松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中でマリ・ミュージック『Gonna Be Alright』を紹介していました。
(松尾潔)今週もレギュラープログラム、メロウな風まかせ。初夏の風まかせという気分でお楽しみいただければと思います。もう季節的には、まだ「春」と言っても差し支えがない時期ではあるんですけども、気持ちだけは初夏の風まかせとまいりましょう。いま、バックで流れておりますのはマリ・ミュージックの『Beautiful』という曲です。
Mali Music『Beautiful』
ちょっとね、マリ・ミュージックという人の音楽性は独特の形をしております。「美しい、いびつな形」と言えばいいのかな? まさにこの『Beautiful』という曲なんていうのはその最たるものなんですが。コンスタントに作品をリリースしていまして、特にR&Bファンを強く自認する人の間ではマリ・ミュージック、評判の高い人なんですけども。この番組では『Beautiful』以降、ちょっと「オンエアーにふさわしいかな? どうかな?」なんて言っているうちに話題は遠ざかっていたような気はします。この2年ぐらいはちょっとマリ・ミュージックの話をしていなかった感じなんですけども、3月にリリースされました新曲。これがね、久々に僕にとっては『メロウな夜』にぴったりかなという風に、気持ちにフィットいたしました。ご紹介したいと思います。マリ・ミュージックで『Gonna Be Alright』。
Mali Music『Gonna Be Alright』
お届けしたのはマリ・ミュージックで『Gonna Be Alright』。曲の冒頭から「おっ!」っと掴まれますね。このR&Bというジャンルが好きな人にはたまらない入り口でした。テイク・6の『Spread Love』という、まあこの世界ではスタンダード化していると言っても差し支えのないテイク・6の出世曲がございますが。その『Spread Love』の一節をど頭に持ってきて不意をつきます。そこからはもうマリ・ミュージックの……まあ、時にジョン・レジェンドと比較されることもある、素朴なようでいて実は非常にテクニカルでもあるというマリ・ミュージックのボーカルを堪能できました。
ジョン・レジェンドの名前、いま出しました。まあ、ジョン・レジェンドはずいぶんと遠いところに行ってしまったなという気がいたします。ここ数年、たとえば映画との絡みだけで考えても、昨今ね、アリアナ・グランデとの『美女と野獣』のデュエットが話題になっています。その前は『ラ・ラ・ランド』に重要な役どころで出ていました。そして、その前には『Selma(グローリー/明日への行進)』という映画の主題歌を歌ってオスカーを獲得もしているという。いま、マリ・ミュージックの紹介なのにジョン・レジェンドの話をしています。
マリ・ミュージックはそういったいわゆる受賞歴とかそういうところで言うと、まだここで語るような目立ったものはないのですが、それでもね、マリ・ミュージックに注目している人はやっぱりいるよなと気づかせてくれたのが、先ごろ出版されました『新R&B教本』。2010年代のR&Bをまとめたディスクガイドが出たんですけども。この中でマリ・ミュージックが何回も何回も出てくるんですね。で、それはこの番組にゲストにお越し頂いたこともあります。林剛さんがだいたい書いてらっしゃいますね(笑)。
林さん、荘治虫さん、末崎裕之さん。このお三方で『新R&B教本』という本を最近お出しになって。僕もちょっとその中で林さんとか末崎さんにインタビューをされて。そのインタビューの模様が掲載されている本なんですが。この本はね、ちょうど2010年代に入ってから……タイトルにあるように2010年代のR&Bをまとめて取り上げた本なので、この『メロウな夜』が始まったのが2010年なので。全くタイミング的に一致するんですよね。ですから、僕もディスクガイドをパラパラと読みながら、この番組が始まった頃、この番組の3年目はあんな感じだったななんてことを思い出しているんですが。
新R&B教本 2010sベスト・アルバム・ランキング
その中で取り上げられているマリ・ミュージックの『Mali Is…』というメジャーの最初の作品。これは2014年度の年間22位という風にこの本には記されています。話しているうちにまた林さんと話したくなったので、この番組に再びお越しいただきたいという風に思っております。
<書き起こしおわり>