石山蓮華とでか美ちゃん『ユニコーン・ウォーズ』を語る

町山智浩『ユニコーン・ウォーズ』を語る こねくと

石山蓮華さんとでか美ちゃんさんが2024年5月28日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で映画『ユニコーン・ウォーズ』について話していました。

(石山蓮華)先週はクマとユニコーンが戦争するアニメ映画『ユニコーン・ウォーズ』という作品をご紹介いただきました。

(町山智浩)クマっていうか、テディベアですね(笑)。

(石山蓮華)はい。テディベアとユニコーンが戦う映画。試写で石山もでか美ちゃんも拝見しました。

(町山智浩)どうでした?

(石山蓮華)カラフルでギトギトで、なんかその描いている戦争の悲惨さそのものっていうのはかなりはっきりと描かれているなと思ったんですが。

(町山智浩)はい。グチャグチャでしたね。血みどろで。

(石山蓮華)グチャグチャでした。心も体もぐちゃぐちゃだったんですけど。でも、アニメのかわいらしい柄で表現されているってことですごくとっつきやすくもありました。

(でか美ちゃん)たしかに。

(町山智浩)あれ、実写でやったら見られないですよ。クマだからよかったですね。

(でか美ちゃん)わかりやすいメッセージっていうのをビシバシ感じる中で、アニメ映画としてめっちゃ面白いなと思ったし。テンポがすごく良くて。テンポよく想像しうる最悪のことがどんどん起きていくという。でもなんか、嫌な映画……それこそ『ミッドサマー』とか、そっち系が好きな人にとっても、受けがいいんじゃないかなってぐらい、想像しうる最悪なことがテンポ良く、カラフルにかわいくどんどん起きていくっていう。

(町山智浩)かわいくね。

(でか美ちゃん)やっぱり見終わった後にこの作品が持つメッセージっていうものについて、すごく考えましたし。それこそ実写でやったら作品にはできないだろうなって思ったけど。現実は実写で起きているので……とかはすごく感じましたね。なんか主人クマというか、主人テディベアが……主テディベア公が元々はすごく繊細なクマちゃんだったのかな?っていうような過去の描写とかもあって。その子がどんどん戦争というものに参加せざるを得なくなって、参加することで凶暴にというか。目も当てられないような姿になっていくっていうのがね、なんか結構、戦争って実際にこういうことがあるんだよなっていうのをすごく感じましたね。

(町山智浩)戦争……反戦アニメでもあるんですけど。もうひとつはものすごい女性憎悪がすごい内容になっていて。クマたちが、テディベアがね。

(でか美ちゃん)女々しい者に対する……「女々しい」という言葉がすごく飛び交っているような。

(町山智浩)そう。ちょっとでも優しかったりすると「男らしくない」ってね。で、その敵のユニコーン自体が非常に女性的なものの象徴だったり、ゲイの象徴なんですよね。ユニコーンっていうのはね。だからそれこそ「お前はゲイだろ!」なんかて言うシーンもありましたね。そういうところも含めてね、このアニメの力っていうのはやっぱりすごく大きいなと思いましたね。これ、内容的には生々しすぎるから。

(石山蓮華)そうですね。

内容的には生々しいものでもアニメなら見れる

(でか美ちゃん)だからその、今まで紹介していただいた『関心領域』とか『医学生 ガザへ行く』とかだとちょっと重いかも……って思う方もいると思うんですけど。見てほしいなとは思いつつ。そういう方は、『ユニコーン・ウォーズ』はまず、見れるとは思います。アニメとして。

(町山智浩)そうですね。

(でか美ちゃん)そういうところから始めてもいいのではっていうか。『もののけ姫』とかが好きな人とかも。

(町山智浩)『もののけ姫』の影響はすごい強いですね。

(石山蓮華)それはすごい、いたるところで感じました。

(町山智浩)もう怪物のグニグニグニっていうのとかね。

(石山蓮華)乙事主みたいな。タタリ神か。

(町山智浩)あと、弓矢の使い方とかね。

(でか美ちゃん)そうですね。それはリスペクト、感じましたね。

(町山智浩)でも今、『関心領域』が見れるから。『関心領域』は残虐シーンって、ないですよ。一切ないので。見せないんです。

(でか美ちゃん)その怖さみたいなものがあるとは思うんですけども。

(石山蓮華)先行上映で私は『関心領域』を見たんですけど。描かれてないけど、やっぱり音で、シーンで描かれるものすごい怖さを感じましたね。

(町山智浩)アウシュビッツの虐殺収容所、ナチがポーランドで経営していたんですけど。その所長さんがその虐殺収容所の壁をひとつ隔てた隣に住んでいて。そこの奥さんが主人公ですね。で、お庭のこととか、そんなことしか考えてないんですね。でもちっちゃい声で「ギャー!」という叫び声とかが聞こえたりね。あと映画はね、匂いがしないんですけども。ねえ。

(石山蓮華)でも、その匂いに関するそのシーンというか、やり取りもありましたね。

(町山智浩)ものすごい数のユダヤ人を殺して、煙が出てるんで絶対に匂うはずなんでね。だから匂い自体もシャットアウトしてるんですね。この奥さんは。自分の『関心領域』から。とにかく壁の本当1枚向こうで大虐殺があるのに、知らないふりしているわけですけど。でも最近、壁ってもうほとんどマスメディアが自分で壁を作ってる状況ですよ。日本とか。

(でか美ちゃん)ちょっとね、それに近いような話を今日はオープニングでもね、ちょっとちらっとしていたんですけど。「ニュースを得るタイミング」みたいな話をしてたんですけど。

(石山蓮華)まさに『関心領域』の話ですね。

(でか美ちゃん)『関心領域』っていうのが、なんだろうな? 友達とかと映画を見に行く時って、「『関心領域』を見に行こう」って誘える友達もいたら、そういうのはちょっと誘えないなって友達も私にはいて。種類があるというか。でも、その見ないタイプの子にも本当はそういうメッセージのあるものを見てほしいっていう思いが私はあるんで。そういう時にマジで『ユニコーン・ウォーズ』はいいなって思ったんですよね。とっつきやすさで。

(町山智浩)ああ、それはたしかに言えますね。

(石山蓮華)『関心領域』の扉になるというか。

(でか美ちゃん)そうそう。入口としてすごくいいと思います。

『関心領域』の入口としてのアニメ『ユニコーン・ウォーズ』

(町山智浩)「アニメ、見に行こうよ!」って連れていけるからね。

(でか美ちゃん)「これ、かわいくない?」とか。ちょっと騙してる気持ちにもなるかもだけど。でも、嘘じゃないから。絵は本当にかわいいですから。

(町山智浩)そういう映画……今日、紹介する映画もちょっとそういう映画なんですけど。今日、紹介するのはですね、『マッドマックス:フュリオサ』という映画なんですよ。

<書き起こしおわり>

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