町山智浩『ヒドゥン・フィギュアズ(邦題:ドリーム)』を語る

町山智浩と藤谷文子 『ヒドゥン・フィギュアズ』を語る たまむすび

町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』の中で、NASAの宇宙計画に参加した黒人女性たちを描いた映画『ヒドゥン・フィギュアズ』を紹介していました。(※邦題は『ドリーム』と決定しましたが、放送時点では不明だったため『ヒドゥン・フィギュアズ』でお話をされています)

ドリーム (字幕版)

(海保知里)ということで、今週もお願いしたいと思うんですけども。今日は?

(町山智浩)今週はちょっとね、頭のいい話をします。日本公開はまだ決まっていない……もういつまでたっても決まらないから。ずっと待っていたんですけども待ちきれないから紹介する映画です。原題しかまだなくて、日本語タイトルが決まっていないんですが。原題は『ヒドゥン・フィギュアズ(Hidden Figures)』っていうタイトルなんですよ。

(海保知里)ええ、ええ。

(町山智浩)これ、日本の人にはわかりにくいと思うんですけど。「Hidden」っていうのは「隠れた・隠された」。「Figures」っていうのは「人・人影・人物」っていう意味なんですけども。これは「隠された人たち」っていうタイトルの映画なんですね。

(山里亮太)はい。

(町山智浩)まあ、「知られざる人たち」ですね。上手く訳すと。これがね、日本公開は決まっていないんですが、アメリカではですね、あの『ラ・ラ・ランド』よりも稼いでいるんですよ。

(海保知里)ええっ? 大ヒット?

『ラ・ラ・ランド』を超える大ヒット映画

(町山智浩)そうなんですよ。『ラ・ラ・ランド』がアメリカ国内で150ミリオン(1.5億)ドル稼いでいるんですが。この『ヒドゥン・フィギュアズ』の方はそれを超える168ミリオン(1.68億)ドル、稼いでいるんですね。

(山里亮太)はー!

(町山智浩)まあ大ヒット映画なんですが、日本で公開がなかなか決まらない理由っていうのはひとつあってですね。日本で知られているスターがそんなに出ていないんですよ。それと、話がアメリカの1960年代の黒人女性たちの話なんですね。で、これ、1960年代にアメリカではじめて、人類を地球の軌道上にロケットで乗せようとする計画、マーキュリー計画というのを始めました。これはね、1回映画になっているんです。1983年に『ライトスタッフ』っていうタイトルで7人の宇宙飛行士を主人公にした話だったんですね。そっちは。

(山里亮太)うんうん。

(町山智浩)で、これはその裏に隠れて、その裏方をやっていた黒人女性たちの実際にあった話を映画化したのがこの『ヒドゥン・フィギュアズ』なんですよ。で、これはアメリカ人も黒人の人たちも知らなかったんです。最近まで、あまりよく。だからまさに、知られざる人たちの話なんですね。はい。で、これは実在の3人の黒人女性が主人公なんですが。この人たちの仕事はね、「コンピューター」なんですよ。

(山里亮太)コンピューター?

(町山智浩)はい。コンピューターっていうのは、もともと人間のことを指したんです。

(海保知里)えっ? そ、そうなんですか?

(町山智浩)そうなんです。コンピューターっていうのは昔からあって。それこそ、19世紀からあるらしいんですよ。物理学とか天文学の研究をする時に、そのデータの計算とかデータ管理をするのに人を雇っていて。その人たちを「コンピュート(Compute・計算)する人」という意味で「コンピューター」って呼んでいたんですね。

(山里亮太)へー! ああ、計算する人たちがコンピューターだったんだ。

(町山智浩)そう。そっちが先らしいんですよ。で、この話はマーキュリー計画だからNASA。アメリカの航空宇宙局が舞台なんですけども。そこは、その前にアメリカの航空局みたいな別の名前で。宇宙じゃなかったんですけども、その頃からコンピューターの人たちをたくさん雇っていたんですよ。

(山里亮太)ふーん。

(町山智浩)計算がどうしても必要ですよね。航空宇宙学とか航空工学に関しては。ただ、ものすごく計算の量が多いから機械が必要なんですけど、その頃はコンピューター・マシーンっていう考え方がまだなかったんですよ。コンピューター・マシーンっていうのの概念ができるのは1940年代。戦争中なんですよ。だから、人間をたくさん雇って一斉に計算をさせていたんですよ。

(山里亮太)ほー!

