細野晴臣さんがニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』にゲスト出演。星野源さんとニューアルバム『Vu Jà Dé』について話していました。
(星野源)その(TVブロスの)対談の中でも時折「ニューアルバムはいつですか?」みたいなお話をこう……。
(細野晴臣)もう10年前から言ってるよね。フフフ(笑)。
(星野源)アハハハハッ! 「いま作っているよ」っていう風にお話を聞いていたりとかして。
(細野晴臣)できたんだよ、それが。
(星野源)おめでとうございます! ニューアルバム完成、本当におめでとうございます! いやー、素晴らしい。
(細野晴臣)できると思わなかったけど、できちゃった。
(星野源)しかも2枚組。
(細野晴臣)2枚組なんか、よく作ったね。
(星野源)素晴らしい。『Vu Jà Dé』というタイトルで。本日、11月8日リリースということで。おめでとうございます。これ、2枚組にしたのはなにか理由はあるんですか?
(細野晴臣)あのね、レコード会社の人に騙されたって言っちゃあ怒られちゃうけど……(笑)。
(星野源)アハハハハッ! 騙されたんですか(笑)。
(細野晴臣)なかなか作らないじゃん。僕。で、なんで作らないか?っていうと、カバーばっかりやっていたから。
(星野源)でも、カバー最高ですよね。カバー大好きですよ。
(細野晴臣)ライブでずっとやっていたしね。オリジナルをなんか避けていたというか、なかなかやらなかった。それをまあ、会社の人が見ていて。たぶんイライラしたんだろうね(笑)。「だったらカバー4曲、オリジナルを4曲ぐらいで2枚で出したらいいんじゃないですか?」って提案されたら、「それいいな!」と。途端に気が楽になって。
(星野源)ああ、そうですか。
(細野晴臣)まんまと罠にはまってしまって(笑)。
(星野源)アハハハハッ! でも、リリースできてよかったです。
(細野晴臣)それがきっかけでね、やり始めたんだよね。
(星野源)それでいいって思ったのは、それまではオリジナルを中心に作らなきゃいけないっていうプレッシャーがあったんですね。
(細野晴臣)で、オリジナルはもうさんざんやってきていたからね。もういまはカバーが楽しい時代なの。うん。
(星野源)うんうん。楽しいのがいちばんです。本当に。でも、4曲・4曲とかじゃなくてもっと多いですよね。実際は。
(細野晴臣)だから罠にはまったっていうのはそういうことで。「やっぱり4曲じゃダメだろう」って作っていてそう思うわけでね。だから……まあカバーは何曲も録り貯めてあったんですけど。ディスク2の方のオリジナルは1曲もなかったから……(笑)。
(星野源)そうかー。
(細野晴臣)まあ、いろいろと考えて。昔の未発表もあるしね。そういうものも入れて。なんとか曲数を増やしたっていう。フフフ(笑)。
(星野源)アハハハハッ! でも、だって2枚目だけで12曲入っているっていうのにすごくびっくりしました。
(細野晴臣)だから、見た目が勝負なのね。
(星野源)アハハハハッ! 曲数……CMの裏側のトラックリストの数。いや、でも本当に素晴らしいアルバムでした。
(細野晴臣)弱点はね、1曲ずつが短いのね。
(星野源)でも、僕はなんかもうちょっと短い曲が多いのかな?って思っていたんですけど、全然そんなことはなかったです。
(細野晴臣)まあ、割と長いのもあるし。でも、まあいいかと。ちょうどいいかなと。
(星野源)あと、ブックレットをちょっと見させていただいて。すごく昔に作った曲で思い入れがあってリリースしてなかった曲っていうのも収録されていて。
(細野晴臣)これはいい機会だと思って。80年代に作ったインストゥルメンタル……『Retort』っていう曲ですけども。その時に、「これはうたにしたいな」と思ったんですよ。もう2年以上前に。
(星野源)その時は、最初はインストで?
(細野晴臣)そう。インストで出してソロに入れたんですけど。で、出した後に歌詞を考えたの。直後に。で、すぐにレコーディングすればいいものを、20年忘れていたというか(笑)。それをまあ……忘れているわけじゃないね。やっぱり、いつかやろうと思っていたものをジワーッとこう、ね。やっとチャンスが来たんで、それをやってみたんですけどね。
(星野源)そういう曲も本当に素晴らしくて。
(細野晴臣)ああ、そうですか。よかった。
(星野源)本当におめでとうございます。
(細野晴臣)ありがとうございます。
(星野源)じゃあまず、ここから1曲、聞いていただいてもいいですか?
