町山智浩 マッドマックス祭り・Wasteland Weekendを語る

町山智浩 マッドマックス祭り・Wasteland Weekendを語る たまむすび

町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中でアメリカ・カリフォルニア州の砂漠の中で毎年開催されるマッドマックス祭り、Wasteland Weekend2017に参加した際の模様を紹介していました。

(山里亮太)いや、ただ町山さん。気になることがいっぱいなんですよ。前回、お話していただいていた「いやー、骨折しちゃいました」って。「どうしたんですか?」って言ったら、「言えないんですよ」って。

(町山智浩)そうなんですよ。もういえます。はい。やっと解禁になりました。ニコニコ動画の番組の取材に行っていたんですよ。そこで、まあケガをしまして。いま僕、レントゲンを持っているんですよ、これ。

(山里亮太)うわっ、いまありますよ。写真が。

(町山智浩)そうそうそう。これなんです。いま、こういう状態なんですけど。ラジオで「こういう状態」って言ってもしょうがないですけど。

(山里亮太)えっ、これ手にボルトが入っているじゃないですか!

(町山智浩)そうなんですよ。

(山里亮太)3本!? 指のところに思いっきり、ボルトが3本入っています。

(町山智浩)手の中ですね。手中骨っていうやつですね。薬指の手中骨にボルトが3本入っている状態で。

(山里亮太)いま、私の横に町山さんが座ってらっしゃって。右手を見ますと生生しいこの手術の痕が。

(町山智浩)これがね、切開をして割れた骨をボルトでつなぎとめるという。で、このボルトが入っているレントゲン写真をお医者さんがくれたんですね。で、「なんで?」って言ったら、「(ボルトが)金属探知機に引っかかるから」って(笑)。

(山里亮太)そうか! 飛行機に乗る時に。ああーっ!

(町山智浩)そう。ずっとこれは持ち歩いてなきゃダメだって言われたんですよ。で、いつも持ち歩いてるんです。

(山里亮太)やっぱり実際に鳴りました? キンコーンって。

(町山智浩)入る時に、金属探知機じゃない方だったから鳴らなかったですけど。金属探知機のある方だったら、鳴ったでしょうね。

(山里亮太)でしょうね。まあ、金属が入っているわけですから。

(町山智浩)ねえ。ジャッキー・チェンとか体中にプレートが入っているっていうんで。あの人はいつもレントゲン、持ち歩いているんですかね?

(山里亮太)もうそしたら、(レントゲン写真が)アルバムぐらいになっちゃう(笑)。

(町山智浩)そうそうそう(笑)。「これとこれとこれ……」って(笑)。「チェック、チェック、チェック」って言いながら、それではじめて抜けられるんじゃないかと。

(山里亮太)時間、かかりますねー!

(町山智浩)時間、めちゃめちゃかかるでしょうけどね。

(山里亮太)ほぼ全作で骨折してるんじゃないか?っていう気がしますからね。

(町山智浩)ジャッキー・チェン、知っててもやっぱり、ねえ。一応調べざるをえないでしょうけどね。

(山里亮太)ただ、いま写真を見ただけでも結構大怪我だなというその怪我の理由ですよ。

(町山智浩)それがね、間抜けなんですけど。まず、その僕が参加したイベントについて話しますと、これは『Wasteland Weekend』というイベントなんですね。「Wasteland」っていうのは「荒野」ですね。だから「荒野の週末」っていう名前なんですけど、これはいわゆるマッドマックスファンのお祭りなんですよ。マッドマックスシリーズっていう1979年から4本作られている映画がありまして。『マッドマックス2』、『マッドマックス/サンダードーム』。それと『マッドマックス 怒りのデス・ロード』っていう最近作られた映画。それに憧れる人たちが3000人集まりまして。

(海保知里)すごい人数(笑)。

砂漠にマッドマックスファン3000人が集結

(町山智浩)そう。カリフォルニアの砂漠のど真ん中に……本当に何もないモハーヴェ砂漠のど真ん中なんですけど。そこにマッドマックスの世界のように改造した車。ノコギリがついている車とか、マシンガンがついている車、いろんなものがついている車を全員自分で作って持ってきて。それで、みんなそういう格好をして。だから『マッドマックス2』に出てくるアイスホッケーのマスクをかぶった筋肉モリモリのヒューマンガスさんとか、『怒りのデス・ロード』に出てくるイモータン・ジョーっていう。あと、イモータン・ジョーの奥さんたちとか。あと、イモータン・ジョーを尊敬するウォーボーイズっていう白塗りの彼とか。ああいうのの格好をした人たちがみんな集まって。あと、自分で好きな格好でもいいんですけど、とにかく核戦争の後、文明が消滅した後の地球の人たちの格好をするっていうことが条件なんですよ。

(海保知里)うんうん。

(町山智浩)で、そういう格好をしていないと、入れないんです。門があります。

(山里亮太)ドレスコードだ。

(町山智浩)ドレスコードがあるんです。で、そのWastelandの門をくぐり抜けるためには、完全に核戦争後の状況にならなきゃならないんですよ。で、もちろん持っていない人もいますよね。僕なんかも持っていなかったんですけど、入り口のところに、門に入る前に市場があるんですよ。それはバータータウン(Bartertown)っていう交換市場っていうものなんですけど。『サンダードーム』っていう映画の中で出てくるんですが。あれで、なんでも交換できることになって……物々交換の世界でしょう。核戦争後の社会だからもうなにもなくて。

(山里亮太)「毛皮3つとこれを交換してくれよ」みたいな?

