町山智浩 映画『さがす』を語る

町山智浩 映画『さがす』を語る たまむすび

町山智浩さんが2022年2月8日放送のTBSラジオ『たまむすび』の中で映画『さがす』を紹介していました。

(町山智浩)今日はですね、ちょっと『ドリームプラン』というアメリカ映画を紹介しようと思ったんですけども、日本映画ですごいのを見ちゃったんで、その話だけします。『さがす』っていう映画なんですよ。1月21日に公開されたんですけども。これがすごい映画で。佐藤二朗さんが扮する大阪の西成に住んでるちょっとダメなお父さんがいまして。無職の、まあ日雇いとかをやっているお父さんがいまして。そのお父さんが「指名手配中の連続殺人犯をたまたま見かけた」と娘に言うですね。このお父さんは娘と2人暮らしなんですけど。

(赤江珠緒)はい。

(町山智浩)で、娘ちゃんはですね伊東蒼ちゃんが演じてるんですが。それで、賞金が300万円だから……「お金がないから、この連続殺人犯を捕まえて賞金を得よう」って言って、そのまま佐藤二朗さんは行方不明になっちゃうんですよ。で、その通天閣の下でお父さんを探して伊東蒼さんが駆けずり回るというね。最初の方はね、本当に『じゃりン子チエ』探偵編っていう感じなんですよ。関西弁でね。ところが、だんだんすごい世界に入っていって。後半が。

(山里亮太)ええっ?

(町山智浩)もう全く予想のつかない展開になってくんですよ。で、しかも時間軸がプレッツェルみたいにねじくれて繋がっていて。まあ、すごい内容の映画になっているんですよ。

(赤江珠緒)面白い。ひらがなで『さがす』ってすごくシンプルなタイトルですけどね。

(町山智浩)お父ちゃんを探すんですけども。ちょっと最初のほのぼのした『じゃりン子チエ』的世界から、見ちゃいけないものとか、見たくないものの世界に入っていって。まあ、ちょっと心の準備してない人はダメージが大きすぎる映画なんですよ。

(山里亮太)なんか佐藤二朗さんっていつもふざけた感じの、コメディ的なイメージが強いですけども。

(赤江珠緒)1回、来ていただきましたよ。パートナーに。

(町山智浩)いや、これはすごいですよ。人の心の地獄に入っていく映画なんですよ。

(赤江珠緒)ええっ?

人の心の地獄に入っていく映画

(町山智浩)ものすごい内容です、これ。片山慎三監督の、なんと商業映画第一作なんですけどね。これは僕はね、今年……今年って入ってからまだ1ヶ月しか経ってないですが。とりあえず、暫定ベストワンですね。

(赤江珠緒)おおーっ! 来ましたね!

(町山智浩)はい。これ、僕ね、『ドライブ・マイ・カー』よりも好きですね。ただ、ものすごく毒が多い映画なんで。ものすごい心の準備していった方がいいと思います。

(赤江珠緒)心して見るようにという。

(山里亮太)見たい!

(赤江珠緒)これは気になるな。

(町山智浩)すさまじい映画です。今、公開中です。「ぜひご覧ください」って言えないような内容ですが。心の強い方だけ、ご覧ください。

(山里亮太)ちょっと一杯ひっかけてから行こうかな……。

(赤江珠緒)そうだね(笑)。ちょっと我々、そういうのは弱かったりするからね。

(町山智浩)だから、弱い人は見ない方がいいと思います。

(山里亮太)そんなにですか?

(町山智浩)はい。すさまじい作品です。『さがす』。ぜひじゃなくて、心の強い方だけご覧ください(笑)。

(山里亮太)佐藤二朗さん、よく朝の情報番組とかで映画の宣伝を時にものすごい力が入っていらっしゃる……「本当に見てほしいんだな」みたいな感じになってたから。

(町山智浩)すごいですよ、本当に。佐藤さんも、この女の子の演技もね。伊東蒼さんの演技もすごいんで。あんまり言うとネタバレになるので、言いませんが。これね、宣伝しにくい映画なんですよ。これ、後半の展開っていうかね、前半の3分の1を超えてからが全く予測のつかない展開になってくるんで。宣伝もできないんですよ、これはたぶん。だからものすごく宣伝会社、苦労してると思いますのでここでサポートしたいと思います。

(山里亮太)いやー、今のだけでも十分に見たくなりました。

映画『さがす』予告編

<書き起こしおわり>

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