町山智浩『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』を語る

町山智浩『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』を語る たまむすび

町山智浩さんが2020年4月7日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中でNetflixの『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』を紹介していました。

(赤江珠緒)そんな中、今日は……。

(町山智浩)そんな中、外に出れない。映画館にも行けないということで、みんなめちゃくちゃ熱中してるNetflixのシリーズがあるんです。これが今、一番アメリカで大ヒット。でも、ドキュメンタリーなんですよ。

(赤江珠緒)ドキュメンタリーが大ヒット?

(町山智浩)シリーズなんですけども。1時間ずつ7話ぐらいのシリーズなんですね。それでこれ、日本でも見れます。タイトルは『タイガーキング(Tiger King)』っていうんですよ。『ライオン・キング』みたいなんですけども。でも、そういうディズニーっぽいほのぼのとした内容じゃないんですね。これ、日本語タイトルは『タイガーキング:ブリーダーは虎より強者?!』っていうタイトルがついているんですけども。これね、虎のブリーダーの話です。

(赤江珠緒)はー! 虎のブリーダーっているんですね?

(町山智浩)僕もびっくりした。自分の持ってるその私設動物園で70頭年以上の虎やライオンを飼っていて、繁殖させているんですよ。

(赤江珠緒)思ったよりも数が多い。ええっ?

(町山智浩)そう。で、それをどんどん、その虎の赤ちゃんとかをアメリカ中に売っているんですよ。この人はね、ジョー・エキゾチックっていう名前の人で、僕と同じ58歳なんですけども。ちょっと写真を見てもらえます?

(赤江珠緒)なかなかぶっ飛んでいる感じが……(笑)。

主人公:ジョー・エキゾチック

(町山智浩)でしょう? もうキンキラキンな人なんですけども。この人、なんでこのドキュメンタリーの主役かというと、この人はある女性を殺害しようとして殺し屋を雇って、22年の刑を食らって今、刑務所にいて……っていう。

(赤江珠緒)ええっ?

(山里亮太)服役中?

(町山智浩)今、服役中です。そのこの人をずっと追ったドキュメンタリーなんですね。で、この人はこのファッション……いかにもなんかキラキラで美しいんですけども。このジョー・エキゾチックさんは13歳の時に自分がゲイだと気が付いて、自殺をしようとして自動車に乗ったまま橋からま飛び出してですね。それで背骨を折ったらしいんですよ。それでリハビリしてる最中に動物の飼育係になっていって。それで動物って人を差別しないじゃないですか。「ゲイだ!」とか。ねえ。だからその動物の優しさに目覚めていくという、この人の少年時代が描かれていくんですね。それで……そうそう。志村けんさんが亡くなってね。志村さんも動物が非常に好きでね。

(赤江珠緒)そうですよ。『志村どうぶつ園』もね、追悼番組を見ましたけども。みんな、見ていましたね。今回ね。

(町山智浩)だから日本ではみんな『志村どうぶつ園』を見ていて。アメリカではみんな、この『タイガーキング』を見ているんですよ。

(赤江珠緒)ええっ、これを?

日本『志村どうぶつ園』・アメリカ:『タイガーキング』

(町山智浩)だから非常に似たものはあるんですよ(笑)。あのね、これドキュメンタリーなんですけど、コメディです。もう死ぬほど笑えます、これ。すごい内容なんですけど。あのね、まずこの人、自分が傷付いたからその動物をかわいがりはじめて動物園を始めたんで。その自分みたいに傷付いた人たちを集めていくんですよ。

(山里亮太)ああ、その動物園に?

(町山智浩)たとえばこの人のそのマネージャーで用心棒をやってるジョンさんっていう人がいて。ジョン・レインキっていう人で。その人は両足がない人なんですよ。で、もう1人、サーフっていう女性が出てきて。飼育係なんですけども。この人は女性として生まれて、そのその後に男性になったトランスジェンダーの人なんですね。

(赤江珠緒)ああ、はい。

(町山智浩)そういった、その彼自身が世の中で生きづらかったりする人たちを集めて、動物の飼育を手伝わせて、それでまえみんなで一緒に生活していくっていう一緒のコミューンみたいなものを作っていくんですよ。ただね、このドキュメンタリーがすごいのは、あらゆるとんでもない瞬間が全部生の映像で出てくるんですよね。で、このサーフっていう人がライオンに噛み付かれるシーンがあるんですよ。シーンっていうか、実際に本当に噛み付かれちゃうんですよ。事故で。それで手首を全部食われちゃうんですよ。

(赤江珠緒)ええっ!?

(町山智浩)そう。映っているの。それが。もちろんモザイクは入っています。ただ、それが完全に現場なの。食われた現場が映っていて。もう手首がなくなっちゃうんですけども。その決定的瞬間が全部、映っているんですよ。

(赤江珠緒)いやいや、『志村どうぶつ園』にはそんなのないから……(笑)。

(町山智浩)ああ、そんなことないか(笑)。ただ、そのサーフっていう人はそうやって手首がなくなっても、すぐに復帰して。そのジョンさんのもとで動物の飼育をするんですよ。そのぐらい慕われているんですよ。

(赤江珠緒)へー!

(町山智浩)でね、そのタイガーキングのジョンさんは結婚しているんですね。結婚しているんですけど、結婚相手が2人いるんですよ。同時に暮らしているんです。で、2人とも夫なんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?

(町山智浩)あのね、この人はゲイだから結婚相手も夫なんですね。で、1人目の夫はジョンさんという、さっきのジョンさんとは別の人で。この人は写真がそっちにあるんですけども。すごいマッチョな全身入れ墨の人なんですよ。

1人目の夫:ジョン・フィンリー

(赤江珠緒)ああ、本当ですね。なかなかの……。

(町山智浩)この人、すごいのはですね、ちんこのところに入れ墨をしているんですけども。そこにですね、「これはジョーのもの(Privately Owned: Joe Exotic)」っていう入れ墨が入っていたんですよ。

(赤江珠緒)フフフ……(笑)。

(町山智浩)これが旦那さんですよ。

(赤江珠緒)嘘でしょう?(笑)。

(町山智浩)それで、もう1人の旦那さんはもっと若いおとなしい美青年でトラヴィスっていう人なんですけども。2人の旦那さんがいて、3人で結婚式も同時にするんですよ。

(赤江珠緒)えっ、3人で? じゃあちゃんとこの三角関係は成立しているんですね?

(町山智浩)成立しているんです。仲良く暮らしているんですよ。ただ、このジョンという入れ墨だらけの人、歯が全然ないんですけども。この人、シャブ中なんですよ。

(赤江珠緒)いやいや、そうでしょう? 全く歯がないの、気になったもんな。

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