(高橋芳朗)で、このへんでトピックでいくつか入れ込んでおきたい要素があるんですけど。サウス勢が勢力を拡大していく中で、2004年になるとアウトキャストが『Speakerboxxx/The Love Below』という2枚組のアルバムでグラミー賞の最優秀アルバム賞を。
(渡辺志保)そうですね。これは本当にグラミー賞の歴史で唯一、ヒップホップアルバムで最優秀アルバム賞を獲得しているアルバムなんですよね。
(宇多丸)アウトキャストは、さっきも言ったけど引き出しの豊かさという意味では、たぶん他の追随を許さないでしょ?
(渡辺志保)そう。で、このアルバムはゴリゴリのヒップホップ曲みたいなのがあんまりなくて。結構みんなで手を叩いて楽しめるような楽曲も多く収録されているという。
(高橋芳朗)まあビッグ・ボーイ1枚、アンドレ3000で1枚みたいなね。
(宇多丸)また非常に対照的な資質を持つ2人が……だからもう無限に行っちゃうっていうかね。
(高橋芳朗)そして2006年には、これも衝撃でした。アカデミー賞で映画『ハッスル&フロウ』の主題歌『It’s Hard Out Here for a Pimp』でスリー・6・マフィアが最優秀主題歌賞、歌曲賞を受賞。
(宇多丸)受賞!
(渡辺志保)おめでとうございます!(拍手)。
(宇多丸)「おめでとうございます」って、だいぶ前なんですけども(笑)。まず、『ハッスル&フロウ』っていうのはこれ、みなさん『8マイル』もいい映画ですけども、僕はヒップホップを題材にした映画では、ベストは『ハッスル&フロウ』だと。
(高橋芳朗)僕もベストです!
(渡辺志保)私もベストです。はい。
(宇多丸)ぜひね、見たことがない方は。いま、『Empire/エンパイア 成功の代償』という……。
(渡辺志保)そうですね。タラジ・P・ヘンソンと。
(宇多丸)『エンパイア』はこの『ハッスル&フロウ』のね、主人公たちが成功して時間がたった感じになっていたりします。スリー・6・マフィア、どういう人たちですか?
(高橋芳朗)メンフィス、テネシーのドロッドロの、そのドロッドロですよ!
(宇多丸)コテッコテ、ドロッドロのサウス。
(渡辺志保)なんでしょう。ニューヨークにウータン・クランがいれば、メンフィスにはこのスリー・6・マフィアがいたという。
(宇多丸)でも、最優秀歌曲賞ですからね。これ、黒人グループとしては史上初なんですよね。単独アーティストとしてはアイザック・ヘイズがあったみたいなんですけど。なので、めちゃめちゃ画期的だったという。
(渡辺志保)本当にそうですよ。で、いまもなんとかTUBEを検索すれば、彼らが授賞式でライブしているパフォーマンス映像が見れるんですけども。それも本当に映画のシーンをそのまま切り取ったような、よくこれをアカデミー賞のステージで委員会の人も許したなっていうぐらいの、すごい生々しいステージなので。ぜひね、みなさんにも見ていただきたいなと思いますね。
(宇多丸)『It’s Hard Out Here for a Pimp』という曲でございます。
(高橋芳朗)文脈的にはその曲をかけたいところなんですけど……この曲さ、スリー・6・マフィアの魅力をちゃんと体現しているか?って言ったら、そんなこともないと思うので。やっぱり彼らといえばこの曲をカマしたいなと思います。聞いてください。スリー・6・マフィア『Stay Fly feat. 8Ball & MJG & Young Buck』です。
Three 6 Mafia『Stay Fly feat. 8Ball & MJG & Young Buck』
(宇多丸)はい。スリー・6・マフィア『Stay Fly』。聞いていただいております。
(渡辺志保)たぎりますね!
(高橋芳朗)2005年ですね。で、アカデミー賞といえば、去年のアカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した映画『ムーンライト』。
(宇多丸)素晴らしい作品でした。
(高橋芳朗)あそこで大々的にフィーチャーされました「チョップド&スクリュード」っていう手法がこの頃に全米規模で割と注目をされました。
(宇多丸)まあ、サウスで流行った手法なんですね。どういうものですか?