(細野晴臣)じゃあね、ディスク2のオリジナルの方の、これは石川さゆりさんに提供した曲なんですけど。デモテープが残っていたんで、それをこねくり回して自分で歌ってみたのがこの曲です。『寝ても覚めてもブギウギ』。
細野晴臣『寝ても覚めてもブギウギ~Vu Ja De ver.~』
(星野源)お送りしたのは日が明けて本日発売の細野晴臣さんのニューアルバム『Vu Jà Dé』の中から『寝ても覚めてもブギウギ』でした。ありがとうございます。
(中略)
(星野源)佐賀県の方。(メールを読む)「ニューアルバムのタイトル『Vu Jà Dé』ですが、なぜ『Deja Vu(デジャヴ)』じゃなくて『Vu Jà Dé』だったのでしょうか?」ということで。
(細野晴臣)うん。逆さまなんだよね(笑)。「Deja Vu」は「既視感」。
(星野源)「もうこれ、あったんじゃないかな? 前にも……」っていう。
(細野晴臣)はじめてなのに、「あ、これどこかで知っている」みたいな気持ちでしょう? それはよくあったんだけど、それと逆というのはつまり、知っているのに「あれ? 知らない」って思うこと。
(星野源)新鮮な驚きというか?
(細野晴臣)そうね。うん。まあ、そういう……カバーをやっているとそんな気持ちになるんですよ。ちっちゃい頃から聞いていて。たとえばブギウギとか知っているはずなんだけど。
(星野源)40年代の音楽とか。
(細野晴臣)そう。まあ、うちにも昔のSP盤とかがあったからね。
(星野源)SP盤。レコードの、前のというか……(笑)。
(細野晴臣)そうそう。割れやすい盤があったのね。そういうのを子供の頃から聞いていたけど、いざ自分でやってみたら全然知らない曲なのよね。自分の中にないの。ロック世代だし(笑)。「どうやってやるんだろう?」ってところから始めたんですよね。だから自分でできるようになるのに5、6年かかっているんだよね。
(星野源)うんうん。ライブでも何度もやられて。
(細野晴臣)そう。ライブでやって、だんだんできるようになってきた。
(星野源)自分のものにしていくというか。
(細野晴臣)そう。うんうん。まあ本当に知らないんだな。知っているようで知らないっていうような気持ちです。
(星野源)そういう曲がたくさんカバーとして入っているディスク1。で、ディスク1はバンド名というか……『Eight Beat Combo』っていう。
(細野晴臣)ディスク1は『Eight Beat Combo』っていう……まあ、仮の名前でね。バンドじゃないんだけど、もう10年近くやっているんでバンドっぽくなってきてるんでね。
(星野源)で、ディスク2の方が『Essay』っていう副題というか。
(細野晴臣)そうですね。ディスク2の名前が『Essay』。まあ、随録というか。
(星野源)随筆の音楽版? 「随録」っていいですね(笑)。
(細野晴臣)なんでか?っていうと、先に『Essay』ってつけちゃったの。それに合わせて、「まあ、なにが入っても大丈夫だろう」ってね、そういう感じでまとめてみたんですけどね。
(星野源)そんな曲たちが入っているニューアルバムが本日発売ということで。おめでとうございます。
(細野晴臣)出ちゃいました。ありがとうございます。
(星野源)アルバムリリースツアーもあるんですね。
(細野晴臣)そうなんですよ。
(星野源)これ、見たらもう11日から始まるじゃないですか。
(細野晴臣)もうすぐだ……。
(星野源)もうすぐですね。
(細野晴臣)明日、リハーサルが最終日なんで。
(星野源)ほぼソールドアウト。北海道だけまだちょっとあるということで。北海道の方はぜひチェックしてみてください。すごいですねー。いいですねー。あ、台湾でも?
(細野晴臣)来年。1月ですね。
(星野源)1月に。いろんな活動をこれからも。
(細野晴臣)なんかね、もうキリがない(笑)。
(星野源)フフフ(笑)。
(細野晴臣)まあ、時間もないしね。
(星野源)そうですねー。なんかすぐに年末になっちゃって。時間の流れってやっぱり早いですよね。
(細野晴臣)早い。もうやることをやんないとね。
(星野源)僕もいま、胸が痛いです。やらなきゃいけないことがいっぱい……(笑)。
(細野晴臣)でしょう? 僕の何倍も大変だと思う。
(星野源)いやいや、そんなことないですけども。でも、そんなお忙しい中、この1時間強、すごい楽しかったです。あ、ほぼ1時間半ですね。本当に貴重な時間をありがとうございました。
(細野晴臣)いやいや、こちらこそですよ。本当に。
(星野源)ありがとうございます。また、ぜひ。
(細野晴臣)ぜひぜひ、呼んでください。いつでも来ますから。
(星野源)じゃあ、最後にニューアルバムの中から1曲お送りしてお別れしたいと思います。これはアルバムのディスク1の2曲目。
(細野晴臣)ブギでさっき話したような5、6年かけてやっとできたっていう、知っているようで知らない曲です。タイトルが長いから、僕が言いましょうかね。『Ain’t Nobody Here But Us Chickens』。
(星野源)はい。今日のゲストは細野晴臣さんでした。ありがとうございました。
(細野晴臣)はい。お邪魔しました。
細野晴臣『Ain’t Nobody Here But Us Chickens』
<書き起こしおわり>