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DJ YANATAKEと対馬芳昭 世界のヒップホップの隆盛と日本の音楽鎖国を語る

DJ YANATAKEと対馬芳昭 世界のヒップホップの隆盛と日本の音楽鎖国を語る TOKYO FM
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DJ YANATAKEさんと音楽レーベルorigami PRODUCTIONSの対馬芳昭さんが『TOKYO FM WORLD』の中で全世界的に隆盛を極めるヒップホップとトラップについてトーク。そんな流れに取り残され、「音楽鎖国」状態の日本の音楽シーンなどについて話していました。

(ケリー隆介)世界の最新情報をリスナーのみなさんとシェアするこの番組。ここ最近、この番組の「Share The World」のコーナーで立て続けにアメリカのヒップホップのリリック、そして80年代の音楽の再評価といった、まあアメリカの音楽シーンにまつわるテーマをいろいろと扱って来たんですけども。その中で、いろんなゲストさんから出てきたキーワードとして「トラップ」っていうのがありましたね。

(アンジー・リー)そうですね。

(ケリー隆介)これ、トラップっていうのはなにかと言うと、ヒップホップのサブジャンルのひとつとしてアメリカのアトランタから火がついた音楽的ジャンルみたいな感じでもあるんですけども。世界の音楽シーンのキーワードにもなっているんじゃないかな?っていうぐらい、いまトラップがすごい来ている。テイラー・スウィフトのニューアルバム『Reputation』でも実際にこのトラップビートを取り入れたようなトラックもあったりするんですよね。

(アンジー・リー)うんうん。

(ケリー隆介)まあ、それぐらい来ているという気がするんですけども。そんな中、先日DJ YANATAKEさんがYouTubeで「日本ではトラップ以降の、アメリカで現在進行系で流行っている音楽が全くメディアで取り上げられない」っていう話をされていたんです。このことを憂いて、その動画の中では「日本は音楽鎖国」といった表現も出てきたんですよ。

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DJ YANATAKE『民放でかからない音楽』

(ケリー隆介)で、この動画にフェイスブックで反応したのが音楽レーベルorigami PRODUCTIONSの対馬さん。「メディアにも気づいている人はいる。大きな渦の中ではなかなか動かせない現状かも」というコメントを残していて。DJ、そして音楽レーベルが感じるいまの世界の音楽シーンと日本のシーンのギャップ。これはいったい何なのか? ということで、今夜の「Share The World」はYouTube、フェイスブック経由、ラジオで展開するDJ YANATAKEさんとorigami PRODUCTIONS対馬さんの緊急ディスカッションをお届けします。

(アンジー・リー)ゲストにお迎えしてお話をうかがうのは、DJ YANATAKEさんとorigami PRODUCTIONSの対馬芳昭です。

(ヤナタケ・対馬)よろしくお願いします。

(ケリー・アンジー)よろしくお願いします。

(ケリー隆介)ようこそ、遠くまでお越しくださいました。先ほど、導入の中で僕もいろいろとご紹介しましたけども。改めて、いまの世界の音楽シーンがどういう流れになっているのか?っていうのをご説明いただきたいんですけども。このトラップというキーワードを含めてなんですけど、ヤナタケさんはどう感じられていますか?

(DJ YANATAKE)まあ、トラップが特別流行り始めたわけじゃなくて、やっぱりヒップホップ全体が本当に世界中でムーブメントになっていて。特にトラップっていうのはまた後ほどゆっくり説明しますが、ヒップホップの中のサブジャンルというか、新しいスタイルのヒップホップであるということは間違いなくて。ヒップホップはやっぱり進化している音楽で、新しいスタイルではあるんですね。で、それが、わかりやすく言うといま世界ではヒップホップはEDMに取って代わるぐらい、もうすごい世界中で流行っているジャンルになってきているということですね。

(ケリー隆介)はいはい。

(DJ YANATAKE)それが、でもなんでかね、日本ではもうひとつ、大きいメディアで取り上げてくれないなというところで、今日は話をさせてもらいに来た感じですかね。

(ケリー隆介)なるほど。日本ではなかなか取り上げられないなっていうことを実際にYouTube上で発言されたじゃないですか。

(DJ YANATAKE)しました(笑)。

(ケリー隆介)で、それに対して対馬さんも反応されていると。そのへんは対馬さん、どういうお気持ちだったんですか?

(対馬芳昭)ええと、まあ本当に同じですね。共感したんでシェアしたんですけど。ただ、文章が長すぎて。僕もヤナタケさんのしゃべっている量と同じぐらいを文章にしていたんで(笑)。ものすごい反響が、よくも悪くもというか……まあ、いい意味ですごく反響があったので。それでここに呼ばれたという経緯もあるので今日はさらにそれを拡大して、ばっちり話そうかなと思っております。

(ケリー隆介)対馬さんは実際にそういうのに共感されて、海外の曲が日本で全然取り上げられていないなって思っていたということですか?

(対馬芳昭)そうですね。まあ、ヤナタケさんがおっしゃっていたように、ヒップホップ自体全体がっていう話もあるんですけど。ヒップホップってすごいカルチャーなんで、トラップにしても、もともとはね、トラップハウスっていうまあちょっと悪いことを若い連中が空き家でやっているようなヒップホップがそのままジャンルになって。だからトラップっていうんですけど。そういう、ヒップホップってなんでも背景があるんですよね。ストーリーがあったり。だから上辺だけのサウンドのスタイルっていうよりは、なかなかカルチャーなんで難しいっちゃあ難しいんですけど。

(ケリー隆介)はい。

(対馬芳昭)ただ、僕はどっちかというと、そこよりも音楽レーベルとしては音楽のスタイルとして、日本人がなかなか受け入れ難いビートとかテンポ感とかリズムとか。そういうものがすごくもどかしいなというのはいつも思っているんですよね。

(ケリー隆介)ほう。いまお話に出た、日本人の感覚からすると、もしかするとちょっと乗りづらいかもしれないっていう。そういう話も実はこの番組でも出ているんですけど……そのへんはヤナタケさん、このトラップはどう捉えていますか?

