サイプレス上野 ヒップホップ用語「BEEF」を解説する

サイプレス上野 ヒップホップ用語「BEEF」を解説する FM yokohama

サイプレス上野さんがFM yokohama『BAYDREAM』の中でヒップホップ用語『ビーフ(BEEF)』について解説していました。

(サイプレス上野)さっき舞ちゃん、電波に乗っていなかったけど。質問があるということで。なんでしょうか?

(遠藤舞)はい!

(サイプレス上野)遠藤舞さん。

(遠藤舞)ビーフ(BEEF)ってなんですか?

(サイプレス上野)ビーフというのは……武士さん、なんでしょうか?

(ビート武士)ケンカというか、揉め事……「揉める」っていうことっすよね? 主張で……

(サイプレス上野)主張で、曲を通じて。「お前のスタイルは全然かっこ悪い」とか。要するに、揉め事のことを「ビーフ」って。

(遠藤舞)ディスるみたいな感じのこと?

(サイプレス上野)そうそう。ディスの……

(遠藤舞)ディスり合い?

(サイプレス上野)ディスり合いは口で言っている行為だけど、ビーフはその全体像。抗争。

(遠藤舞)ほー!

(サイプレス上野)それは、だから暴力がメインになっちゃう空気はあるけど、じゃなくて言い回しとかをラップ聞いている人は評価する。単純に銃をすぐに撃つやつとかは誰も尊敬しないから。「この言い回し、超面白いね!」みたいなのをみんなが曲として楽しんでいく。

(遠藤舞)楽しめる範囲で、エンターテインメントとしてやるみたいな?

(サイプレス上野)そうそう。じゃないと単純に街のチンピラのケンカになっちゃうから。だから、さっきかけたケーダブさん(K DUB SHINE)とD.Lさん。DEV LARGEさんっていうのは結構激しくやりあっていて。結果的には、一緒に会って。マキ・ザ・マジック(MAKI THE MAGIC)さんっていう……まあ、マキさんも亡くなっちゃったんだけど、マキさんの追悼の時にたまたま道を歩いていたら会って。マキさんの追悼イベントだったから「一緒に行こう!」っていう話になって。

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(遠藤舞)へー! たまたま?

(サイプレス上野)そんなこと、あり得なかったのに。

(遠藤舞)本当に、ガチで?

(サイプレス上野)ガチで仲が悪いから。

(遠藤舞)そう見せてるだけじゃないんだ。

(サイプレス上野)見せてるだけじゃなくて。けど、それをエンターテインしないとつまらないから。やっぱりラッパーの意地だよね。

(遠藤舞)すごいね。それ、でも心のそこからそういうあれが出てきそうですね。

(サイプレス上野)だから本当に本人同士が会ったら殴り合っちゃう可能性もあるけど、会わないようにみんな気をつかうけど、お互い曲を発表したりして。

(遠藤舞)へー! それ、もう本当にヤラセじゃないというか。

(サイプレス上野)そう。俺も前にここでかけたことがあるけどね。dodoっていううすごい若い子にいきなりね、「(代官山)ユニットで『殺すぞ!』って言われた」ってね。まあ、酔っている時の俺だったら言いそうなセリフを……

(ビート武士)想像できますけど。

(サイプレス上野)想像できるけどね(笑)。

(遠藤舞)上野さんは現在進行系のビーフの人はいないんですか?

(サイプレス上野)いない、いない。

(遠藤舞)平和な感じ?

(サイプレス上野)Twitterとかに書いている若者とかだね(笑)。

(遠藤舞)(爆笑)。でも、結局さ、そういう人でも見に来てくれたら仲良くなれるわけじゃん?

(サイプレス上野)仲良くなれるし、やっぱり曲で面白いことを言うっていうのが好きだったの。dodoに対してやった時は、俺はその日に書いてその日にラップしたっていうのが俺の中で面白かったの。

(遠藤舞)へー!

(サイプレス上野)すっげー怒っていたよ。本気で。「会ったらコロス!」とか思っていたけどね。「コロス」っていう言い方はよくないな。まあ、先輩として説教はしようかなと思っていたけど。それぐらいの気持ちだったけど、それを直接やったら違うじゃん? だから、曲でやろうみたいな。

(遠藤舞)そういうスタイルがあるのね。そういう文化の中では。

(サイプレス上野)で、2回目を楽しみにしていたんだけど、2回目がちょっとつまらなかったから、もうがっかりして返さなかったけど。「ああ、まだ子供なんだな」って思っちゃって。

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(遠藤舞)いろいろあるんだね。

(サイプレス上野)まあ、そういうビーフでアメリカでは2パック(2Pac)とビギー(Notorious B.I.G.)という二大巨塔がビーフをやっていたんだけど。2人によるビーフ、東西抗争。ウェストコースト(西海岸)とイーストコースト(東海岸)、ニューヨークとLAっていうのがあって。その2人が、お互い亡くなっちゃうっていう悲しいことになってしまったけれども。まあ、そういうのを含めて……けど、いま(BGMで)かかっているこの「リスペクト、ナフ・リスペクト」。ヒップホップにはこれがいちばん必要っていう。

RHYMESTER feat.ラッパ我リヤ『リスペクト』

(サイプレス上野)相手を敬う。ケンカをしながらも、敬うっていう。

(遠藤舞)へー! いいですね。ヒップホップの人たちはなんか、そういうイメージが。ディスっていても根底ではお互いを尊敬しているっていうのは感じる。

(サイプレス上野)そう。だから、あんな恰好してさ、ガラ悪い人が、ヒップホップなんて「お母さん、ありがとう」とか「感謝、感謝」とかしてるんだろ?って……それまで感謝とかを知らなかったやつが、ヒップホップに出会って感謝を覚えるっていうね。お互いのスキルに感謝している。リスペクトですね。

(遠藤舞)すごい!

(サイプレス上野)素晴らしい、いい文化なんですよ。

(遠藤舞)いい文化! 広めたいですね!

(サイプレス上野)広めたいんです! 最高なんですよ。これのRHYMESTERの武道館のDVDが出ていますけどもね。その時に、「俺たちに必要なのは金じゃねえ!」ってMummy-Dさんが言うんだよ。「必要なのは……」って言ったら、そこでFuture ShockだったBrooklyn Yasさんが「リスペクト!」って1人で叫んで。「その通り!」っていう風にDさんが返すっていう最高のシーンがあって。ブルヤスさんがマジで最高だった。泣きそうだったもん、俺。

(遠藤舞)ふーん!

(サイプレス上野)その武道館で俺、ペットボトルにションベンしたからね。

(遠藤舞)(爆笑)

(サイプレス上野)1分1秒を見逃したくないから。幕の影で、そこでションベンして。「やべーやべー! あふれる! 次のペットボトル、お願いします!」みたいな感じで。

(遠藤舞)(笑)。そのエピソード、別にいらなかった(笑)。まあ、それぐらいね、見たかったということで……

<書き起こしおわり>

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