(町山智浩)で、それがほとんど女性だったんですよ。だから、はっきり言うと女性の方が計算能力が高いっていうのと、もうひとつは女性をバカにしていたからなんですよ。

(海保知里)ええっ? そんな理由?

(町山智浩)計算機扱いしていたんですよ。で、コンピュータールームっていうのは当時あって。そのコンピュータールームっていうのは女性がズラッと並んでいるんですよ。で、研究所ではそこで女性たちに計算させて。で、彼女たちはまあ安い給料でこき使われていたんですね。

(山里亮太)ああ、悪い条件で。

(町山智浩)はい。で、まあその時にアメリカは戦争中からコンピューターの人たちが足りなくなったんで、黒人女性も雇うようにしたんですね。で、ただその頃、アメリカでは、特にNASAのあった場所は南部・バージニア州なんで。バージニア州や南部はどこもそうだったんですが、セグリゲーションって言って、人種隔離政策があったんですよ。

(山里亮太)うんうん。

(町山智浩)だから、同じ部屋に黒人と白人が一緒にいちゃいけなくて、トイレも別。水飲み場も別。バスの座席も別。図書館も別。学校も別。全部別だったんですね。だからそのコンピュータールームも白人女性のコンピューターの人たちと、黒人女性のコンピューターの人たちがいて。黒人女性のコンピューターの人たちは「カラード・コンピューター」って言われていたんですよ。

(山里亮太)うーん……。

(町山智浩)「有色コンピューター」って言われていたんですね。だからそういうひどい状況があって。ただ、他よりもマシだったのはその頃、黒人の女性の人たちが就職をする先っていうのは金持ちの家のメイドさんね。ウェイトレス。クリーニング屋さんとか、そういった仕事しかなかったんですよ。だから、ものすごく数学ができても、学校の先生になるぐらいしか仕事がなかったんです。

(山里亮太)なるほど。

(町山智浩)だから、そういう差別があっても、このNASAの方がまだマシなんですよ。だからもう、アメリカ中の優秀な数学能力のある黒人の女性たちがそこに集まっていたんですね。で、その時に、NASAっていうのはそれまではただの航空局だったのが航空宇宙局に発展したのは、1957年にソ連が人類初の人工衛星スプートニク1号を打ち上げたんですよ。

(山里亮太)はい。

ロシアのスプートニク1号の打ち上げでアメリカが大パニックに

(町山智浩)で、これは人が乗っていない人工衛星だったんですが、地球の周りを回ったんですね。これでアメリカが大パニックになるんですよ。

(海保知里)ああ、先を越されてしまったと。

(町山智浩)先を越されただけじゃない。ソ連はその頃、核兵器をすでに開発していたんです。だから、衛星高度から、宇宙からアメリカ本土を直撃される可能性が出てきたんですよ。ミサイルとかで。しかも、スパイ衛星……要するにカメラを積んでいて、撮られまくりで、どうしようもないんですね。だからこれはもうソ連に先を越されたんだけども、慌ててアメリカも宇宙開発をしなきゃならなくなったんですよ。それで、NASAが発足するんです。

(山里亮太)なるほど!

(町山智浩)で、その中でその前からNASAで働いていた3人の黒人女性がアメリカ人を衛星軌道上の乗っけるマーキュリー計画に雇われていくんですよ。で、中でも、タスクフォースっていういちばんロケットの計画の中心部に雇われる人は、キャサリン・ゴーブル・ジョンソンさんっていう人で。この人は14才で高校を卒業して、18才で大学を卒業した数学の天才だったんですけども。

(山里亮太)はー!