(DJ YANATAKE)はい。僕はDJもやるんで。もう渋谷のすっごい大きいクラブとかでも毎週末、DJをさせてもらっているんですけども。遊びに来ている人ならわかると思うけど、もう大丈夫。その時代はとっくに終わっている。

(ケリー隆介)なるほど。

(DJ YANATAKE)もうみんな、EDMで「ワーッ!」っていう画は浮かんでいるかもしれないけど、あれ以上にいま、激しくトラップサウンドでヒップホップのクラブは毎週……っていうか毎日。本当に盛り上がっている。

(ケリー隆介)なるほど。

(DJ YANATAKE)もう全然、取って代わっている。いま。

(ケリー隆介)EDMよりもトラップの少しBPMが遅いけど、それを倍で取るような乗り方をする?

(DJ YANATAKE)そうです。みんな飛び跳ねて。あと、モッシュって言いますけど。飛び跳ねて、体をぶつけあって……みたいな感じ。で、もうみんな大合唱して歌って、みたいなのは簡単に見れますよ。

(ケリー隆介)そうですか。ちょっと改めて、トラップというものがじゃあどういうビートなの? 何なの?っていうのをもう少し、具体的に教えていただけますか?

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トラップビートの特徴

(DJ YANATAKE)そうですね。とにかく最初、対馬さんもおっしゃったんですけど、遅いし、音数が少なくてスカスカだし。本当に地味に聞こえるんですよ。でも、その分中毒性があったりとか、倍でリズムを取ることによって……遅いんだけど、倍で取ったらEDMより激しい音楽になるわけですよ。もうずっとジャンプしているから。すっごい。もう本当に。なので、遅く聞こえて地味なんだけど、本当は激しい音楽。

(ケリー隆介)うん。っていうのはトラップの聞こえ方ですかね。なるほど。日本でこのトラップ的なヒップホップをやっているアーティストはいますか?

(DJ YANATAKE)もうすごくたくさんいて。みんなにわかりやすく言うと、KOHHくんとか。

(ケリー隆介)KOHHですね。

(DJ YANATAKE)もうね、KOHHくんって本当……うれしいね。どこで名前を出してもみんな知っているもんね(笑)。

(ケリー隆介)アンジーも知っているからね(笑)。

(アンジー・リー)はい(笑)。

(DJ YANATAKE)知っているでしょう?

(アンジー・リー)この番組でもね。

(ケリー隆介)そうなんですよ。実は去年のシンガポールで行われた『Laneway Festival』にKOHHさんも日本代表で出演されていて。で、僕は追っかけて行っていたんですけども。まあ、そういった絡みもあって。

(DJ YANATAKE)すごい人気じゃなかったですか?

(ケリー隆介)めちゃめちゃ……先ほどヤナタケさんがおっしゃったように。その部屋の中の乗り方、お客さんたちのバウンスの仕方がもう楽しそうでしょうがないんですよね。

(DJ YANATAKE)そうなんですよ。なんでもう、本当に日本もそういう風になってきているし、そういうアーティストも育ってきているんで。まあKOHHくんが代表していますけど、本当にたくさんのトラップで活躍しているアーティストもいますんで。これから楽しみですよ。今年は。

(ケリー隆介)じゃあ、そういった中で、日本でみんながトラップを聞いて「ああ、これトラップだよね」ってピンと来るような……ワードとしても浸透していなかったり、音楽としてもあんまり大きなメディアで取り上げられていないとは思うんですけど。そのへんはどう考えていますか?

(DJ YANATAKE)そうですね。まあ、それが今日のいちばん大きなテーマのような気がするんですけど……今年は本当にそれは大きく変わるような予感がしています。グラミー賞がこの後、またいろいろと話が出ると思うんですけども。グラミー賞でヒップホップが今年、かなりいっぱい賞を取るんじゃないかと言われていること。そして、夏にあるおっきいフェス。ここにかなりの大物アーティストが……まず、サマーソニックにチャンス・ザ・ラッパーが来ますし。

(ケリー隆介)来ますね!

(DJ YANATAKE)僕がつかんでる、まあ定かではない情報ですけど、フジロックにもすっごいビッグなヒップホップアーティストが来るようなんで。グラミーからその夏の大型フェスに本当にビッグなヒップホップアーティストが来るんで。完全に今年はヒップホップイヤーに日本もなるし、していきたいなという願望も込めて思っています。

(ケリー隆介)なるほど。まあでも、グラミーっていうお話がいま出ましたけども。そのへんも、もしかしたらいろいろ絡んでくるかもしれないという。続いて1曲お届けしたいんですけども。これもヤナタケさんが選んでいただきました。

(DJ YANATAKE)すいません。僕ばっかりしゃべってあれなんですけども。まずね、彼女の存在も知ってほしいっていうのもあるし。先週も放送を聞かせていただいたんで。チラッとだけ後ろでかかっていたんで、「ちゃんとかけてほしいよ!」って思って今日、持ってきたんですけど。

(ケリー隆介)失礼しました(笑)。

(DJ YANATAKE)ちゃんとクリーンバージョンを持ってきたので、親の前で聞いても大丈夫だと思うんですけど。カーディ・Bという女の子のラッパーがいて。今週のビルボードのヒップホップ・R&Bチャートのトップ10に5曲、入っているんですよ。カーディ・B関連の曲が。

(ケリー隆介)ワーオ!

(DJ YANATAKE)ちなみにホット100、総合チャートもベストテンの中に3曲入っている。ベスト20に5曲入っている。ベスト100まで行ったらもっと入っているんですけど。ぐらいの、彗星のごとくバッと現れて、あれよあれよという間に……で、たぶんブルーノ・マーズの『Finesse』という曲はみんなかけていると思うし、それのフィーチャリングで聞いて知った人もいると思うんですけども。

(ケリー隆介)はい。

(DJ YANATAKE)でも、あれはむしろブルーノ・マーズがカーディ・B人気に乗っかっているんですよ。

(ケリー隆介)カーディ・Bの流れというか勢いに。

(DJ YANATAKE)そうそうそう。ぐらい、人気があると思ってください。ブルーノ・マーズが乗っかるぐらいの女の子! 超勢いあるから。マジで!

(ケリー隆介)アハハハハッ! 言い切りました。それでは、改めてお届けしたいと思います。曲紹介をお願いします。

(DJ YANATAKE)はい。カーディ・Bで『Bocak Yellow』。

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Cardi B『Bodak Yellow』

(ケリー隆介)ヤナタケさん、このカーディ・B『Bocak Yellow』。これもトラックとしてはトラップビートですよね?

