Base Ball Bearの小出祐介さんがTBSラジオ『タマフル』に出演。最新アルバム『光源』について宇多丸さんと話していました。
(宇多丸)さあ、ということでここで今夜のゲストに一足早くご登場いただきます。今週水曜日、7枚目のアルバム『光源』をリリースしたばかりのバンドBase Ball Bearのボーカル&ギター、俺たちの小出祐介さんです!
(小出祐介)どうもこんばんは。お願いします。
(宇多丸)こいちゃん、久しぶりです。
(小出祐介)ご無沙汰してます。
(宇多丸)この番組、久しぶりじゃないですか?
(小出祐介)ですね。宇多さんも今年会ってないですよ。
(宇多丸)ああ、そうですね。
(小出祐介)明けましておめでとうございます(笑)。
(宇多丸)(笑)。ねえ。ずいぶん久しぶりです。すいません。ちょっと後ほどね、特集でね。よりによって。
(小出祐介)よりによって特集で(笑)。
(宇多丸)このチョイスか?っていう特集(『I’s』特集)でしたけどもね。まあ、特集コーナーは後にやるんですけど、大事な音楽家としての話を済ませておこうということで。アルバム完成、おめでとうございます。
(小出祐介)ありがとうございます。
(宇多丸)今回ね。そうだ。今回はほら、あーた。Base Ball Bear、大変なことがあった後じゃないですか。いろいろとあった……。
(小出祐介)そうですね。4人から3人になりまして。
大変だったBase Ball Bear
(宇多丸)その3人になった時の、まさにその事件が起こった……湯浅くんがね、抜けるということになったその日ね、放送には出ていないけど、こいちゃんが来てね。その後に飲んだっていうね(笑)。「あの野郎!」って(笑)。
(小出祐介)(笑)
(宇多丸)「あの野郎!」っていう話で盛り上がったっていうのがありますけどもね。でも、よかったよかった。で、5月14日に開催される都市型野外フェス。私ども、RHYMESTER主催のフェス『人間交差点2017』。今年、ついにBase Ball Bearが。
(小出祐介)そうなんですよね。
(宇多丸)毎年オファーしていたんですけど、なかなか合わなくてね。
(小出祐介)そうなんですよ。スケジュールが。ありがとうございます。今年。楽しみにしています。
(宇多丸)あと、まずそうだ。アルバム『光源』。どうですかね。僕、ようやく聞けて。毎回言っていますけど、いい!
(小出祐介)ありがとうございます。最高です。
(宇多丸)めちゃめちゃよかったです。『光源』っていいっすよね。タイトル。
(小出祐介)ありがとうございます。
(宇多丸)ちょっとこの話も詳しくしていると1時間ぐらいたっちゃうんだけさ。ほら。「青春」っていうBase Ball Bearのもともとあった一大テーマみたいなのが、『光源』ってついてさ。で、アルバムの並びで1曲目で『すべては君のせいで』があって。で、最後の『Darling』っていう曲でさ。全部振り返ると、青春という光源をいまのこっちの視点から振り返った……光源ってそういうことか!っていうことじゃないですか。
(小出祐介)そうですね。
(宇多丸)だからすごいさ、甘酸っぱいようなことを歌っているようで、やっぱりすごい苦いぞ!っていうか。そんな感じも含めた。
(小出祐介)そうですね。青春こそ僕の泥水ですからね。
(宇多丸)まあ、ね。しかもさ、その泥水描写がきっちりさ、『すべては君のせいで』で入っているもんね。
Base Ball Bear『すべては君のせいで』
(小出祐介)そうなんですよ。
(宇多丸)結構泥水なところから始まるじゃないですか。描写が。
(小出祐介)なんかね、いままでそういう自分ではあるんだけど、歌えなかったんですよ。
(宇多丸)いや、そりゃそうでしょう。やっぱ本当の……本当にキツいことはなかなかね。
(小出祐介)そう。でもそれがなんか、30をすぎて、やっとそれが昔のことだと思えてきたというか。
(宇多丸)だから光源ぐらいの距離感だよね。やっぱね。それぐらい取れているからっていうのもあるかもしれないけどね。いや、でもね、すごくよかったのは、この間の『C2』ぐらいからそうだけど、リズム隊が超いいって言ったじゃないですか。『C2』の時に。で、それが、音構成がシンプルになった分、普通にギターロックなんだけど、グルーヴィー度が増しているっていうか。俺、ソウルフルなアルバムだと思った。これ、今回音楽的には。
(小出祐介)ああ、なんかそうかもしれないっすね。
(宇多丸)すごいソウルのアルバムを聞いているような演奏感っていうか。
(小出祐介)メロウな曲もあるしね。
(宇多丸)そうそう。『寛解』。これとかすげー、これだってスウィートソウルというか、そういうトラックとも言えるし。ロックなんだけど、ファンキーでグルーヴィーでっていうところがきっちりちゃんと血として入っている感じがめちゃめちゃ。曲も最高でございました。
(小出祐介)ありがとうございます。
(宇多丸)『光源』の曲、後ほどちょっと、私チョイスで1曲、11時台にかけさせていただきたいと思いますが。まあ『人間交差点』も出ていただくということで。これがまたね、残念ながらいろんな人とのコラボ曲、あるじゃないですか。で、Base Ball Bearとのコラボ曲もあるじゃないですか。
(小出祐介)ありますね。
(宇多丸)で、RHYMESTERのフェスであれをコラボでやる。これは当然みんな予想するあたりじゃないですか。ただ、僕がちょっと風の噂で小耳に挟んだのは、こいちゃんが僕らのラップのパートを全部1人でやったというバージョンで……。
(小出祐介)そうなんです。この間、そう。ツアーでちょっとやって。
(宇多丸)実はね、音源でもちらりとね。とある方法でちょっと聞かせてもらったら、あなた、ラップ上手いですよ。
(小出祐介)ああ、本当ですか?
