宇多丸 三浦大知 武道館公演へのゲスト出演を語る

宇多丸 三浦大知 武道館公演へのゲスト出演を語る 宇多丸のウィークエンド・シャッフル

宇多丸さんがTBSラジオ『タマフル』の中で三浦大知さんのライブツアー『DAICHI MIURA BEST HIT TOUR』のファイナル、武道館公演にゲスト出演した際の模様をトーク。三浦大知さんの超絶ライブパフォーマンスを絶賛していました。

「DAICHI MIURA BEST HIT TOUR」 1/31 大阪城ホール 2/15 日本武道館 ゲストとして参加させていただきました! 大ちゃんが初めて大阪城ホールのステージに立ったのが俺のライブだったという事から、自身初の単独城ホールライブに俺をゲストとして招いてくれるという粋な計らい! そして武道館では、この長い関係のはじまりとなった、宇多丸さん主催、完全1人武道館後の「KREVAを褒める会」参加メンバー全員を同じステージに集めるという、 彼にしかできない演出! 最近の男らしさ、 本当に素晴らしいと思います! 行けるとこまでどこまでも行こう! ちなみに… 次は「三浦大知の偉業をたたえまくる会」の開催が予定されています! お疲れ様! 1枚目左から #千晴 #宇多丸 #三浦大知 #満島ひかり #KREVA

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(宇多丸)で、まあ羽生結弦さん。金メダルおめでたいとか、そんな話ばっかりしていますけども。私、個人的には羽生くんもいいけど、去る2月15日、こちらも王子も日本の歴史に残るとてつもない偉業をやらかしたんだぞという話をしてみたい。『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』!

(中略)

先ほどね、オープニングでも話しました。いま、「羽生結弦くん最高!」なんてなっていますけど、私に言わせるとこちらも王子も去る2月15日、こんな偉業を達成したんだぞというお話をしたい。なんのことか? といいますと、今週木曜日、あるライブに私、ゲスト出演してきました。どのライブか? と言いますと、シンガーにしてダンサー、そして世界レベルのパフォーマー、エンターテイナーへと、今回のライブで確信しました。三浦大知くんの全国ツアー『DAICHI MIURA BEST HIT TOUR 2017』。その追加公演。ファイナルを日本武道館で2日連続でやったんですけど。その2日目のファイナルの方に私、参加してまいりました。

あ、いま後ろでかかっていますけども、こちらは私と三浦大知くんで2006年でしたっけ? に、出しました『No Limit』という曲で。要はこの曲の客演で呼ばれて行ったんですよね。

三浦大知『No Limit featuring 宇多丸』

で、改めて僕と大知くんのいろんな話を……この番組でもちょいちょい、初年度で特集もしましたっけね。あるいは、私の『ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ』の第1回ゲストにも大知くんに来ていただいて話をしたりとか。

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もともとはFolderという素晴らしい、バブルバムポップ・グループというか。素晴らしい天才が現れた!ってあれは1997年とかですか。それぐらいの時に僕はその時点でファンになって、すぐにヒップホップ専門誌の方にFolderのみなさんをお呼びして。まだちっちゃい、10才かそこらのキャッキャキャッキャやっている大知くんにインタビューをして。

そこ以来の……ずっと付き合いが続いてというよりは、いったん彼が声変わりの間歌手活動を休んでいる間は途切れたんだけど、ソロ活動を開始してからさっそくフィーチャリングで呼んでもらってこの『No Limit』という曲を作ってやったと。それから、もちろん歌は上手いし踊りもすごい。しかも、自分で振り付けもする。舞台演出もする。曲も作る。その上、性格が俺がいままで人生で会ったありとあらゆる人を全部合わせても、大知くんがいちばん性格がいいと思う!

しかもそれだけの才能を持ちながら、全く天狗になる素振りも何もなく、全くいい子のまま来ているという、本当に奇跡のような男なんですよね。で、それがここに来てみなさんご存知の通り、本当に一気に対世間的に大ブレイク。いままでももちろん成功を収めてきましたけど。特にKREVAと組んでいろいろやるようになって、割とステージが1個上がって人気が広がってきたなという実感がここ数年あったんですが、ここに来て、やっぱり『ミュージックステーション』出演しての衝撃のパフォーマンス。あれ、誰が見てもすごいっていうパフォーマンスを見せましたし。そこからの紅白出場があったり。あと、『めちゃイケ』での出演とかもあったりして。もうどんどんケタ違いにボンボンボン!ってブレイクしていくという。

