吉田豪さんがTBSラジオ『たまむすび』に出演。板東英二さんをインタビューした際の模様について玉袋筋太郎さんらと話していました。
(安東弘樹)このコーナーでは豪さんがこれまでインタビューしてきた一筋縄では行かない有名人の様々なその筋の話を聞いていきます。今日、豪さんに紹介していただくのはタレントの板東英二さんです。ではまず、板東英二さんのあらすじとその筋をご紹介します。1940年、徳島県出身の板東英二さん。1958年の夏の甲子園に徳島商業のエースとして出場。この大会で打ち立てた奪三振83。これは現在も破られていません。
(玉袋筋太郎)すごい!
(安東弘樹)卒業後、中日ドラゴンズに入団して現役生活の通算成績は77勝65敗。引退後は野球解説だけはなく、タレントとして数多くのテレビ、ラジオ番組に出演し大活躍。しかし、2012年12月に個人事務所が名古屋国税局から申告漏れを指摘され、芸能活動を休止。現在は活動を再開して最近はB.E.(Boiled Egg・ゆで卵)名義でYouTuberとしても活動しているゆで卵大好き板東英二さんです。
(玉袋筋太郎)うん
(安東弘樹)そして、吉田豪さんの取材によるタレント板東英二さんのその筋は、その1。全部自分で! クイズの問題は自分で作っていたの筋。その2。野球解説やってちょっとモメて……の筋。その3。ビンゴゲームを広めた男の筋。その4。金妻出演。東京中が「いっちゃん、いっちゃん」の筋。その5。植毛・所得隠しの真相は? の筋。その6。時計が2本。知られざる高倉健さんとの交流の筋。その7。本で書いていないようないい話、山ほど持っているの筋。以上7本の筋です。
(玉袋筋太郎)ねえ。さっそく行きましょうよ。その1から。
(吉田豪)その1から行きましょう。
(安東弘樹)すごいですね。これ。
(吉田豪)ちなみにプロフィール部分1個訂正というか。「Boiled Eggは俺じゃない」って言い張ってますね。一応ね(笑)。
(玉袋筋太郎)昭和だなー!
(吉田豪)「違います!」っていう(笑)。
(玉袋筋太郎)守っているなー。偉い!
(吉田豪)マスクマンみたいですよね(笑)。
(玉袋筋太郎)かっこいいよ!
(安東弘樹)じゃあもしかしたら違うかな?
(玉袋筋太郎)全部自分でクイズの問題を作っていたっていう?
自らクイズを作る
(吉田豪)そうなんですよ。今回、クイズ総合誌『QUIZ JAPAN』の仕事で取材してきたんで、実は野球の現役時代の話は一切聞いてないんですよ。で、まずクイズの話から聞いたんですけど、クイズ番組の仕事を実は相当やっているんですよね。司会からなにから。で、なんでか? と思ったら、いちばん初めは野球の現役時代に。「いちばん初めは見栄っ張りなもんですから、『知っている』っていうことが世間にちょっと偉そうにできるんじゃないか? と思ったのと、プロ野球の監督以下、ベンチに座っている者の野球のルールブックの読んでなさがすごい。ルールブックを読んでおいたらちょっとは賢そうに見えるかな? と思って読み始めて。だって監督ですら試合でモメたりすると『ルールブック持ってこい!』って監督が言ってそれで抗議することを調べるような状態だった」と。
(玉袋筋太郎)うん。そうだね。
(吉田豪)っていうことで、そういう方向に行き。で、オフの時から実はクイズ番組をやっていたんですよ。
(玉袋筋太郎)ええっ?
(安東弘樹)現役のオフの時から?
(吉田豪)野球クイズっていうのを寺内大吉さんがやっている3時間ぐらいの番組の中にクイズ番組を作って出題していた。
(玉袋筋太郎)へー!