(町山智浩)すごいんですけども。ただ、やっぱり黒人女性っていうことで、仕事が学校の先生しかなかったんですよ。

(山里亮太)優秀でも。

(町山智浩)でも、「優秀な人だったら誰でもいいから」っていうことで雇い入れたんで、その本部に入るんですね。マーキュリー計画の。ところが、そこは黒人どころか女性もいないんですよ。その本部は。全部白人男性だけ。

(山里亮太)うわー、大変そうだな……。

(町山智浩)大変そうなんですよ。だからまず入ってくると、いきなり「ゴミ捨てのおばさんね。このゴミ、あずけるよ」ってお掃除のおばさんだと思われたり。もう、ちゃんとした仕事も任されないで、検算しか任されなかったり。

(海保知里)やりきれないね……。

(町山智浩)そうなんですよ。もう徹底的な差別で。話もしてくれないし。しかも、そのコーヒーのポットすら、黒人・白人が別々なんですよ。で、もう徹底的にいじめにあうんですね。で、このロケット工学をやるような人たちだからものすごくインテリで頭がいいわけですけども……でもやっぱり、当時1960年代の人たちはやっぱり差別意識がすごく強いんですね。

(山里亮太)うんうんうん。

(町山智浩)特に、黒人だからというよりもね、女性だから気にくわないみたいな感じになっているんですよ。だからこう、ちゃんとした会議に参加させないんで。それで、「なんで私に参加させてくれないんですか? これは大事なロケットの軌道計算でしょう?」って言うんですけども、「女を会議に入れるなんて聞いたことがないね」って言われるんですよ。

(山里亮太)うわー……。

(町山智浩)で、その中で彼女、キャサリンさんという人は徹底的に戦うんですね。とにかくもう、だれよりもちゃんとした計算をして、それをレポートにして提出するっていうのを繰り返すんですよ。ところがもう、そのレポートを渡された途端に、こう見て、「うん。あんたはコンピューターなんだ。計算機なんだから、レポートなんか出すな!」って言われてバーン! とゴミ箱に捨てられちゃうんですよ。レポートを。

(海保知里)ひどい……。

(町山智浩)もう、それがずーっと続くんで、見ているとかなり辛い映画なんですけど。で、いちばんひどく辛いのはね、トイレがないんですよ。

(海保知里)ああ、もう作られてないっていうこと? 女性用の。

(町山智浩)そう。その頃ね、黒人女性のコンピュータールームっていうのはものすごく外れの、NASAの中の地下室に押し込められていたんですね。その頃ね、黒人女性を雇うっていうことでも反発があったらしいんで、隠しちゃった感じなんですよ。実際。で、そこに行かないとトイレがないんですよ。だからキャロルさんは本部に黒人女性用のトイレがないから……NASAって広いんですけども、そこを片道15分とか歩いてトイレまで行って、帰ってこないとならないんですよ。

(海保知里)ええーっ……。

(町山智浩)で、もう大変な事態になっていくんですけども。それはまあ、キャサリンさんの戦いでね。あと、他にも黒人女性のコンピュータールームのリーダーの人もいるんですね。その人はドロシー・ヴォーンさんっていう人なんですけども。この人が直面する問題っていうのはIBMがコンピューターの開発をし始めちゃうんですよ。要するに、機械のコンピューターね。

(山里亮太)はいはいはい。

(町山智浩)その頃は機械のコンピューターのことは「コンピューターマシーン」とか「コンピューターシステム」と呼んで、人間のコンピューターとは言いわけているのが面白いんですけど。で、もしそれが完成したら、彼女たちは仕事がなくなっちゃうんですよ。じゃあ、どうしたらいいと思います?

(山里亮太)えっ? コンピューターに勝たなきゃいけない?

(町山智浩)ねえ。コンピュータープログラマーになればいいんですよ。

(山里亮太)ああ、そのコンピューターを使う人になればいいんだ。

(町山智浩)そう。で、はじめてのコンピューターが導入されるっていう時にも、一足先にコンピューターを勉強しようとして図書館に行ってコンピューターの本を借りようとするんですね。で、コンピューターの本とかそういうのって、その頃はものすごい学術書だから、めちゃくちゃ高いから、買えないんですよ。だから、図書館にしかないんですね。専門書だからもともと部数も少ないし。ところがそれは、図書館も黒人コーナーと白人コーナーに分かれていて、黒人コーナーにはそういった数学とか工学の学術書は置いてないんですよ。

(海保知里)そうかー。

(町山智浩)で、しょうがないから白人コーナーで技術書を読んでいると、「ここは黒人の来るところじゃない!」って追い出されるんですよ。で、このドロシーさんという方はそこで戦うんですけど。もう1人、3人目がいてですね、3人目はメアリー・ジャクソンさんっていう人なんですね。この人はね、いままでの人たちは計算をしていたんですけど、この人は実地で宇宙ロケットの外側の外壁を設計する……実際にそれを作るエンジニアリングを目指すんですね。ところが、「それをやるには工学の学位を取っていなきゃいけない」って言われるんですよ。

(海保知里)はいはい。

(町山智浩)ところが、その必要とされる学位があるところが、黒人が入れない学校なんですよ。だから、この人は裁判を起こすんです。

(山里亮太)入れるようにするために?

