TBSラジオ『タマフル』放課後クラウドで宇多丸さん、金田淳子さん、橋本吉史タマフル名誉Pなどが『HiGH&LOW THE MOVIE』応援上映についてトーク。アメリカ人観客の映画鑑賞時の楽しみ方などについて話していました。
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— tamafle954 (@tamafuru954) 2016年9月19日
(宇多丸)だから、そういうところでまさに「応援」でもあるし。
(橋本吉史)「突っ込み」っていうのももちろんあるんですけど……
(宇多丸)それと、応援は等価なんだよっていうのがすごく……要は非常にクレバーというか、大人な文化だなとも思うし。だって、『ロッキー・ホラー・ショー』とかなんでもそうだし。もっと言えば、アメリカで普通に娯楽映画を見に行って、映画のタイプにもよるんですが、たとえば僕、すごい忘れられないのはニューヨークで『ハウス・パーティ(House Party)』っていう、Kid ‘n Playという当時、80年代、90年代に人気だったラップグループのコメディー映画があって。
『ハウス・パーティ(House Party』
11. "House Party"
– kid n play
– 90s
– comedy
– makes you wanna throw a house party pic.twitter.com/aUuiyWTbbF— ? (@sarahccheek) 2016年7月18日
(宇多丸)で、それをニューヨークで見たんですよ。当然、そういうお客ばっかりじゃないですか。で、ワイワイワイワイやっていて。要するに「応援上映」なんか言わなくたって、そういうもんなんですよ。
(金田淳子)あ、もう発生可能と。
(宇多丸)もう勝手にワーワーやって。で、本当に「後ろ! 後ろ! 後ろ!」とか「おかしいだろ!」みたいなことを言って、みんな突っ込んで。それでドッ!っと受けて次のセリフが聞こえないぐらいの。
(金田淳子)ああ、でも楽しいですね。
(宇多丸)で、「すげーな!」って思ってたんだけど、「こういうのは日本人は難しいよね」って思って……
(金田淳子)それ、私もちょっと10年前ぐらいは完全にそう思っていた。やっぱりちょっとでもガサガサしていると怒られちゃうし。たしかに私もガサガサしていると嫌だし。
(宇多丸)まあ、映画によりますけどね。
(金田淳子)『ジュラシックパーク』を見に行った時、後ろのおばちゃんたちが「後ろ! 後ろ!」って言っていたのについて、正直どうかと思ったのね(笑)。
(一同)(笑)
(金田淳子)ただ、私もそこに乗っていけばよかったなって思った。
(宇多丸)「後ろ! 後ろ!」はかわいいじゃないですか。
(金田淳子)ただ、本気だったんですよ。彼女らは。
(橋本吉史)ただ、本気の人がいるのもまた多様性かなっていう。
(宇多丸)そう。それはそれでいい映画館体験なんだけど。ものによっては、祭映画はこれ、ありでしょ?っていう。だから『バトルシップ』とか公開時に……それはダメなのはわかるよ。「変だよ、それは! パイセン(先輩)が来るの、おかしいよ! どこにいたんだよ、このおじさんたち!」って思うけど……
(金田淳子)でもそこは、「どっから来たの~?」って優しい突っ込みを入れる。
(宇多丸)で、まさに敵も味方も……俺は『バトルシップ』っていう映画で「宇宙人を撃退する映画だけど、最後の打ち上げで宇宙人もいた方がいい。そしたら完璧だった」って言ったけど。まさに、「おつかれ~」って。本当に「お疲れ」って書いてあったから!