(吉田豪)なおかつ、クイズを自分で考えていたという。野球をクビになってからは、最初は野球解説しかなかったけど、半年したら「ディスクジョッキーをやってくれ」と言われて。その時も板東英二の野球クイズっていうのをやっていて。その中のクイズが、「カーン! と打者が打ったらボールが真っ二つに割れました。ひとつはスタンドに入り、ひとつはライトが取りました。これはルール上、どうなりますか?」とか聞いて。これも自分で考えて。
(玉袋筋太郎)考えてるんだ。
(吉田豪)当時は構成作家とかいないから。「これがホームランと思う人は起立。アウトと思う人は座ってなさい」って言って……「全員、不正解! そういうことはあり得ない!」っていうね。そういうことを考えていたりして。
(玉袋筋太郎)おおっ、外し系の答えだね!
(吉田豪)そうです。そうです。
(安東弘樹)ボールは2つに割れない! だから全員不正解と。なるほどね。
(玉袋筋太郎)やるなー、板東さん。
(吉田豪)その後のクイズの話を聞いても、それも構成を自分がやっていたとか、企画を自分で立てたとか、そんなのがすごい多いんですよね。
(玉袋筋太郎)へー! マルチだよな。それは。好きなんだね。そういうのがね。
(吉田豪)もともと。
(安東弘樹)根本的に好きじゃないとね。
(吉田豪)で、その2。
(玉袋筋太郎)野球解説をやってちょっとモメて……の筋だよね。
(吉田豪)そうですね。で、引退後にディスクジョッキーをやりつつ、野球解説をやっていたんですけど、まあ解説の仕事でよくモメていたらしいんですよね。で、伝説なのがCBCで解説者をやっていた時にサインを見破って放送で言ってしまった事件があるっていうね。
(玉袋筋太郎)すごいな(笑)。
解説中にサインを見破り、放送で発表
(安東弘樹)あるチームのサインを見破っちゃって。「ああ、これは次、こういう風になる」みたいなことを?
(吉田豪)しかもそれを、ワイプで抜いてもらったらしいんですよね。
(玉袋筋太郎)(笑)
(吉田豪)「どうして最下位になるかというと、ちょっとご覧になってください」って言ってワイプで抜いてもらって。「はい、長嶋さんが胸を触りました。左腕を触りました。ベルトを触りました。右足を触りました。覚えておいてくださいよ。はい、バントしましたね? その前のサイン、覚えてますか? この試合は僅差だったらもう一度、この場面がありますから」って言って。そしたら、またバントしたと。
(玉袋筋太郎)ダメだよ、それ!(笑)。
(吉田豪)サイン見破り。で、その時のディレクターがちょっと左がかった方だったんで、「バンちゃん、よかったよ! 徹夜してよくサインを解読したね!」って褒められたらしいんですよ。「秘密を暴くのは素晴らしい!」っていう感じで(笑)。で、月曜日に呼ばれたんで褒められると思ったら、「大変申し訳ないけど……いらんことを言ったから、今日限りで結構です。契約金は払います」でクビという。
(玉袋筋太郎)ああーっ! でも、物の見方としてその、ブロックサインを見破るっていうのもまた面白いんじゃないの?