(高橋芳朗)曲のテンポをバコーン!って落とす。
(宇多丸)極端に遅く。
(渡辺志保)ドローッと遅ーくするっていう。
(宇多丸)要は、一度ちゃんと作った曲を遅くするわけですね。それによって、遅く演奏するのでは得られないどよーんとした……。
(渡辺志保)酩酊感に近いものが生まれるという。
(宇多丸)なぜ、その酩酊感が好まれたかというと、はい。これはしょうがないです。言うしかないです。……そういうドラッグが流行っていた。まあ、いわゆる風邪薬に含まれるコデインというものがありますけども。そういうドラッグが……まあ、いままではあえて言ってきませんでしたけど、アメリカのヒップホップのいろいろなモードの変化というのは、流行っているドラッグの変化。これもね。
(渡辺志保)まあ、多少はね。
(宇多丸)多少はね、これが関係してくるっていう。そういうのがありますよね。だからどよーんと……。
(高橋芳朗)トリップ感というか陶酔感。
(宇多丸)という風にしてしまったというのを音楽的に表現してみたというか。
(高橋芳朗)ヒューストンのDJスクリューという人が編み出した手法ですけども。
(宇多丸)でも、まさにその手法を使って『ムーンライト』は普通のクラシカルな劇伴もチョップド&スクリュードを使っていて。
(渡辺志保)ちゃんと監督がね、子供の頃からチョップド&スクリュードに親しんできたということで、そういうオーダーをしてスコアを作ったという話もありましたけどね。
(宇多丸)主人公のそういうライトモチーフというか、テーマ曲がどよーんとなることで、彼の心が壊れていく様みたいなものを表現していて、見事でございました。ぜひ『ムーンライト』、素晴らしい映画なので見てください。
(高橋芳朗)その頃のヒューストン勢、行ってみましょうか。志保さん、よろしくお願いします。
(渡辺志保)ヒューストン、彼らのビッグヒットは私もすごくびっくりしたんですけども。じゃあここで、そのチョップド&スクリュードをすごく効果的に使ったヒット曲がございますので聞いてください。マイク・ジョーンズで『Still Tippin’ ft. Slim Thug & Paul Wall』。
Mike Jones『Still Tippin’ ft. Slim Thug & Paul Wall』
(宇多丸)はい。ということでマイク・ジョーンズ。聞いていただきました。
(高橋芳朗)『Still Tippin’』。2004年。
(宇多丸)聞いていただきました。並べて聞くと、でもやっぱりいろんなサウンドの変遷にでもちゃんと1本の線があるなという感じ、ありますよね。さあ、といったあたりで……。
(高橋芳朗)さっき、このセクションに入る頃に宇多丸さんが「ヒップホップの首都もいよいよニューヨークから遷都しちゃうの?」みたいな話をしていましたけども。
(宇多丸)そんなことを言うとニューヨークの人が怒っちゃいますけども。
(高橋芳朗)いよいよ、それも信憑性を帯びてきたというか。
(宇多丸)なにしろ、やっぱりアトランタということですか?
(高橋芳朗)アトランタですね。この頃になると、もうすげーアーティストがバンバン出てますわ。まあ、アウトキャストもそうだし、リュダクリス、ヤング・ジージー、グッチ・メイン。
(渡辺志保)おおっ!
(高橋芳朗)もうそろそろトラップという言葉も出てきますね。あとはクランクとかスナップみたいなダンスビートを生み出したリル・ジョンとかいますが……まあ、やっぱりこの人でしょう。T.I.。
(渡辺志保)T.I.!
(宇多丸)キング。
(高橋芳朗)自らキングを名乗りました。
(宇多丸)いまだにね、活躍していますからね。
(渡辺志保)本当。ずっと第一線で。
(高橋芳朗)T.I.は2003年には『Trap Muzik』っていうアルバムを出しているんですよね。
(渡辺志保)そうなんですね。ちょうど後ろでかかっているような曲が入っている。
(宇多丸)じゃあ、もうあれだ。いまに至る、めっちゃ早いトレンドセッターだ。
(渡辺志保)そうそう。まあ、彼が作り出したみたいに言う人も多いですね。トラップミュージックとは。
(宇多丸)早っ! 2003年って15年前なんですけど!