(DJ YANATAKE)そうですね。トラップと言っていいと思います。これが遅いとみんな感じると思うんですが、たとえばいま、動画サイトで「Cardi B Bodak Yellow Live」とかで調べてもらえれば、みんながもうジャンプしながら盛り上がって……ほとんど彼女はもはや歌っていない。客が全部歌ってくれる。

(ケリー・アンジー)へー!

(DJ YANATAKE)っていうぐらいの感じで盛り上がっている。で、それが日本のクラブでもいま同じことが起きている。みんなこれを歌っている。

(ケリー隆介)そうですか!

(DJ YANATAKE)それがもっとなんで伝わらないのかな?って。僕らはそういうところにいるから、自然とそういう風に思っちゃう。で、先週も聞いてやっぱり思ったんですけど、どうしてもね、歌詞が過激だとか……まあ、そうなんですよ。実際に彼女も元ストリッパーだったりとか。あと、全て包み隠さず言うキャラクターが……でも、すごく明るくてすごくキャラとして人気があるんですけど。でも、こういう歌詞が過激だろうが、それをどういう風にして楽しんでいるのか?っていうのをもうちょっとみんなに知ってもらいたいなと思っていて。

(ケリー隆介)うん。

(DJ YANATAKE)いまのラップは、これは最近よく言うんですけど、週刊文春みたいなもんなんですよ。

(アンジー・リー)おおーっ!(笑)。

(DJ YANATAKE)要するに、SNSで私生活からなにから、もう全部丸出しでやっているんですよ。たとえば、有名なラッパーと有名なモデルちゃんが付き合っていました。で、そのことは毎日、イチャイチャしているのをInstagramにアップしているんでみんな見てるんですよ。だけど、別れる。みんなもその別れたことを見ている。で、別れたら、そのことを次の新曲の歌詞で、「なんで別れたのか?」を歌ったりするわけですよ。

(ケリー隆介)そうですね。

(DJ YANATAKE)だからそれを、「なんで別れたんだろう? あ、この曲でこういう風に言っているから、こういうことで別れちゃったのね!」みたいな楽しみ方をしている

(ケリー隆介)アハハハハッ!

(アンジー・リー)ゴシップなんですね!

(DJ YANATAKE)ゴシップなんですよ! そうやって聞くと、すごいヒップホップは面白い。マジで。

渡辺志保 2017年ヒップホップ界ゴシップ総まとめ
渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中で2017年のUSヒップホップ界のゴシップネタを総まとめ。約50分間に渡って語り尽くしていました。

(アンジー・リー)うんうん!

(DJ YANATAKE)たとえば、ビヨンセの『Lemonade』っていうすっごい大ヒットしたアルバムがありましたけど、あれは旦那さんのジェイ・Zが浮気したことをめちゃめちゃ攻撃していたんですよ。

渡辺志保 ビヨンセ『Lemonade』徹底解説
渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でビヨンセの最新アルバム『Lemonade』について徹底解説。実際にアトランタで見たビヨンセのライブの話なども交えつつ、ビヨンセが伝えようとしているメッセージについて話していました。

(アンジー・リー)はい。

(DJ YANATAKE)で、方や旦那さんのジェイ・Zが今回ね、グラミー賞に最多ノミネートですよ。そのアルバム『4:44』は「俺は世界一の女を失うところだった。ごめんなさい」っていうアルバムだから(笑)。

渡辺志保 Jay-Z『4:44』徹底解説
渡辺志保さんがblock.fm『INSIDE OUT』の中でジェイ・Zの最新アルバム『4:44』について約1時間、みっちりと解説していました。

(ケリー・アンジー)アハハハハッ!

(DJ YANATAKE)もう世界一の夫婦がアルバム単位で浮気を言及し、それについて謝っていたりするの、面白くないですか?

(ケリー隆介)面白いですね!

(アンジー・リー)たしかに!

(DJ YANATAKE)それを歌詞で知るんですよ。それがいまのヒップホップ。

(アンジー・リー)なるほど!

(対馬芳昭)そういう意味で言ったら、テイラー・スウィフトもやっていますよね。

(DJ YANATAKE)そうなんですよ!

(対馬芳昭)ジョン・メイヤーとか。『Paper Doll』とかもそうですよね。

【イタすぎるセレブ達】ジョン・メイヤー、テイラー・スウィフトへの不満ついに爆発。ニューシングルで猛烈にディスる。 | Techinsight(テックインサイト)|海外セレブ、国内エンタメのオンリーワンをお届けするニュースサイト
(不満は溜めているより吐き出しちゃえ!?) アーティストのハートはなかなか繊細、かつ執念深い!? 現代の名ギタリストと称えられるそのプライドはどこへやら。ちょうど1年前のこと、元ガールフレンドであるテイラー・スウィフトが彼をディスッた“Dear John”という曲に「実に不愉快」と語っていたジョン・メイヤーが

(ケリー隆介)たしかに。はい。

(DJ YANATAKE)あと、今回もテイラー・スウィフト、カニエ・ウェストとずーっとケンカしているじゃないですか。そのことが歌詞に盛り込まれていたりするのを……歌詞でちゃんと声明を出している。なんで、本当に週刊文春を読んでいるようなもんなんですよ。いまのアメリカのヒップホップとかポップスを聞くというのは。

(ケリー隆介)単純に愛だとかっていう抽象的な話を歌うんじゃないんですね。

(DJ YANATAKE)本当にリアリティーショー。

(ケリー隆介)そうやって言われると、すっごいスッと来ました。いま。

(DJ YANATAKE)みたいな。簡単に言うと、ですけど。

(ケリー隆介)なるほど!

