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松尾潔 2002年アメリカR&Bチャートを振り返る

松尾潔 2002年アメリカR&Bチャートを振り返る 松尾潔のメロウな夜
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松尾潔さんがNHK FM『松尾潔のメロウな夜』の中で2002年のR&Bチャートを振り返り。この年にヒットした曲を聞きながら、解説をしていきました。

(松尾潔)続いては、こちらのコーナーです。いまでも聞きたいナンバーワン。2010年3月31日に始まった『松尾潔のメロウな夜』。この番組は、メロウをキーワードにして、僕の大好きなR&Bを中心に大人のための音楽をお届けしています。ですが、リスナーのみなさんの中には『そもそもR&Bって何だろう?』という方も少なくないようです。そこでこのコーナーでは、アメリカのR&Bチャートのナンバーワンヒットを年度別にピックアップ。歴史的名曲の数々を聞きながら、僕がわかりやすくご説明します。

第29回目となる今回は2002年のR&Bナンバーワンヒットをご紹介しましょう。2002年。そうですね。この番組の選曲の中では、意外とこの2002年あたりっていうのはいつも避けているわけじゃないんですけども。あまり触れてないような気がしますね。クラシックというにはまだ浅いのだが、80年代、90年代の、あの前のめりな感じのR&Bのあり方とはまたちょっと違った局面に入ってきた。ちょっと、僕にとってはこのあたり。要は「R&Bシーン」と一言で言ってしまう時にちょっとためらいがあるんですよね。

R&Bとヒップホップ。この共存と言うよりも、なにか融合というか、融け合ってしまって。シンガーと言ってよいのか、ラッパーと言ってよいのか、ちょっとその判断に悩んでしまうような。そんな人たちもたくさん出てきて、また大きな人気を博した時代です。その象徴的な存在だったのがミッシー・エリオット(Missy Elliott)ですね。

ミッシー・エリオット、もともとはシスタ(Sista)というボーカルグループの一員として出てきたんですけども。そのシスタというのがアルバムを作ったものの、きとんとした形での世界リリースっていうのができなくて。それで、「じゃあもう私、好きなことをやる」っていうような感じで、盟友ティンバランド(Timbaland)と一緒にコツコツとデモを作り始めて。それがいろんなところで大当たりして。で、いろんなところから客演引っ張りだこになったんですが。

なんか随分トリッキーなキャラクターでね。ラップもできますし、歌もできます。どっちもできますというよりも、どっちともやるのが私なんです、というような打ち出し方だったので、時代の寵児にはなったんだけれども、そうですね。便利屋さんのように見える時もあって。ちょっと僕、その時に評価に迷っていたんですよね。「面白いな」とは思っていましたけどもね。ですが、いまになってみますとね、時代をおいてこそ見える景色っていうのもあるわけで。

ミッシー・エリオットが活躍した時代っていうのは、まあひとつの音楽スタイルの転換期でもあったんだなと。その象徴的な人物だったんだなっていう風に、いまになって思いますね。もうこの2002年っていうのはミッシーとネリー(Nelly)とアシャンティ(Ashanti)。もうこの3人が大暴れした1年でございました。ミッシー、ミッシーっていう話をしましたけども、それ以外の人たちの活躍についてはこの後、お話するとしまして、まずはこの年を象徴するヒットを2曲、聞いていただきたいと思います。いま、バックで流れておりますのはミッシー・エリオットのソロ名義でのヒット『Work It』なんですが。

そのミッシーの長年に渡る親友というんでしょうかね。音楽仲間を引っ張りだしてきて、それをヒットさせたという美しい話。トゥイート(Tweet) feat. ミッシー・エリオットで『Oops (Oh My)』という曲。これは3月9日から3週間連続でナンバーワンでした。そしてもう1曲。女性シンガー、アシャンティ。マーダー・インク(Murder Inc.)というヒップホップ集団の中の歌姫として大活躍いたしました。彼女の『Foolish』というこの年最大のヒット。10週連続ナンバーワンを記録した『Foolish』。