(宇多丸)しかも2人分やる。しかもサビも歌うんだから。これ、めちゃめちゃ大変じゃないですか。
(小出祐介)結構苦しいですね。
(宇多丸)っていうか練習、すっごいした? あれ、ひょっとして。
(小出祐介)いや、そんなしてないっすね。
(宇多丸)ああ、本当? 入っていた?
(小出祐介)入っていました。曲自体は。
(宇多丸)いや、でもあれはさ、すごい感心しちゃって。「なんならこれでいいんじゃねえか?」っていう(笑)。
(小出祐介)(笑)。いやいやいや、せっかくなんだからやらせてくださいよ。本人いるんだから。
(宇多丸)俺たち出てきて。で、「やるか?」って思ったら、こいちゃんがいきなり……(笑)。
(小出祐介)(笑)。ああ、それでもいいけどね。
(宇多丸)俺らがこうやってやったら、「ええっ?」って。横を見たらこいちゃんがやるっていう(笑)。
(小出祐介)ああー、それもいいけど、演出が×しちゃっているからね、いまね(笑)。
(宇多丸)(笑)。「2番! ようやくやるか?……やらなーい!」っていうね(笑)。それもいいかな? ぐらいのクオリティーでしたね。
(小出祐介)じゃあ、JINさんだけ擦ってもらって(笑)。
(宇多丸)ねえ。しかも『The Cut』はまさかアイドルにカバーされる時代が……リリカルネッサンスさん。
(小出祐介)そうなんですよ。
(宇多丸)っていうのもあったりとか。いろんなバージョンが出てきちゃった。ここに来て。
(小出祐介)そうそうそう。だからまあ、ここでいよいよ本家をやりたいなと思っているところではありますよ。
(宇多丸)オリジナル、やりますか。じゃあね。こちらの曲を『人間交差点』ではやりたいということで。まずはこちら、こいちゃんから曲紹介をいただきつつ11時台にまたお会いしましょう。お願いいたします。
(小出祐介)はい。Base Ball Bearで『The Cut Feat. RHYMESTER』。
Base Ball Bear『The Cut feat. RHYMESTER』
(宇多丸)はい。Base Ball Bear feat. RHYMESTER『The Cut』をお聞き頂いております。小出祐介くんには後ほど、11時台にまた登場していただいて特集を担当していただきたいと思っております。
(中略)
(宇多丸)『光源』、先ほどのオープニングトークでも話していただきましたが。まあ素晴らしいアルバムで。非常にタイトにまとまった、全8曲。まあ最近のアルバムね、タイトな方が流行りっていうのもあるけど。やっぱり選びぬいた8曲だけあって、まあどれも素晴らしいですしね。
(小出祐介)ありがとうございます。
(宇多丸)そして特にリズム隊の足腰が強まった『C2』以降というか、最近のベボベのいいところがさらにシンプルかつタイトにまとまり。ギターロックなんだけどちゃんとソウルフルかつグルーヴィー。僕は本当にソウルフルなアルバムっていう。音楽的には。めちゃめちゃそういう風に感じております。
(小出祐介)ありがとうございます。
(宇多丸)最高です。あと、曲の並びとかも聞き終わると、その1個1個はたとえばキラキラしていたり甘酸っぱい風景なんだけど、最終的に『Darling』っていう最後の曲から振り返ってアルバムを見ると、「ああ、それは結構泥を飲んできたな。泥だな……」っていう(笑)。
(小出祐介)泥感、あります(笑)。
(宇多丸)泥感。みたいな感じで構成も見事でございます。
(小出祐介)ありがとうございます。
(宇多丸)「ありがとうございます」しか言ってないじゃん。
(小出祐介)いや、だって感想に対して、もう受け手だから。「ありがとうございます」しか言えないですよ。
(宇多丸)そうか。ということで、1曲。このニューアルバム『光源』から私のチョイスで選ばせていただきたいんですけど。『逆バタフライ・エフェクト』という曲があって、ここでこいちゃんが歌っていることが、『ラ・ラ・ランド』評の中で『ラ・ラ・ランド』のラストの解釈みたいなところで、僕が自分の『映画カウンセリング』っていう本で「過去を変えたい」っていう人生相談に対して僕なりの考えを述べて。で、『ラ・ラ・ランド』評でもそれを引用したりしたんだけど。
(小出祐介)うん。
(宇多丸)結構それに考え方が近いなっていう風に思ったりなんかして。中身もすごい面白いことを言うなっていうのがあって。それをこういう風に表現……ねえ。花束と色を使った表現、上手いね! 歌詞として上手いね!
(小出祐介)ありがとうございます(笑)。
(宇多丸)(笑)
(小出祐介)いや、それしか言いようがないよ!
(宇多丸)あと、最後。歌詞の繰り返しで。「決められたパラレルワールドへ 決められた並行世界へ」でもう1回繰り返すところで。あの感じとか、いいね!
(小出祐介)ありがとうございます(笑)。
(宇多丸)いや、完璧だと思います。この曲、マジで。とにかく素晴らしい。じゃあ、これ。私のチョイスで。Base Ball Bearで『逆バタフライ・エフェクト』。
Base Ball Bear『逆バタフライ・エフェクト』
(宇多丸)Base Ball Bearで『逆バタフライ・エフェクト』をお聞きいただいております。
<書き起こしおわり>