(CM明け)

(アンジー・リー)『TOKYO FM WORLD』、「Share The World」のコーナー、今夜はDJ YANATAKEさん、そしてorigami PRODUCTIONSの対馬芳昭さんをゲストにお迎えして、世界の音楽シーンのキーワードとなっているトラップが日本で火がつかないのはなぜか? 特集でお届けしています。

(ケリー隆介)さて、ヤナタケさん。先ほどカーディ・Bの『Bodak Yellow』もお届けしましたけども、実際にライブの現場ではこういったトラップビートのヒップホップも日本でかなり盛り上がりを見せていると。

(DJ YANATAKE)僕は見せていると思っています。はい。

(ケリー隆介)じゃあ、一方でクラブによく足を運ぶような人たちじゃない人たちも普段から聞いているのか?っていうことだと思うんですけども……。

(DJ YANATAKE)そうなんですよね。だからそこにやっぱりもっとリーチをしていかなきゃいけないし、どうして行ったらいいんだろうな?っていうのを日々探しているんですけども。やっぱり、YouTubeの動画でも言ったんですけど、なかなかどうしてか……トラップだけじゃなくてヒップホップ全体が日本では取り上げられないのは本当になんでなんだろう?って。だって、先週もおっしゃってましたけど、アメリカではロックの売上をヒップホップの売上が抜いて。で、ビルボードのアルバム・チャートベスト5をヒップホップを独占して……みたいなことが起きている中で。

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(ケリー隆介)実際にアメリカでは。

(DJ YANATAKE)そうですね。「アメリカでは」っていうことで、「なかなか日本は数字、ないよね」なんて思っていたんですけど……僕、この間、某FM局で10時間のヒップホップ特番っていうのをライムスター宇多丸さんとかと一緒にやらせてもらったんですよ。そしたらそれで(番組のハッシュタグが)Twitterのトレンドで日本で1位になって。

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(ケリー隆介)おおーっ!

(DJ YANATAKE)世界のトレンドのベストテンに入ったんですよ。「日本も数字、あるじゃん! 聞く人、いるじゃん、ヒップホップ!」ってすごく思って。なんでもっとヒップホップをいろんなところで取り上げてくれないのかな? 数字、あるよ!って言っておきたい。

(ケリー隆介)なるほど。実際にじゃあ、たとえばラジオとかテレビとか、いわゆるいろんな人たちがマスに聞いているであろう状況のメディアになかなかヒップホップであったりトラップビート系のものが扱われない理由として、なにかレーベルオーナーである対馬さんが思うところってありますか?

(対馬芳昭)あの、僕らもヒップホップ、ジャズ、ソウル、いろんな音楽を取り込んでいるんですけど、まず「ヒップホップ」っていうだけで、「怖い」っていう。まず大前提として……。

(ケリー隆介)ちょっと悪そうな人たちの音楽っていう。

(対馬芳昭)そうなんですよね。でもロックだってもともとそうだったと思うんですけど。でも、ロックはもう市民権を得て、いろんなスタイルがあるじゃないですか。でもヒップホップってまだ市民権を得ていないんだなっていうのがひとつ、大前提としてあって。で、やっぱりトレンドでどんどん音が変わって、サウンドが変わって、アプローチが変わっていくんで。他のポップスと上手く整合性が取れない曲って多いんですよね。だから、わからないですけど、J-POPとJ-POPの間にそういうトラップみたいな曲をかけると、果たしてきれいにつながるのか? みたいなところで言うと……やっぱり専門番組、専門チャンネルみたいなところにどうしても行きがちで。そうするとみんな、そこに集まってきて、ここは逆に言うとそういうのが好きな人にとっては安心な場所。

(ケリー隆介)はい。

(対馬芳昭)だからクラブカルチャーもそうだと思うんですけど。だからそこをいかにメディアの人が上手く取り込んでトレンドのひとつとしてきれいに馴染ませていくのか? みたいなところがたぶんいちばんの課題な気がしていて。トラップなんて特に、さっきヤナタケさんが言っていたように、ものすごい遅いじゃないですか。でも、たぶんハイハットの「チチチチチ……」っていう音を聞いていれば、意外と早いんですね。で、それに対してラップも二連符とかで「タタッ、タタッ、タタッ、タタッ……」って来たり、「タタタッ、タタタッ、タタタッ……」で3つ(三連符)で来たり。

(ケリー隆介)はい。

(対馬芳昭)でも普通にヒップホップって四拍子じゃないですか。そこで「空き」ができるんですよね。それがかっこいいんですけど、なんかそこがスカスカになっていくとどうしても、なんか「どうしていいのかわからない」ってなって。やっぱり僕らもJ-POPのプロデュースなんかもよくやっているんですけど、音を詰めこまないといけない気がするんですよ。他のJ-POPに合わせていこうとしたら、とにかくいろんな音を入れていこう、みたいな。でも、いまのトラップは抜いて抜いて抜いた結果。フロウの仕方も考えてああなっているんで。まあ、また変わってくるとは思うんですけど。

(ケリー隆介)うん。

(対馬芳昭)ヒップホップの面白さってそこも……もちろん、さっきの週刊文春的なリリックの面白さもあったりするんですけど、サウンド面で言うとそこがすごい面白さだと思うんですけど。そこが上手く、他のポップスと馴染まないというか。それが難しいところなんだろうなって気がしますね。

(DJ YANATAKE)フフフ(笑)。すっごい音楽的。でも本当に引き算はセンスと勇気なんですよ。

(ケリー隆介)勇気!

(DJ YANATAKE)なんで、僕は制作をちょっとやらせてもらうアーティストとかがいる時は、いっつも。ヒップホップはそうですね。かっこいい引き算ができるように、うまくやりたいんですけど。やっぱり足し算は不安の裏返しだと思っていて。

(ケリー隆介)でもいま、対馬さんがおっしゃったようになかなか日本においてはヒップホップが市民権をまだそこまで得られていないんじゃないかと。こと、大手のラジオとかテレビとかっていうメディアで扱われない理由としてですけども。そのへんと、じゃあ他のJ-POPと横並びで同じように聞いている人もいるわけじゃないですか。一応。そのへんの、日本の音楽シーンというものと海外のトレンドみたいなもののギャップってどう考えていますか?

(DJ YANATAKE)日本はやっぱりずっとロック畑の人が、長年かけてがんばって作ってきた土壌はもちろんあると思うんですよね。それはそれで素晴らしいことだと思うし。だからヒップホップも負けないように時間をかけてがんばっていっている途中なんですが……でも、アメリカのトレンドがこんだけ普通に、インターネットもあって時差がなく入ってきていて。映画でもファッションでも食べ物でも、なんでもリアルタイムに入っているじゃないですか。でも、ビルボードのベストテンに入っている曲。日本で言ったらオリコンに入っている曲が日本に全然入ってきている感じがしないっていうのは、なんだろうな?っていうことですよね。

(ケリー隆介)そのへん、YouTubeの動画の中でも「日本は音楽鎖国」という言葉に表していると思うんですけども。「音楽鎖国」という言葉の意味することは、やはり海外のものが全く入ってきていないよねっていうことですか?