僕の周りは本当にボンボンボン!ってブレイクしていく人がいっぱいいるし、僕はもちろん周りの人間の才能みたいなのに関しては疑っていないというか。誰が成功しても驚かない。大知くんなんかまさにそれはそうなんだけど、とはいえだからようやく世間が彼のレベルに追いついてきたかということで、本当にうれしく思っているわけです。で、出演してきて。ちなみにライブに行った方のメールも来ていますので、こちらを読みますかね。こちら、「だいちゃー179号めめこ」さん。「だいちゃー」っていうのは三浦大知くんのファンの人の名称で。ごく初期から応援している方は「だいちゃー、だいちゃー」って。で、僕は三浦大知くんをこの番組で特集して、「三浦大知という天才がいて……」って早くからプッシュしているというのをみなさんに評価していただいて、「名誉だいちゃー522号」という風に言われているんですけども。

そのめめこさん。「宇多丸さん、こんばんは。一昨日は武道館に来てくださってありがとうございました。シークレットゲスト、KREVAと千晴、そして絢香ちゃんまでは予想していたのですが、まさか宇多丸さんが出てこられるとは……さすが名誉だいちゃー522号! 『人間交差点』以来の『No Limit』でしたが、サビでめっちゃタオルを回して一緒に口ずさみました」。みなさん、すごい盛り上がっていただいて。直前にやったWOWOWの特集で、僕と大知くんの馴れ初めみたいなのをすごくやってくれたっていうのも大きいですし。

あと、やっぱり大知くんがね、それはさ、「KREVA!」「ワーッ!」ってなるじゃないですか。そこで「宇多丸!」っつってもさ、それは……ねえ。私だってそれはさ、「いやいやいや、すいませんね」って感じになりますから。そのへんを考慮してなのか、ものすごい丁寧に前フリをしてくれたというのもありますね。KREVA出て、千晴が出て。「この2人をつなげてくれた人です。宇多丸!」ってドーン!って盛り上げてくれて。メール、ありがとうございました。

「……最後に一言、『正義は勝つ!』」。これ、僕がステージ上で、要はこれはPerfumeの本格ブレイクの時に1回使った「正義は勝つ!」なんですよ。「いいものが売れる。ということは、かならずしも毎回あるわけではない。特に日本のポップ・ミュージックではかならずしもいいもの順に売れるわけではないが、ごくたまにこういうことがあるから世の中は捨てたもんじゃない。正義は勝つ!」って10年以上前に言いましたけども。まさに武道館で……「天才が帰ってきた」っていうのはソロアーティストとして復活した時にも言いましたけど、「正義は勝つ!」って。これを言わせていただきました。

もうひと方。「モモ」さん。この方はライブビューイングで見ていたという方なんですね。で、「宇多丸さんが出てきて、映画館はどよめいてましたよ」という(笑)。どういう意味でどよめいていたのかは知りませんけどもね。「……まさか大画面で宇多丸さんのツヤツヤ頭とパフォーマンスが見ることになるなんて。最の高! めちゃくちゃかっこよかったです」という。ありがとうございます。「……『正義は勝つ!』、本当ですね。ずっと三浦大知ファンをやってきて、グルグル思い出すいろんな気持ちと最高の音楽でちょっと泣いてしまいました」と。

でもね、これは本当に改めて言いますけど、今回の日本武道館、ベスト的な構成というか、たぶん大知くん的に次はさらにネクストレベルに行きたいがゆえの、今回ベスト盤を3月7日に出しますけども。ベスト盤と集大成的ツアーである意味全部出し切るぞ!っていう気合いだと思うんですけども。とにかく僕ね、自分の出番以外の部分のステージを拝見していって。もうね、「なんでこんなレベルのことができるのかが、もうよくわからない」っていう域に達していましたね。

なんでこんなことができるのか、もうよくわからないレベル

まずオープニング、8曲連続かな? ノンストップで歌って踊ってですよ。別にそれが悪いとは言わないけど、歌う人と踊るひとが分かれていたりとか。まあ、激しく踊るからっていうんで歌う部分はちょっと口パクだったりする人だっている中で……別にそれだって責めやしないけども。もうガンガン、しかもめっちゃ上手く正確に歌ってなおかつ踊りもめっちゃ高度なものを、しかも8曲連続でこれでもか! と見せつけてやるという。もうオープニングの演出でまずやられちゃいましたし。

