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町山智浩『はちどり』『SKIN/スキン』を語る

町山智浩『はちどり』『SKIN/スキン』を語る たまむすび
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町山智浩さんが2020年6月23日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で『はちどり』と『SKIN/スキン』を紹介していました。

(町山智浩)日本で映画が公開されないままずっと来てたじゃないですか。で、やっと劇場が開いて公開され始めたんで、渋滞している状態なんですよね。今ね。だからちょっと紹介するのが全然間に合わなくて、追いついていけないので。ちょっとだけ話しますね。何本か、もうすでに公開されているのがあるので。今回、予定になかったんですけど、もう劇場でかかっちゃってるって聞いたんでは。ちょっとお勧めの映画があって。韓国映画で『はちどり』という映画があるんですよ。

(赤江珠緒)『はちどり』? ちっちゃい鳥ですよね。

(町山智浩)そうです。アメリカなんかにいる、ハミングバードっていう。ブーンっていいながらものすごいスピードで羽を動かしてるんでハチみたいな音がするんですよ。で、実際に花でハチみたいに蜜を吸うちっちゃいちっちゃい鳥がいるんですけど。そういうタイトルの映画で韓国映画なんですけども。1994年の団地に住んでいる中学生の女の子を描いた映画なんですね。で、これは監督自身の自伝的な映画らしくて。女性の監督なんですが、彼女自身が90年代のその時期に中学生だったらしいんですよ。

(赤江珠緒)うん。

『はちどり』

(町山智浩)で、本当にね、何も起こらない女子中学生の日を描いてるんですけど。たとえばご飯を食べる時にお父さんが食べ始めないと他の誰も食べられないからずっと待ってたりとかですね。お兄さんが受験生で、いつもお父さんから「お前はソウル大学に行け、ソウル大学に行け」って言われ続けて。その鬱憤を妹、主人公の中学生の女の子にお兄さんがぶつけて。ブン殴ったりするんですけど。そうすると、またそれでもって家庭内がものすごい暴力になったりするんですけど。

これがその本当に貧乏でも金持ちでもない、中流の韓国の普通の家の中で行われてる、男尊女卑であったり、そういった抑圧を淡々と描いていく映画なんですね。で、その向こう側にあるのは……それはオチになるんですけども。韓国自体のその当時の非常に危機的な状況が続いていたことがまあはっきりした形じゃなくて、示されるんですけど。まあ、それはちょっとあっと驚く展開に後半、なりますんで。

これはね、非常に静かな映画なんですけど、素晴らしい傑作で。もちろんそこで描かれているその女性の……中学生ですけども。抱えてる問題とかはですね、もう今も韓国でも日本でも続いていることなのでね。

(赤江珠緒)1994年のが。

(町山智浩)94年の現実なんですけど。まあ今も変わらないっていうか。今ね、韓国のドラマでめちゃくちゃ当たってるドラマがあるんですよね。『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』っていうんですけども。

(赤江珠緒)ああ、それは知らない。

(町山智浩)うちはね、カミさんと娘がそれを見て夢中になってるんですけど。『SKYキャッスル』っていうののその「SKY」っていうのはソウル大学校、高麗大学校、延世大学校っていう韓国の超一流大学3つの頭文字なんですね。で、その超一流大学に子供を入れようとする親たちの地獄のような日々を描いているようなドラマなんですよ。

(赤江珠緒)うわーっ! 韓国は学歴社会だって言いますもんね。うん。

(町山智浩)そう。もう本当に親は子供がいい学校に入ること以外、何も考えなくて。そのためにならどんな悪いことでもするっていうすごいドラマで。僕は横で見ていてあまりにもひどくて見ていられないから挫折したんですけども(笑)。カミさんたちは喜んで見ているんですけども(笑)。

(赤江珠緒)ああ、そうですか。

(町山智浩)「サディストだな」って思って見ていますけども。でも、韓国って格差社会がひどいから、その受験でいい学校に入る以外は何もそこから脱出する方法がないとかね。そういったことも描いてるんですけど。でも、やっぱり男尊女卑みたいなのがずっと続いていてる。すごくね、その現代に通じるものを描いているのがその『はちどり』という作品で。もう劇場公開中なのでぜひ見ていただきたいなと思うのと。

(町山智浩)あと、もう1本ありまして。それがもう今週末に公開の映画で。『SKIN/スキン』っていう映画があるんですね。

(赤江珠緒)『SKIN/スキン』。

『SKIN/スキン』

(町山智浩)これは「肌」っていう意味なんですけども。これは白人至上主義者のスキンヘッズっていう人たちがいるんですよ。イギリスとかアメリカでは。で、彼らは頭を丸々剃り上げて、体中に入れ墨をして。で、黒人を見ると殴ったり蹴ったりしてるような人たちなんですね。で、実際にそのスキンヘッズだった人がモデルなんですけど。その人は途中で自分がやってることのひどさに気がつくんですよ。ところが全身にたくさん、体中にナチのマークだの「黒人をぶっ殺せ」だの「白人最高」だの、入れ墨が全身に彫ってあるんですよ。

(山里亮太)今、写真がこちらに届きましたけども。うわっ、すごい!

(赤江珠緒)本当に全身に入れてますね。もう顔だったり、首だったり。

(町山智浩)そうなんですよ。でも、もう心は変わっちゃったんですよ。「ああ、俺がやってたことは差別だ。ひどいことだ」って気が付いたんですよ。

(赤江珠緒)でも、そうなると恥ずかしいですよね?

(町山智浩)恥ずかしいんです。で、どうするか?っていう話がこの『SKIN/スキン』っていう映画なんですね。で、これは実際にあったことなんですけども。これはもう今現在、アメリカでずっと続いている「黒人の命も大切だ」っていうBlack Lives Matter運動。それがまあどんどんどんどん拡大して、すごいことになってるんですけども。その根底にある話なんですよね。というのはね、アメリカの警察官の中にこういった人たちがいっぱいいるんですよ。

(赤江珠緒)ああ、そうなんですか! だからあんなに……「なぜここまで押さえつけたりできるんだろう?」って思っていたんですけども。

(町山智浩)はい。それもすごい問題になってるんですよ。警察内部でも黒人の警察官を白人の警察がいじめたりとかしてるんで。すごくそういったことは根底にある問題なんですよね。だからこの『SKIN/スキン』っていう映画もぜひご覧になっていただきたいんですよ。今週末から公開です。

(赤江珠緒)6月26日ですね。

<書き起こしおわり>

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