(安東弘樹)面白いですよ。で、そのディレクターはどこの局かわからないですけど。褒めたディレクターは他の局だったんでしょうね。
(吉田豪)CBCですね。
(安東弘樹)「クビです」って、これは言っていいのかな? クビにしたのは弊社……
(玉袋筋太郎)系列の会社ですね。
(吉田豪)さすが!(笑)。
(安東弘樹)クビにしたのは弊社っていうね。
(玉袋筋太郎)言うなっつーんだよ(笑)。
(吉田豪)僕は飛ばしたのに……っていう(笑)。
(玉袋筋太郎)そうだよ!(笑)。
(安東弘樹)わかってねえな、本当に! まあ、過去の話ですね。
(吉田豪)昔話です。時効ですね。はい。で、実はその前の日にもモメた「あれあれ事件」っていうのがあって。長嶋監督初めての年で最下位で。江川さんと張本さんと王さんがモメていたらしいと。それを板東さんが見ていてその日、「今日は試合としては間違いなく中日が勝つでしょう。それも2対1か3対1でかならず中日が勝つ。間違っていたら僕は今日限りで解説を辞めます」ってハッタリをかまして。そしたら本当に3対1で中日が勝ったと。「ね? 言ったでしょ? あれがあるから、こういうことになるんです」って。そこからは「あれ」って言ってそれ以外は何も表現をしなくて。そしたら、電話が……(放送席の)横に電話があるんで。その時、サウナやっているわ、ナイトクラブをやっているわ、割烹をやっているわで電話が鳴るとすぐに取る癖がついてたらしいんですよ。
(玉袋筋太郎)(笑)
(吉田豪)お客さんの電話かと思って。で、癖で「はい」って出たら、「板東に言え! 『あれあれ』じゃわからなんやないか! 説明させ!」って言うから、「じゃかあしいわい!」って電話を切ったのがオンエアーに全部入っていて(笑)。
(玉袋・安東)(笑)
(吉田豪)で、大問題にっていう(笑)。
(安東弘樹)まあ、それは問題になるわな(笑)。
(玉袋筋太郎)「あれ」は気になるよな。
(吉田豪)っていうか、電話に出ちゃダメですよね。どう考えても。そもそも(笑)。
(玉袋筋太郎)だってその時、サウナとかやってたんだもんね。本当にすごいよ。ナイトクラブだの。実業家だもんね。
(安東弘樹)割烹って……(笑)。
(玉袋筋太郎)どれが本業かわからない。「じゃかあしい」って。電話取っちゃったって。いいねえ! そして……
(安東弘樹)ビンゴゲームを広めたんですか?
(玉袋筋太郎)板東さんなの、これ?
(吉田豪)そうやってモメたのをきっかけに名古屋でやっていた番組もクビになって、大阪に流れたんですよね。で、大阪でラジオ番組をちょろっとやって、もうひとつ面白くないということでダメになって。で、京都のKBSに行って、KBSのディレクターが「板東さん、面白いわ!」って言って「その時にやっていたクイズ番組でビンゴゲームっていうのを僕が日本でいちばん最初に始めた」というね。
ビンゴゲームを日本に広める
(玉袋筋太郎)へー! まあまあ、世界にはあるわけでしょう? 海外にあるけど、それを持ち込んだと?
(吉田豪)日本に持ってきて、番組にしたと。で、「僕のこのあざとさで大日本印刷の社長を知っていたので、『すいませんけど、三菱ランサーくれへんか?』と。大日本印刷側は統計上何枚配ってもビンゴが25枠あったら1年に2台出たらエエことや」という話で、それでビンゴゲームを始めて。
(安東弘樹)それを商品にしてっていうことですね。
(吉田豪)そうです。2台。「それぐらいなら、出そう」っていうことで。で、番組のメンバーが鶴瓶さんがいて、桂文珍さんがいて、外回りが明石家さんま。で、センターがタキシードを着た板東さんで。で、派手にやっていたらニセのビンゴカードを作って売っているやつがいて、ランサーが当たりすぎて三菱の代理店がお手上げに……っていうね(笑)。
(玉袋筋太郎)(笑)
(安東弘樹)ええーっ、何だ、それ?
(玉袋筋太郎)すげー(笑)。
(吉田豪)で、「ある落語家が権力を持っていて、その枠の視聴率が高いから、そこで俺の番組をやるって言って僕はどかなきゃならんようになった」というね。
(玉袋筋太郎)ああー、誰なんだろう、権力って?
(吉田豪)たぶん調べたらわかりますよ(笑)。
(玉袋筋太郎)わかるね、こりゃわかる。俺もなんとなくわかる(笑)。
(安東弘樹)なんで大日本印刷で三菱ランサーなのか……車マニアとしてそこがさっぱりわからないですけど。
(玉袋筋太郎)そこの人脈がすごいんだよ。つなげ方が。
(吉田豪)その後、関西テレビでサイコロを3つ転がして当てるという韓国にあるゲームを視聴者参加でやって。で、司会をしていたらしいんですね。横山ノックさんと文珍さんとやっていて。そういうのがあったから、当時営業がすごく多かったらしいんですよ。デパートとかでこういうゲームとかをやる。ビンゴをやったりとかっていう。「まあ、えらい楽な仕事やな。野球より全然いい」っていうね(笑)。
(玉袋筋太郎)(笑)。サイコロ3つで。チンチロリンじゃねえんだよ、これ。大小みたいなもんなのかな?