大知くんのライブは大知が演出とかを率先して提案して考えていたりする。だから会議の時点では他の大人の人が「こうやってやりましょう」って提案しても、最初は大知くんがなにを言っているのかわからないらしいんですよ。要するに、大知くんの中にビジョンがあって、実際に映像とかをつけて、こうやってやるとわかるみたいな、それぐらい先に行ったビジョンを持っている男で。たとえば、僕らがラップパートで出てくるちょっと前のところで着替えのパートがあるんだけど。そこの演出もすごい面白くて。

その着替えのところもノンストップなわけですよ。で、歌いながらLEDの映像を映す板の後ろ側にピョーン!って大知くんが入っていくと、その映像の中に入ったようになって。前にいるダンサーさんとの絡みでサイレント映画のコメディー+ミュージカル風というか、そういう面白かっこいい絡みみたいなのが映像と生の踊りとで演出されて。その間もずっと曲は流れていて、大知くんの歌声も流れている。で、終わったところでドーン!って着替えて出てくるんですけど……これ、僕はそのくだりの直前ぐらいでそろそろ出番だっていうんで、武道館の後ろの控えに行きましたよ。

で、結構舞台装置とかを作っているチームとかが、割とライムスターのライブチームと重なっていたりするんで。フクちゃんという美術を作っている気のいい大男がいてですね。で、「いやー、大知くんすごいっすわ!」「そうだよね」「あの着替えのシークエンス、あったじゃないですか。あそこ、着替えながら大知くん、ずーっと生で歌っているんすわ!」って。要はマイクスタンドを立てて、こうやって着替えながら……たしかにずっと歌は続いているんだけど、そこなんか着替えパートなんだから録音したものを流せばよさそうなものですよ。そこ、上手くあれすればいいようなものじゃない? ずーっと、マイクで歌いながら。お客には見えてないのに、生で歌いながら着替えているんだって。俺、それを聞いて「ええっ? バカなの?」っつって。もうなんかすごいんですよ。

だから裏方チームも、彼のもちろんパフォーマンスの質の高さもそうだけど、パフォーマンスにかける気合いとか真剣さとか、そういうの全部含めて感服しきっている。いる人全員が。で、この天才にして最高の人格の男にとにかく奉仕したいっていうか。なんとか彼のためになりたいって思って。ちょうどKREVAがそのライブに行く前に、「今日はワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンじゃなくて、ワン・フォー・大知、オール・フォー・大知だ!」みたいなことを言ってね。実は大知くん、風邪気味で。具合が悪い中、ニンニク注射を打ってやっていたりしたから。その気合いを入れてあげるため、力を上げるためにもこうやってやろう! なんつって、やって。

で、そんなところにですよ、私が出ていて。「あ、すいませんね! もう本当にね、ごめんなさいね!」って。もうこんな言い方じゃないんですよ。私、最近フィーチャリングで出る時は本当に礼儀正しく、「おじゃましまーす!」なんつって行きます。でも、『No Limit』は大知くんの初期の曲の中でも結構人気曲だから、すごいワーッ!って盛り上がって。そこからさらに、いま後ろで流れていますけども。KREVA feat. 三浦大知で『全速力』という曲があるんだけど。

これは大知くんからの結構直前に来たオファーで、「『全速力』はKREVAとの曲なんだけど、千晴くんというKREVAのところの若手ラッパーと僕と、4人で『全速力』できませんか?」って。というのは、まさにKREVAと大知くんを会わせたのは僕がKREVAが日本武道館を1人でやった時に、KREVAを称える会というのをやろうじゃないかと。あまりにもすごかったんで。この番組でも話しましたし、特集もやりましたよね。その時に、それぞれが見どころのある若者を1人ずつ連れてきて、未来につながる会にしようじゃないかということで、KREVAは千晴を連れてきて。僕は大知くんを恐れ多くも……「大知くん、来る~?」なんつって(笑)。その頃はそんなに忙しくなかったというのもあって、「大知くん、来る~?」なんつってね。で、そこでKREVAと千晴とも意気投合して。なんなら本当に僕よりも仲良くなりやがってね。もう、バカヤロー!っていう話なんですけど(笑)。

でも、そういうところでちゃんと、そういう縁というか、忘れないのも大知くんで。で、結構ギリでもあったんで、ちゃんと千晴は歌詞をオリジナルで作ってきたりしてえらかったんですけど。僕はパッと思いつくところがあって、ライムスターの『Still Changing』という曲の自分のバースがBPM的にも、そして内容的にも『全速力』にぴったりハマるんじゃないかな?って思って。