じゃあ、2曲続けてお楽しみいただきましょう。トゥイートで『Oops (Oh My)』。アシャンティで『Foolish』。

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Tweet feat. Missy Elliott『Oops (Oh My)』

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Ashanti『Foolish』

いまでも聞きたいナンバーワン。その第29回目。今回は2002年のR&Bナンバーワンヒットをご紹介しております。いまお聞きいただきました2曲はトゥイート feat. ミッシー・エリオットで『Oops (Oh My)』。そして、アシャンティで『Foolish』でした。この2曲がリレーする形で3月から3月、4月、5月。合計で13週間、この2曲で一位を走り続けたわけですけどね。まあこのミッシーとアシャンティ。それにネリーを加えた3人がこの年、大活躍した1年ということをね、僕は本当に自信を持って言えるんですけども。

さて、この2002年を振り返ってみまして、R&Bチャートナンバーワンを記録した曲、何曲あったかと数えてみますと、合計10曲。区切りがよいので全部ご紹介しましょう。まずこの年、ジャ・ルール(Ja Rule)がアシャンティをフィーチャーした『Always on Time』が1月5日付けでナンバーワンになってスタートいたしました。

それが1月、2月。丸々2ヶ月、一位を走りまして、そしてロスト・ボーイズ(Lost Boyz)というラップグループからソロになりましたね。ミスター・チークス(Mr. Cheeks)の『Lights, Camera, Action!』。こちらが3月に1週限りとはいえ、純然たるラップナンバーとしては大健闘の一位ですね。

そしてトゥイートのさっき聞いていただきました『Oops (Oh My)』。そしてアシャンティの『Foolish』。これが10週間連続ナンバーワンという破格のヒットになります。で、ラッパー キャメロン(Cam’ron)がジョエル・サンタナ(Juelz Santana)をフィーチャーしております『Oh Boy』というね、これはローズ・ロイス(Rose Royce)の『I’m Going Down』ネタですね。『Oh Boy』、これが5週間のかなり長いヒットですね。

そしてネリーの『Hot in Herre』。これは6週連続ナンバーワン。

そして同じくネリー自身が『Dilemma』のヒットでつなげます。『Dilemma』はディステニーズ・チャイルド(Destiny’s Child )のケリー・ローランド(Kelly Rowland)の力を仰いだとはいえ、ネリーの曲として出て、『Hot in Herre』と合計15週間ナンバーワンですよ。2002年の夏はネリーの野太い歌声で彩られていました。そして、秋になりまして10月26日から4週間一位だったのがLL・クール・J(LL Cool J)の『Luv U Better』。

これはいまをときめくファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)がネプチューンズ(The Neptunes)というユニット名義でプロデュースしていたんですけども。その時のLLよりもね、いま、ファレルの方がよっぽど人気者になっちゃいましたが。ボーカルを取っておりましたのはね、マーク・ドーシー(Marc Dorsey)という男性シンガーでございました。そしてミッシー・エリオットの『Work It』。で、エリカ・バドゥ(Erykah Badu)がコモン(Common)をフィーチャーした『Love of my Life (An Ode to Hip-Hop)』と。

これで2002年を締めくくります。合計10曲ですね。うーん。さっき、ミッシーとネリーとアシャンティって言いましたよね。で、この中でアシャンティってうのは基本的にはラップをする人ではない。ラップというか、ヒップホップ集団のマーダー・インクという当時、いちばん勢いがあったヒップホップのクルーにいた人なんで。歌声にもヒップホップの色合いがあったということをここで否定はしませんけども。まあ、カテゴリーとしてはシンガーなんですが。

アシャンティを除く2人。ミッシーとネリー。この2人はね、本当にラッパーなのかシンガーなのかというのは、いまでも便宜上ラッパーって言ったり、R&Bって言ったりとかするけども。ラッパーって僕が言っている時も、「うーん。まあ、ネリーなんかはシンガーだよな?」とも思うし。ミッシーのある曲に関してはR&Bって言っている時でも、「うーん。とは言っても、まあヒップホップだよな」なんて思いますし。ヒップホップとR&Bの線引きというものに、そもそもあまり意味がないのではないか? という意見もありますが。