(安東弘樹)正直な方だな。
(吉田豪)で、いちばん有名なのが、オレオレ詐欺の元祖も板東さんっていうね。
(玉袋筋太郎)板東さん、すごいよ。
(吉田豪)ラジオ番組がきっかけだったんですよね。リスナーのおばあちゃんに毎週電話して、名前を名乗らずにいじって「俺、俺!」って言い張って。「いいからこれ、なんか送ってよ!」って言って、毎週なにかを送らせていたんですよね。それがまあ、オレオレ詐欺の元祖だったということで警察に怒られたっていう(笑)。
(玉袋筋太郎)ダメだよ、真似しちゃ。
(安東弘樹)これだって、そのままじゃないですか!
(吉田豪)「いいから送って! いいから送って!」っていう。どんどん悪化していったらしいんですよね。牛2頭とか、ニワトリ300羽とか、どんどん送ってくるという。
(安東弘樹)ああ、それだけね、純粋な方がいたということもあるんでしょうね。
(玉袋筋太郎)いいなー。だけどやっぱね、板東さん。この赤坂の放送局にもものすごい貢献をしているわけですよ。それがもう、『金妻』出演でしょう? 東京中が「いっちゃん、いっちゃん」の筋。
『金曜日の妻たちへ』
(吉田豪)板東さんの野球解説を脚本家の鎌田敏夫さんが聞いて「板東っちゅうのは面白いな」ということでドラマに呼んでくれた。それが『金曜日の妻たちへ』だったというね。
(安東弘樹)野球解説が面白くて、ドラマに。
(吉田豪)で、喫茶店のマスターぐらいで、「いらっしゃいませ」と言うような役かと思って受けたら、最初その一家が篠ひろ子さんと夫婦で、あと子供が4人いてやかましくワーワー言っている時にトイレから『どうしたんだい?』って言うんだけど、何回やってもNG。「板東さん、もう1回言ってください。不自然だった」って言われて3、4回NGを出したところで「もう無理です。意味がわからん」ってやめようとしたら、「板東さん、好きなように言ってごらんなさい」って言われて本番で「どうしたんやー?」って関西弁で言ったら一発OK。「その自然さがほしいんです」っていう感じで。で、板東さんいわく、「ああいう普通の東京の不倫のドラマで初めての関西弁やったんですよ」っていうね。
(玉袋筋太郎)おおーっ!
(吉田豪)「そこから、さんまとかが出てくる。それまではなかった」っていう。板東さんの特徴が、なんでも「俺がはじめて」って言いたがるっていう(笑)。
(玉袋筋太郎)そう。一番手なんだね。
(吉田豪)「それで、『毎度おさわがせします』が入って、次のシリーズの『金妻』が小川知子が僕と再婚するのに前の夫とヨリを戻して返ってくる。で、雨の中でびしょ濡れで帰ってきた時に僕が『なんでそんなこと、したんや? お前がいっちゃん好きやのに!』って言ったこの『いっちゃん』が流行って。東京中のOLに『いっちゃん好き』っていうのが流行るんですよ」って言い張ってたんですけど……東京中のOLに流行った記憶が僕、ないんですよ。
(安東弘樹)(笑)
(玉袋筋太郎)俺もないな。「いっちゃん、いっちゃん」って。
(安東弘樹)ご自分で言っているんですね?