(DJ YANATAKE)全く入ってきていないとは言わないし、すごく大げさな言い方だったとは思うんですけど……でも肌感覚の感じとしては、そうですよね。でも、その動画の中でも言っていますけど、たとえば松屋とか普通のご飯屋さんでご飯を食べていても、だいたい町で有線をかけているようなお店はビルボードチャンネルとかをかけていることが多いと思うんですけど。その中で、ビルボードでトラップの音楽がいっぱい入っていたら、普通にかかるわけで。だから町で普通に耳にしているんですよ。でも、日本の大きいメディアだけではなぜか取り扱われない。……なんで?(笑)。

(アンジー・リー)なんでですかね?(笑)。

(DJ YANATAKE)こんなに流行っているのに。でも、「過激だから」とかいうのはもちろんわかった上で言っているんですけど、でもタランティーノの映画とか、みんな見ませんか?

(アンジー・リー)見ます! 大好きです。

(DJ YANATAKE)大好きでしょう? 俺も本当に大好きで。でも、同じことだと思うんだよね。『テッド』とか、あんなに流行ったわけでしょう?

(ケリー隆介)アハハハハッ!

(DJ YANATAKE)まあ、揚げ足みたいな感じですけども。

(対馬芳昭)でも、なんとなく音楽と映画ってそこが違いますよね。映画は普通の物語じゃあちょっとつまらないから、非現実の世界に行こうみたいな。でも、音楽って自分の生活に寄り添ってほしいっていうか、全然違うカルチャーのものを投げられると、ちょっといつ聞いていいのかわからないみたいな人が多いじゃないですか。でも、僕も全くヤナタケさんと一緒で、音楽も非現実ってすっごい面白くて。ナズとか聞いていて、銃声が聞こえて、俺の周りには銃声は聞こえないけど、でもそれって僕は逆に、「うわっ、ヒップホップってこんなところから生まれたんだな!」とか。

(ケリー隆介)はい。

(対馬芳昭)なんかそういうことがすごく興味になっていくというか。いろんな世界のいろんな現実を知るきっかけになるじゃないですか。だからすごい治安の悪い、アメリカ以外の国でもヒップホップは流行っていくじゃないですか。ブラジルのヒップホップだったり。そういうのってその国のカルチャーを知る意味ではすごい大事なことで。音楽がやっぱり流行るっていうのはそういうことじゃないですか。政治と絡んでいたり、社会情勢と絡んでいたり。いろんなものがそこにプラスオンされていく面白さってあるんですけど、全部恋愛になっちゃうと、それもいいんですけど……そればっかりだとちょっとつまらないというか。

(アンジー・リー)うんうん。

(対馬芳昭)そこがやっぱりヒップホップの面白さだと思うんですよ。

(DJ YANATAKE)うんうん。まさしく!

(ケリー隆介)「音楽鎖国」っていう言葉に実際に対馬さんも反応されたところがあったかと思うんですけど。レーベルオーナーとして、音楽をクリエイションしている側の対馬さんじゃないですか。そのへん、日本の音楽シーンとかをどのように見つめられていますか?

(対馬芳昭)そうですね。まず、僕もフェイスブックに書いたんですけど、まずひとつ。「真似をすればそれでいいか?」っていうと、そういうことではないんですよね。ただ、やっぱり「踏まえる」必要っていうのは絶対にあると思っていて。たとえば、マイルス・デイヴィスを聞いたことありますか? ジェームズ・ブラウン、聞いたことありますか? なに人が音楽を作っているって、僕は信用ができないんですよね。

(ケリー隆介)ほうほう。

(対馬芳昭)全部聞いて。「新しい最新の音楽も全部わかった上で、あえてそれを捨てる。俺は違う方向に行く」だったらいいんですけど、知らないまま「僕たちはこの世界だけを知っています」っていう音楽って、やっぱり多様性を認めていないというか、まあ知らないというか、知ろうとしないというか。そういう音楽って僕はすごい浅い気がしてしまっていて。だからやっぱり、知っている必要はあると思うんですね。

(ケリー隆介)うん。

(対馬芳昭)だから「鎖国」っていうのは日本のJ-POPが独自の世界に行っているということを指しているんじゃなくて、世界のトレンドを知らないまま音楽をやっちゃっているということ自体が僕はすごい問題だと思っていて。やっぱりそれは大多数の人を捨てているということ。仲間内だけでやっているのと同じことになっちゃうし。さっきのテンポで僕がいつも思うのは、日本の音楽ってどうしてもテンポ早め、音数多めにしていこう、していこうっていう傾向があるんですけど、これってたとえば、お店とかも日本ってすごい小さな国なんで、いっぱい商品を詰め込んでいるお店とか、ちょっと安心したりするじゃないですか。

(ケリー隆介)ああー。スカスカですごい隙間があるよりは。

(対馬芳昭)まあ、店名は出さないですけどね。ゴチャッと置いてあるお店ってみんな好きだったりとか。あと、すごい広い家に引っ越すと、なぜかみんな角に座る、みたいな感じ、あるじゃないですか。なんかその、空間がすごく不安みたいなところがたぶんあるんじゃないかな?っていう気もしたりしていて。まあ、国民性とかいろんな特性があるんで。だから一概に全部悪いとは思わないんですけども……でも、「知らない」ということ自体はすごくもったいないなという気はしますよね。

(ケリー隆介)うんうん。

(対馬芳昭)短期的に見たら、いまはたしかに(日本は)CDが売れてはいるんで。まだ、「日本国内でビジネスをすればいいじゃん」っていうこともたしかに間違ってはいないんですね。ただ、長い目で見た時に、気づいたら置いていかれるということなんじゃないかな? とも思っていて。まあ、だんだんだんだん音楽が世界中に流せる状況が、YouTubeだったりSpotifyだったりで聞いてもらえる機会は増えてきているんですよね。ただ、それをやろうとしないんで、やっぱりどうしても……世界とせっかくネットでつながっているのに、国内だけの盛り上がりになってしまうというのがすごくもったいなくて。逆にいろんなものを取り入れていくこともできるし、それを踏まえてさらに上に行って、アウトプットしたものがもしかしたら世界のトレンドになる可能性も。日本からトレンドが出る可能性もあるじゃないですか。

(ケリー隆介)はい。

(対馬芳昭)そこをハナっから諦めてしまうと、夢がないじゃないですか。だからそこが僕がいちばんもったいないなと思っていて。で、インディーズレーベルって結構それをやっているんですよ。

(ケリー隆介)逆にそういうことをいろいろと試している?