(金田淳子)もう最後。「お疲れ」って。あのさ、いままでの乱闘はなんだったの?っていうぐらい軽傷っていうか、HPがもう全回復しているんですよ。どういうことなの?って。
(宇多丸)(笑)。で、これコンバットRECもツイートかなんかで言っていたけど、要はみんな帰りたがっていないって。帰りたがらない男、コンバットRECのね。
(金田淳子)ああ、あれだ(笑)。
(宇多丸)すごい、この映画に関してはこれ(応援上映)、ありでしょ?っていうかね。
(橋本吉史)いや、本当MUGENはね、BLも見捨てないっていうのがわかりましたね(笑)。
(宇多丸)あの、BLと言えば僕、見ていて金淳さんの顔が浮かんだシーンとして……
(金田淳子)浮かんだの?
BL的な目配せ
(宇多丸)はい。スモーキーが背中を青龍刀で切られて治療するシーンがあるじゃないですか? あそこでこう、背中で……カメラの撮り方的に何をどうしているかよくわからないため、はっきり言ってスモーキーがお尻を犯されているようにしか見えなかったというあたり。このくだり……
(金田淳子)はい、正解です!
(一同)(笑)
(金田淳子)あの、私もそう思っていて、「いいカメラワークだなー」って。
(宇多丸)いや、でもあれさ、意識的だよね。切り取り方が、全体として背中を……
(金田淳子)意図的だもん。
(宇多丸)見えなくて。単に、もだえて。うつ伏せになって。美青年が。
(金田淳子)「ううっ!」ってなっていて、窪田(正孝)さんのスケジュール上、乱闘には加われなかった代わりに、私たちにそういう置き土産を。本当にありがたい。もう全体として「ありがたい」しか言えないんですよ。
(一同)(笑)
(金田淳子)だってあれ、あのままカメラを上に持っていって、「あっ、なんだ! すいませんでした! テヘッ」みたいな感じになるかと思いきや、カットが割ってあるんですよ。
(宇多丸)だからこの映画全体として、なんか普通に考えたらこれ、下手なんじゃないか?って思うところあるけど、どこまで意図的なのかな?って思っちゃいますよね。
(金田淳子)いや、ただ本当にね、普通に見ていたら「このうめくシーン、必要か?」っていうのと、「カットを割る必要、あるのか?」って思うけど、私にとってはすごい……
(宇多丸)いや、あれは意図的でしょう。たぶん。
(橋本吉史)だから目配せを実はめっちゃしている可能性は……
(金田淳子)うん。すごい。っていうか私は制作陣からガン見されているなって思って。「お前だよ、お前!」って。
(橋本吉史)「お前のこと、見捨ててないぞ」っていう。
(金田淳子)うん。見捨ててない。「お前だよ」っていう感じで。目が合ったなっていう感じだったから。パンチによりいろいろ私も覚醒してMUGENチームに加わったわけですよ。
(宇多丸)いやー、しかしすごいですよね。その吸引力っていうかさ、拡張性もそうだし。入り口が多すぎでしょう? だってそのBL組、腐った女子のみなさんもいれば、普通にEXILEファンもいれば、格闘好きも入れるし。
(金田淳子)いろいろ、アイドル好きも。
(宇多丸)アイドル好きもそうだし。映画突っ込み好きだって全然さ。
(金田淳子)そうそうそう。たぶん『彼岸島』っぽさがあるんで、『彼岸島』好きは……
(橋本吉史)(笑)
(宇多丸)俺、その『彼岸島』がわかってないんだよ。
(金田淳子)あ、ちょっと待ってください。あ、それは……それはいけない。10月から『彼岸島DX』が始まるというのに。『彼岸島』っていうのは何もかもがある世界。
(橋本・箕和田)(笑)
(金田淳子)あの、『彼岸島』は最強武器が丸太。そして『彼岸島』における丸太はある意味、この『HiGH&LOW』における拳と等価。だから万能武器ですよ。防御にも使え、相手の治癒もでき、回想も叩き出せるというそういう感じですよ。
彼岸島実写ドラマ。師匠と丸太。でけーなー。 pic.twitter.com/LgUzfTWJXf
— 燕 陣内@全国輪行&聖地巡礼ボチボチ復帰 (@jinnnaisama0306) 2016年9月21日
(古川耕)「回想も叩き出す」(笑)。
(金田淳子)「みんな、丸太は持ったな!!」ですよ。とりあえず『彼岸島』的にかけ声は。
「みんな、丸太は持ったな!!」
刀より丸太が強い!