(吉田豪)自分でです。
(玉袋筋太郎)すげー。好きなんだな、自分が。
(吉田豪)板東さん、「その時に六本木に住んでいたから、そのへんを歩いていたらみんなが『いっちゃん、いっちゃん』って言っていたから、えらいこっちゃなって思った」っていう話なんですよ。
(玉袋筋太郎)おおーっ! まあ、板東さんには聞こえたんでしょうね。普通の人には聞こえないかもしれないけど(笑)。
(吉田豪)幻聴みたいな(笑)。
(玉袋筋太郎)そう(笑)。さあ、その5ですよ。板東英二さん。植毛・所得隠しの真相の筋。
所得隠し・植毛経費騒動
(吉田豪)板東さんは本当にもうこっちが質問することもなく、どんどん一方的に話していくわけです。なんでも。で、「クイズは人が表れる」みたいな真面目な話をしていたら、なぜかそこで蓮舫さんの二重国籍問題について熱く語り始めて。まあ、全部カットしたんですけど(笑)。
(玉袋筋太郎)(笑)
(吉田豪)「そんなんが通るっちゅうんだったらね、僕は植毛のやつを知らなかったっていうのも、それまでの20何年間OKだったんだからね! 少なくとも7年さかのぼったら、それはOKだったんですよ。それ、経費で出ているんだから!」っつって。なんかスイッチが入って、聞いてないのに植毛の話をしてくれるわけですよ(笑)。
(玉袋筋太郎)クイズの話で。
(吉田豪)「やった!」って思って(笑)。ねえ。「所得隠しを疑われて、『植毛を経費に加えてしまった』と説明したあの騒動も、ある時期までは経費で落ちていたんですか?」って聞いたら、「落ちてた。それも言ったところでしょうがないし。税務署が言ったわけじゃないから。はっきりと申し上げると、俺の金を持って逃げているやつが知っていたんですよ。そいつが俺のCMのギャラとかを持って逃げて。それを何に使ったか? 使った先はわからなイカン。植毛とかそういうわかりやすい使い道があればわかるけど……」っていうね。「俺の金を持って逃げたやつが、俺のCMとか全部そいつを通していた」みたいな。すごいややこしい話をどんどんし始めて。
(玉袋筋太郎)(笑)
(吉田豪)で、これをいい話に着地させなきゃと思って、「王さんとかがそんなことをやったら大変なことになるけど、板東さんはケチキャラとかそういうのがあったから、よかったですよね」みたいな感じのフォローをしたら、「そうそう。金にうるさいからね!」っていう感じで(笑)。「どっちかって言うと僕は常に本音をポロポロ言うから、それで助かっているのかな? と思いますね」っていうね。「みんな、金がいらんのだったら働かないでしょ? 金、ほしいでしょ? そこらに捨ててあって、『拾って帰れ』って言われたら披露でしょう? 『なんもせんかったら毎日10万円やる』って言われたら、みんな何もしませんから。くれんから、働いている。今日も新幹線に乗ってきたけど、タダだったらそんなもん、超満員ですよ!」っていうね(笑)。
(玉袋筋太郎)(笑)
(安東弘樹)たしかに、そうですね。タダならね。
(吉田豪)どんどんスイッチが入ってくるという。
(玉袋筋太郎)ねえ。これ、板東さんの植毛っていうのは記者会見の前から気づいてましたけどね。カツラKGBとしては。
(吉田豪)おお、さすがに。
(玉袋筋太郎)「おおっ!」っつって。ひな壇で俺の前が板東さんだったの。もう確実に、「ああっ、クロだ! 見つけた、博士!」って言っていた覚えがありますよ。
(吉田豪)はいはい(笑)。
(安東弘樹)これ、インタビューの場所はどこでやったんですか?
(吉田豪)MXテレビの控室ですね。
(玉袋・安東)(笑)
(吉田豪)僕が『モーニングCROSS』に出る時に使っている控室で。ものすごい大声でしゃべるんですよ。で、あそこってパーテーションで区切られているから、上が全部筒抜けなんですよね。で、インタビューの最中にいろんな人が「あっ、板東さん。お疲れ様です!」とか、控室越しに挨拶してきたりして、すごい大変だったっていう(笑)。
(玉袋筋太郎)(笑)
(安東弘樹)そこでこの話をしているというね。
(吉田豪)オープンにいろんな話をしていましたね。オフレコの話とかをすごい、みんなに聞こえるように話してましたよ(笑)。「これは載せちゃダメだけどね!」って。
(玉袋筋太郎)(笑)。面白いんだよ!
