プロ野球死亡遊戯・中溝康隆と宇多丸 長嶋茂雄の訃報を語る

プロ野球死亡遊戯・中溝康隆と宇多丸 長嶋茂雄の訃報を語る アフター6ジャンクション

プロ野球死亡遊戯こと中溝康隆さんが2025年6月3日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション2』に出演。この日、訃報が報じられた長嶋茂雄さんについて、宇多丸さんと話していました。

(宇多丸)今日はですね、オープニングいろいろお話したいこともあったんですけど。長嶋茂雄さんがね、お亡くなりになったという訃報がありまして。

(日比麻音子)今朝、驚きました。

(宇多丸)そうですね。午前中ですかね。訃報が伝わってきたのはね。言わずと知れた読売巨人軍の長嶋茂雄終身名誉監督。記録より記憶に残る名選手。さまざまな面から語り尽くされている長嶋茂雄さんが亡くなったということで。ちょっとこの番組なりに……実はこの番組、2021年9月21日にミスターの特集をやってるんですね。その特集でもお世話になりました。この番組でプロ野球の話といえば、この方。プロ野球死亡遊戯こと中溝康隆さん、お電話つながっているのでちょっと中溝さんにミスターの思い出、長嶋さんのお話なんかも伺っていきたいと思います。中溝さん、もしもし。

(中溝康隆)もしもし。

(宇多丸)どうも、ありがとうございます。急遽。

(日比麻音子)こんばんは。

(中溝康隆)こんばんは。よろしくお願いします。

(宇多丸)さて、中溝さん。ミスターの訃報を聞いて、まず率直にどうお感じになられましたか?

(中溝康隆)そうですね、まあ、ついにこの日が来てしまったのかっていうのもあったんですけども。まあ、よく「ひとつの時代の終わり」っていう表現が使われると思うんですけども。これほどそれの言葉が当てはまるアスリートっていうのは、他にいないんじゃないかな?っていうのは思いましたね。まあ、プロ野球というより昭和という時代を象徴していた方なので。

(宇多丸)そうですね。本当に。ついに本格的に昭和がひと区切りだなって感じ、しますね。これね。

(中溝康隆)そうですよね。まあ、アントニオ猪木さんが亡くなった時もちょっと同じような感じだったんですけども。やっぱりこうひとつのジャンルを代用する方だったので。なんかこう、たとえば僕は長嶋さんの現役時代は知らない世代なんですけども。

(宇多丸)はい。私もギリ、そうですね。

(中溝康隆)はい。それでも記録の映像とか、原稿……記事を見てもう本当に日本の偉人のような感じだったので。なんか本当に「ああ、現役時代を見ていないのにこれだけショックなんだな」っていうのは感じましたね。

(宇多丸)ちなみに今、おっしゃったアントニオ猪木さんに関して、リスナー「ポテト誕生」さんが長嶋茂雄さんの訃報を受けて。この方、誕生日が長嶋茂雄さんとアントニオ猪木さんと志村けんさんと一緒の2月20日なんですって。

(日比麻音子)ねえ。皆さん、2月20日。

(宇多丸)その皆さんが鬼籍に入られたということで。ポテト誕生さん、ありがとうございます。なんですって。奇しくも。だからまあ、このお三方がすでに……ということですね。改めてじゃあ、中溝さんから見て長嶋さん、日本野球界によってどのような存在だったんでしょうか?

(中溝康隆)まあ日本のプロ野球の歴史を見ると「長嶋さんのプロデビュー前・デビュー後」で分けられると思うんですね。

(宇多丸)ほう、なるほど!