(町山智浩)そうそうそう! お金がない世界だから。そこに行って、サラリーマンの人とかはスーツを着ていくと、そこでスーツと交換でマッドマックス的な革ジャンとか戦闘服とかブーツとかに交換してもらえるんですよ。

(山里亮太)へー! じゃあ、帰る時にはまた交換できるんですか?

(町山智浩)まあ、交換してもらえればね、また元に戻りますけども。でも、交換できないのは髪型ですよね。七三分けの人とかもいるわけじゃないですか。そういう人はちゃんとそこで床屋さんがいて、モヒカンにしてくれます。

(山里亮太)それでつながった。町山さん今日ね、サイドが完全に刈り上げられてルンですよね。

(海保知里)そうそう。どうしたのかな?って。

(町山智浩)これ、なんかあれでしょ? BIGBANGの人みたいでしょ?

(海保知里)アハハハッ!

(町山智浩)K-POPの人みたいな感じでしょ? コッチ側が刈り上げで……でも、実は両方刈り上げなんです。

(海保知里)あっ、両方? じゃあ、モヒカン?

(町山智浩)モヒカンなんですよ。これ、モヒカンを横に寝かしているだけなんですよ。いま、僕。

(海保知里)へー!

(山里亮太)じゃあ、マッドマックスの世界観ですね。モヒカンで。

モヒカン町山智浩

(町山智浩)そこで髪型もシャバっ気のある感じの人はモヒカンにしてくれて立ててくれるんですよ。で、メイクもしてくれて、ウォーボーイズであるとか、ドクロとか、傷のメイクとか。で、服なんかも変にピカピカの革ジャンを着ていく人とかいるわけじゃないですか。ピカピカのTシャツとかGパンとか。それを全部ね、カッターとかで切ってズタズタにして。汚れも油とかをつけてドロドロにしてくれるんですよ(笑)。核戦争後みたいな感じにしてくれるんですよ。

(山里亮太)マッドマックス感で。

(町山智浩)マッドマックス感。そうすると、はじめてその門をくぐれるんですよ。そういう世界なんですよ。で、そこにまあ、4日間。木、金、土、日とそこで暮らすんですね。砂漠の中で。で、お金は4日間いても180ドルだから2万円ぐらい。

(海保知里)スポンサーとかも付いているってことですか?

(町山智浩)いないんです。

(海保知里)えっ、ノースポンサー?

(町山智浩)ノースポンサーです。これね、6年ぐらい前からやっているんですけど、とにかくみんなで作るお祭りなんで。で、まあ1人180ドルを集めて、毎年3000人ぐらい来ているわけですから。それでその砂漠は買ったんです。

(海保知里)砂漠、買えるんだ。

(町山智浩)砂漠なんかタダみたいなものだから(笑)。タダですよ、砂漠だから。
ほとんど。で、街の人から許可をもらって買って、それでそこにキャンプ場と核戦争後の世界を作ったんですね。で、それ以外に食べ物とかは全員、自分で持ち寄り。ただ、どうしても食べ物がなければ買えるんですけど、食べれるのはドッグフード。

(山里亮太)なるほど!

(町山智浩)『マッドマックス2』の中でマックスがドッグフードをたのむじゃないですか。メル・ギブソンが。

(山里亮太)水もより一層美味しく感じますもんね。

(町山智浩)そう。「水は持って来い」って言われた。

(海保知里)あ、水もそうなんですね。

(町山智浩)砂漠だから、水だけはとにかく持って来いと。

(海保知里)でも4日間だったら結構な量が必要じゃありませんか?

(町山智浩)もうだから、すごいタンクで持ってこないとダメですね。はい。でね、街があるんですけど、街までは片道1時間ぐらい、全く道路がない砂漠を通らないといけないんですよ。もうひとつは、そこに入るためには交通機関がないんですよ。だから、車で来なきゃならないんですけど、レンタカーを借りるにしても、いわゆる普通の車だと入れないんですよ。普通の車で日本人の男の子たちが4人ぐらい入ろうとして、スタックしちゃって。砂漠でね、砂がものすごく細かくて粉みたいなの。で、普通のタイヤじゃ走れないんで、ランクルとかの四駆じゃないと入れないんですよ。

(海保知里)ふーん!

(町山智浩)で、砂漠を1時間ぐらい、何もないところを走ってやっとそこに入れるんですよ。で、入る時にサインして。その時に「この中でケガとかいろいろしても、絶対に訴えない。全部自己責任」っていうのにサインして入るんですよ。ただまあ、そこにいる人たちはいきなり顔中がピアスしてたり、モヒカンだったり、筋肉モリモリで。で、みんな武器を持っているんですよ。ハンマーとか(笑)。

(海保知里)フフフフフ……。

(町山智浩)チェーンソーとかをみんな持って歩いてるんです。あ、武器も買えるんですよ。そのバータータウンで。

(海保知里)武器もですか?

(町山智浩)武器も買えます。入り口のところで。鎧とか武器もちゃんと売っていて。業者が出てますから。

(山里亮太)それは持っておきたいですよね。

タイトルとURLをコピーしました