町山智浩 著書『ゾンビ化するアメリカ』を語る

町山智浩 著書『ゾンビ化するアメリカ』を語る こねくと

町山智浩さんが2023年11月14日放送のTBSラジオ『こねくと』の中で著書『ゾンビ化するアメリカ』について話していました。

(石山蓮華)昨日、配信されたDOMMUNEでのイベント映画『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』の……。

(でか美ちゃん)公開記念番組でね、町山さんとご一緒させていただきまして。ありがとうございました。

(町山智浩)どうも、お疲れ様でした。

(でか美ちゃん)ありがとうございました。アーカイブがYouTubeにあるみたいなので。映画もね、今週金曜公開なんで、見ていただいて。それで配信番組を見てもらえたらと思うんですけど。やっぱり今日の町山さんのスタイルの方がほっとする!

(町山智浩)えっ、なんで?(笑)。

(石山蓮華)なんかしのDOMMUNEの時の方が町山さん……。

(でか美ちゃん)ジャケットを着られていて(笑)。

(町山智浩)仕事だから……ああ、これも仕事か(笑)。

(石山蓮華)ちょっと!(笑)。町山さん、こっちも一応仕事ですよ? すいませんね。夜、遅くに(笑)。

(町山智浩)寝る体勢で出てるんで。すいません(笑)。

(でか美ちゃん)お互い、ちょっとパリッとした格好で、なんとなく恥ずかしい感じだったんですけど(笑)。

(町山智浩)いつも、このまま寝ちゃうんで(笑)。すいません。こっち、もう夜11時ですね。

(石山蓮華)夜からありがとうございます。大きな画面でドンと見れられてよかったです。

DOMMUNE『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』特番

(石山蓮華)そして町山さんの新しい本、新刊が発売されたそうで。おめでとうございます。

(町山智浩)そうなんです。週刊文春でずっと連載している「言霊USA」というのがあります。もう10年以上連載してるか。それを毎年ね、単行本にしてもらってるんですけれども。それが今回、新しい単行本が出まして。『ゾンビ化するアメリカ』というタイトルでですね、昨日発売ですね。1650円なんですけれども。これをラジオを聞きの皆さん、5名様にプレゼントします。

(石山蓮華)ありがとうございます。私もちょっと先に少し拝読したんですが。

(でか美ちゃん)ありがとうございます。読ませていただきました。

(石山蓮華)今、アメリカで起こっているいろいろなその背景を知ることで、町山さんのお話がよりわかりやすくなるなと思って。なので、『こねくと』のこのコーナーの副読本的にもぜひ読んでみていただきたいなと思いました。

(町山智浩)ありがとうございます。タイトルのね、『ゾンビ化するアメリカ』っていうのは、来年、アメリカは大統領選挙なんですね。ところがなんと、今回ですね、バイデン大統領とドナルド・トランプの対決になりそうなんですよ。もうちょっと、アメリカは全然、一歩も前に進む気配がないというね。もう、ちょっとゾンビ状態っていう。

(石山蓮華)バイデンさん、結構年齢が……。

(町山智浩)それもあるんですけど、アメリカってずっと「進歩の国」だったじゃないですか。それがものすごい停滞感がある状況に現在、なっていて。特に大きいのが、連邦最高裁が次々と歴史を逆行させるような判決を出していまして。女性の権利とか、同性愛の権利とか、あと黒人とかラティーノとか、そういったマイノリティの権利を潰すような判決を次々と出してる状態で。歴史に戻しをかけちゃってるんで。その原因とかもね、ちゃんと書いてますんで。最高裁最高裁の判事にクラレンス・トーマスさんという黒人の判事がいて。その人がそういう時代に逆行する……つまり、黒人の権利を奪ったりするような判決を次々と出してるんですけど。黒人の人がですよ?

(でか美ちゃん)ねえ。同じ仲間のはずなのに……というかね。

最高裁判事 クラレンス・トーマス

(町山智浩)そうなんです。自分の権利を守るものなのに、その権利を剥奪する方向の判決をクラレンス・トーマスさん、出しているんですけど。これがどうしてなのか?っていうことは日本で全然論じられてないんですよ。はっきり言って、誰も論じてないんです。で、実はこのクラレンス・トーマスさんって人はアメリカにたった5000人しかいないガラ語というアフリカ語源の言葉をしゃべる少数民族なんですよ。で、アメリカには黒人の人たちが入って、奴隷として生活していて、英語を覚えさせられたんですけれども。

彼らは全く独自のコミュニティを作っていて、アフリカの言葉を使っていたんですよ。で、その人たちの子孫なんで。現在、わずか5000人しかいないわけですけれども。黒人の、アフリカ系アメリカ人の間でも差別されて育った人なんですよね。ネイティブの言葉が英語じゃなかったんです。で、その複雑なその差別の三重構造ぐらいのところから「じゃあ、黒人差別を撤回しようとしているアメリカの政治をひっくり返してやれ」っていう判決を下してるんですよ。その人が。こんな複雑な状況、たぶん日本で誰も紹介してないと思いますよ。

(でか美ちゃん)そうですね。でも、なんかアメリカほどイメージで語られてる国もないんだなと思いました。特に日本で。実際にアメリカにいる方……町山さんの解説を見て、なんかいいイメージも悪いイメージもすごいたくさんあった国なんだなというか。「自由でいいよね」っていうイメージもあれば、「差別がすごい根深くて」とか。アメリカという国はもっと複雑だったんだなって。

(町山智浩)そうですね。たとえばもうモルモン教の人たちの取材もしてるんですけど。モルモン教っていうと、すごく厳しくて。コーヒーも飲めないとか、お酒も飲めないとか。でも一夫多妻で、とか言われてるんですけど。それも現在、全然違う状況になってるんで。これもちゃんと現場で取材してますんで。たとえば、モルモン教って今、同性婚を認めているんですよ。

(石山蓮華)そうなんですね。

(町山智浩)その、モルモン教徒はしちゃいけないんだけども、同性婚をする人自体は攻撃しないという。それ自体は許すっていう立場を取っていたりして。すごく変わってるところと、変わってないところもあるんで。そのへんも全部、現場で取材してますんで。ぜひ読んでいただけたらと思います。『ゾンビ化するアメリカ』、現在発売中です。

<書き起こしおわり>

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