(笑)。

(スピードワゴン井戸田)じゃあほっかむりして行ったのも謹慎とかじゃなくて、「俺抜きでやれるわけがねえだろ?」みたいなことじゃないですか。発想としては、好きとかどうとかじゃなくて。

(愛甲猛)そうです。だって、もういまだから言いますけど、有藤通世さんから金田さんさんにかわったんですよ。で、有藤さんはシーズンが終わって、成績が悪かったけどオーナーに報告に行くんですよ。かならず監督って行くんですけど。その時、一応契約上は次の年もあったんですけど、報告に行ったらそこに金田さんがいて。もうすぐに気がついたっていう。「俺は交代させられるんだな」って思ったっていう。要は、金田さんがもう監督をやりたくてしょうがなくて……っていう。ロッテの顧問だったんですよ。

(スピードワゴン小沢)まあ、天皇の方が上っていうことですよね? 有藤さんもミスターオリオンズですからね。でも、すごい人でした? 好きでした?

(愛甲猛)客観的に見るようになってから、面白かったですね。

(スピードワゴン小沢)だって愛甲さん、落合さんにもかわいがられてましたよね?

(愛甲猛)オチさんのいわゆる一番弟子でしたね。

(スピードワゴン小沢)そうですよね。

師匠・落合博満

(スピードワゴン井戸田)落合さんとはどういう関係性でやっていたんですか?

(愛甲猛)もう本当に師匠と弟子みたいなんで。正直、超わがままですよ。

(スピードワゴン井戸田)落合さん?

(スピードワゴン小沢)やっぱり全員わがままじゃん。いま出てきた人。野球界、やっぱり上にいく人はめちゃくちゃですか?

(愛甲猛)オチさんも結構めちゃくちゃな……めちゃくちゃっていうか、うーん、めちゃくちゃやな。

(一同)フハハハハハッ!

(スピードワゴン小沢)でも、誰かに危害を与えるめちゃくちゃさじゃないでしょう?

(吉田豪)金田さん的なめちゃくちゃさとはまた違う?

(愛甲猛)いや、でも結構危害加えてますよ。ロッテの川崎球場の風呂って古い風呂だから、出るのが「熱湯」と「水」なんですよ。

(スピードワゴン井戸田)ああ、それで混ぜるんですね。

(愛甲猛)だからシャワーもそうなんですよ。で、普通はシャワーを浴びているやつが髪を洗っている時、熱湯を止めて水にするんですよ。

(吉田豪)そういうイタズラですね。

(愛甲猛)あの人は違うんですよ。水を止めるんですよ。

(スピードワゴン井戸田)ええっ? チンッチンのお湯が出るでしょう?

(愛甲猛)お湯ですよ。とか、僕がちょうど湯船に入っていたら、取材かなんかで遅れて入ってきたんですよ。そしたら、井辺(康二)さんっていうピッチャーの方がちょうど湯船に入っていたら、「お前ら、いまから300数えろ」って言って熱湯だけ目一杯出されて。

(スピードワゴン井戸田)熱湯イタズラがお好きですね(笑)。

(愛甲猛)あと、僕がキャンプで初日に「今日からがんばるぞ!」みたいな感じでバット2本とミットを持ってグラウンドに出ようとしたら「おう、猛。ちょっと来い。バット見せろ」って言って。あの人、バットの目のこだわりがすごいんですよ。で、目を見て音を聞いて「こんなバットで打てるか」ってドラム缶の火の中にバットをいきなり。新品のバットを。

(スピードワゴン井戸田)薪にされちゃった。

(愛甲猛)それで燃えるまでジーッと見るっていう。

(吉田豪)新しいのをくれたりしないんですか?

(愛甲猛)いやいや、ないです。絶対にないです。

(吉田豪)ただ燃やしただけ(笑)。

(スピードワゴン井戸田)「あれ、悪かったな。これを使えよ」とかっていうのはないんだ。

(愛甲猛)そんなのないです。それでデーゲームの時にはかならず……遠征だと朝の8時がだいたいモーニングコールなんですよ。で、朝8時になるとかならず部屋に電話がかかってきて。で、普通はまあ先輩でも「おはよう」とかって言うじゃないですか。「はい」って出ると「トーストにバターとジャム(ガチャ)」って切られて。

(吉田豪)フフフ(笑)。

(愛甲猛)ほんで僕は食事に行って、トーストをたのんでバターとジャムを塗って部屋まで持っていくっていう。だいたいいつもそんな感じです。

(スピードワゴン小沢)それを見て育ったから、子供時代の落合福嗣くんはああなったんだよなー。

(スピードワゴン井戸田)「ああなった」とか言うんじゃないよ!

(吉田豪)わがままだと言われていた(笑)。

(スピードワゴン井戸田)いまは立派な声優さんだよ!

(スピードワゴン小沢)いや、中日の試合かなんかで監督である落合さんのところに行ったら、普通に福嗣くんがリビングの机の上でおしっこしていたっていう。

(吉田豪)伝説ですよね。

(愛甲猛)ドラゴンズの時、選手よりも先に風呂に入っていましたからね。それで種田がいじめて。それで福嗣くんがオチさんに言いつけて、種田がオチさんに怒られたっていう。そんなの、結構ありますよ。

(スピードワゴン井戸田)いやいや! その話は福嗣くんが悪いでしょ?

(吉田豪)フフフ(笑)。

(スピードワゴン井戸田)へー! 面白い! 福嗣くんは選手が入れたお風呂にも入れたっていうことだよね?

(愛甲猛)そうです。

(スピードワゴン井戸田)もう顔パスで行っていたわけですか? ナゴヤ球場ですか?

(愛甲猛)ナゴヤ球場です。

(スピードワゴン井戸田)へー、面白い!

<書き起こしおわり>

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