(高橋芳朗)言葉自体、最初に使ったのはアウトキャストなんです。90年代後半にね。ただ、それを大々的に打ち出したのはT.I.ということで。
(渡辺志保)実際にリアルにトラップ生活……そういうトラップなお仕事をしてらっしゃる……。
(宇多丸)「トラップなお仕事」ってどういうことですか?
(渡辺志保)ちょっといろんな……まあ薬局というか(笑)。
(宇多丸)いいよ、もう! さっきから「ドラッグディーラー」って普通に言ってたから!(笑)。
(渡辺志保)アウトキャストも本職はそっちじゃないわけですよ。ただ、T.I.さんに関しては実際にそういうのを本職と、かつてしていた。で、そのドラッグディーラーとしての毎日を歌った音楽が「トラップミュージック」ですよということで、それを2003年ぐらいからずっと脈々と続けてらっしゃったという。
(宇多丸)まあ、後ほど本格的にトラップが流行ってきて……というのはトレンドとしてお聞きしますが。では、そのアトランタのキング、T.I.。なにをかけましょうか?
(高橋芳朗)これですかね。出世作というか、全米規模でブレイクした曲、行ってみたいと思います。T.I.で『What You Know』。
T.I.『What You Know』
(宇多丸)はい。T.I.で『What You Know』。2006年でございます。でも、ねえ。もういまのグルーヴ感というか。
(渡辺志保)ねえ。ありますよね。
(高橋芳朗)T.I.は結構バランス感がよくて。そういう南部のDJ Toompっていうお抱えのプロデューサーもいたけど、スウィズ・ビーツを使ったり、ネプチューンズを使ったり、ジャスト・ブレイズを使ったり。ニューヨークのビートメイカーも使っていましたね。
(宇多丸)ある意味、だからジェイ・Zの逆アプローチというか。
(高橋芳朗)逆ジェイ・Zみたいな。
(DJ YANATAKE)キングを自ら名乗ったっていうのもあるけど、ジェイ・Zが「次のキングはお前だ」って言ったのが。
(高橋芳朗)ああ、引退したタイミングでね。
(宇多丸)そしたら、もう王冠が移っちゃっているわけだから。遷都じゃねえか、やっぱりさ。ということで、バンバン行きましょう。
(高橋芳朗)この頃、アトランタ。さっき話に出たリル・ジョンがクランクとかスナップみたいな流行のサウンドを作ったんですけど。この頃のタイミングから、完全にインターネットにいろいろと流行が……。
(宇多丸)あのね、ネットワーク文化だとヒップホップを言いましたけど、インターネットと相性がいいんですよね。
(渡辺志保)いや、本当にいいんですよね。
(高橋芳朗)インターネットが現場みたいになって。いまで言うバイラルヒットっていうんですか? 口コミでマイスペース(Myspace)とかを通じてヒット曲が生まれる状況が出てきて。まあ、その象徴的な存在が、ソルジャー・ボーイ・テレム。
(渡辺志保)彼の登場もすごいたまげましたけどね。
(宇多丸)新世代っていう感じですね。
(高橋芳朗)じゃあ、ちょっと聞きましょうか。ソルジャー・ボーイ・テレムで『Crank That』。
Soulja Boy Tell’em『Crank That』
(宇多丸)はい。ソルジャー・ボーイ・テレム『Crank That』。
(高橋芳朗)2006年ですね。なんかやっぱり「踊ってみた」みたいなビデオが流行ったんですよね。YouTubeとかで。
(渡辺志保)そうそう。私も当時すごい見て、めっちゃ踊ってみてました(笑)。で、彼が斬新だったのは、ビートを作ってそれに自分でラップを吹き込んで、自分で振り付けを考えてビデオまで流すという、その一連の作業を全部パソコン1台でできちゃう。ネットさえつながっていれば、それで世界中に発信できまっせ!っていうその先駆けがまさにソルジャー・ボーイのこの曲だったんですね。
(宇多丸)非常にいまの感じというかね。
(渡辺志保)いまの感じ。そうそう。
(宇多丸)が、だけど2006なんですね。
(渡辺志保)もう12年前……。
(高橋芳朗)アハハハハッ!