(対馬芳昭)ある種、自由なんで。いろんな(社内の)決裁とか偉い人がいないんで、パパッとできちゃったりとかして。あと、もっと言うと個人のアーティストなんてすごいやっていて。で、それをキャッチしているネットの人たちもいるんですよね。国内にも。ただやっぱり、大きい会社になっていくと、どうしても安全パイを取らないと、もしこれでコケたら何百人、何千人の社員(の生活)が危険にさらされるという中で難しいというのは分かるんですよね。そこはすごく。

(ケリー隆介)うん。そのへん、ヤナタケさんはいかがですか?

(DJ YANATAKE)うん。たしかにおっしゃる通りで。別にCDがなくなるとも、アナログがなくなるとも思わないんですけど。たしかにいま、日本はCDを中心としたビジネスモデルが大きいんですが……いま、たぶん子供部屋にCDプレイヤーがあるって、想像しにくくないですか?

(ケリー隆介)しにくいですね。たしかに。

(アンジー・リー)置いてないと思いますね。

(DJ YANATAKE)新しく、マックのノートブックパソコンを買ったら、CDを入れるところはついてないですよね。つまり、ハードがないところに対してソフトを売ろうとするのって、すごく無理があるわけじゃないですか。それはもう、どんどんそういう世代に変わっていくわけで、それをどのタイミングで本腰を入れてサブスクリプション型。ストリーミングサービスに変えていくか? だと思うんですけど、サブスクはやっぱり「儲からない、儲からない」って言われすぎていて。ではなくて、あれってCD1枚に対する売上と1回聞かれただけの売上を比べるからそういう風に見えるだけで。ちゃんとカタログを出しておけば、割と毎月決まった額がちゃんと入るようになってきているんです。日本でも。

(ケリー隆介)はい。

(DJ YANATAKE)だからそっち側にお客さんを流していって、いままでたとえば1人がCDを買えばよかった枚数を、100人に聞いてもらうという作業をしなきゃいけない。それがもしできれば、ちゃんとこれからも音楽でご飯を食べていく人も、もっともっと増えていくような気がする。そっちの方が未来はあるかなとは思っていて。でも、CDもすごく物としてほしいという気持ちもわかるんで、絶対になくならないし。ファンはそういう物を買えばいいとは思うんですけど。ただ、やっぱりグッズ化していくし、すでにそうなっている感も否めない。

(ケリー隆介)そうですよね。いまのヤナタケさんのお話からもあったように、やっぱりロングスパンでもっと音楽をちゃんとビジネス化できるか?って考えた時、日本国内の市場じゃなくて海外の市場も含めて戦略を立てられたら、それはもっと広がっていきますよね。ビジネス的にもですけど。そういった動きというのは日本で、実際に行われている。そういうアーティストもいたりするんですかね?

(対馬芳昭)そうですね。さっきヤナタケさんがおっしゃっていたサブスクリプションなんて、たとえば1000万回ぐらい回っている日本人とかも普通にいますし。でも、それはやっぱり国内だけでは難しくて。やっぱり海外の人が聞いてくれてはじめて成立するので。なので、よりストリーミング社会になっていったら世界に向けた音楽じゃないと。そこはちょっと太刀打ちできない。当然、人口で考えたらそうなるんですよね。だから有料会員とか無料会員とかあるじゃないですか。ああいうのも日本の成人の男女がじゃあ何人、有料会員になったら成立するんだ?って考えると、物理的にあのシステムって国内だけでは無理なんですよね。

(ケリー隆介)うんうん。

(対馬芳昭)あれはもう世界で考えてはじめて成立するシステムなんで。だからそう考えていくと、やっぱり海外で通用するものを作らないといけないし。迎合するっていうことじゃなくて、むしろ日本が先を行くようなことをやらないといけないし。まあ、アジアで言うと韓国とかは国策レベルでそういうことをやっていたりするんで。やっぱり世界中の人がいまや韓国のポップスを聞いて。防弾少年団なんかまさにね、あそこまで行っているので。

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(ケリー隆介)そうですね。

(対馬芳昭)そうすると、結局それが家電とかファッションとか。やっぱり「韓国かっこいい」に変わっていくじゃないですか。車にしても。だからそういう、他の産業にも実は栄養しているんじゃないかな?っていう気がするんで。やっぱりユースカルチャーみたいなもいのが広がるというのはすごい実は他の産業に影響が大だなっていう風に僕は思っているんですよね。

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小袋成彬『Lonely One feat. 宇多田ヒカル』

(ケリー隆介)お送りしているのは小袋成彬の『Lonely One feat. 宇多田ヒカル』。こちらは本日のゲスト、対馬さんに選んでいただきました。はい。

(対馬芳昭)僕、これ最近聞いた中で結構衝撃で。インディーズでは本当にこういう音楽をやっている人たちっていっぱいいるんですけど、「これ、メジャーから出るんだ!」っていうのがすごい驚きで。

(ケリー隆介)ソニーですよね。

(対馬芳昭)で、しかもまずこれをリードで切ったか! みたいな。もう本当にこれ、ジェイムス・ブレイクみたいな。要はテンポもさっきのトラップもそうですけど、ダブステップって言われるようなジャンルにたぶん限りなく近いと思うんですけど。こんな曲を日本語で、このアプローチでこのレイドバック感で歌を乗せるって、結構難しいんですよね。たぶん。それこそ、ヤナタケさんもね、制作にかかわっているような人なんですけど、今回は宇多田ヒカルさんがプロデューサーで。歌ももちろん、フィーチャリングで入っているんですけども。このセンスはすごいなと思っていて。いわゆる、いつもメジャーが出すリードシングルと、たとえばインディーでいうとyahyelとかWONKとか。僕らもそっちの分類かもしれませんけども。そういう音楽のちょうど真ん中へんを埋めるような音楽で。

(ケリー隆介)ふんふん。

(対馬芳昭)これってもしかしたら、お茶の間に届くレベルのメジャーレーベルがこのアプローチをこれからやり続けていったら、お茶の間に届く音楽って変わっていくんじゃないかな?っていうぐらいの衝撃だったんですね。

(ケリー隆介)はー! じゃあもしかしたら、この小袋成彬さんの存在感。そしてそこにサポートで入っている宇多田ヒカルさんのこの感性っていうんですかね。そういったものが新たな風を吹き込んでくれるかもしれないと?