(町山智浩)入れるようにするために。っていう話でね、これ、マーティン・ルーサー・キング牧師がずっとその間、黒人の人権とか黒人の参政権であるとか。あと、人種隔離政策に反対していろんな運動をしていたことはみなさん、ご存知なんですけども。それよりも一歩早く、彼女たちがNASAの現場で戦っていたことっていままで誰も知らなかったんですね。

(山里亮太)うんうん。知らなかったです。

(町山智浩)だからこれ、みんな結構びっくりしているんですよ。「こんな戦いがあったのか」と。でね、面白いのはこのメアリー・ジャクソンさんの旦那さんが出てくるんですけど。旦那さんはキング牧師と一緒に黒人の人権のために戦っているような人なんですよ。黒人でね。ところが、彼女が「エンジニアをやりたいんだ。大学に行きたいんだ」って言うと、子供もいるんですけど、「女がそんなことをやる必要はないよ」って言っちゃうんですよ。

(海保知里)ああー……。

(町山智浩)自分は黒人の人権のために戦っているのにね。ねえ。だからそういうところで、ものすごい二重の差別なんですよ。そこで戦っていくのがなかなかね……何度も壁が、もうそこら中にいろんな差別の壁があってですね。その壁に何度もブチ当たるんですけども、諦めないでその壁を壊し続けるんですよ。戦って、叩いて。ありとあらゆる戦いで。裁判に行ったり、プログラマーになろうとしたりね。っていう映画で、だからこれね、アメリカでものすごく当たったっていうのは、実はお父さんとかお母さんとか学校の先生が子供たちを連れて映画館に行ったんですよね。

(海保知里)へー!

大人が子供たちを連れて映画館へ行く

(町山智浩)特に、アメリカの中で非常に貧しい黒人の住んでいる地域であるとか、ラティーノ、メキシコ系の人とか、そういった人たちの子供たちがみんな、親とか先生に連れられて見に行ったんで、すごく動員が伸びたんですよ。だから、差別とかがあってもまず、勉強ができたら1つ、壁を乗り越えられると。で、また差別があるかもしれないけれども、それもまたこうやって戦って乗り越えられるんだ。実力でっていうのを実際の画で見せるっていうことだったんですね。

(山里亮太)うん。

(町山智浩)で、「黒人は学力が低いとかそんなことはないんだ。女の子は数学ができない。工学とかエンジニアリングはできないとか、そんなことはないんだよ! アメリカのロケットを実際に動かしたのはこの人たちなんだよ!」っていうことを実際に見せるということで、すごい動員が伸びたんですよ。

(海保知里)なんか希望を与えてくれますもんね。がんばろうって気にね。うん。

(町山智浩)そうなんですよ。この人ね、90いくつで、このジョンソンさんという人はいまも存命中で。この間、アカデミー賞で舞台に出て、この『ヒドゥン・フィギュアズ』のキャストの人たちに讃えられてましたけどね。

(海保知里)ああ、そうでしたか。へー!

(町山智浩)この人、すごいのはこの後もずっと働き続けて、アポロ計画で月に人類を送ったりとかですね、スペースシャトルの立ち上げにも参加しているすごい人なんですよ。

(山里亮太)へー!

(町山智浩)すごいんですよ。で、だんだんだんだん、こうやってがんばっていくと、だんだん「この人、すげえ!」ってことになっていくじゃないですか。で、あの……まあちょっといい話をしようとしたら、オチだから言わないですけども(笑)。

(山里亮太)ああーっ! ネタバレになっちゃう!

(町山智浩)この中でね、みんなバカにしていて。宇宙パイロットとかも黒人の女性がズラッと並んでいるから、「なんかNASAっていうのは、でっかいレストランでもあるの?」って言うんですよ。黒人女性っていうのはウェイトレスしかいないと思っているから。ところが、その宇宙飛行士のパイロットも、あとでだんだん彼女たちのすごさがわかってきて、すごくいいことをするんですよ。最初にバカにしていた人たちとか、彼女たちをなんとか追い出そうとしていた人たちも、だんだんだんだん彼女たちの実力を見て、だんだん負けていって尊敬していくところが本当に泣かせるんですよ。

(海保知里)ふーん!