(宇多丸)マジかよ……ダメダメダメ、この感じ。2006が最近の感じ、ダメダメ! はい。
(高橋芳朗)で、もう完全にインターネットがストリートになってきたっていう感じですよね。
(渡辺志保)本当、そうなんですよね。だから2006年、2007年がドレイクとかJ・コールとかもミックステープをどんどん出し始めたのがこのへんの時期ですし。結構動画メディアとか、ネットで音楽を落とすという人のためのサイトとかができあがってきたのがこのへんだったなという風に思いますね。
(高橋芳朗)DatPiffというミックステープサイトの老舗が立ち上がったのが2005年ですね。
(宇多丸)で、インターネットを舞台にいろんな……要は無料で聞けちゃういろんなすごい音源があるというあたり。
(高橋芳朗)その流れでダーッと上手くのし上がってきたのがリル・ウェインですかね。もうミックステープをバンバン連発した上、ヒット曲をジャックした音源をもう毎日のように。
(渡辺志保)そうなんですよ。それがやっぱり、さっきおっしゃっていたストリートCDみたいな形でもあれば、ネットに転がっている作品もあるし。ファンも追いきれないぐらいで。自分で非正規のミックスCDのシリーズをいくつも作って、それをDJとタッグを組んでどんどんバラまくという。新しかったですね。
(宇多丸)でもさ、普通に考えたら音源をそんな勢いでそんな分量、バラまいちゃったら普通にアルバムを売ることができないんじゃないか?っていう風に考えるじゃないですか。普通は。
(高橋芳朗)でも、そんなことはなかったんです。逆に「こいつはヤバいラッパーだ!」っていうことをどんどんどんどん高めていって。逆にその、ちゃんとしたアルバムを出す時にドカーン!ってとんでもない爆発力を持ったっていうね。
(宇多丸)実際は『Tha Carter III』が300万枚を超えるセールスを記録したと。
(渡辺志保)しかも1週間の初週売上も100万枚を超えたというね。
(高橋芳朗)本当に溜めて溜めて、出した!っていう感じでしたね。
(宇多丸)そうか。理想的な流れを作ったわけだ。ということで新時代のというか、いまに至る流れの先駆けでございます。じゃあ、リル・ウェインは曲は何を?
(高橋芳朗)志保ちゃん、お願いします。
(渡辺志保)リル・ウェイン『A Millie』を聞いてください。
Lil Wayne『A Millie』
(宇多丸)はい。リル・ウェイン『A Millie』……「アミリ、アミリ……♪」を聞いていただきました。
(高橋芳朗)この「A Millie、A Millie……」っていうフレーズがどこからサンプリングしているか?っていうと、すごい渋いんですよ。ア・トライブ・コールド・クエストのデビュー・アルバムに入っていた『I Left My Wallet In El Segundo』のノーマン・クック・リミックス!
(宇多丸)アハハハハッ! UK盤のみに入っているみたいな、そういうやつかな?
(DJ YANATAKE)ちょっとレゲエっぽいやつですね。
(高橋芳朗)そうですね。バングラデシュっていうプロデューサーがここから。
(宇多丸)ああー、すごい! みなさん、どうですか? 全く流用できない豆知識!
(高橋・ヤナタケ・渡辺)フハハハハッ!
(高橋芳朗)役に立たないですねー!
(宇多丸)役に立たないですね。ということで、2000年代。2010年手前ぐらいまで行こうと思いますが。もう1個ぐらい、重要曲を。
(高橋芳朗)この頃から、結構マイアミシーンが活性化してきたっていうのがあって。そのシンボルというのがリック・ロスです。
(宇多丸)リック・ロス!
(高橋芳朗)マイアミが盛り上がってきた経緯っていうのは?
(渡辺志保)どうなんですかね? もともとはマイアミ・ベースの流れもあったりとか。あと、映画『ムーンライト』はそれこそマイアミとジョージア州アトランタを行き来する話でしたけども。地理的にも近いから、たぶんアトランタのラッパー勢がマイアミに行ってとか、マイアミのラッパー勢がアトランタに行って……っていう、そういう交流もあったんじゃないかなと思うんですけど。なので、アトランタブレイクの流れの延長線上にあるのかな?って思ったり。あとはピットブルがブレイクして。ピットブルなんかは南米の血をひくラッパーですから。
(宇多丸)本当にウェイウェイな曲ばっかりですからね。
(渡辺志保)そうそう。いまやウェイウェイ・インターナショナルおじさんですけど。でも、ピットブルも最初はスリー・6・マフィアとかともやっていましたし。そういう流れがあるのかな。
(高橋芳朗)T・ペインってフロリダ?