長嶋茂雄デビュー前・後で分けられるプロ野球の歴史

(中溝康隆)というのもですね、長嶋さんの巨人入団前年の観客動員数を見ると約138万人で1試合平均が2万人ぐらいなんですよ。それがですね、V9の頃には1年間で約276万人。1試合平均4万2000人まで増えているんですね。まあ、長嶋さんの存在がプロ野球というジャンルを引き上げて。それこそ当時は学生野球の方が人気があったぐらいなので。

(宇多丸)はいはい、そうですよね。

(中溝康隆)だからもう長嶋さんの活躍とあと当時、カラーテレビの普及というのもちょうど時代が合いまして。仕事が終わって家に帰って長嶋さんの試合を見て1日を終える、みたいな。そういう人々の日常に密着していた存在だと思いますね。

(宇多丸)なるほどね。これってだからもう、すっかりその長嶋さん以降っていうか。変わった時代を生きてるから言われてみると「そうか!」みたいなね。

(日比麻音子)私はもう物心ついた時から監督としての長嶋さんっていう認識の方が強かったので。やはりね、そこまで大きく変えた方だったんだなというのを改めて実感しますね。

(宇多丸)特に僕よりやっぱりちょっと上の世代の人たちのと思い入れみたいな。僕はやっぱりどっちかというと王さん現役世代だったんで。そのお話を聞くだにどういう……なかなかその選手としてもね、その記録より記憶に残るっていうか。独自スタンス。そのあたりはね、前の特集でもいっぱいしていただきましたけれども。

(中溝康隆)そうですね。

(宇多丸)ということで中溝さん的に長嶋さんのなんて言うんですかね? 忘れられない名場面みたいなのは、あるでしょうか?

(中溝康隆)今、宇多丸さんがおっしゃったようにどうしても長嶋さんって記録よりも記憶に残るイメージが強いと思うんですけれども。実は仕事柄、よく日本シリーズの名勝負とかを調べるんですけども。そこの記事に必ずと言っていいくらい、長嶋さんの名前があるんですね。で、その日本シリーズの長嶋さんの通算成績を調べてみると、通算68試合に出場していて歴代1位の91安打を放ってるんですよ。これは2位の選手に20安打以上の大差をつけて、ぶっちぎりのトップですね。

(宇多丸)へー! そうなんだ。日本シリーズとなるとめっちゃ打つ?

(中溝康隆)はい。大きな舞台になるほど長嶋さんが燃える、みたいな感じで。

(日比麻音子)スターですね!

(中溝康隆)そうなんですよ。打点も66打点で王さんを上回って歴代1位。

(宇多丸)そうなんだ! すごいな(笑)。

(中溝康隆)だから正確には「記憶にも記録にも残る名選手だった」というのは言えるんじゃないかなと。

(宇多丸)大舞台になるほど、だからそりゃあね。なるほど、なるほど。そうか。そうなんだ。びっくり。あとね、中溝さん的にはやっぱり名言と言いましょうか。ミスターはね、もうね、特集でも散々やりましたけど。

(中溝康隆)そうですね。もうやっぱり今のアスリートにはちょっと考えられないぐらいの多くの名言を残してくれたので。

(宇多丸)ちょっともう名言製造マシンすぎて。

(中溝康隆)そうですね。

(宇多丸)その中からどれがって……ちょっとこういう訃報が伝わっている日に愉快な言葉をというのもあれですけども。なにかちょっと、中溝さん的に改めて……。

人生をかけて長嶋茂雄を演じていた

(中溝康隆)そうですね。まず長嶋さんっていうのは本人もたびたびこう言ってるように長嶋茂雄を人生をかけて演じていたっていう面もありまして。だからそのプロ意識というのはすごく強いんですね。たとえば監督1年目の言葉なんですけども。「俺たちはプロだ。楽屋裏では泥まみれでやり、そして舞台では難しい技をさり気なくスマートにやってみせるのが俺たちの仕事だ」と。で、まあ「努力をしてますと練習を売りものをする選手はプロとは言えないんだよ」みたいな、結構あのあの明るいキャラクターとは裏腹のこういうガチンコの言葉も残してくれているので。

(宇多丸)たしかにね。これ、結構厳しいっちゃ厳しいですよね。

(中溝康隆)そうですね。かと思えば、やっぱり長嶋さんといえば……というので結構、海外好きのイメージがあると思うんですけども。監督として海外キャンプでロサンゼルスを訪れた時にですね、長嶋さんがアメリカの街中を散歩していて。その時のコメントがですね、「やたらと外車が多いな」っていう。そりゃそうだろ、みたいな(笑)。