(安東弘樹)本当に、僕は披露宴で挨拶してもらったんですけども。「だいたいこのパターンは離婚するパターンや!」って散々言っていただいて。披露宴で(笑)。「シーン……」ってなったところで峰竜太さんが助けてくれたという。
(吉田・玉袋)(笑)
(安東弘樹)全部いい方に持っていってくれたっていう。いまだに峰さんには感謝していますけども。その6です。時計が2本。知られざる高倉健さんとの交流。
(玉袋筋太郎)そうだよね。
高倉健さんとの交流
(吉田豪)健さんと仲が良かったことで実は知られていて。「『鉄道員』の時はもったいなかったな」って言っていて。。健さんが「板東さん、半年ぐらい時間がかかるけど、準備しておいてくれ」って言われたらしいんですよ。「来年、明けてもらえないか?」って。ちょい役だろうと思っていて。まさか長期だと思っていなくて。「言ったでしょ、板ちゃん」って流れちゃったっていうことなんですよ。
(安東弘樹)ああー、そうか。長期でできなかった。
(吉田豪)そうですね。で、健さんはみなさんが思っているような人ではなく、お茶目で義理堅さというか。で、板東さんの家内のおじいさんの会社で健さんのお父さんが雇われていたらしいと。「それで僕を『あ・うん』の相手に選んだんだろう。だって、こんな素人が行くの、おかしいですもん。どう考えても、僕より家内に会いたいみたいだった」っていうね。
(玉袋筋太郎)ほー!
(吉田豪)ただ、当時みんなから聞いていたのが健さんと共演すると時計をくれる。ロレックスをくれるというね、有名な話が。ところが、撮影が後半に入っているのにくれないというね。「俺にはくれないんだな」と思って残念がって諦めていたら健さんが「板ちゃん、いよいよ後半だね。もうちょっとだから、がんばらないとね! じゃあ、これ!」っつって包みをくれたらしいんですよ。「来たっ!」って思ってすぐに開けるわけにはいかないから、そのまま急いで帰って、奥さんに「おい、くれたよ!」って開けたら栄養ドリンクだったっていう(笑)。
(玉袋筋太郎)健さん(笑)。
(吉田豪)ちょうどいい重さのちょうどいい包みをくれて(笑)。
(玉袋筋太郎)上手いね!
(吉田豪)「なんやねん、この人!」っていう。考えれば洒落っ気があるなと思うけど。で、それからしばらくして、パンツ一丁で家にいたら、夜11時すぎにピンポンって鳴って。「どちらさんですか?」って言ったら「高倉です」っていうね。で、「すぐに参りますので」って言ったら、「いや、突然来たんで。すいませんが、ご主人にこれを渡してください」って言って、すぐに帰って。「高倉」って書いた風呂敷で開けたらロレックス。裏を見ると「戦友」って刻印がしてあるというね。
(玉袋筋太郎)かーっ!
(安東弘樹)戦友かーっ!
(吉田豪)「しかもそういうのを彫るのが香港で。香港のそういう彫師のところにしか行かない。わざわざ飛んで行くっていう。おかしな人ですよ」っていうね。
(安東弘樹)すごいな……
(吉田豪)で、健さんと九州でトークショーをやったこともあるんですよね。それが終わったらまた夜中にピンポンって来て、「高倉です」って。この次はコンスタンタンの時計で「感謝」って書いてあって。
(玉袋筋太郎)うわー、高いよー!
(安東弘樹)コンスタンタンってだって……すっごい。ロレックスと比べても、正直かなり。ええーっ!