(町山智浩)でね、この人たちの要するに「会議に入るな」とか「女性はこんなレポートを見ちゃいけないんだ」とか、そういうことを言う人たちがかならず言う言葉があって。「そういう前例はないんだ」って言うんですよ。

(海保知里)あらあらあら……。

(町山智浩)「黒人がここに来る前例はないんだ」「女性はここに入っちゃいけないっていうルールがあるんだ」って言うんですよ。かならず。彼らは。要するに、「私はあなたを差別していない。私は黒人に対して差別意識を持っていない。女性に対しても差別意識を持っていない」って言うんですよ。彼らは。ただ、「そういう決まりごとだから。みんなそうしているから」って言うんですよ。

(山里亮太)それは差別だけどね。

(町山智浩)ねえ。「私は悪くないんだ。私は全然そんな気持ちじゃないんだ」って言うんですよ。でも、これがいちばんズルいんですよ。それに対してちょっとね、だからまあオチっぽいんですけども言うとですね、こういう反応をするシーンがあるんですよ。「じゃあ、あなたがその前例を最初に破って歴史に名前を残しなさいよ!」って言うんですよ。「なんでそれをしないの?」っていうことですよね。

(山里亮太)「前例がない」って言うことは。

(町山智浩)そう。「前例がないんだ」って人のせいにして差別を正当化する人たちがいてね、すごく嫌なんですけど。まあでもね、この映画はもうひとついいところがあってですね。これ、音楽を全部ファレル・ウィリアムスが1人で全部書いているんですね。ファレル・ウィリアムスって『Happy』でめちゃくちゃ有名な人ですけども。

(山里亮太)うん。

(町山智浩)これね、全部1960年代のヒット曲に聞こえるんですけど、ファレル・ウィリアムスが全部1960年代風に作った、なんちゃって60年代ソウルなんですよ。なんちゃってモータウンなんですけど、それが実によくてですね。で、これ最後に流れる曲がいま流れているやつで。『I See a Victory(私には勝利が見える)』っていう歌が感動的なんですけども。

Kim Burrell, Pharrell Williams『I See a Victory』

(山里亮太)うん。

(町山智浩)これね、歌詞がすごくいいんですね。「笑うやつらには笑わせておこうよ。私たちを疑うやつらなんか気にするな。この戦いはかなり厳しい、山をよじ登っていくような戦いだけども、あなたが戦わないでいったい誰が他に戦うの?」っていう歌なんですよ。

(山里亮太)はー! アガるな、これは。

(町山智浩)だからこれね、非常に感動的でね。実はうちの娘も今度大学に行くんですけども。工学部に行くって決めましたね。

(山里亮太)えっ、これを見て?

(町山智浩)はい。「女もエンジニアリングをやるんだ!」って。

(山里亮太)へー! すごい!

(町山智浩)だからもうすごくね、アメリカ自体を動かしているんですよ。いま、この『ヒドゥン・フィギュアズ』っていう映画は。

(山里亮太)実話だしね。

(町山智浩)そうなんですよ。で、これがね、日本ではなかなか公開されないんですね(笑)。

(山里亮太)なんでなんだろう。『ラ・ラ・ランド』を超えているっていう時点でね。

(町山智浩)超えているのにね。まあ、非常に難しいところなんですよ。「女の人はこういった工学とか宇宙とかに興味がない」という風に映画会社も思っているのかもしれないですけどね。

(山里亮太)なるほどね。

(海保知里)ねえ。ちょっとそこをなんとか……。

(町山智浩)はい。してほしいということで、『ヒドゥン・フィギュアズ』。日本公開はまだ未定でした。

(山里亮太)ありがとうございます。

(海保知里)ありがとうございました。今日はアメリカで大ヒットしている映画『ヒドゥン・フィギュアズ』についてお話しいただきました。来週は町山さん、このコーナーをカンニング竹山さんも交えて賑やかにお送りしたいと思います。

(町山智浩)はい。

(海保知里)ということで、来週もよろしくお願いします。

(山里亮太)よろしくお願いします。

(町山智浩)どうもです!

<書き起こしおわり>

https://miyearnzzlabo.com/archives/42736

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