で、リハで重ねてみたら結構これがいい感じでハマッたんで、「これでいいじゃん。これで行きましょう。おじさん、覚えられる歌詞のメモリにも限界がありますんで」って。でもこれ、相当ハマッたと思いますよ。まあ、マッシュアップという意味でもいいですけど、とっても上手くハマッたと思います。めちゃめちゃ『全速力』で盛り上がりましたし。あとはその後に登場しましたシンガーの絢香さんとのデュエット。歌が上手いのなんのっていうのでしたし。あと、ダンサーの菅原小春さんが登場して、大知くんとのバトルというのかな? もう超絶ダンス合戦とかもありましたし。あとは、ネットニュースでもありましたように、アンコールではなんと、Folderの盟友ですよね。満島ひかりさんが登場されて、さっきもかかっていましたけども『Now And Forever』を。Folderの名曲中の名曲を……。

Folder『Now And Forever』

僕はもうあの頃ね……90年代後半はささくれ立っていた。毎夜毎夜、高橋芳朗と飲み歩いては、全員女の子はきれいに見えるみたいな(笑)。そんな精神状態の中、それを癒やしてくれた『Now And Forever』。これを、本当に盟友っていう感じね。お互いにサバイブしてきたという。決して一直線ではなかったですよね。満島ひかりさんもね。そういうので2人でデュエットしてという。もうね、そこに至るまでとにかくアイデアもそうだし、スキルもそうだし、大知くんの人柄もそうだし。そしてやっぱり、異常な密度とノンストップぶりなんで、体力から言っても異常なんですよ。

「えっ? 始まってもう2時間以上たっているのに、まだ上で飛んだり跳ねたり股割りしたりしてるよ、この人。どうなってんの? しかも声も全然乱れてないんだけど……」みたいな。とにかくはっきりしているのは、日本の音楽パフォーマーの中でいまぶっちぎりでトップだと思いますよ。もう世界レベルと言ってもいいと思う。次は世界照準ということでいいんじゃないか?っていうぐらい、本当にわかっていたけど、思っていたよりももっとすごかった、大知!っていう感じでね。もう本当に感服しました。歴史的なライブだったと思いますし、そこに参加できて本当にうれしかったと思います。

あまりにもうれしくて、まあ大知くんは具合が悪かったので。しかも翌日、また『ミュージックステーション』っていう強行軍だったので大知くんは打ち上げもせずに、休んでくださいっていう感じだったんですけど。あんまりうれしくて収まりがつかなくて、KREVAと「士郎さん、この後は?」「えっ? この後って、バッツリ空けとるがな、んなもん!」っつったら、「ああ、俺もですよ!」って。で、KREVAと千晴と俺でもう結局朝方近くまでガンガン。ガンガン大知を称え、そしてガンガン今後のいろんな……「どうするよ、こんなのを?」みたいな。いろんな話をして、めちゃめちゃ最高の夜でございました。という、ご報告です。

ということで、結弦もいいけど大知もね、という。これもまた日本が誇る宝。王子でございます。正義は勝つということを証明した男でございます。ということで、3月7日にリリースされる三浦大知くん初のベストアルバム『BEST』より、そこに収録される新曲。ライブではいちばん最後にやっておりました。三浦大知の最新形でございます。お聞きください。『DIVE!』。

三浦大知『DIVE!』

はい。3月7日にリリースされる三浦大知くん初のベストアルバム『BEST』より新録される新曲『DIVE!』をお聞きいただいております。本当に大知くん、この『BEST』を聞けばわかると思いますけどもとにかく、Folder時代から数えてもいいですよ。1曲も駄曲がないし、あと1曲も大人の事情で無理にやらされてなんだかな、みたいな曲もないし。これもすごいですしね。それでいて、これはKREVAと話していて印象的だったんですけど、やっぱりとはいえここに来て本格ブレイクしたのにはそれなりに理由があって。やっぱり大知くんのここんところのシンガーとして、そして人間として、男としての成長ぶりがやっぱり著しいというものがあって。そのあたりもすごく素晴らしいなという感じでした。ちなみにKREVAと話していて、KREVAの特集企画、めっちゃ面白いのもらったから! ちょっとね、これはぜひ新番組出やりましょうよ。そういうのもいただいたんで、非常に有意義な夜でした。三浦大知くんのベストアルバム、ぜひみなさんお聞きください!

<書き起こしおわり>

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