(宇多丸)ねえ(笑)。

(中溝康隆)あとは子供たちと遊びながら「こっちの子供は英語がうまいな」って言ったみたいな。長嶋さんってなんか、そういうちょっとしたことでファンを楽しませてくれたので。

(宇多丸)それすらもね、ひょっとしたら楽しませてくれたのかもしれないけどね。本当にね。

(日比麻音子)たしかに。

(中溝康隆)もうひとつ、ベロビーチキャンプっていうのが巨人がよく海外で行ってきたキャンプなんですけども。休日中に街中でショッピングをしていた時、店のスーツやシャツをすごく気に入って。「これ、全部ください」って買おうとしたら、そこがクリーニング屋で買えなかったということがあって。その時の長嶋さんのコメントが「アイ・アム・失礼」と言って店を出たという。

(宇多丸)すごいですね(笑)。

(中溝康隆)なんかこういうエピソード、本当にいくらでも紹介できる量がありますので。

(宇多丸)ちょっとこれをやっていくとまたなんで。それはまた改めてね、ちょっとやってもいいかもしれませんね。

(日比麻音子)そうですね。でも本当に今日もいろんな特番であったりとかね。『ひるおび』とかも見てますと、長嶋さんと一緒に活躍をされてきた皆さんが本当に愛おしそうに思い出を話していらっしゃるのがとっても印象的でしたから。周りの皆さんにとってもね、いかに大きい存在だったかってことですよね。

(中溝康隆)そうですよね。

(宇多丸)ということでちょっと今日は急遽、中溝さんにお話を伺いましたけど。ありがとうございました。

(中溝康隆)はい、こちらこそありがとうございました。

(宇多丸)またぜひ、番組でもひとつ特集などでよろしくお願いします。

(中溝康隆)はい。こちらこそ、よろしくお願いします。

(宇多丸)プロ野球死亡遊戯こと、中溝康隆さんでした。ありがとうございました。

(日比麻音子)ありがとうございました。

(宇多丸)ということで僕は本当にちょっと、なんというかな? 世代っていう意味ではもうちょっと下っていう感じだったんですけども。さっき伺ったらそのよく言う「記録より記憶に残る」どころか、すごいよね。日本シリーズではぶっちぎりの記録っていう。それ、すごくない?

(日比麻音子)その姿こそ本当にこう、ザ・ミスターというか。おそらくこの見せる野球をね、されていたっていう。ファンの方をいかに取り込んでというか、魅力を伝えてというところ。だから本当に、その実力にもつながっていくっていうのが。

(宇多丸)だから、ひょっとしたらすごいプロ意識の表れがあるから。やっぱりね、楽しませてくれようとしていたっていうか。なんていうか、そのたとえば成績のメリハリみたいなこともメイクドラマなんじゃないの? それも。というかね。だから……。

(日比麻音子)野球という競技がもうスポーツの輪をどんどん越えていったのはやっぱり長嶋さんの本当にご活躍のおかげだったんだなって思います。

(宇多丸)そうだね。一大大衆娯楽のね、王道ど真ん中にいたわけですからね。カルチャーのど真ん中にもね。ということで、本当に改めましてね、お疲れさまでしたというか。長年、ご活躍されてきましたけど。ということで長嶋監督のお話をさせていただきました。中溝さん、急遽出演、ありがとうございました。

長嶋茂雄さんの訃報は本当に驚きましたね。僕も現役時代を知らない世代ですが巨人の監督やプロ野球解説者としてとても楽しませていただいておりました。以前アトロクでやっていた中溝さんの長嶋茂雄論特集を聞き返したいと思います。長嶋さん、お疲れ様でした!

特集:最高のエンターテイナー、ミスター・長嶋茂雄論! by プロ野球死亡遊戯!

アトロク2 2025年6月3日放送回

タイトルとURLをコピーしました