(渡辺志保)T・ペインはそうです。かつ、トリック・ダディーとかね、トリーナとか、Slip-N-Slideっていう老舗レーベルがマイアミ・フロリダにはありますから、そういった勢力の押し上げもあったのかなと。
(宇多丸)まあシーンはずっと脈々とあったということですね。
(高橋芳朗)フロリダ、そうだ。だからT・ペインが出てきて、オートチューンが流行ってきて。
(宇多丸)オートチューンっていうのは声を機械的に加工して、「ウェーン……」ってなるような。いまだに全然使われていますけど、それが大流行りしたという。じゃあ、そこからきたリック・ロス。
(高橋芳朗)行きましょう。リック・ロス、『Hustlin’』を聞いてください。
Rick Ross『Hustlin’』
(宇多丸)はい。リック・ロスさんはいろいろとディーリングの偉そうな話をいっぱいしていたんだけど、実は全然そういう人じゃなくて?
(渡辺志保)そうなんですよ。自分の「リック・ロス」っていう芸名に関しても、ある大物ディーラーからの借り物だったりするんですけど。結局、彼ってもともとは看守の仕事をしていて。なので、悪いヤツをしょっぴく側の人間だったんですよね。
(宇多丸)なんだけど、ここでやっぱり言っておきたいのは、もちろん50みたいに本当にドラッグディーラーで……っていう人もいっぱいいるけど、やっぱりラップって基本的にエンターテイメント。アイス・キューブもそうだけど、大学出で怖い話を書いてっていうか。
(渡辺志保)怖い話をネタにね。
(宇多丸)エンターテイメントにするという。やっぱりエンターテイメントですから。で、リック・ロスはそういう、全部嘘っぱちだってことがわかっても、別に人気がなくなったわけではなく。
(渡辺志保)そうそう。ずっといまも第一線でやってらっしゃいますから。
(宇多丸)だからやっぱりそこはエンターテイメントということで。決して「悪い人じゃなきゃダメ」とか、そういうことじゃないんですというあたりを強調しておきたいと思います。ということで、ラスト。
(高橋芳朗)いまの『Hustlin’』が2006年の作品なんですけど、この頃、ブイブイ言わせていたのがやっぱりカニエ・ウェストですね。
(渡辺志保)おっ、カニエ・ウェスト!
(高橋芳朗)2004年にソロデビューして。
(渡辺志保)その前はジェイ・Zの曲を作ったりしてらっしゃってっていう。
(高橋芳朗)カニエ・ウェストが持ち込んだものっていうのは結構大きくて。
(宇多丸)何度かトレンドセットしてますよ! 彼は。
(渡辺志保)そうそうそう。早回しのサンプリング技術であったりとか、それこそナードっぽいファッション。
(高橋芳朗)細身のね!
(渡辺志保)そう。細身のね。ポロシャツを着て、細身のデニムを穿いて。
(宇多丸)ついに細身が認められたという。
(渡辺志保)ダボダボじゃないんだっていうね。
(高橋芳朗)じゃあ、この頃のカニエ・ウェストにヒット曲を。
(宇多丸)あとでも出てくるかもしれないけど、とりあえず。
(高橋芳朗)1曲、行きましょうか。カニエ・ウェストで『Gold Digger』です。
Kanye West『Gold Digger ft. Jamie Foxx』
(宇多丸)はい。カニエ・ウェスト『Gold Digger』を聞いていただいております。
(高橋芳朗)2005年。この曲が入っている『Late Registration』が出た時、僕はLAでカニエ・ウェストの取材を……。
(宇多丸)出ました! 直接インタビューを!
(渡辺志保)うらやましいですー!
(高橋芳朗)最悪の思い出です(笑)。
(宇多丸)あれだっけ? すっぽかされたんじゃなくて、待たされた挙句……?
(高橋芳朗)いや、すっぽかされてはないんだけど、全然答えてくれないっていうね。
(宇多丸)不機嫌なっていう。といったあたりで、そろそろいったんニュースで30分ほど中断する時間が近づいてまいりました……。
<書き起こしおわり>
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