(対馬芳昭)そうですね。意外と1曲で世の中が変わったりするもんなんで。当時の宇多田ヒカルさんもそうだったじゃないですか。『Automatic』とか。だからもしかするとこれは……って思ったんですよね。

(ケリー隆介)さて、『TOKYO FM WORLD』、このあとも引き続きお話をうかがっていきたいと思います。よろしお願いします。

(DJ YANATAKE・対馬)お願いします。

(CM明け)

(アンジー・リー)『TOKYO FM WORLD』、「Share The World」のコーナー。今夜はDJ YANATAKEさん、そしてorigami PRODUCTIONSの対馬さんをゲストにお迎えして、世界の音楽シーンのキーワードとなっているトラップが日本で火がつかないのはなぜか? 特集でお届けしています。

(ケリー隆介)実は先週、大和田敏行さんにご出演いただいた回でも触れたんですけども、これから、もしかしたら2018年以降、アジアのヒップホップのシーンがもっともっと世界で聞かれる、そういう流れが来るんじゃないか? というお話があったんですね。現に韓国や中国のアーティストが世界でそういうサブスクリプション上で聞かれているという流れもありますし。実際にKOHHも、シンガポールではものすごい人気がありましたし、聞かれているんだなという印象を僕も受けたんですよ。そのへん、アジアのこのシーンってどういう風にいま、なっているとお考えですか?

(DJ YANATAKE)いや、中国も韓国も本当に日本よりも全然すごいと思っていて。やっぱり……まあ特に韓国はさっき対馬さんもおっしゃってましたけど、国を挙げて、本当にアメリカのシーンを食ってやろうっていうぐらいを目指してやっているんで。日本の感覚とはもう目標が全然違う。まあ、わかりやすく言うとBIGBANGとかさ。防弾少年団もそうですけど。防弾少年団なんて、本当に結果が出ちゃいましたからね。ビルボードでね。

(ケリー隆介)そうですね!

(DJ YANATAKE)っていう感じでやっているし。中国もね、Higher Brothersっていう人たちが出てきてからの、本当にトラップサウンドが盛り上がってきてからっていうのは特に中国は本当にすごいみたいで。

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Higher Brothers x Famous Dex『Made In China』

(アンジー・リー)はい。

(DJ YANATAKE)僕は行ったことはないんですけど、DJをしに友達がよく中国に行くんですけど。本当にすごい盛り上がるみたいで。

(アンジー・リー)そうなんですよ!

(DJ YANATAKE)日本のトラップアーティストもすごい呼ばれて、しょっちゅう行っているんですよ。だからそのへんをもうちょっと詳しく教えてもらいたいなって(笑)。

kiLLa ??LIVE in SHANGHAI?? #_kiLLa_

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(アンジー・リー)アハハハハッ! 私ですか?(笑)。

(ケリー隆介)アンジーに(笑)。

(DJ YANATAKE)まあでも、実際に中国のヒップホップシーンはどうなのかな?って。

(アンジー・リー)私が感じていることだけになっちゃうんですけど。やっぱり昨年の『The Rap of China』っていう番組以降はもう本当に火がついて。いま、すっごい市民権を得ているんですよね。

(ケリー隆介)うん。

(アンジー・リー)いままでヒップホップのラッパーがすごいアンダーグラウンドの中で活動をしていたのが、いまでは1月に数百万元(1元=17.2円)を稼ぐような世界になっていて、すっごい夢があるんですよね。っていうのも、その中でひとつの要因としては、番組の影響も大きいんですけど、みんなラップを中国のオリジナリティーに変換して。中国独自のヒップホップっていうようなものに変換してやっているからすごく市民権を得ているというのはあるんじゃないかなって気がするんですよね。

(DJ YANATAKE)なるほどね。すごく、あと難しいんですけど。ヒップホップ、特にトラップとかは聞き慣れないと、全部同じに聞こえちゃうみたいなこと、ないですか?

(ケリー隆介)あります。

(DJ YANATAKE)ねえ。でもヒップホップって常に新しいものを生み出している音楽なんですよ。で、ヒップホップの中でもいろんな種類があって、いろんなトレンドが生まれたりするんですけど。これね、最近誰かに教えてもらったいいたとえなんですけど、スポーツみたいなもので。新しい種目がポーン!って出されるんですよ。そしたら、そのスポーツの種目をみんなで競い合うんですよ。だから、その1個のスポーツをみんなでどこまで極められるか? の勝負をしている。全世界で。っていうことがあるんで、中国がそのオリジナルスタイルを作り出そうとしているっていうのはもちろんあると思うんですけど、でもその発端は絶対にアメリカがやっぱりダントツにトレンドを作っているんですよね。

(ケリー隆介)うん。

(DJ YANATAKE)で、アメリカの最先端を追いかけていると、それが世界中のトレンドに落とし込まれるんで。それをまたいろんな世界中の人が真似をして。その中でまた自分のオリジナルのものを盛り込んでいって、自分たちのものにしていくということだと思うんですけどね。

(アンジー・リー)そうですね。

(ケリー隆介)うんうん。実際にそれ、レーベルオーナー的目線で面白いなという動きは感じられますか?

(対馬芳昭)そうですね。たとえばキース・エイプっていうラッパーが韓国にいて。彼のレーベルは88risingっていう、なんかもうメディアみたいなものをYouTube上に作っているんですね。

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88rising

Wardaaと鳥居咲子 Okasian、Keith Ape、DEANと88risingを語る
FNMNLのWardaaさんがDommune『ヒップホップコリア』特集に出演。鳥居咲子(a.k.a ヴィヴィアン)さんとともに韓国ヒップホップアーティストのOkasian、Keith Aple、DEAN、そして注目YouTubeチャンネルの88risingを紹介していました。

(ケリー隆介)はい。

(対馬芳昭)で、そこにみんなエントリーっていうんですかね? 「俺の曲をここに上げてくれ」と。そうすると、そこに上げられるとものすごいYouTubeチャンネルの登録者数がいるんで。ものすごいYouTubeの再生回数が伸びるんですよ。だからまあ、レーベル自体がもうレーベルの枠を超えてメディアになっちゃっているみたいなところもあって。KOHHもたぶんそことすっごいつながっているはずなんですけど。

(対馬芳昭)まあ、そんな風にひとつのトレンドをもう作り上げていこうっていう意気込みがものすごかったり。あと、ちょうどいま、うちもシンガポールのアーティストをイベントに……まあすごく仲良くなって日本に呼びたいなと思って声をかけて、いま話をちょうどしているんですけど。そうすると、だいたいさっきの国策の話と同じになっちゃうんですけど。シンガポールの政府に打診をすると、旅費・交通費も出してくれるんですね。

(ケリー隆介)シンガポール政府側が?