(吉田豪)それぐらいの交流があっても「謎の人」って言っていて。そのトークショーでも、本当に健さんがすごいご機嫌で。まず板東さんが出ていって、トークショーとは名ばかりでこんなにしゃべれない男と……しかもあと、検事次長と。その3人でのイベントだったらしくて。「よく集まりましたね」って言っていたら、健さんがダーッと走ってきて「しゃべるぞ、今日は!」って大きな声で叫んだりとか。健さんらしくないことをやって。ところが、イベントが終わって楽屋に挨拶に行ったら、もういないっていうね。もう帰っているみたいな。なんで帰ったかも知らない。飛行機に乗ったのか、船に乗ったのか、列車に乗ったのかも知らない。そこから音沙汰なしで、突然時計を届けに来るみたいな。
(玉袋筋太郎)すっげーな! 健さん!
(安東弘樹)健さん、すごいですね。いま板東さんの話って忘れてました(笑)。
(吉田豪)(笑)
(安東弘樹)健さんがすごすぎて。
(玉袋筋太郎)健さんの話になっちゃったね。
(安東弘樹)すごい方なんですね。健さん。
(玉袋筋太郎)で、7だな。本で書いてないようないい話、山ほど持っているの筋。あるだろうなー!
(吉田豪)こんな感じで、面白い話はしてくれるんですけど、僕の質問を全然させてくれないんですよ。
(玉袋筋太郎)ああ、自分でもう一方的に。
上岡龍太郎と島田紳助
(吉田豪)どんどん来ちゃうから。で、ようやく質問のチャンスが来たんで、「板東さんが昔から仲がいい上岡龍太郎さんも島田紳助さんも早い段階で引退しちゃったのは、板東さんがどう思っているのか知りたいんですよ」っていうね、聞きたかったことを聞いて。それでちょっとモードが変わって。
(玉袋筋太郎)うん。
(吉田豪)「それは事情があって。普通だったら、いまでこそみなさんが倫理を問うような存在になったけど、そういうね、人間を人格者とかなんとか言うこと自体、僕は違うと思う」っていうね。「仲がいいからこそ、複雑な思いがあったわけですね。紳助さんの時は」っていう。まあ、もともと上岡さんとすごい仲が良くて。その流れで全然売れる前の紳助さんを紹介されたみたいな関係だったんですね。だから、たしかに僕はこの世界に入っていちばん感銘を受けたのは上岡ですから。横山ノックからは何の感銘も受けてない!」っていうね(笑)。
(玉袋筋太郎)(笑)
(安東弘樹)これ、台本に「(キッパリ)」って書いてある(笑)。
(吉田豪)ノックさんがいかにひどかったのか? みたいなのをたっぷり聞きましたけど(笑)。そんな話をいろいろした後で、「人間って何かをやめるとかする時には、何らかの事情があるじゃないですか。そんなことは知る必要もなければ、それと先ほどから言うように芸人が何をしようが、倫理を問う方が間違ってるんです!」っていう感じで、「……上岡さんにも何かあったのか?」みたいな感じにしか聞こえないんですけども(笑)。
(玉袋筋太郎)ドキドキするな(笑)。
(吉田豪)ドキドキするような話をずっとしていて。
(玉袋筋太郎)あるんだろうな、墓まで持っていく話が。
(吉田豪)そういう話が本当に多い人ですね。政治がらみの話とかも相当いろいろあって。
(玉袋筋太郎)いっぱいあるでしょうね。ネームバリューがあって、タレント性があるんですから。
(吉田豪)で、何回も出馬要請があったらしいんですよ。で、「恥ずかしくてならなかったけども。後藤田先生と仲よくて、後藤田先生に何べん言われたかわからん。クレーン車まで、うちの事務所に来た。『出馬決定』って看板を取り付けにクレーン車が来て。出馬してへんっちゅうの!」っていう(笑)。引き受ける前にもう来ちゃったらしくて。「出馬しませんよ。僕なんか一発で捕まりますよ!」って(笑)。
(玉袋・安東)(笑)
(吉田豪)「なぜかってね、『くれる』っちゅうお金はナンボでももらいますからね!」っていうね(笑)。
(玉袋筋太郎)人間っぽいなー!