それが彼岸島! pic.twitter.com/vJR1gmIyWT— まつうら (@19880220Mattyan) 2016年9月20日
(宇多丸)へー。
(金田淳子)「みんな、丸太は持ったな!!」っていうかけ声、聞いたことありますか?
(一同)(笑)
(金田淳子)持てないでしょ? 私も……持ってくればよかったな。私、『彼岸島』が好きすぎてマイ丸太買ったんですよ。
(箕和田D)「マイ丸太」ってなんすか?
(金田淳子)えっ? 大人は持っているんじゃ……?
(箕和田D)これはこれで、また大きな山じゃないですか(笑)。
(中略)
(金田淳子)で、映画って宇多丸さんみたいに批評をしようと思っている人じゃなければ、2回以上あまり見ないですよね? 私も応援上映っていうのが始まるまでは2回以上見るってなにかの仕事的な理由とかがない限り……あと、友達が「一緒に行こう」とか言わない限り、ないと思っていたんですが。応援上映によって、やっぱりリピーターでいちばん多い人は100回以上行っているわけですよ。
(宇多丸)ええーっ?
(金田淳子)やっぱり1回1回が再現できないものだから。応援っていうのは。まあ、だんだんルールとかが決まってくるにしても、絶対に確実に再現されているわけではないから。その1回1回のライブの興奮を求めて。そして自分が参加できるという。それでみんなリピートしていくんですよ。だから『キンプリ(KING OF PRISM by PrettyRhythm)』がロングランしたのもその理由であって。ちょっと映画の視聴態度っていうのが応援上映によって複数回見ること前提っていう意味でちょっと変わってくるかな?っていう。コア層がそうやって見ていくっていう。
(宇多丸)うんうん。
(金田淳子)そしたら、ある意味興行収入も上乗せされていって。まあ、それは消費者の基本的な可処分所得によるものがあるので、そこまでは伸びないと思いますけども……
(宇多丸)でも、やっぱり映画館に映画を見に行くという行為自体がアナクロ化して久しい中で、映画館としては集客の工夫として応援上映なりなんなり、いろんな試みをしてるわけだけど。でも、僕に言わせるといろんな客がいて、その体験ごと映画体験じゃんっていうのはこれは別に映画館の根本のことであって。まさにその特集を……だからちょっとね、映画館でいろんな客がいて面白かった話を特集しようと思ったんだけど……
(金田淳子)ああ、いいですね。
(宇多丸)だけど応援上映を見ることで、「こんなにそれに特化したものが出ちゃって、それに比べるとささやかな体験なのかな?」っていう気がしちゃうんだけど。でも、僕に言わせれば映画館に他人と映画を見に行くって……だから『アウトレイジ』を見に行った時に、客席がアウトレイジビヨンドだった!っていう……
(金田淳子)客席がアウトレイジ(笑)。
(宇多丸)そう。だからこれは絶対に『アウトレイジ』の僕が見た思い出の中では欠かせないことだし。そういうことだからさって。
(金田淳子)そうですね。私も『ジュラシックパーク』といえば、「後ろ! 後ろ!」っていうおばちゃんとともに思い出されるわけですよ。
(宇多丸)『DOCUMENTARY of AKB48』の二作目といえば、フロアでケンカしていたオタクですよ。
(金田淳子)ケンカしてた(笑)。
(宇多丸)うんうん。「じゃあ、お前がセンターだったとしてさ!」って(笑)。
(金田淳子)超面白い(笑)。
(宇多丸)それしか聞こえなかった(笑)。
(箕和田D)応援上映に関しては、引き続き番組で取材をして、きちんと特集にしようかと。いま。
<書き起こしおわり>