(対馬芳昭)そうです。なので、僕らとしては東京のアーティストを呼ぶ感覚で呼べちゃうっていうか。普通ね、「どれだけスタッフが来て、どれだけアーティストが来て、いくらかかるんだろう?」みたいに考えちゃってなかなかハードルが高いんですけど、実情を聞くとそんな感じなんですよね。だから逆に言うとすごいうらやましいなと。逆に、僕らをシンガポールに呼んでよってなると、僕らは旅費を全部自分たちで出していかなきゃいけないんで。やっぱりそうやって考えると、輸出しにくいなというのはすごく思いますよね。

(ケリー隆介)うんうん。

(DJ YANATAKE)なるほど! そうなんですね。すごいっすね。

(ケリー隆介)やっぱり自分たちの音楽、自分たちの国で作られる音楽を輸出しようっていう感覚がそもそもあるか?っていう話ですもんね。それは。

(対馬芳昭)そうですね。そこだと思います。すごく。もちろんクールジャパンとか、すごい国の方々もやってくれているんですけど、どうしてもアニメとか和太鼓みたいなトラディショナルなものか、ビジュアル系のバンドか、みたいなところはある種、すごく力を入れて、国も外に出そうっていうのは僕も見ていてわかるんですけど。まあヒップホップとか、特にブラックミュージックとかになるとどうしても、「世界で通用しないんじゃないか?」ってハナっから思われちゃっているような気がして。そんなことはないのに、なんかそれは輸出するものではないってシャットダウンされちゃっている気がしていて。でも、実はいま世界のトレンドはさっきヤナタケさんが言っていたような、スポーツで競い合うのと同じで。日本もそこにエントリーしたいんですよね。

(ケリー隆介)はい。

(対馬芳昭)日本ならではのアプローチで世界のトレンドに乗っかっていって、もっと面白いものを作ってそれを輸出したいんですけど。なんか歯止めがかかるというか、なんて言うんですかね? すごく難しい問題があるかなっていう気はしますね。

(DJ YANATAKE)そう。で、今日の本当にそもそもの根本のテーマで、やっぱり日本の大きいメディアでなかなかかからないから、一般の人にもなかなか浸透していないんじゃないか?っていうことがあるんですけど。だから、それによって大きい問題も生まれていたのが、その大きいフェスとかでヒップホップのアーティストたちがなかなか来れない。ギャラがぜんぜん違うので。アメリカでの人気と日本での人気がすっごい違うことになって。でも、世界中のフェス、いまどこを見てもヘッドライナーはほぼヒップホップの人だし。

(ケリー隆介)うん。今回のコーチェラもそうですもんね。エミネム、ビヨンセ、ザ・ウィーケンド。

Coachellaさん(@coachella)がシェアした投稿

(DJ YANATAKE)そうなんですよね。ブラック系のアーティストなんで。でも、やっぱり去年の段階からサマソニのチームもフジロックのチームももっと世界に追いついていかなきゃいけないという言い方をしていて。でね、やっぱり変わっていくみたいなんで。いよいよそのへんも本腰を入れていただいて。やっぱりそういうところがやると、メディアでもそういうのを取り上げるじゃないですか。「あそこの出演アーティスト」って。で、今回のグラミーはかなりキーワードになると思うんで。その2つでバンバン! と行けばもっと日本も変わっていくと思いますよ。

(ケリー隆介)うんうん。じゃあ、そういう意味でも2018年、今年1年間バーッと走り抜けて後ろを振り返ってみたら、そういう1年だったっていう風になると。そういった感じですかね。

(DJ YANATAKE)日本はまだ、本当に1歩のきっかけかもしれないけど、大きな1歩になるはずです。

(ケリー隆介)ありがとうございます! ということで、様々なお話をおうかがいしてまいりましたけど、そろそろお別れのお時間となりました。

(中略)

(ケリー隆介)それでは最後にヤナタケさんにもう1曲、選曲をしていただいてお別れです。

(DJ YANATAKE)はい。これも本当にみんなでクラブで大合唱している曲なんですが。若干先週の補足じゃないんですけども。アトランタがトラップの発祥地だという話をされていましたし、今日はなかなかそれができなかったんですけど、いるんですよ。リル・ウージー・ヴァートという人がいて。グラミーにもちゃんとノミネートされています。しかも、主要部門のベスト・ニューアーティストにノミネートされているんで。そこをお忘れないようにというところでかけさせてもらいたかったのと、あと冒頭にも言ったんですけど、すごい有名な彼女と別れて……ヒップホップってこう、マッチョイズムみたいなの、あるじゃないですか? 「俺は金持ちで……」とか。そうじゃなくて、これは彼女と別れちゃったよ……っていう悲しい曲なんで(笑)。

(ケリー隆介)フハハハハッ!

(DJ YANATAKE)でも、そういうのも受け入れられていて、すごくいま面白いんですよ。本当にいろんなヒップホップがあって。なので、その曲を最後に聞いていただければなと思います。

(ケリー隆介)じゃあ、あらためて曲紹介をお願いします。

(DJ YANATAKE)はい。グラミー賞のベスト・ニューアーティストにノミネートされております。リル・ウージー・ヴァートの『XO Tour Llif3』。

(ケリー隆介)『TOKYO FM WORLD』、「Share The World」のコーナー、今夜はDJ YANATAKEさん、そしてorigami PRODUCTIONS対馬芳昭さんをゲストにお迎えしてお話をおうかがいしました。ヤナタケさん、対馬さん、どうもありがとうございました!

(DJ YANATAKE・対馬)ありがとうございました。

(アンジー・リー)ありがとうございました!

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Lil Uzi Vert『XO Tour Llif3』

<書き起こしおわり>

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