(吉田豪)「『くれる』っちゅうから、もらっていいじゃないですか。もろうたら、その人に便宜を図るのは当然のことじゃないですか!」っていう。
(玉袋筋太郎)素晴らしいよ、板東さん。ねえ。
(安東弘樹)すごい(笑)。まあまあ、でもご自分でよくわかってらっしゃってますね。
(吉田豪)だから、「政治家になったらマズい」っていう自覚があるっていう。「俺がなったら、一発で捕まるぞ!」っていう(笑)。「合格はできるかもしれないけど」っていうね。
(玉袋筋太郎)まあ当選はするけども、即だよね。即辞任だよね。いやー、おもしれえ!
(吉田豪)もう完全にインタビューが終わった後の雑談とかでもボロボロと出てくるんですよ。「ラサール石井をコント赤信号から独立させたのも俺なんや!」っていうね。それで、ロート製薬にたのんで作った番組『クイズ!!ひらめきパスワード』で紳助さんをキャプテンにして、石井さんを……みたいな話がボロボロボロボロ出てくるんですよ。
(玉袋筋太郎)だけどやっぱね、本当に謝罪会見とかああいうことがあったらいまね、そりゃあ本当に倫理にさらされたわけだからね。
(安東弘樹)1回ね。
(吉田豪)余計に思うことはあるはずですね。
(玉袋筋太郎)それでもまだ、どっこいMXとかに出ているところがまた板東さんのすごさだよな。
(安東弘樹)で、基本その路線を変えてないですもんね。
(吉田豪)全然モードも変わってないですよ(笑)。
(安東弘樹)そこがやっぱりすごいと思うよな。
(玉袋筋太郎)借金っつーのはあったのかね? どうなんだろうな? 岸部(シロー)さんみたいなね、とか。
(吉田豪)はいはい。僕、だから本当は聞きたい話があったんですよ。『板東英二の金はこうして儲けるんや』っていう本がすごい好きで。86年に出た、完全にアウトなことしか書いていない本で(笑)。
名著『板東英二の金はこうして儲けるんや』
(玉袋筋太郎)(笑)
(吉田豪)この話を聞きたいと思ったら、もう全然聞く暇すらないという。これ、脱税騒動とかあった後で読むと謎が解けるというか(笑)。そういうものを全て認めているような本だったんで。「とっておき”オレの方法”全公開」っていう(笑)。
(玉袋筋太郎)すごいや!
(吉田豪)だって第四章のタイトルが「社長になって脱税せえへんか?」だったですからね(笑)。
(玉袋筋太郎)アウト!(笑)。
(安東弘樹)なんで違法から入っているんですか!(笑)。タイトルが違法っていう(笑)。すんごい人だな!
(玉袋筋太郎)正しい金儲けじゃねえもんね、それね。悪の手引書だよ。
(吉田豪)「みんなも節税のための会社作って遊びまひょ」って書いてました(笑)。
(玉袋筋太郎)「ひょ」!(笑)。
(安東弘樹)ダメなやつじゃないですか(笑)。
(玉袋筋太郎)見事!
(安東弘樹)いやー、でも徹底してるわ。
(吉田豪)徹底してますよ。
(安東弘樹)板東さん、改めてすごいということがよくわかりました。
(玉袋筋太郎)わかった!
(安東弘樹)豪さん、いろんな球を持ってきますね。やっぱりね。
(玉袋筋太郎)大ネタだったね、これは。豪ちゃんね。
(安東弘樹)ということで、この板東英二さんのインタビューの模様は古今東西のクイズを網羅するクイズカルチャーマガジン『QUIZ JAPAN Vol.7』に掲載されています。間もなく発売ですね。
(吉田豪)そうですね。
(安東弘樹)なにかありますか、豪さん?
(吉田豪)そんなもんですかね。
(安東弘樹)わかりました。吉田豪さん、次回の登場は3月3日、ひな祭りでございます。ありがとうございました!
(玉袋筋太郎)どうもありがとうございます。
(吉田豪)どもです!
<書き起こしおわり>