まあ僕は、やっぱり意味というのはあると思う立場なんですけども。ラッパーとシンガーっていうここの線引きの難しさを考えさせられたのが2002年でしたね。まあ、遡って見ますとね、90年代のアレステッド・ディベロップメント(Arrested Development)が活躍した時なんかね、まああそこの中心人物のスピーチ(Speech)を「彼はラッパーと呼ぶのか? 歌い手ではないのか?」という、そういう論争が当時あったのですが。2002年になりますと、論争さえ起こらないと。つまり、もうそういうのはお客さんが決めることだと。

こういう音楽を愛している若者たちは、ミッシーがラッパーであるのか、シンガーであるのか、そういうことを気にせずに、ミッシーの曲として楽しんで聞いているんだ。ネリーにしても然りということを痛感した、そんな1年でございました。まあね、2002年ではないんですが、2001年。その前の年にアリーヤ(Aaliyah)という人が亡くなりましてね。2001年の8月のことですよ。22才で亡くなりまして。で、この2002年はヒップホップシーンにアリーヤ追悼のムードっていうのがすごく強かったんですよ。

で、いま僕、「ヒップホップシーン」って言いましたけど、R&Bシーンよりもむしろヒップホップシーンでそれが強かったなという印象がいまありますし。年をまたいで2003年にナンバーワンを記録することになるアリーヤの『Miss You』っていう曲があるんですが。これなんかは彼女の生前の歌声を使って、彼女の親しい仲間たちがみんなで共同でビデオを作ったという。本当に胸がグッと締め付けられるようなミュージックビデオがあるんですが。

それを見ていると、やっぱりヒップホップの住人がたくさん出ているんですよね。もう、そういう聞き方になっていたという。そういうマーケット、そういうシーンになっていたというひとつの証ではないでしょうかね。

じゃあ、こんな混沌とした2002年を象徴するような1曲を聞いていただきたいと思います。これはもともと、1984年のパティ・ラベル(Patti LaBelle)のスマッシュヒット『Love, Need and Want You』という曲を上手く取り入れて。で、今様にしたという曲だったんですが。いまでは、こちらの曲の方がブラックミュージックヒストリーの中で大きな存在感を放っていますね。ちょっと、ある種革命的な1曲でした。聞いていただきましょう。ネリー feat. ケリー・ローランドで『Dilemma』。

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Nelly『Dilemma ft. Kelly Rowland』

2002年のR&Bナンバーワンヒットをご紹介してまいりました、今夜のいまでも聞きたいナンバーワン。最後にご紹介しましたのはネリー feat. ケリー・ローランドで『Dilemma』。2002年8月24日から10月19日まで、9週間連続でナンバーワンを記録しています。ネリーの『Nellyville』。そしてケリー・ローランドの『Simply Deep』。いずれのアルバムにも収録されていますね。これはね、ちょっと強面の男の子と可憐な印象のある女の子が親に反対されながら、とりわけ、女の子の親に心配されながら、淡い恋愛を育んでいくというような、そういう筋立てですよ。

そういうビデオがあって。そこにさっきも話しました、これのオリジナルとなるパティ・ラベル。84年にこれの元歌『Love, Need and Want You』を歌っていたパティ・ラベルがケリー・ローランドの母親役で出演しているという、これはもう、ネタ元までキチッと出してくれるあたりが、長年R&Bを聞いている人からするとたまんないんですけどもね。

まあ、そういった曲を、くどいようですけども、ヒップホップであるのか、R&Bであるのか?っていうのは、なんか本当ナンセンスだなって思いながら。ネリーっていうのは改めて、歌心のあるラッパーだなという風に思いましたよ。で、このネリーとケリー。「ネリケリ」なんて言ってましたが。このネリケリの2人の組み合わせっていうのはひとつの発見だったんだなって思いますね。いろんな好条件が、僕がよく使う表現で言うと惑星直列のようにバチッと定まった。そんなミラクルも呼び寄せた1曲。それが『Dilemma』だったという気がいたします。

<書き起こしおわり>
https://miyearnzzlabo.com/archives/32657

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